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晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

小惑星2012 DA14 ~観望記録~

2013年02月16日 | 隕石・小惑星
現在時刻は午前2時30分…、そろそろ仮眠から
抜け出して出かける準備をする時間です。ふう…、まずはWEBチェックです。

うひょ~、昨日のRUSSIAN METEORの動画がたくさんUPされてます。
ほひょ、TVニュースでは分からなかった爆発音の詳細が聞けるぞ~。

おっと、そんなことをしている時間はありません。お天気チェックです。

ふむふむ、GPV予報ではよくありませんね~。

予定観望時間はコップ座を通過する4時20分から薄明開始の4時58分まです。

う~ん、5時になると宮城県内で晴れている所がほとんどなくなります。

この天気では、自宅付近は当然無理なので、…プチ遠征です。
県北東部か石巻か県南海岸沿いか…、悩みます。

わぉ、時刻は3時15分です。プチ遠征となれば出かけなければならない時間です。
とりあえず、出発しましょう。機材は双眼鏡2個(ニコンとユーコン)と三脚とカメラセットのみ。
本日のねらいはズバリ、移動する小惑星を眼視で見ることなので、機材は最小限です。

出発時刻は3時40分、目指すは県北東部…、と思ったのですが東北自動車道に入った途端に「富谷JC-一関間雪スリップ」が出てるので、仙台北部道路→三陸道→石巻方面に変更です。外は雪が降ってます。

松島近辺は雪でしたが、矢本に入り晴れてきました。南の空にさそり座が見えます。
石巻河北で降りて、45号線を少し南下して…、田んぼ道に降りて観測場所決定です。

急ぎましょう! 時刻は4時40分です。4時20分から5分おきの2012DA14の位置をプロットした星図をみて位置確認です。すでにコップ座はとうに過ぎて、しし座の後ろ足に来ています。

晴れてはいますが、ものすごい強風です。典型的な冬型の気圧配置です。小惑星確認方法はいつもの待ち伏せ作戦にしましょう。この時間だと4時45分の位置で、しし座の恒星 77σLeo(後ろ足のひざ)付近です。うまい具合に半円状の星並びがあります。現在この中を通過中のはずです。早速探しましょう!


~現在捜索中~

おっ、微弱移動光点発見…、ふ~むこれは人工衛星です。ほぼ水平に左へ進んでいます。

~再度捜索中~

おっ、おおっ、発見しました!! 移動しています! かなり暗い(推定7等級)ですが、
しし座のふともも方向へ向かって微弱光点が移動しています! ついに発見です!

ふ~む、予想より移動速度は遅いですね~、もう少し速く動くのかと思っていました。28,000kmかなたを通過する直径50mの小惑星が今、夜空をリアルタイムで移動しています。
感動です…。

こんな感じに見えました。

使用機材はNIKON 7×50、ユーコンの30倍では見えませんでした。

写真も撮りました。強風でカメラがふらついてしまいましたが一応写りました。

2012DA14ファーストライトです。

2013.2.16 4:59:08 NIKON D90 ISO3200 f200mm F6.3 30sec

30秒露出

2013.2.16 4:59:47 NIKON D90 ISO3200 f200mm F6.3 30sec

15秒露出

2013.2.16 5:00:31 NIKON D90 ISO3200 f200mm F6.3 15sec

10秒露出

2013.2.16 5:00:58 NIKON D90 ISO3200 f200mm F6.3 10sec

8秒露出

2013.2.16 5:01:19 NIKON D90 ISO3200 f200mm F6.3 8sec

13秒露出

2013.2.16 5:01:49 NIKON D90 ISO3200 f200mm F6.3 13sec

最後にもう一度見ようと思って双眼鏡で探しましたが、見つけることはできませんでした。
薄明が始まっていたので双眼鏡の限界等級を超えたのかもしれません。

とにかく風が強く、実際の気温は-2℃でしたが体感温度的には限界の寒さだったため、
これにて観望会はお開きとなりました。めでたし、めでたし…。

小惑星2012 DA14

2013年02月10日 | 隕石・小惑星
2012 DA14の最接近日(日本時間16日4持25分)が近づいてきました。
小惑星2012 DA14とはどのような小惑星なのかまとめておきましょう。

