goo blog サービス終了のお知らせ 

晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

11月9日のISS(カラー撮影)

2022年11月10日 | ISS(国際宇宙ステーション)
11月9日早朝のISS撮影記録です。



 11月6日と8日に引き続き今月3回目となるISS撮影です。6日と8日は通過時間に雲が湧き出て思うように撮影できませんでしたが、二度あることは三度あるで今回もご多分にもれず通過直前に雲がおいでになりました。ハイ… (_ _)

 今回のイベントはぎょしゃ座(仰角51°)で地球の影から出て南西方向で最大仰角64°を迎え南東へ向かうというコースです。このコースは追尾しやすくISSの太陽電池パネルやISS下面を照らす太陽光の具合もいいのできれいに写すことができます。天気が良ければ…



 11月6日と8日も雲がありましたが、今回はそれを上回る雲量でした。トホホ…  で、星が見えるのはオリオン座とおおいぬ座の間だけでソコだけがぽっかりと穴が空いたようになっています。

 なので、ISSが地球の影から出るところは見えず火星を過ぎた辺りから撮影を開始したのですが、ファインダーの中のISSは雲で明滅をしている状態で、一瞬だけ雲が無い瞬間がありましたがその直後に雲に入り全く見えなくなりました。

 ↓ こちらがPIPPでセンタリングした動画のフルバージョンです。たったの7秒なのでお見逃しなく~。


 明るく写っているところが雲の無いところですが、写っていたのはコマ数にして24フレームだけでした。その中から揺らぎの少ないフレームを1枚選んで画像処理したのが下の画像です。


 ↓ こちらは2枚コンポジットしたものですが、2枚では1枚画像とたいした違いはないですね。コンポジットできる画像が他に無いか探したのですが気流による揺れが激しくほかにはありませんでした。


 まー、11月の気流なので揺れが少ないコマが2コマでも撮れただけでラッキーだったと言えますね。(ポジティブ・シンキング!)

 こちらは雲が無いところで写した24フレームのループGIFアニメです。



若田宇宙飛行士が搭乗しているISSの現在の様子はこんな感じです。




 シグナス補給船は11月9日19時20分(日本時間)にドッキングしたので撮影したISSには写っていませんが、今回のシグナスにソーラーアレイの一つが展開しないトラブルがあったようです。

 NASAはリフトオフの6時間後に2つのソーラーアレイのうちの1つが展開に失敗したと発表。状況評価後、ランデブーが安全であると判断して11月9日にロボットアームで捕獲したようです。

 今回のシグナス補給船は、物理学者でありアメリカ人初の女性アストロノーツである故サリーライド宇宙飛行士に敬意を表して名前が付けられています。シグナス補給船は1月までドッキング予定です。

 あ、撮影データを書き忘れていました。
今回のシステムは、30cmドブ+Powermate2×+ASI290MC+UV/IR cut Filter で、露出は Shutter=0.932ms Gain=290 (48%) でした。

11月6日のISS

2022年11月06日 | ISS(国際宇宙ステーション)
11月6日のISS撮影記録です。

 今回の通過は久々の好条件パスですが、撮影システムはASI174MMを使用してのモノクロ撮影です。ASI174MMは画角が広い分、拡大率も小さいのですが… なぜそれを使うかというと

 ISS通過の10分後に11月1日に夢天がドッキングして完成型になった中国宇宙ステーションの通過があるので、そちらの撮影をメインとした惑星カメラ(広写野&高感度)が必要だったということです。(さすがに10分ではカメラ交換はできないので…) (^^ゞ

で、こちらがISSの通過コースです。


 距離437km 光度-3.6等 最大仰角73° は申し分ないコースのように思えますが、明け方の北天コースなので天頂通過後は逆光で、しかも太陽に向けている太陽電池パネルを横から撮影する形になるので写りが悪いダメダメコースです。しかも太陽高度が-6~-7°はほぼ青空で適正露出が分かりにくい時間です。

 ま、そこは久々の好条件パスなので頑張ることとしましょう。本日の撮影システムは、30cmドブ+Powermate2×+ASI174MM+IR Pass Filter で、露出は空の明るさも考慮して、Shutter=0.938ms、Gain=250 (62%) にしてみました。

 このごろのISS撮影あるあるですが、またしても通過直前に雲が流れてきました。なので、撮れ高は極端に悪かったのですが、何枚か雲の無い部分で撮影できたものがあったのでご覧ください。


↑ こちらは近づいてくるISSです。ロシアのナウカに朝日が当たっていい感じに写ってますね。JAXAのきぼうとESAのコロンバスは太陽光を全反射してハレーションを起こしています。



↑ これはまもなく最大仰角に到達するISSです。このコースではこの辺りがきれいに写るポイントですが、太陽電池パネルは真横から見る形になっていてほぼ写っていません。



↑ これが最大仰角73°を通過中のところですが、ご覧のとおりすでに逆光です。というより太陽光がISSの下面に当たっていない状態ですね。このあとはコロンバスときぼうだけが光って見えているという感じになります。だ~から、この時間のこのコースはイマイチなんですよね~。

