晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

ISS拡大撮影(Daylight 惑星カメラ編)その2

2021年10月29日 | ISS(国際宇宙ステーション)
「ISS拡大撮影~Daylight 惑星カメラ編~」3rdトライアルの記録です。

 実は昨日もチャレンジしたのですが通過直前に雲に阻まれISSを見つけることが出来ませんでした。本日の通過は最大仰角57°、直距離が495kmなので好条件とは言いがたいパスですがデータ収集のためにあえてチャレンジです。

本日のイベントデータ



 本日のシステムは前回の教訓を生かしてPowermate2×を外します。焦点距離はf1500mm(F5)になるのでISSの捕獲率も高くなります。 

 事前の準備としては、下弦の月が出ていたので月でピントを合わせて、露出は月のテスト撮影を参考にしてShutter速度を0.869ms、Gainを165 (27%)と設定しました。

 待ち伏せポイントは最大仰角の直前、北東20° 高度50° 直距離500km地点として、この地点でのファインダー内通過時刻を8h57m00s~8h57m10sと見込んで時報を聞きながら待機しました。

 青空の中でISSを待つのはいつもドキドキですが、今日は透明度が良かったのでほぼ時間どおりに通過したISSを約30秒間追尾することができました。

こちらが SER Player のスクショです。

露出オーバーではありますが青空の中のISSを惑星カメラで初めて写すことができました。

 で、今回とても苦労したのがPIPPによる動画編集です。いつもならデフォルトのパラメーターで簡単にセンタリング動画を作ってくれるのですが、今回はどーやっても青空の中の白いISSを認識してくれませんでした。試行錯誤の結果、理由は分かりませんがセンタリング動画ができたので、とりあえずその時のパラメーターを備忘録として残しておきます。



そしてこちらが完成したセンタリング動画です。
 ISS Daylight Pass 2021.10.29

しきい値をもう少し上げればさらにきれいな動画になるような感じもしますがこれが限界でした。

 今回気づいたのですが太陽からの離角によって空の青さが変わり、それに伴って適正露出も刻々と変化するようです。下のGIFアニメは今回撮影した30秒間を5秒刻みでつないだものですが、見て分かるように太陽に近づくにしたがってどんどん露出オーバーになり最後は真っ白になっています。たしかに青空をじっくり眺めると空の青さと明るさが太陽からの距離でけっこう違うことが分かりますね。


 今回のテスト撮影は想定以上に収穫がありました。今年はどーもスッキリしない天気が続いていますが首を長くして次の好天を待つことにしましょう。

過去ブログ↓
ISS拡大撮影(Daylight 惑星カメラ編)その1 2021.10.21



おまけの動画で~す。
下弦の月(東の海)



おまけの目撃情報で~す。
 月でテスト撮影をしているとき、ファインダーで見ていた月のすぐ下を右から左へ高速で飛ぶ白色の飛行物体を見ました。それは速度と光度と見かけ上の大きさがISSとまったく同じでフレアのような明るさの変化もなかったのでちょっと気味の悪さを感じました。青空の中であの速度であの明るさで飛ぶ物体はISS以外にあるのだろうか?と思いすぐにスカイライブビューを見たのですが該当する人工衛星はありませんでした。青空の中はいろいろなモノが飛んでいるようですね。

CZ-2F R/B and CSS 観望記録(10/28)

2021年10月28日 | CSS(中国宇宙ステーション)
10月16日に宇宙飛行士3名を乗せた神舟13号がCSSに無事ドッキングしました。

こちらはCSS(中国宇宙ステーション)にドッキングした神舟13号の写真です。

 中国の有人宇宙船「神舟」はソユーズにそっくりですが、これを見るとソユーズのように外壁を耐熱ブランケットで覆われているわけではないですね~。帰還モジュールは金属むき出しのままのようです。

さて、神舟13号を打ち上げた長征2号ロケットボディがそろそろ大気圏に再突入するようです。

 その長征2号ロケットボディ(CZ-2F R/B)とCSSが好条件で通過するダブルパスが10月28日に見られるので拡大撮影の準備をして待っていたのですが…

 なんと通過30分前に、スマホからまさかの雨雲接近アラームです! セッティング時は快晴だったので誤報か~?と思って空を見ると…

 わわわ、北西から天頂まで黒い雲が覆い被さるように広がっています。しかも、この雰囲気は確実に雨を降らせる雲です! アラームは25分後の降雨を知らせていますがいつ降ってきてもおかしくない空模様です。迷っている暇はありません。即撤収開始です。