こちらは2012 DA14の軌道図

地球と金星の間に軌道をもつアテン群です。

今回の接近距離は、静止衛星軌道の内側27,700km…、


南半球方面から北半球へかけ上がっていきます。

接近距離27,700kmは、ランキング的には4位ですが…、
特筆すべきは小惑星の大きさです。なんと58mもあります。

接近小惑星ランキング(距離編)
■ 1位 5,480km(0.03LD) 2011.2.4 (2011CQ1)* 2m
■ 2位 12,000km(0.05LD) 2011.6.26(2011MD)* 10m
■ 3位 14,000km(0.05LD) 2009.11.6(2009VA)* 6m
■ 4位 27,700km(0.09LD) 2013.2.16(2012DA14) 58m
□ 5位 38,000km(0.1LD ) 2008.11.3(2008VM) 4m
□ 6位 72,000km(0.2LD ) 2009.3.2(2009DD45)* 35m
□ 7位 76,000km(0.2LD ) 2009.3.18(2009FH) 21m
□ 7位 76,000km(0.2LD ) 2009.10.22(2008UM1) 2m
□ 8位 79,000km(0.2LD ) 2010.9.8(2010RF12)* 9m
□ 9位130,000km(0.3LD ) 2010.1.30(2010AL30)*18m
□ 9位130,000km(0.3LD ) 2013.2.5(2013CY32)* 10m 
□10位190,000km(0.5LD ) 2009.2.2(2009CC2) 12m 
□11位248,000km(0.6LD ) 2010.9.8(2010RX30)* 16m
□12位266,000km(0.7LD ) 2009.6.1(2009KR21) 21m
□13位342,000km(0.9LD ) 2009.3.6(2009EW) 23m
□14位342,000km(0.9LD ) 2009.10.17(2009TM8) 17m

■<GEO = 35,786 km、□<1 LD = 384,401 km

直径58mという大きさは、月軌道内に接近した小惑星ではもちろんワールドレコードです。
これまでの最高は2009年3月2日にフライバイした2009DD45の直径35m、距離72,000kmです。

今回の2012DA14は接近距離も大きさも大幅に更新しています。2009DD45の時は、1時間に25°*という速さで空を駆け抜けていきましたが、2012DA14は1時間で60°も移動します。

2009DD45は11等級でしたが、2012DA14は7等級まで明るくなると予想されています。肉眼では無理ですが双眼鏡を使えば夜空を移動していく様子を見ることができるかもしれません。

2009DD45は16日未明に西の空を駆け上がります。晴れたら挑戦してみることにしましょう。

2月16日04時25分(最接近時)の位置

小惑星2013 CY32

2013年02月08日 | 隕石・小惑星
来週末に接近する2012 DA14の最新情報はないかな~と思って
SpaceWeather.com(2月8日付)を見ていたところ…、はて?

Near Earth Asteroids情報に、昨日までなかった接近小惑星(2013CY32)
がアップしてあります。しかも日付は過去形の2月5日です。

2月8日付SpaceWeather.com

昨日のSpaceWeather.comを見てみると…、確かに載ってません。

2月7日付SpaceWeather.com

いったいこれは、どういうことでしょう?

…ということでNASAのJPL Small-Body Database Browserで調べてみました。

ふむふむ、これはアステロイド・ベルトからやってくる典型的なアポロ群のようですね~。

地球接近の様子を見てみましょう。

2月4日(最接近2日前)


2月5日(最接近1日前)


2月6日(最接近直後)


2月7日(2013CY32発見当日)


な~るほど、太陽方向から接近してきたため地球軌道通過後の2月7日に発見となったわけですね~。昼間の方向から接近する直径10mの小惑星が地球軌道通過後に発見されたというケースは過去にもありました。

今回の地球接近距離は130,000km程度なのでぶつかる心配はありませんでしたが、
もし、直径10m程度の小惑星がぶつかったら地球はどうなるのでしょう? 

直径10mの小惑星が地球に衝突しても街を破壊するほどの威力は全くありません。が、
スラウェシ島の大火球(**)のように爆発音と隕石落下を伴う太い永続痕を空に残します。

地球に接近する小惑星はけっこうあるようですね。クワバラ、クワバラ…。