…などと流ちょうなことを言っているヒマはありません。ISSが東の地平線に沈む前にCSSは西の地平線から昇ってきます。CSSのコースには庭木があるので1m程移動です。なんだかんだで総重量30kgのドブを移動させるのは至難の業です。ノートPCもデスクごと移動して準備完了です。

 さてそろそろです…と思って西の空を見ると、あちゃ~雲です。シリウスもリゲルも隠れてしまいました。はたして中国宇宙ステーションは撮影できるのか? 続きは次回のブログで~

10月21日のISS

2022年10月24日 | ISS(国際宇宙ステーション)
10月21日に撮影したISSの記録で~す。

 前回の撮影は8月22日だったので、なんと2か月ぶりの拡大撮影です。
今年は7月~9月で撮影できたのがたったの2回… まさに開店休業の状態でした。


 そして、時はすでに10月下旬、上空の気流は早くも冬の趣です。

 まーぼやいても仕方ないですね。天気には抗えません。 で、今回の通過ですが、通過時の太陽高度は -6°の市民薄明なので灯りがなくても外で新聞が読める明るさです。空に星は見えずシリウスだけが輝いている状態です。(注:ISSはマイナス等級なので問題なく見える通過です)

 今回のISSは北西の空を仰角65°で通過して北東へ進みます。太陽に向かって進むので前半は明るく、後半が逆光になって減光するパターンです。(↓ 見た感じに近づけるため通過図を反転しています)


 今回の撮影システムはいつもの30cmドブ+Powermate2×+ASI290MC+UV/IR cut Filter です。さて、時間です。最近はプラネタリウムアプリでISSの接近を見ながら待っているのでISSが今、空のどこにいるかがすぐ分かります。

 今日のコースでは仰角10°で屋根の狭間に見えるはずです。おっと、来ました! ん!? やけに明るいぞ… 仰角10°を過ぎたばかりだというのに-2等級…いや、木星より遙かに明るく輝いています。

 本日のパスは太陽に向かって進むコースなのでたぶん全ての太陽電池パネルがこちらを向いて全反射するハイリゲンシャイン効果なのでしょう。おどろくほどの明るさです。

 では、撮影開始です。久々の撮影なのでカメラの露出はShutter=0.838ms、Gain=300 (50%) の標準モードにしてあります。西の空で開始した撮影は北東の仰角40°を過ぎたところで自宅屋根で隠れてしまい終了です。

 撮影終了後は東の空が見えるところに移動して若田宇宙飛行士が乗船するISSを見送りました。日の出前の青空の中を東の地平線に向かって静かに進むISSはいつにも増してキレイでした。感動です!

 で、肝心の撮影画像ですが、それが、え!? なんでこれしか写ってないの? 追尾率悪すぎ! しかも冬の気流でボケボケ…なにこれ最悪!… でした。下の動画が今回の取れ高のすべてです。トホホ…

2022年10月21日のISS


今回はコンポジットできる画像がひとつもなかったのですべて単独1枚画像を処理しています。
(参考:画像処理前後の比較GIF→photo

↓ 5時22分45秒、推定仰角58°、推定距離480km


↓ 5時23分11秒、推定仰角62°、推定距離450km


↓ 5時23分26秒、推定仰角64°、推定距離440km


↓ 5時23分48秒、推定仰角54°、推定距離490km


 まー、こんなもんですかね~、欲を言うともう少しクリアな写真を期待していたのですが思った以上に気流が悪かったことと、そもそも長いブランクで撮影感覚が鈍っていたことがすべての敗因ですね。

 この日は日中も好条件パスがあったのでチャレンジしてみましたが、仰角87°でキャッチした直後にロストしてしまい収穫ゼロでした。


 これからはますます気流が悪くなるので夜間の撮影はキビシイですが、湿度が低くなるので昨年のようにDaylight Passを撮影して楽しむことにしましょう。

8/22撮影のISS画像を再処理(AS!3→RegiStax6)

2022年09月02日 | ISS(国際宇宙ステーション)
 8/22に撮影したISSの解像度を上げるべく再度画像処理をして見ました。
前回は方法2でしたが今回は方法1の「AS!3で動画からスタック」です。

方法1 AS!3で動画からスタック
元動画→SER Playerプレーヤーで動画確認→解像度の良いフレームをセレクトしてAS!3でスタック
→Registax6でウェーブレット→ステライメージで画像処理→完成

方法2 ステライメージでコンポジット
元動画→PIPPでTiff画像に保存→解像度の良いフレームで連続している画像をセレクト
→ステライメージでコンポジット→ステライメージで画像処理→完成

 ISS画像の解像度を上げるにはできるだけ多くの枚数をスタックする必要がありますが、AS!3ではフレームナンバーを指定して動画から任意の範囲でスタックできるのでとても便利です。

