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晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

ISS月面通過 観望記録(4/28)

2022年04月29日 | ISS(国際宇宙ステーション)
青空の中のISS月面通過の観望記録です。

 ISS月面通過イベントがあったのは昨日の午前中…

 4月28日は宮城県北部で昼間のISS月面通過が見られることが分かっていたので撮影場所を1週間前から選定していたのですが、ISSの軌道修正でISS通過ラインは徐々に南へ移動しています。ここまでは想定どおりだったのですが、

 大きな軌道修正があったらしく2日前に確認したところ、なんと通過ラインのど真ん中が自宅を通っていました! こ~れはミラクルです。庭で月面通過が見られるなんて超ビックリです。


 しか~し、当日の月齢は26.8で新月の3日前です。4惑星との接近を早朝に撮影したときは輝面比が0.10でしたがISSが通過する9時58分の輝面比は0.08になります。これでは青空の中での眼視確認はまず無理で空の透明度しだいでは双眼鏡でも見えない細さです。

 とりあえず双眼鏡で捜索すること十数分… ありました。太陽との離角が30度なので青空と月とのコントラスト比が低くてかすかにしか見えません。かなり厳しい撮影になります。

 こちらは8cm屈折にPowermate2×を入れて焦点距離を1600mmにして撮影した画像です。

2022.4.28 09h03m26s EVOSTAR80ED+Powermate2× D810A IS0200 1/640sec

 もう少し拡大したいので30cmドブにPowermate2×を入れて撮影したのがこちら…

2022.4.28 09h30m42s D300mm Powermate2× F10 D810A ISO320 1/1000

 このシステムはISS拡大撮影をデジカメでしていた時の定番ですが、今日の月齢と気象条件ではこれが限界でした。これほど太陽に近いところを通過するISSを青空の中で撮影したことはありませんが、拡大率を優先して今日はこのシステムで撮影です。

 8cm屈折(f800m)は記録ビデオ撮影用としてデジカメを装着して待機です。本日のISSの光度は最大で-2.6等です。水蒸気量の多い今日の空でははたして見えるのか疑問ですが目を皿にしてファインダーを覗くことにしましょう。

 さて時間です。時報が通過10秒前を知らせています。通過まで5秒、4、3…え!? わお!! なんとISSが月面を横切りました~。フライングだーとあわててレリーズのシャッターを押すと… あれ?

 なぜかシャッタ-がおりません… なぜ? あ~ ISSが通過していったー 原因を調べるとカメラの主電源がOFFになっていました。(誰だ!電源をOFFにしたのは!…って自分しかいないのですが、)

 うわ~、千載一遇のチャンスを逃してしまった~ 絶句です。さすがにへこみました。記録用ビデオを確認したところ写っていました。静止画キャプチャーした画像を比較明合成してみるとみごとにど真ん中を通過しています。ISS Transit Finder の予報図どおりです。



 まー、ISS月面通過の写真は次回のお楽しみとして、青空の中の月面通過を眼視で見られたので今回は良しとしましょう。(完全なる負け惜しみです)


〈4月30日追記〉
 今回の「痛恨のミス」エピソード…どこかデジャブ感があると思ったら、むかし同じようなことをやらかしてましたね。(笑)

 ブログ→ ISS月面通過、撮影失敗! 2011.7.10

 次回こそは!と意気込む脳内にうごめく「三度目の正直」と「二度あることは三度ある」の格言…
それを確かめるXデーはいつになるのか? あなたはどちらの格言を信じるか?調査継続中! 

 むむ、ミッションが変わってますね~ ま、そこは気にせず頑張りましょう!

ISS拡大撮影(L+RGB編)その3

2022年04月13日 | ISS(国際宇宙ステーション)
 前回のブログで予告したISS拡大撮影(L+RGB編)の最終システムはズバリ!モノクロカメラとカラーカメラを使って同時にL画像とRGB画像を撮影する究極の方法です。

 …でも、どうやって? と思いの方、心配ご無用です。方法はいたって簡単!双眼装置を装着してモノクロカメラとカラーカメラを差し込むだけ…

 これで、面倒なフィルター交換やカメラ切替えを一切することなく誰でも簡単にL画像とRGB画像を同時に取得することができます!