 望遠鏡本体撤収→経緯台も撤収→ノートPCを撤収→ここで降雨!しかもザーザー降り、その後のテーブル等の片付けは雨の中でしたが主要機材は無事だったので間一髪でした~。

 まー、秋の天気はなんとやら~と言いますので仕方ありませんが、納得いかないのは通過時間にはほぼ雲が無くなったことです。それが分かっていたら望遠鏡にシートを被せて待機したのですが…

 …ということで今宵は双眼鏡とコンデジでお気楽ウオッチングです。
CZ-2F R/Bイベントデータ、本日の高度はわずかに241kmです。



 太陽高度は-7° なので見えてる星はベガだけで…さすがに見えないかな~と思った直後、ベガに近づく高速移動物体が… どひゃ~、CZ-2F R/Bです。思わず体が反応して写真を撮ってしまいましたが手持ちではCZ-2F R/Bは当然ですが写りません。CZ-2F R/Bは明滅することなく一定の明るさ(推定1等級)で飛行していきました。

2021.10.28 17h15m56s Canon G7X F2.8 ISO10000 1/60

〈2021.11.5 追記〉
CZ-2F R/B落下情報:大気圏再突入日 2021.11.1  最終軌道:Apogee160km Perigee131km Period87min
落下地点:南緯41.5° 東経121.8° メルボルン沖(map


気を取り直して次はCSSです。



 こちらは動画で撮ってみました。下の動画ははくちょう座のデネブ下方を通過するところから始まります。今日のCSSは天頂を過ぎてから明るさを増して地球の影に入るまでその明るさをキープしていました。

CSS(中国宇宙ステーション)2021.10.28

Canon G7X  F2.8  ISO5000

現在のCSSはこんな感じです。

機会を見て拡大撮影に挑戦することにしましょう。

ISS拡大撮影(カラー編)その3

2021年10月25日 | ISS(国際宇宙ステーション)
ISS拡大撮影(カラー編)3rdトライアルの記録です。

 今回はPowermate2×を外して焦点距離1500mm(F5)でのテスト撮影です。
その目的は下記のとおり…
 ①ASI290MCの写野角を広くしてISSの捕獲率を高める。
 ②Powermate2×の有無による拡大率の比較
 ③シーイング対策としての効果の検証。   
 
…で、テストは10月24日のPassで行いました~。
イベントデータ



〈結果と考察〉
①「写野角を広くしたASI290MCによるISSの追尾について」
 今回の写野角はPowerrmate2×を付けた時と比べて面積比で4倍もあるので当然ではあるが
捕獲率は高く、全体の8割はキャプチャーすることができた。

2021年10月24日04時46分のISS


②「Powermate2×の有無による拡大率の比較について」
 下記写真は比較するためにSER Player をスクショして合成したものだがその差は一目瞭然で焦点距離の長いほうが圧倒的に解像度が高い。正直なところこれほど大きさに違いが出るとは予想していなかった。これを見る限りPowermate2×を外してf1500mmで撮影する必要性はどこにもないように感じる。


③「シーイング対策としての効果について」
 結論から言うとこちらも予想ほどの効果はなかった。撮影日のシーイングは5段階スケールのⅡとIIIの中間で10月にしては悪くない気流だったが、動画を見て分かるようにISSはかなり揺れており焦点距離を短くしたことによるブレの軽減は見受けられなかった。

シーイング・スケール(5段階)


 V  動きのない完璧な回折パターン
 IV  回折リングを横切る光のうねりが見られる
 III  中央ディスク変形、回折リングが一部壊れている
 Ⅱ 中央円盤の重大な渦流. 回折リングが欠落又は部分的に欠落している
 Ⅰ 回折パターンがみじんも見られない沸騰しているような星像

④〈露出について〉
 今回はShutter速度を0.783ms、Gainは210 (35%)で撮影したが太陽電池パドル以外はすべて露出オーバーだった。ISSの光度にもよるがGainは150~170程度まで下げても問題ないと思われる。直前に明るい恒星を導入して恒星像が肥大しないように露出を調整するのは一つの目安になる。