 今回はRegiStax6のウエーブレットが効果を発揮したのでステライメージで処理したときよりは解像度が上がったように感じます。比較のためスタック対象の元動画も並べてみました。



file.No8079-8085.6枚スタック画像
*こちらは最大仰角通過直後だがスタック枚数が6枚と少ないため画質の荒さが目立ちます。

file.No8079-8085.元動画 6flames




file.No8122-8129.7枚スタック画像
*こちらもスタック枚数は7枚と少ないのですが1枚目の画像よりは解像度が高くなっています。特別な処理をしているわけではないので結局のところ元動画の画質次第ということになるようです。

file.No8122-8129.元動画 7frames



file.No8266-8289.23枚1.5X Drizzleスタック画像
*こちらはスタックするときに1.5X Drizzleを使って画像サイズを大きくしたもの。火星などの視直径が小さい惑星の時に使うことがあるがうまくいった試しはないので効果は未知数でしたが、ISSでは処理次第では効果があるのかもしれません。

file.No8266-8289.元動画 23frames



file.No8710-8770.60枚スタック画像
*こちらは連続している60フレームをスタックした画像です。距離は遠くなっているが上記の動画よりは揺れてないのでそこそこの画像が浮かぶと思ったがそうではなかった。1.5X Drizzleを使わなかったからなのか単に画像処理が適切でなかったのかは不明。

file.No8710-8770.元動画 60frames




file.No10037-10098.60枚スタック画像
*これは撮影終了間際のかなり遠ざかったISSをダメ元でスタックしてみたもの。今回は枚数が少ないのですべて100%スタックをさせているが50%に制限して良質画像でスタックすると画質は良くなるのだろう。そのためにはもっと速いFPSのカメラがいいということになりますよね~。(買うか!?)

file.No10037-10098.元動画 60frames


 これまで、日本は気流が悪いから海外の方が撮るようなISS画像は無理だよね~と思ってあきらめの境地でしたが、今回の画像処理を通して海外の方と同じ写真は撮れなくても、もう少し近づくことはできるのかなぁと感じました。

 飽くなき挑戦は今後も続きますよ~。

〈関連ブログ〉
(惑星カメラ・L+RGB合成編)
ISS拡大撮影(L+RGB編)その6 2022.6.27
ISS拡大撮影(L+RGB編)その5 2022.6.9
ISS拡大撮影(L+RGB編)その4 2022.5.21
ISS拡大撮影(L+RGB編)その3 2022.4.13
ISS拡大撮影(L+RGB編)その2 2022.4.12
ISS拡大撮影(L+RGB編)その1 2022.4.6

(惑星カメラ・Daylight Pass編)
ISS拡大撮影(Daylight 惑星カメラ編)その4 2021.12.12
ISS拡大撮影(Daylight 惑星カメラ編)その3  2021.11.7
ISS拡大撮影(Daylight 惑星カメラ編)その2  2021.10.29
ISS拡大撮影(Daylight 惑星カメラ編)その1  2021.10.21

(惑星カメラ・カラー編)
ISS拡大撮影(カラー編)その4 2022.8.7
ISS拡大撮影(カラー編)その3 2021.10.25 
ISS拡大撮影(カラー編)その2 2021.9.14 
ISS拡大撮影(カラー編)その1 2021.9.11

(惑星カメラ・モノクロ編)
ISS拡大撮影(10/5)2021.10.6
ISS拡大撮影(8/26)2021.8.27
ISS拡大撮影(8/1)2021.8.2
ISS拡大撮影(7/16)2021.7.19 
ISS画像 ステレオグラム(立体写真)2021.6.17 
ISS画像 コンポジット(ステライメージ編)2021.6.10
ISS画像 コンポジット(AS!3でスタック編)2021.6.10
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その8 2021.6.2
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その7 2021.5.30
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その6 2021.5.15
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その5 2021.5.14
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その4 2021.4.7
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その32021.4.5
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その2 2021.3.31
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その1 2021.3.30

(デジカメ編・選)
3月24日 ISS Daylight pass 2021.3.24
3月23日 ISS Daylight pass 2021.3.23
3月19日 ISS & HTV-9 EP Battery Pallet 2021.3.20
青空の中のISS 2021.2.12
8月3日のISS 2020.8.4
ISS拡大撮影~HTV-3確認編~ 2012.8.11
ISS拡大撮影ミッション~HTV編~ 2009.9.26
ISS写真の解像度アップ作戦!2009.3.24
ISS拡大撮影ミッション(1)「ファーストショット」 2008.2.3













8/22のISS(Daylight Pass)

2022年08月26日 | ISS(国際宇宙ステーション)


 前回のブログの続きで~す。

 さて、現在時刻は04時15分過ぎです。空を確認すると… ふむ、さすが日の出30分前です。空はすでに全天スカイブルーで、見えている星は ー2.8等級の木星と月齢24の月のみです。

 ピント合わせは仮眠前に終えているので月を導入して露出調整をしましょう。惑星カメラのシャッターは0.888ms、ゲインは… ここが昼間のISSを撮影するときで難しいところですが、今回は月面が適正露出になるところのGain=336 (56%) で撮影することにしました。

 で、本日の撮影計画です。ISSの最大光度は-3.6等級なので日の出10分前の空でも見えそうですが、高度10°の明るさは-1.5等級なので高度が低い時はまだ見えません。木星の明るさを超えれば眼視で捉えられますが高速で飛行するISSは青空の中ではそう簡単には見つかりません。