名付けて「ツインカメラによるISSデュアル撮影法」で~す。

 …と浮かれている場合ではありません。解決すべき課題は山ほどあります。そもそもこのシステムでどのように写るかが全く分かりません。夏場の好気流までに問題をひとつずつ潰していかなければならないので時間的余裕はまったくありません。

 実は4月に入ってから4回ほどテスト撮影を試みたのですがみごとに失敗の連続でした。1回目はなぜかカラーカメラが作動せずモノクロもピンボケのダメダメで、2回目はカラーカメラはジャスピンだったがモノクロがピンボケで使い物ならず…

 双眼装置は回転ヘリコイド視度調整機構が付いているので独立してピントを調整できますがなかなかの難物です。3回目は昼間のパスで撮影を試みたがこれまた著しいピンボケでカラーもモノクロもコンポジットすらできず。

 しばらく夜間パスがないので4回目のテストも昼間のパスで行ったが、昼間の撮影はまだ適正露出がつかめてないのでモノクロは露出アンダーでカラーは露出オーバーという結果でした。が、なんとかコンポジットに耐えられそうな画像を取得できたのでL+RGB合成を行ってみました。

テスト撮影日:2022年4月10日 天候:晴れ
イベントデータは下図のとおり



オリジナル1枚画像はこんな感じ


こちらは4枚コンポジットした画像


そしてこちらがL+RGB合成した画像



こちらは6枚コンポジットした画像から作成したL+RGB画像です


L+RGB画像 12枚コンポジット相当


〈考察〉
・今回は昼間の通過を撮影したISSなのでシステムにおける画質の評価はできないが、L画像とRGB画像を同時に撮影するという目的は達成できた。
・当然のことではあるが双眼装置のプリズムを透過させているのでこのシステムで画質が劣化することは否めない。しかし、4月6日と12日のブログに掲載しているISSも双眼装置を装着して撮影しているので、露出、ピント、気流の三要素が合致すればそこそこの画像は撮れると思われる。
・このシステムを確立するにはテスト撮影を重ねることにつきるが夜間の好条件パスはそうそうあるわけではないので、今後も昼間のISSを対象としたテスト撮影と夜間のCSS、X37-Bなども撮影対象としてテストを行う予定である。

〈関連ブログ〉
ISS拡大撮影(L+RGB編)その2 2022.4.12
ISS拡大撮影(L+RGB編)その1 2022.4.6

ISS拡大撮影(L+RGB編)その2

2022年04月12日 | ISS(国際宇宙ステーション)
本日のブログは、簡易的L+RGB合成で使用するL画像の作成方法です。


4月下旬まで好条件のISS通過がないので画質は悪いのですが先日撮影した画像で紹介しま~す。


事前準備
・はじめにコンポジットを終えた画像をステライメージで3色分解してR画像を取り出します。



1stステップ ここからR画像を使ってL画像を作成していきます。
・ステライメージの画像調整パネルが調整前画像と比較できるのでおすすめです。
・シャドウは暗い部分の輝度調整です。上げすぎるとバックグランドがグレーになります。
・白飛びがある場合は白飛びスライダーで調整します。
・白飛びを抑えると全体的に暗くなるので中間調とハイライトで階調を整えます。
・シャープ処理とノイズ低減は次ステップなのでここでは調整しません。




2nd ステップ ここではシャープ処理を行います。
・画像調整パネルを閉じて画像ウインドウに戻ります。
・シャープ処理はいろいろありますがマルチバンドシャープを使ってみました。
・マルチバンドシャープは半径ごとに調整できるのでその時の画質に合わせて調整できます。
・半径が小さくなるほど細かい模様がシャープになりますがノイズも目立ってしまいます。
・L画像はカラー画像に重ねる輝度情報なのでコントラスト強めがおすすめです。



3rd ステップ シャープ処理で強調されたノイズを低減します。
・気流が良いときの画像では必要ないのかもしれませんが今回は弱めにかけてみました。
・あとはお好みでトーンカーブ等の微調整を行って完成です。



4th ステップ RGB分解する前のカラー画像と合体させます。
・RGB分解した画像をそれぞれ調整して再合成するとよりキレイなRGB画像ができますが
 今回はその過程は割愛してコンポジット画像をそのまま使いました。
・階調調整でL画像の階調を調整することができます。
・位置合わせは忘れずに行いましょう。



OKボタンをポチッとクリックしてL+RGB画像完成です。
・今回はやや黄色強めの色合いだったのでLab色彩調整で色味を整えています。



 この簡易的L+RGB合成がどの程度効果があるのかは分かりませんが、今後テストを重ねてさらに検証していきたいと思いま~す。さて、いよいよ次回はISSカラー撮影の最終段階システムの登場です。


