弁理士の日々

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原子力規制委員会はどうなる

2012-08-06 00:12:27 | サイエンス・パソコン
古賀茂明氏(メールマガジン)、長谷川幸洋氏(国民はもはや政府を信用していない! 原子力規制委員会の人事は国会事故調の提言を尊重して国会主導で決めるべきである!が共通で論評している問題、それは原子力規制委員会の委員選任問題です。

○ 委員長候補の田中俊一氏は、独立行政法人日本原子力研究開発機構(旧動燃)副理事長、原子力委員長代理、原子力学会会長などを歴任し、長年にわたって「原子力ムラ」の中心で活動して来た人物である。これだけの経歴の持ち主なら、バリバリの「原子力ムラ」の中心人物と言ってもよい。
○ 田中氏をはじめとして、これまでに、政府の原子力政策に対して、堂々と反対意見を述べた実績がないことだ。

○ 田中氏は、ひたすらメモを読み上げている。自分の言葉で語ろうとしない。
(話す言葉が官僚の言葉であるのが、古賀茂明氏にはよくわかるそうです。いかにも原発に対して慎重なように見せかけて、実は、原発を推進できるような言葉遣いでうまく逃げているといいます。)

○ 委員候補である中村佳代子氏は日本アイソトープ協会の主査。更田(ふけた)豊志氏は田中氏が副理事長を務めていた日本原子力研究開発機構の原子力基礎工学研究部門副部門長だ。両氏とも前職とか元職ではなく現役である。
原子力規制委員会設置法第7条7項には
「次の各号のいずれかに該当する者は委員長または委員となることができない。
 三、原子力に係る製錬、加工、貯蔵、再処理もしくは核燃料物質の使用を行う者またはこれらの者が法人であるときはその役員もしくはこれらの者の使用人その他の従業者」と定めている。
この条文に照らすと、中村氏も更田氏も上記三に該当する。

○ 国会で全会一致で設置された国会事故調がせっかく報告書を出したのに、国会では、その内容について委員長を呼んで話を聞くことはないという。みんなの党による黒川委員長の参考人招致の提案が拒否されている。
○ 原子力規制委員会の人事について、国会事故調は、政府が人選するのではなく、第三者委員会が相当数の候補者を選び、その中から、国会で委員を選ぶべきだ、と提言している。政府からの独立性を担保するために必要な措置だ。国会に黒川・事故調委員長を呼べば、当然、そういう提言をされる。そうなれば、今の人事は白紙に戻さなければならない。
○ 官僚が絶対に死守したいのは「政府が委員候補を決める」という線である。政府から国会に委員候補提案権が奪われてしまったら、コントロールが一段と難しくなる。そこで、まずは超タカ派の3人を出す。ギリギリまで粘ったところで3人とも差し替えが不可避なら、大幅妥協したふりをして、本命の「ミスターX、Y、Z」に差し替える。そんな作戦ではないのか。そのくらいの知恵は官僚は当然、働かせる。

○ 原子力規制委員会の事務局として新設される原子力規制庁に派遣する職員にはノーリターンルールが適用される。ところが、ノーリターンルール例外の中に本人の「意欲」という文言を入れた。つまり、本人がどうしても規制等の仕事は嫌だから経産省に戻してくれと強く言えば、戻れるということにしてしまった。
国会事故調の黒川委員長を国会に呼べば、こんな例外は止めるべきだと言うことになる。法律改正にもつながる話だし、独立性の高い規制庁ができたら、自公民が狙っている原発推進ができなくなる可能性が高いから、何としてもそういう事態は避けたい。
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上記のような意見は、ネット評論やメールマガジンで表明されるのみであり、大新聞などで報じられたのを見たことがありません。政府原案のまま、あるいは官僚が想定した範囲内で委員の差し替えをして、決まっていくのでしょうか。
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