 そこで、望遠鏡は最大高度77°のポイントに向けて待ち伏せ作戦で待機させながら、眼視でISSを補足できたときは即座に望遠鏡を向けてファインダー導入とすることにしました。


 さて、時間です。イヤホンから聞こえる時報が04時48分を告げましたが、ISSはまだ見えません。いや、見えているのかもしれませんが肉眼で補足できてないというのが正しいでしょう。

 本日のISSは天頂通過前が順光で天頂通過後は逆光になるので、一瞬でも天頂通過前に撮影できたらと思っていましたが無理のようです。待ち伏せ作戦に変更です。

 ファインダーを覗いて通過を待っている瞬間はいつも、ホントに見えるのだろうかとドキドキものです。ふう、呼吸を整えて… 通過3秒前、2秒前、1秒前… キター! 見えました! 捕捉成功です!

 で、こちらが今回撮影に成功したISSの動画です。Daylight Pass なので、空の明るさが後半で群青色に変わるところと太陽光を透過した太陽電池パドルの裏側がオレンジ色にキレイに見えるところが見どころです。お見逃しなく~。

8/22のISS(Daylight Pass)


こちらは解像度が高かった部分のループGIFアニメです。



ここからの3枚は画像処理をしたものですが、火星を撮影したときの動画で分かるように気流はそれほど良くなかったことと逆光であることを考えるとこんなもんかなーという感じです。コンポジットした写真の方はSN比は良くなっていますが細部が潰れている感があります。画像処理方法のさらなる工夫が今後の課題ですね。

1枚画像(File.No.8273)

 

4枚コンポジット画像(File.No.8270.8271.8271.8273)




3枚コンポジット画像(File.No8282.8283.8284)





 さて、かくして撮影会はすべて終了ですが、振り返ってみると 8月21日の早朝8時の月とジェット機のコラボ写真から8月22日早朝のISSまで24時間でこれほどたくさんの写真を撮れるとは思っていませんでした~。

 今年の夏はホントに天気が悪くて特に拡大撮影は全くと言っていいほどできていませんが、そんな中で今回ISSのDaylight Passをこのように撮影できたことはとてもラッキーでした。

 週間天気予報を見ると、この先しばらく天気が悪そうなので我慢の日が続きそうですが、秋の天気は気まぐれなので次回のチャンスを待つことにしましょう。


7月30日のISS

2022年08月07日 | ISS(国際宇宙ステーション)
 7/30に撮影したISS拡大撮影記録で~す。

 前回の拡大撮影は6/26だったので、実に1か月ぶりの拡大撮影です。6月29日の梅雨明け後にこんなに天候不順が続くとは…まったく思っていませんでした。 空梅雨だったので帳尻合わせで秋の長雨が続くかな~とは思っていましたが、まさかの梅雨前線シーズン2が来るとは最近の天気は異常すぎます。

直距離516km、最大仰角53°、-3.4等級のISS(photo

 さて、今回のイベントは直距離が516kmで最大仰角は約50°、しかも北天を通過する宵の口のパスなので、フツーだったら撮影はパスかな…と思うイベントですが、拡大撮影に飢えていたので気合いを入れて撮影しました。(笑)


 久々に撮影できたと言っても当日は朝から晴れていたわけではなく、下記データを見て分かるように直前までは曇り→薄曇りで、撮影時は晴れマークですが雲量は3です。視程は15kmで(ベストは40kmなので)透明度はかなり悪い状態でした。

 ただひとつ期待できる条件としては、地上から250hPaまでの気流がwindy予測ですべて10m/s以下になっていたので、ここに賭けて撮影をしたのですが結果としては透明度の悪さと距離の遠さで解像度の高い画像は撮れずじまいでした。今回のシステムはPowermate2× を装着したいつものカラー撮影モードで、シャッターは0.838ms、GAINは300(50%)、カメラはASI290MCです。

 撮り始めから影に入るまでの様子はこんな感じでした。(gif
 

 一番解像度が高かった部分のループgifアニメです。(gif


 で、画像処理はいつものように数枚コンポジットとRGB分解→再合成などをトライアンドエラーで繰り返してみました。今回の動画からはこれが限界かな…と思います。

前方にドッキングしているのは、カーゴドラゴン(CRS-25)です(photo

カーゴドラゴン(CRS-25)は8月18日にアンドックする予定になってます。

一番後ろにドッキングしているソユーズはプログレス81のようです。(photo


最大仰角を過ぎると順光となるので太陽電池パドルが見えるようになります。(photo


週間天気予報をみるとこの先も晴天は望めそうにないので次回は9月になってからでしょうかね~。

ISS拡大撮影(L+RGB編)その6

2022年06月27日 | ISS(国際宇宙ステーション)
ISS拡大撮影記録で~す。photo

撮影にチャレンジしたのは、6月26日早朝、ターゲットはX-37BとISSです。
X-37Bの通過は02時46分、ISSは03時26分で、どちらも好条件通過です。

しか~し、02時にチェックした時点での雲量は7~8です。天気がよくなることを
期待して準備をしましたが、X-37B通過時はコースに完璧な雲があってアウト!