動画:ISS拡大撮影 2022年4月5日18時50分

ISS拡大撮影(L+RGB編)その1

2022年04月06日 | ISS(国際宇宙ステーション)
4月になってやっと天気が落ち着いてきました。

 ということでいよいよ2022年のISS拡大撮影スタートです! 惑星カメラによるISS撮影2年目の今年はズバリ、L+RGB合成でどこまで高解像度のISSに迫れるかチャレンジしていきま~す。

 L+RGB合成はモノクロカメラで撮影したL画像(輝度情報)とカラーカメラで撮影したRGB画像(カラー情報)を合成する方法なので高速で飛ぶISSには不向きですが、簡易的な方法としてカラーカメラで撮影した画像からモノクロ画像を作成して、それをL画像として合成する方法があるのでISSに適用することは不可能ではありません。

 カラーカメラは解像度でモノクロカメラに劣りますが、カラー画像に解像度の高いモノクロ画像を重ねることで高解像度のISSカラー画像になるはずです。はたして L+RGB合成でISSの撮影はできるのか、夏場の好気流までにテストを重ねてシステムを構築していくことにしましょう。

 以下、1st トライアルと2nd トライアルの記録です。

1st トライアル 
日時:2022年4月2日19時38分 天候:晴れ


撮影データ: ASI290MM、IR Pass Filter(685nm)、Shutter=0.934ms、Gain = 300(50%)
考察:L画像取得のためのテスト撮影だったが、久々の拡大撮影だったためまったく追尾できず、写っていたのは全体の2~3割程度だった。ピントの追い込みも甘かったためボケボケの画像となった。

SERplayerプリントスクリーン画像と処理画像の比較

拡大画像

 これではL画像としてまったく使い物にならないので話になりませんね~。ピンボケだったのでカメラが悪いわけではありませんが、さらなるテストを重ねていくことにしましょう。


2回目のチャンスは4月5日にやって来ました~。
2nd トライアル 
日時:2022年4月5日18時50分 天候:晴れ


撮影データ: ASI290MC、UV/IRcut Filter、Shutter=0.894ms、Gain = 350(58%)
考察:今回のコースは北西→南西→南東、仰角64°だったので、長時間追尾することができた。恒星が見えなかったのでピントは五日月(月齢4.1)で合わせたが、バーティノフマスクレベルまで追い込むことはできなかった。今回はコンポジットに耐えられる画像を取得できたので、コンポジットしたカラー画像をRGB分解してL+RGB合成を試みた。

始めに画質が良くてシンチレーションによる揺れの少ない画像4枚をセレクトしてコンポジット→RGB分解→L+RGB合成してみました。

↓オリジナル(1枚画像)

↓4枚コンポジット(画像処理なし)

↓4枚コンポジット(画像処理あり)

↓RGB分解→L+RGB合成


↓比較GIFアニメ(1枚画像→コンポジット→画像処理→+L+RGB合成)



4枚コンポジットでそれなりの効果が出たので、14枚コンポジットした画像をRGB分解して、L+RGB合成にチャレンジしてみました。オリジナル1枚画像と14枚コンポジット画像には大気分散による色ズレ(青色)が出ていますが、RGB分解で作成したBlue画像を調整したことでL+RGB合成では大気分散が目立たない画像になっています。

↓オリジナル(1枚画像)

↓14枚コンポジット(画像処理なし)

↓RGB分解→L+RGB合成(画像処理あり)


 上記の簡易的L+RGB合成はいかにしてカラー画像から解像度の高いL画像を取り出すかという点が鍵となりますが、その方法はいくつかあります。その点については次回のテスト撮影が成功したときに画像を紹介しながら解説していくことにしましょう。



〈関連ブログ〉
(惑星カメラ・カラー編)
ISS拡大撮影(カラー編)その3 2021.10.25 
ISS拡大撮影(カラー編)その2 2021.9.14 
ISS拡大撮影(カラー編)その1 2021.9.11

(惑星カメラ・モノクロ編)
ISS拡大撮影(10/5)2021.10.6
ISS拡大撮影(8/26)2021.8.27
ISS拡大撮影(8/1)2021.8.2
ISS拡大撮影(7/16)2021.7.19 
ISS画像 ステレオグラム(立体写真)2021.6.17 
ISS画像 コンポジット(ステライメージ編)2021.6.10
ISS画像 コンポジット(AS!3でスタック編)2021.6.10
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その8 2021.6.2
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その7 2021.5.30
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その6 2021.5.15
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その5 2021.5.14
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その4 2021.4.7
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その32021.4.5
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その2 2021.3.31
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その1 2021.3.30