⑤「大気分散キャンセルについて」
 焦点距離1500mmにADCを装着すると合焦しなかったため今回はADCを外して撮影した。

⑥「動画から切り出した静止画像」
↓ file.No4441 2021.10.24 04h45m28s



現在のISSの様子


↓ file.No4884 2021.10.24 04h45m29s


↓ file.No6297 2021.10.24 04h46m05s


↓ file.No6832 2021.10.24 04h46m18s


〈参考気象資料〉




過去ブログ(カラー編)↓
ISS拡大撮影(カラー編)その2 2021.9.14 
ISS拡大撮影(カラー編)その1 2021.9.11

過去ブログ(モノクロ編)↓
ISS画像 ステレオグラム(立体写真)2021.6.17 
ISS画像 コンポジット(ステライメージ編)2021.6.10
ISS画像 コンポジット(AS!3でスタック編)2021.6.10
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その8 2021.6.2
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その7 2021.5.30
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その6 2021.5.15
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その5 2021.5.14
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その4 2021.4.7
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その32021.4.5
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その2 2021.2.19~2021.3.12
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その1 2020.10.5

過去ブログ(Nauka編)↓
ISS拡大撮影(8/26)2021.8.27
ISS拡大撮影(8/1)2021.8.2 
ISS多目的実験モジュール「ナウカ(NAUKA)」2021.7.10

ISS拡大撮影(Daylight 惑星カメラ編)

2021年10月21日 | ISS(国際宇宙ステーション)
本日、突然ですがISS拡大撮影の新たなミッションを始めました~。
名付けて「ISS拡大撮影~Daylight 惑星カメラ編~」です。

 これは気流の関係で夜間のISS撮影がシーズンオフとなる秋から春の期間に
透明度が良くなる昼間のISSを惑星カメラで撮影してみよう~というミッションです。

 昼間のISSは上面を太陽光で、下面を地球の反射光で照らされているため太陽光の当たらない
影の部分がありません。そのため全方位から照らされた全反射のISSを撮影することができます。

 昼間のISSはこれまで2回ほど撮影に成功してますがデジカメ撮影ではこんな感じです。

2021/3/23 17:25:58  D300mm Powermate2× F10 D810A ISO1600 1/1250

 そこで惑星カメラを使ってデジカメ以上の解像度を得ようというのが今回の目的です。

2021/3/24 16:38:40  D300mm Powermate5× F25 D810A ISO3200 1/2000

撮影日のイベントデータ


 今回のイベントは直距離が500kmオーバーなので気象状況によっては見えない可能性も大ですが本日の目的はデータ収集なので写らなかったとしても問題はありません。チャレンジあるのみです。
 
 …と思ったのですが問題発生です。昼間にのこのこ望遠鏡を出してもピント合わせをする天体がありません。金星が見えればいいのですが、現在東の空高度20°なのでピン合わせには不向きです。月もありません。で、仕方ないのでソーラーフィルターを付けて小さな黒点でピン合わせをしました。

 時間のないところでやっていたのでやっとPC画面上に黒点が写ったときはISS通過5分前です。
ピンの追い込みはあきらめて待ち伏せポイントに望遠鏡を向けてスタンバイです。

 おっと申し遅れました。本日のカメラはカラーカメラです。このミッションはモノクロカメラとカラーカメラの双方で行います。さて、今日のシャッタースピードは 0.901ms、Gainは 255 (42%)にしてみました。これでPC画面上にはキレイな青空が写っていますが、露出が適正かは分かりません。

 さて時間です。ファインダーを覗いていると時間よりちょっと遅れてISSが飛び込んできました。手動追尾開始です! 距離が遠いのでISSは小さな虫のように見えます。透明度が高いので長い時間追尾できましたがロスト後の再導入はできませんでした。

 撮影終了後、動画を再生すると…ほとんど写っていませんでした~。かろうじて写っていたのは下記の数コマです。ピントが大きくずれてて、気流もかなり悪いようです。


本日のベストフォト、
ISSの形がなんとなくわかるような、わからないような…

 上記写真は600×600サイズで切り出した画像です。カラーカメラは写野が狭いので過剰拡大ですね。カラーカメラを使うときはPowermate2×を外して焦点距離を1500mmにした方がよさそうです。Powermate2×を外すとF5になるのでシャッターを0.8msにしてGainは220前後がいいかもしれません。