それどころか03時になってもピントを合わせるための1等星がひとつも見えません。
本日のISS通過コースはこちら(拡大図

見えてるのはペガスス座のみ… しかたないので秋の四辺形でピン合わせをしました。

ピン合わせが終了したのは通過10分前…その時です!あたり一面にパラパラパラと
乾いた音が響き渡りました。え、何の音? 
わぉ、雨です! なに~

いそいで、近くにあった常設赤道儀ピラーの望遠鏡カバーをはがして30cm望遠鏡と
ノートPC2台にかぶせしたが、まったく想定外のにわか雨でした。ふぅ~

雨は5分後に止んで撮影待機モードに戻りましたが、テンションがだだ下がりです。
通過時間になってもわし座まで厚い雲があって全く見えません。待つこと数十秒…

キター! 見えたのはほぼ天頂です。天頂での導入は意外と手こずります。
クリアな空ではないので、写りは期待できませんが天頂通過コースなので
必至に追尾しました。が、結果はボケボケでした。

とりあえずモノクロとカラー動画が撮れたのでL-RGB合成をして見ました。(拡大写真

う~ん、どうでしょう? ビミョーですね。

さて、突然ですがお知らせです。2022年4月2日から行ってきた「L-RGB合成撮影トライアル」は本日をもって終了といたしま~す。

理由は、L-RGB合成の撮影方法及び画像処理方法を習得したことが第一です。第二として、この方法でこれまでのシステムを凌駕するほどの解像度は得られなかったこと…です。また、第三として今年はISS軌道の巡り合わせが悪く、夏場の好条件通過が極端に少ないことも理由のひとつです。

以上のことから、今後はその時の通過コースに合った撮影システムでISS拡大撮影を楽しんでいきたいと思いま~す。(メインの方法としてはカラーカメラ一発撮りのRGB3色分解から、L画像を作成して、R.G.B画像はそれぞれを処理して解像度をアップさせた後にRGB再合成させて大気分散を消去した状態でL+RGB合成する方法にしよう~と思ってます。長!笑 )

〈おまけの動画〉
2022年6月26日03時27分に撮影したISS動画、直距離426km(GIFアニメ



これまで撮影したISSで最も解像度が高いカラー動画(GIFアニメ
2021年9月2日04時53分、直距離452km


 さて、本日、関東甲信、東海、九州南部が梅雨明けしたそうですが、この勢いで梅雨明け全国制覇となるのでしょうか?東北地方南部に限って言えば、まだニイニイゼミが鳴いていないので少なくともあと10日間は梅雨明けしないと思うのですが、はたして今年のニイニイゼミの初鳴きはいつになるのでしょうか。

ニイニイゼミ初鳴き観測班が現在調査中で~す。

ISS拡大撮影(L+RGB編)その5

2022年06月09日 | ISS(国際宇宙ステーション)
 最近、ISS通過がある日は晴れないという天気めぐりになってるようで…デュアル拡大撮影システムのテストが全くできない状態です。…ということで、今回はデュアル拡大システムで撮影した場合、ISSはどこまで写るのかまじめに考えてみました。

天体望遠鏡の光学性能の表し方として分解能がありますが、これとは別に遮断空間周波数というものがあります。今回はこの遮断空間周波数を用いて現在使用している拡大撮影システムで400km上空を飛行するISSはどこまで解像できるのか探ってみたいと思います。

〈分解能〉
 分解能には、よく知られているドーズの分解能(ε=115″.8 / D)と回析理論の分解能(ε=251575″ × λ / D)があります。この式で30cmドブの分解能を計算すると
 ドーズの分解能 ε=115″.8 / 300 =0.386″
 回析理論の分解能 ε=251575″ × λ / 300 = 0.425″(λ = 507nmの時)
 回析理論の分解能 ε=251575″ × λ / 300 = 0.551″(λ = 685nmの時) となります。
*507nmは暗所での視感度が高い波長、 685nmはモノクロカメラに装着しているIR Pass フィルターの透過波長
*天文年鑑には 30cmの分解能は ドーズも 回析理論も 0.4″と記載されてます。

〈遮断空間周波数〉
 遮断空間周波数(Vb)は天体望遠鏡が見分けられる明暗模様の細かさの限界を表しており、Vb=1 /(λF)=D/(λf)の式で求めることができます。(有口径D、焦点距離f,FナンバーF、波長λ)

 この式を用いてデュアル拡大撮影システム(D=300mm、f=3450mm、F=11.5)の遮断空間周波数を計算すると、Vb=1 /(0.000588×11.5)=300/(0.000588×3450)= 1/147(147の-1乗)になります。
*波長によって遮断空間周波数は変わるのでここでは光学計算で使われるd線の波長588nm(0.000588mm)で計算しています

 遮断空間周波数が1/147であることは、この望遠鏡が1mmあたり147組の明暗線を見分けられるということを表しています。モノクロカメラに装着しているIRフィルターは685nmなので計算すると 1/126(126の-1乗)になり、1mmあたり126組の明暗線を解像できるということになります。