(デジカメ編・選)
3月24日 ISS Daylight pass 2021.3.24
3月23日 ISS Daylight pass 2021.3.23
3月19日 ISS & HTV-9 EP Battery Pallet 2021.3.20
青空の中のISS 2021.2.12
8月3日のISS 2020.8.4
ISS拡大撮影~HTV-3確認編~ 2012.8.11
ISS拡大撮影ミッション~HTV編~ 2009.9.26
ISS写真の解像度アップ作戦!2009.3.24
ISS拡大撮影ミッション(1)「ファーストショット」 2008.2.3

ISSと中国宇宙ステーションほぼ同時刻パス 観望記録(2/6)

2022年02月06日 | ISS(国際宇宙ステーション)
2月6日の夕方、ISSとCSS(中国宇宙ステーション)がほぼ同時刻に仙台上空を通過するめずらしいパスがあったのでウオッチングしてみました~。

 通過図を見ると出現はどちらも17時49分頃ですが、軌道高度が低いCSSの方がISSより若干速く進んで行くことが分かります。CSSの軌道高度は 379 x 387 km, 軌道傾斜角41.5°、ISSは軌道高度413 x 422 km, 軌道傾斜角51.6° です。

 現在、軌道上を周回している有人宇宙ステーションが同時に見られるのでワクワクしながら待っていたが、雪雲が流れてきて結局、確認できたのはISSだけでした。(写真にはコスモスロケットが写っているが眼視では確認していない)

2022.2.6 17:50:00~17:56:38 D810A 10.5mm f2.8 ISO640 F2.8 1.6sec×200 DX

こちらは撮影した200コマをつないだGIFアニメです。CSSが天頂を通過するタイミングで厚い雪雲がやってきたのでCSSはまったく見えませんでした。

 今年の冬は積雪はたいしたことないのですが毎日のように雪がちらつく天気で思うように観望できない日が続いています。

ISS拡大撮影(Daylight 惑星カメラ編)その4

2021年12月12日 | ISS(国際宇宙ステーション)
 天候に恵まれず11月6日以降Daylight Passを撮影する機会が無かったが12月11日にそのチャンスがやってきた。今回が通算7回目のトライアルとなる。以下、その撮影記録である。

7th トライアル
日時:2021年12月11日 16時04分 天候:晴れ(ほぼ快晴)
イベントデータ:432km、-3.7mag MAX80°  SUN +1.2° 
待ち伏せポイント:16h04m05s 北東38° 80° 432km


撮影データ:f1500mm ASI290MC、0.857ms、Gain = 100(16%)

結果:成功(画像取得、センタリング動画作成)
考察:今回の最大の収穫は天頂からロストすることなく高度10°までファインダーで追尾できたことである。使用しているファインダーは 9×50 だが望遠鏡がほぼ水平になる高度10°まで見えるとは思っていなかったのでとても驚いた。このことから湿度が低いときはISSの光度が-1等級でも青空の中で視認できることが分かった。

 今回の通過は日没前であるが太陽高度が+1.2°しかなかったためISSを下から照らす地球反射光がほぼなかったと思われる。そのためGain 100ではやや露出アンダーになった。Daylight Passを撮影するときは太陽高度を考慮して露出を決める必要があるようだ。

202.12.11 16:04のISS


前澤友作氏と平野陽三氏が滞在するISS


前澤氏と平野氏は日本人初の宇宙旅行者(プライベート宇宙飛行士)となった。


前澤友作氏の「ほんとうに宇宙あったよ~」は、1990年12月に日本人で初めて宇宙に行った秋山豊寛氏の「これ、本番ですか?」に次ぐ名言である。スペースツーリストの言葉は宇宙をより身近に感じさせてくれる。宇宙飛行士とは違う目線での発言は新たな宇宙感覚を教えてくれてとても新鮮である。



〈参考気象資料)



過去ブログ ↓
ISS拡大撮影(Daylight 惑星カメラ編)その3  2021.11.7
ISS拡大撮影(Daylight 惑星カメラ編)その2  2021.10.29
ISS拡大撮影(Daylight 惑星カメラ編)その1  2021.10.21