 さて、今後の撮影計画ですが Daylight Pass は夜間のPassに比べて撮影できる日がかなり限定されます。理由としては…

〈理由その1〉光度が-3.0等級以上の明るさがないと昼間は見えない。

 上記のPassは最大仰角が73°もあって通過条件としては申し分ないのですが明るさが
-2.5等級です。経験上ですがこの明るさでは青空の中では見えません。気象条件にも
よりますが明るさは-3.0等級以上ないと青空の中ではキビシイようです。

〈理由その2〉天頂通過の好条件Passでも太陽位置によって撮影不向きの日がある。
 特に夏季は太陽高度が高いので直距離が430kmでも明るさが-3等級にとどかない日も
あります。


 それに比べて冬期間は12時頃でも太陽高度が低いので十分撮影可能な
明るさで通過していきます。


 太陽高度が低い夕方朝方の天頂通過Passは金星並の明るさになること
もあります。

 これは冬期間に限ったことではありませんがこのようなPassはレア
なのでとても貴重です。

 ま、ということなので次の機会は気長に待つことにしましょう。

ムーンボウ出現!~通算3回目の目撃記録~

2021年10月20日 | ムーンボウ(月光虹)
ついにムーンボウが現れました~
実に15年ぶりの再会です! 

今日は朝から予兆がありました。
北西の風が時折強く吹いて朝からお天気雨です。

これはズバリ!晩秋の風物詩~「時雨(しぐれ)」です。
時雨のときに見られる時雨虹が満月の日に見られたときは
その夜、高い確率でムーンボウが現れます。

そうです、ムーンボウは月明かりを光源とする夜の時雨虹なのです。
今日は県北部に出かける用事があったのですがあちこちで時雨虹を見ました。

時雨虹は夕立後の虹と違って短時間で出現と消失を繰り返します。

何度も消えては現れる時雨虹を見てムーンボウが今夜出ることを確信しました。
これは2006年の時と同じ気象条件です。さすがに胸の高鳴りを抑えることが出来ません。ワクワク…

 夕方、期待しながら自宅へ車を走らせているといつの間にか雨はザーザー降りになり、
すでに昇っているはずの月は雲のムコウガワで全く見えません。

 こりゃだめか~と思ってしばらく車を走らせていると、おっといつのまにか
東の空で満月が煌々と輝いています。天気がめまぐるしく変わっているようです。

 雨は小雨になっているので、ムーンボウが出ていてもおかしくはありません。
国道をそれて暗い山道に入ってみましたが、意に反してムーンボウは出ていません。

 そう簡単には見られないのがムーンボウです。帰りましょう!と決めたものの
こんなに条件のそろった日はそうそうあるものではありません。

 常に西の空を気にしながら車を進めること十数分、ついに見えました! 
すぐに車を暗いところに止めて取った写真がこれです。

 コンデジなので写りはイマイチですが肉眼でははっきり白色のアーチが見えました。

これまで二度ほど見ていますが何度見ても胸が高鳴ります。ムーンボウはすぐ消えました。

 お天気雨がまだ続いているので運が良ければ帰宅後も撮影が出来るかもしれないと思い急いで
自宅に向かい、撮影機材と帰宅していた妻を車に乗せていつもの撮影ポイントに出かけました。

 月の高度が上がり雲に隠れてしまったのでなかなか姿を現しませんでしたが待つこと30分…
ついに雲のスキマから満月が顔を出しました。

月の高度が高いため背の低いムーンボウですがアーチがきれいに見えました。

こちらの虹も色がありますが肉眼では色は見えませんでした。


↓ こちらの写真は現像時に色温度をやや下げて青味を強くしています。

↓ 消える直前のムーンボウ。



〈過去ブログ〉
今年の中秋の名月は10月3日      2009年9月27日
ムーンボウのこと          2009年9月28日
ムーンボウのこと ~出会い編~   2009年10月1日
ムーンボウのこと ~まちぶせ編~  2009年10月2日
ムーンボウのこと ~再会編~    2009年10月3日

ISS超拡大眼視ミッション・シーズン2 「リボーン編 」

2021年10月11日 | ISS(国際宇宙ステーション)
2021年10月4日 プレスリリース
「本日、ISS超拡大眼視ミッションを再開した!」
「おー 博士、久しぶりですね! え!? このイベント続いていたんですか?」