 これを比較すると、カラーカメラの方が解像度がいいぞ~ と思いがちですが、空間周波数が高くなるとコントラストは低下するので数値だけでは判断できないところもあります。ここまでは望遠鏡のFナンバーで決まる望遠鏡そのものの解像限界値ですが、使用するカメラのイメージセンサーにも解像限界があります。こんどはそちらを計算してみることにしましょう。

〈ナイキスト周波数〉
 ナイキスト周波数Vnはイメージセンサーの解像力の限界を表しており、この解像力は敷き詰められたセルの間隔(画素ピッチ)で決まります。画素ピッチは小さい方が高い解像力を得ることができます。記録できる像の明暗の細かさは画素ピッチをdとして次の式で求められます。Vn = 1 / (2d)

 では、デュアル拡大撮影で使用しているASI290MCの画素ピッチを計算してみましょう。ASI290MCの受光面サイズは縦3.2mm×横5.6mmで画素数は縦1096×横1936なので、縦の画素ピッチは3.2 / 1096= 0.0029mm で約0.003mmです。(横で計算しても当然ですが同じです)よって、d=0.003となるのでナイキスト周波数を計算すると、Vn = 1 / (2×0.003)= 1/166(166の-1乗)となります。

 つまりASI290MCは(サイズが同じASI290MMも)1mmあたり166組の細かさの明暗まで記録できるということになります。現在の撮影システムではカラーが1mmあたり147組の明暗線を、モノクロは1mmあたり126組の明暗線を解像できるので、ASI290は望遠鏡が結ぶ像の明暗をすべて記録できるということになります。
*イメージセンサーのナイキスト周波数Vn ≧ 望遠鏡の遮断空間周波数Vbであることが重要です。

〈ISS像の大きさ〉
 では次に今のシステム(D=300mm、f=3450mm、F=11.5)で撮影するとイメージセンサー上に写るISSの大きさはどれくらいか調べてみましょう。

 像の大きさを2y、焦点距離をf、対象天体の視半径ω、とすると y=f tanω の式が成り立ちます。400km上空のISSの視直径を60秒とすると視半径は30秒で、ω=30/3600=0.0083° となります。計算すると、y = 3450 tan0.0083 ≓ 0.499 となるので、2y=2×0.499 ≓1mm でイメージセンサー上では約1mmの大きさでISSが写っていることになります。

 実際の撮影画像で確かめてみましょう。
ASI290MM

 これを見るとたしかにセンサー上で約1mmの大きさに写っていることが分かります。
 カラーカメラの遮断空間周波数が1/147なので理論上は122m / 147 で、ISS上では83cmが解像の限界となります。モノクロカメラでは 122m / 126 で97cmが解像限界値です。

 もしASI290のナイキスト周波数を最大限活用できるとすると 122m / 166 =73cm のものまで写ることになります。単純に分解能で計算しても口径300mmの分解能は0.4″なのでISSが視直径60″で見えた場合は81cmまで解像できることになります。理論上は… 理論上は… 理論上は…

 そーなんです。悲しいことにこれらはすべて理論上のことで、実際のところは机上の空論なのです。
なぜなら、日本の上空にはジェット気流が流れているからです。トホホ…

〈日本におけるシーイングの平均値の目安(秒角)〉
・気流の悪いときのシーイング:2.5″  *2.5″=口径4.6cmの望遠鏡の分解能
・1年を通じて平均的なシーイング:1.5″  *1.5″=口径7.7cmの望遠鏡の分解能
・最高シーイング(年に数日):0.7″   *0.7″=口径16.5cmの望遠鏡の分解能
*ちなみにシーイング0.7″はマウナケア天文台の平均的なシーイングだそうです。うらやましい~

 なので、いくら大型望遠鏡を引っ張り出してきたとしてもシーイングが悪ければ口径5cmの望遠鏡で撮影したのと分解能上は同じですよ!…という結果になるということです。(_ _)

 むか~し、天文エキスパートのKさんが「日本ではせいぜい20cmまでだな~」とつぶやいていた意味がよーく分かりました。

〈結論〉
 デュアル拡大撮影システムではシーイングが 0″ になった時にISS上の83cmのモノまで解像することができる。 が、シーイングが2.5″まで悪化したときには解像度が5mまで低下する。

 うひょ~、ISSの居住棟の直径は約4.5mですからそれすらも解像しなくなるということですね~。こりゃキビシイわけだ~。しごくナットクです! ま、年間数日とはいえ好シーイングの日は毎年あるので、幸運の神様の前髪を掴みに行く勢いでチャレンジすることにしましょう。


 月でテスト撮影をしている様子… 最近ISSを撮れてないので… (^^ゞ

まだ梅雨入りもしていませんが、梅雨明けが待ち遠しい天気が仙台では続いています。


ISS拡大撮影(L+RGB編)その4

2022年05月21日 | ISS(国際宇宙ステーション)
4月13日以降のISS拡大撮影(L+RGB編)をまとめました~。
以下、4月21日の6thトライアルから5月18日の9thトライアルまでの記録と考察です。

6th トライアル
日時:2022年4月21日 天候:晴れ 撮影対象:X-37B 、CSS、ISS
X-37B イベントデータ:03時39分、49°、330km、0.8mag
撮影データ:ASI290MM、0.813ms、Gain = 531(88%)、ASI290MC:不明
考察:月齢19の月明かりで仰角49°、光度0.8等のX-37Bを見つけられず失敗
CSS イベントデータ:04時00分、75°、388km、1.0mag
撮影データ:ASI290MM、0.813ms、Gain = 430(71%)、ASI290MC:0.814ms、Gain = 450(70%)
考察:アークトゥルスの下方を通過、かなり明るく0等級はあったので撮影の途中でGainを下げて再導入したときにアークトゥルスをCSSと勘違いして撮影する。すぐ気づいて天頂のCSSを導入したが天頂通過後は露出アンダーでほとんど写っていなかった。ピンは合わせたがボケボケの画像、暖かい室内から出して1時間しかたっていなかったので筒内気流が収まらなかった可能性あり。なぜかカラーカメラの大気分散が異常なほど大きく出た→photo
ISS イベントデータ:05時52分、62°、467km、-3.5mag、Sun +10.5°
撮影データ:ASI290MM、0.934ms、Gain = 400(66%)、ASI290MC:0.919ms、Gain = 430(71%)
考察:青空の中のDaylight PassをねらったがISSを確認できず失敗


7th トライアル
日時:2022年4月25日 天候:薄曇り 撮影対象:ISS(Night Pass)
ISS イベントデータ:04時15分、67°、450km、-3.7mag、
撮影データ:ASI290MM、0.947ms、Gain = 300(50%)、ASI290MC:0.963ms、Gain = 350(58%)
考察:雲越しの撮影のため解像度が悪くボケボケの画像だったが、L+RGB画像の合成はできた。気流は、地上が風速3m/s、850hPa/1500mで9m/s、500hPa/5500mが20m/s、250hPa/10kmは42m/sと落ち着いていたが、これは曇っているときによく見られる現象で、透明度がそこそこ良ければ比較的良質な動画が撮れるが今回はそうではなかった。

↓ SERplayerプリントスクリーン画像、直距離が450kmなのでかなり大きめに写っている。



8th トライアル
日時:2022年5月14日 天候:晴れ 撮影対象:ISS (Night Pass)
ISS イベントデータ:20時13分、85°、418km、-3.9mag、


撮影データ:ASI290MM、0.897ms、Gain = 310(51%)、ASI290MC:撮影失敗
考察:今回のコースは拡大眼視ミッションに最適だよね… というささやき声が聞こえた気がしたが、天候不順でL+RGB合成のテスト撮影が大幅に遅れているのでデュアル拡大撮影を優先した。事前の準備は時間をかけて完璧に行ったつもりだったが、直前にカラーカメラのモードがIRになっていたことに気付いてモードを急いでRGBに変更! その時にモード変更と連動して数日前に月を撮影したときの設定(露出60秒設定)に切り替わっていたのだが、そのことに気づかないまま撮影に突入! なのでカラーカメラは60秒でストップしていた… (゚◇゚) ガーン
 これ以上ないほどの好条件コースだっただけにカラー動画を取得できなかったことは痛恨の極み。気を取り直してモノクロ動画を確認したところ垂直上昇にもかかわらずISSの捕獲率が極端に低かったことでダブルショック! 今回のシステムの写野角の狭さをあらためて実感した。(_ _)

↓ 今回のベストフォト 直距離463kmのISS

 
 今回の収穫は、画像はブレているが天頂85°(直距離418km)のISSを捉えたことだ。現在のISSはウクライナ情勢の影響なのか軌道高度が420kmを下回ったままである。

 狭写野の惑星カメラでこれほどの低高度ISSを撮影したのは初めてだが、天頂付近では想像を遙かに超える800ピクセルという大きさで写っていた。下記画像は距離ごとの大きさの違いを現している。

↑ この写野角( 縦が ISS 3個分 × 横は ISS 5~6個分)の中に高速で移動するISSを入れるというのは冷静に考えるとかなりクレージーですね。この日は10分後にCSSの好条件通過があったので引き続きテスト撮影を行った。
CSS イベントデータ:20時28分、72°、411km、1.0mag


撮影データ:ASI290MM、0.901ms、Gain = 390(65%)、ASI290MC:撮影失敗
考察:モノクロカメラのGainは 390(65%)で撮影してみたが、当てずっぽうの割には適正露出に近かったようだ。距離が同じでも順光と逆光ではかなり明るさが違うので一概には言えないが390~420くらいがCSSの場合は適正なのかもしれない。



9th トライアル
日時:2022年5月18日 天候:晴れ 撮影対象:ISS(Daylight Pass)
ISS イベントデータ:18時38分、82°、424km、-3.7mag、