「イベントではない。ミッションである。今回は満を持しての新兵器投入だ。」
「えっ、新兵器ってなんですか?」

「ズバリ正立プリズムだ!」
「ぷっ、博士~、笑わせないでください。今は令和ですよ。アマチュアレベルでISSの
  自動追尾ができる時代ですよ。博士は過去から来たタイムトラベラーですか~」

「実はこの構想は10年前からあった。しか~し、拡大撮影ミッションも
  あったのでなかなか機会を持てず今日になってしまった…」
「え、10年前!?、そんな昔から考えてたんですか~?」

「そう、あれは今から12年前… ワシが超拡大眼視ミッションを始めた頃は
  望遠鏡を使ってISSを肉眼で見る人はワシ意外にはおらず…」
「もちろんです。だいたい企画がクレージーですし、見る必要性も無いですよね~
  あれ?… 博士、視線が遠くに行ってますよ。」

「…つまり、何を言いたいかというと、ズバリ、ワシが世界で初めて望遠鏡を使って
  生のISSを見た人間であるということだ!」
(おっ、急にマウントを取りに来たぞ、ここは話題を戻さねば…)

「あの~それで、今回のミッションはどのようなものですか?」
「おお、いい質問だ。ではまず、これまでの眼視ミッションの歴史を振り返っておこう!」

「博士~、それ必要ですか?」
↓ 無料配信中
エピソード1を見る〉ISSを見よう               2009.9.7            
エピソード2を見る〉ISS超拡大眼視ミッション         2009.9.24
エピソード3を見る〉ISS超拡大眼視ミッション ~再開編~   2010.1.24
エピソード4を見る〉ISS超拡大眼視4thミッション       2010.1.25
エピソード5を見る〉ISS超拡大眼視5thミッション       2010.4.29
エピソード6を見る〉ISS超拡大眼視6thミッション       2010.8.6

「博士~とりあえず見ました~。ギブアップ宣言から11年がたったんですね~」
「何度も言うようだがあれはギブアップ宣言ではない。そもそも…」

「あー、博士、分かりました~。それで今回はどうだったんですか~?」
「おお、今回は、なかなか面白い結果になったぞ!」

さて、結果報告のまえに今回導入した正立プリズムについて説明しよう。
博士が言っていた正立プリズムはこれである。

Kasai ELS正立双眼装置

ELS正立双眼装置は「正立像」&「必要光路長ゼロ」という優れもののの双眼装置である。特徴としては、光路分割光学系に通常のビームスプリッタープリズムではなく、精密に研磨されたナイフエッジ光路分割ミラーを採用しているため左右の色調差や明度差が僅少で、更にプリズム使用に起因する諸収差の発生もコントラスト低下も無い極めて明瞭な双眼イメージを得ることができる(Kasai Trading Web ページより。)これを使うことにより望遠鏡での追尾を容易にし、さらに両眼で見ることができるためISSの詳細を広い視野で確認することができる。

アイピースはEXTRA-FLAT 16mm/60° アイレリーフ18mm を使用。30cmドブ(D305mm f1500mm)と組み合わせることで倍率93倍、実視界0.64°(38.7′)を得ることができる。

 そして今回のコースだが、昇り始めから影に入る高度74°まで垂直に上昇するこれ以上の好条件は無いと言えるベストコースである。超拡大眼視ミッションには最適な待ちに待った極上のコースだ。
本日のイベントデータ



天候は雲量0、下記予報図にあるようにシーイングはまあまあだが透明度は悪くない。直前にISSとほぼ同じ視直径の木星で双眼装置の左右の光軸調整と視野内でのISSの大きさをイメージしてすべての準備は整った。


まもなく時間です… 今回のコースでの通過時刻と高度、直距離は下記のとおり。
・18:54:39   10°   1492km
・18:55:50   20°   1019km
・18:56:30   30°    769km
・18:56:56   40°    623km
・18:57:15   50°    532km
・18:57:29   60°    479km
・18:57:41   70°    446km
・18:57:47   75°    435km(影に入る)

さて、そろそろです。待つ時間は長く感じます… おっ、来ました! 屋根の上にISSがいます。では深呼吸をしてファインダー導入開始です。センターサークルを進行コース上に置いて…すぐ双眼装置を覗いて待ち伏せ作戦開始です。

 おおー、導入成功です! 高度は約25° 推定距離は800km、動きはかなり遅いです。あー形が見えます。左右の太陽電池パドルがオレンジ色でその間のラジエターパネルと居住棟が同化して金色の円盤状に見えます。が、かなり小さいですね~。正立プリズムのおかげでスムーズに追尾できてるので、このまま気を緩めずに追尾続行です。

 徐々に大きくなってきました。左右の太陽電池パドルが2本ずつに分離して櫛状にはっきり見えます。居住棟付近は明るすぎて分離できません。やはりF5では明るすぎるのかも…と思った瞬間、視野内のゴーストを追尾してしまいロストです! しまった! 邪念は禁物です。視線を夜空に戻して再導入です。ISSは高度50°付近にいます。大丈夫再導入できる…と自分に言い聞かせて、一度目は入らず…二度目の導入で… 入りました! 追尾再開です。

 高度が60°を超えて直距離が400km台に入りました。見かけ上の移動速度はMAXです。手ぶれを最小限に抑えながら追尾してISSの動きが止まった瞬間の映像を脳内に記憶させます。左右の太陽電池パドルは格子状でかなり細部まで見えました。しかし居住棟付近の明るさは増すばかりで結局ラジエターパネルと居住棟を分離することは出来ませんでした。地球の影に入り暗くなり始めてから約3秒後には見えなくなりました。まぶしすぎたという反省点はありますが手応えはありました。F5でまぶしすぎるのは想定内ですので次回は減光するよう光学装置に手を加えてチャレンジしたいと思います。

今回のまとめで~す。

眼視イメージは望遠鏡視野内でのISSの大きさを表しています。右は実際に見えた様子の再現図です。


〈WHITEY DOB30とアイピースの組み合わせφ(..)メモ〉
焦点距離1,500mm F5
☆PL25mm(52°) 60倍 52°÷60倍=0.86°(51.6′) ← 1st.2ndミッション
☆EF-16mm(60°) 93倍  60°÷93倍=0.64°(38.7′)← 7thミッション(今回)
☆HC12mm(42°) 125倍 42°÷125倍=0.33°(20.1′) ← 5thミッション
・PL10mm(52°)150倍 52°÷150倍=0.34°(20.4′)
・Ph5mm(60°) 300倍 60°÷300倍=0.20°(12.0′)

合成焦点距離3,000mm(powermate2× 使用) F10
☆WA32mm(70°) 93倍 70°÷93倍=0.75°(45.0′) ← 4thミッション
・Ph25mm(60°) 120倍 60°÷120倍=0.50°(30.0′)
・PL25mm(52°) 120倍 52°÷120倍=0.43°(25.8′) ← 3rdミッション
・EF-16mm(60°) +レデューサー(0.66×) 125倍  60°÷125倍=0.48°(28.8′)
・EF-16mm(60°) 187倍  60°÷187倍=0.32°(19.2′)
・Ph15mm(60°) 200倍 60°÷200倍=0.30°(18.0′)← 6thミッション

☆はISSを確認できたミッション

五日月(月齢3.9)と金星の接近

2021年10月10日 | 青空の中の月
午後から天気が良くなったので青空の中の五日月を探してみました。
透明度は良くありませんでしたが肉眼で五日月が見えました~。

 本日10月10日は言わずと知れた晴れの特異日ですが、最近はどーも晴れない日が多いよう
な気がします。昔は必ずと言ってもいいほど快晴だったように記憶していますが、実際はど
うなのでしょう? 

撮影時刻は15時14分、南中(14:28)を少し過ぎた五日月(撮影時月齢3.8)です。

2021/10/11 15:14:13 D810A 600mm F6.3 ISO250 1/2000sec(トリミング)

…で、気になるので気象庁のデータを元に調べてみました~

 ふむふむ、仙台限定ですが第1回東京オリンピックがあった1960年代は意外にも天気が
悪かったようです。しか~し、1971年~2000年はさすが晴れの特異日といえる天気ですね~
それに比べると2000年代は確かに晴天率が低くなっているようです。地球規模で雲の
発生率が高くなったのかそれとも砂漠化と多雨化の二分化が進んだのか分かりませんが、
日照率が低くなったのは見て取れますね。


さて、こちらは日没50分前の月です。(日没時刻17:07)