撮影データ:ASI290MM、0.926ms、Gain = 410(68%)、ASI290MC、0.907ms、Gain = 400(66%)
考察:最大仰角82° 通過時刻が日没時刻で太陽高度は0.0°だが、空はもちろんブルースカイのDaylight Passである。この日は月も金星も見えないので日没前に太陽黒点でピントを合わせたが、結局ピントの山はつかめず…。気合いで合ったことにして撮影したが再生した動画には白いゴルフボールのようなISSが写っているだけだった。残念! しか~し、ファインダーの中から見えた青空の中を飛行するISSは驚くほどキレイで、間違いなくこれまで見たISSの中ではダントツで美しいパスであった。天頂で発見したときも十分明るかったが、天頂を過ぎたころから西日を受けて輝きを増して、青空の中でも形が分かるほどの見え方だった。その後もファインダーの中で遠ざかるISSが見え続けて仰角20°を下回ってもクッキリ見えていた。最後は針で突いたような白い点状のISSが屋根に隠れて見えなくなったが、屋根がなかったらどこまで見えたのだろう?と思うほどであった。

 さてさて、そんなこんなでデュアル拡大撮影ミッションはさしたる結果を残すことなく時は6月になろうとしています。画像の解像度が悪いのは、プリズムを透過させているための光学的な画像の劣化なのか、はたまた、単に気流の悪さによる画像の荒れなのか、判断がつかないまま梅雨に突入しそうです。今後試してみたい新たな撮影システムを思いついたのでそちらもトライしたいのですが、ここはぐっと我慢して初志貫徹でもうしばらくデュアル拡大撮影を続けることにします。
 はたして結果はいかに~。


〈関連ブログ〉
ISS拡大撮影(L+RGB編)その3 2022.4.13
ISS拡大撮影(L+RGB編)その2 2022.4.12
ISS拡大撮影(L+RGB編)その1 2022.4.6

ISS月面通過 観望記録(5/9)

2022年05月10日 | ISS(国際宇宙ステーション)
青空の中のISS月面通過を痛恨のミスで撮り逃がしたのが4月29日のこと…

 あれから40年!…はきみまろさんのネタで、あれからまだ10日間!しかたってないのですが、
またしてもISS月面通過ラインが自宅庭にやってきました。わぉ!そんなことあるの?

 信じられないような話ですが事実です。わずか10日間で2回も通過ラインが自宅庭にやって来るなんて、超ビックリです!

 さて、今回の通過は夜間のためISSが光らずにシルエットで月面を通過するイベントとなっています。で、よ~く見ると今回は月面のど真ん中を通るコースではないのです。こりゃ、ざんねん~。


 え、何ぜいたくなこと言ってるの? 自宅を通過ラインが通るだけで超ラッキーでしょ!
と、思いのあなた、実は違うんです。

 今回のISSは夜間で太陽光を反射していないのでお月さまの光っているところを通過しないと見えません。イベントデータを見るとISSが月面の左側(月面の夜の部分)を通るので、自宅ではISSが月面を通過しても絶対見えないイベントとなってしまいます。


 しか~し、上記データを見ると自宅から2.34kmほど南に中心ラインがあるようなので、せっかくですからプチ遠征して撮影してきました~。以下、その観望と撮影記録で~す。

観測地の通過予想図は下記のとおり

 ほぼど真ん中をとおります。もう少し南の方で確実に昼の部分を通過する地点で撮影したかったのですが、適した場所がなかったので、ここで妥協です。

 本日の撮影システムはμ210に惑星カメラ(モノクロ)を装着して月面中心部分を拡大撮影します。そして記録用としてBORG60に惑星カメラ(モノクロ)を装着して月全体を写して通過の様子を撮ります。

 本日のISSは月面通過時の仰角が30°、直距離が700kmオーバーなので条件としてはよくありません。さて時間です。月面中心にセットしたμ210の画像がPC画面に映し出されています。通過は中央の入り江から蒸気の海へと昇っていくものと思われます。そろそろ来るぞ~、と思った瞬間、え、なに?、わぉ、うそでしょう~、…なんと、欠け際をゴーストのようなISSがスーッと通り過ぎて行きました。

 欠け際ではシルエットにならないので、かすかにでも写っていれば御の字だが…と思って動画を確認すると通過の瞬間コマ落ちしていたようで何も写っていませんでした。(゚◇゚) ガーン

 記録用のBORG60動画を見るとかすかに写っている程度でした。口径が6cmなのでかなりレベルを上げて画像処理をしたところやっとISSが浮かんできました。やはり距離745kmは遠いですね。ISSがかなり小さく写っています。


 ま、今回はBORG60だけでも写ったので、今後に向けて検証してみましょう。


 今回の通過予報図と実際の通過ラインの比較です。予報よりかなり夜側を通過したと思ったのですが、これを見るとそれほどずれてはいないように感じます。ただ、今回のように無灯火のISSを撮影するのであれば月面の輝度の高い地域を選ぶことでよりコントラストの高い写真が撮れると思いました。


 こちらはμ210の画角のどこをISSが通過したかの検証です。コマ落ちしてなければISSはこのラインを通過していたはずです。欠け際ギリギリだったことが分かります。


 今回の撮影を通して、何事も経験値を高めることが成功へのステップアップだなぁと感じました。
次回のチャンスはいつか分かりませんがアンテナを高くして次の機会を待つことにしましょう。