2021/10/11 16:17:09 D810A f600mm F6.3 ISO250 1/1600sec(トリミング)


その直後、全天曇りとなりしばらく見えませんでしたが18時頃金星と並んだ姿が見えました。

2021/10/11 17:58:52 PowerShot G7X f32.2mm F6.3 1/10 -2.7段


月の下にはアンタレスが、金星の近くにはさそり座の頭の星が輝いていました。

2021/10/11 17:45:52 D810A f150mm F5.0 ISO250 1/25sec


五日月(撮影時月齢4.0)

2021/10/11 17:46:36 D810A f600mm F6.3 ISO2000 1/200sec(トリミング)


南の空に見える木星と土星

2021/10/11 18:01:11 D810A VR24-70mm F2.8 f44mm F3.5 ISO1600 1.3sec

 土星の南中時刻は18時58分で木星の南中時刻は20時なので暗くなったときにはすでに
南の空にいます。今シーズンの観望好機はそろそろ終りですね。


CZ-7 R/B & X-37B 撮影記録(10/4)

2021年10月09日 | X-37B
10月4日早朝に撮影したCZ-7 R/B と X-37B の撮影記録です。

イベントデータ




10月4日のCZ-7 R/B (↓ クリックで拡大)


 高度20°で影から出る通過だったのでさすがに眼視では見えませんでしたが写真には写っていました。一脚固定の手押しシャッターなので微妙に画角がずれてますね。

こちらはX-37Bのイベントデータ



 カラー惑星カメラで拡大撮影を試みましたが画角が狭いのでほとんど写っていませんでした。カラーでは解像度も悪すぎてX-37Bは無理ですね。次回からはモノクロで撮影することにしましょう。
10月4日のX-37B

Shutter=0.900ms Gain=300 (50%)

ISS宇宙映画クランクイン!

2021年10月08日 | 宇宙開発
女優ユリア・ペレシルドさんによるISSでの映画撮影が順調にスタートしたようです。

 ISSで元気な姿を見せているユリア・ペレシルドさんですが髪の毛がすごいことになっていますね~。これって映画撮影用の髪型なのでしょうか?いくら無重力と言ってもここまで垂直に髪の毛が上がることはないですよね~。

→ツイッター動画

 ソユーズハッチオープン後にISSに入ってきたユリア・ペレシルドさんを見るとナチュラル無重力ヘアになっているわけで、これがフツーですよね~。
Soyuz MS-19 hatch opening



…ということはやっぱり垂直上昇ヘアは映画撮影用かユリア・ペレシルドさんのお気に入り髪型ということなのでしょうか?
 撮影はロシアモジュールで行われているようでロシア人宇宙飛行士2人も出演しているそうです。

10月4日の木星

2021年10月07日 | 木星
10月4日は19時前後限定ですが木星表面上をエウロパ・カリストとエウロパの影が
通過するのでウオッチングしてみました~。

 18時54分にISSの通過を見ていたので木星の撮影を開始した時にはすでにエウロパが
木星表面から外れていましたが2つの衛星と1つの影を写すことができました。

 ご覧のように秋の気流なので撮影した動画を見てもどれが衛星でどれが影か分かり
ませんが…

10月4日19時45分の木星


スタックとレジスタックスをかけると衛星と影が浮かび上がってきます。



 上の写真を見ると誰もがエウロパの影はあるのにカリストの影がないのはなぜだろう?
と思いますよね。私もとても不思議な感じがしました。
 

 
 そこでステラナビゲーターを使って撮影時のガリレオ衛星の位置を三次元で表してみました。地球から見るガリレオ衛星は左右に動くだけなのでどこか平面的な感じがしますがこれを見ると木星からの距離にはかなり違いがあることが分かります。カリストは一番外側を回っているので木星表面上に影がないのも納得できますね。




 ガリレオ衛星が木星表面上を通過するときに黒く見えることはよくありますが今回撮影したカリストは見事なほどの真っ黒です。エウロパの影の方が明るい感じがしますね。


 

 これは暗い物質で覆われているカリストのアルベド(反射能)が0.20で他のガリレオ衛星と比べてかなり低めだからだと思われます。余談ですが地球の衛星である月のアルベドは0.07なので実はとても暗い天体だということが分かります。満月を見てるとそうは思えませんがね~。