〈おまけの写真〉
ISSの撮影直前に1万メートル上空を飛ぶジェット機を撮影した写真です。


ISSの400kmに比べると10kmはとても近くに感じますね…



ISS超拡大眼視ミッション season2「2ndトライアル編 」

2021年11月23日 | ISS(国際宇宙ステーション)
2021年11月23日 プレスリリース
「11月18日に、ISS超拡大眼視ミッションを実施した」
「出た!お得意の過去形プレスリリースですね~」

「博士、今回は順調にシーズン2ミッションを行っているようですね~」
「いや、ここ最近WHITEY DOB30の稼働率が高くてやっと順番が回ってきた。
  計画は大幅に遅れている」

「あ、そうですか~、ところで今回のコースは距離が遠いようですが、これは
  いわゆる プラクティスという名の練習ですね」
「今回のミッションは2つの目的がある。一つは前回の課題である光学装置の減光について
  もうひとつは拡大率のアップである。そもそもこのミッションは…」

「あ、分かりました~。 博士、結果が気になるので、ご報告を~」

 さて、今回のイベントは確かに距離はそれほど近くはない。しかも
木星をかすめていくというレアな通過が見られるコースである。


 本来、このコースは金星の近くを通過するが木星には近づかない通常の
パスであった。それが11月15日にデブリを避けるためISSが軌道高度を上げ
たため木星接近コースになった。

 そのためISS拡大撮影を行うべきだという意見が上がったが、博士が専有利用許可を
取っていたためそれを横取りすることはできないということで予定通りの実施となった。

さて、今回のシステムは下記のとおりである。
・WHITEY DOB30 + Powermate2× + ELS正立双眼装置 + EF-16mm(60°) +レデューサー(0.66×)
 これで合成焦点距離が3,000mmのF10になり、 Powermate2×とレデューサー(0.66×) の組み合わせで
倍率が125倍になった。視野は0.48°(28.8′)である。この視野と倍率ではたして手動追尾できる
のかを確かめるのが今回の目的だ。

今回のコースでの高度と直距離、通過時刻
・10°   1487km  17:58:39
・15°   1217km  18:00:15
・20°   1021km  18:00:46
・25°    877km  18:01:10
・30°    771km  18:01:29
・35°    689km  18:01:45 木星近傍を通過
・40°    625km  18:01:59
・45°    579km  18:02:11
・50°    543km  18:02:23
・51°    535km  18:02:26 影に入る 
*上記時刻はステラナビ11による表示であるためHeavenAboveの時刻とは相違がある。

ISSは高度15°付近で導入できたが今回は東へ水平移動しながら高度を上げていくコースのため高度35度まで追尾した時点で体がねじれてあり得ない姿勢になってロスト!再導入のためにファインダーを覗いているときに木星のすぐ北側を通過!その距離は木星の視直径の2つ分くらいだったのでまさにかすめたと言った感じだった。それはさておき再導入のコツがつかめたので3度ロストしたがすべて再導入することができた。

 前回の倍率は93倍だったが125倍は想像以上にISSが大きく見えて素直に驚きを感じた。その時の様子は下のまとめ図に載せてあるが、530kmでこれほど大きくの見えるのだから近距離の430kmでみたらどのように見えるのだろうと想像しただけでワクワクする。

 課題は低高度から水平移動を伴いながら高度を上げる時にどのようにして視野から外れないようにISSを追尾するかだ。対策としては①ヨガ教室に通って体を柔らかくする。②どの高度からでも導入できるよう任意の方向に望遠鏡を向けられるよう熟知する。などが考えられるが、今のところは②でいこうかと思っている。(^^ゞ

今回のまとめで~す。

眼視イメージは望遠鏡視野内でのISSの大きさを表している。右は実際に見えた様子の再現図。

〈WHITEY DOB30とアイピースの組み合わせφ(..)メモ〉
焦点距離1,500mm F5
☆PL25mm(52°) 60倍 52°÷60倍=0.86°(51.6′) ← 1st.2ndミッション
☆EF-16mm(60°) 93倍  60°÷93倍=0.64°(38.7′)← 7thミッション
☆HC12mm(42°) 125倍 42°÷125倍=0.33°(20.1′) ← 5thミッション
・PL10mm(52°)150倍 52°÷150倍=0.34°(20.4′)
・Ph5mm(60°) 300倍 60°÷300倍=0.20°(12.0′)

合成焦点距離3,000mm(powermate2× 使用) F10
☆WA32mm(70°) 93倍 70°÷93倍=0.75°(45.0′) ← 4thミッション
・Ph25mm(60°) 120倍 60°÷120倍=0.50°(30.0′)
・PL25mm(52°) 120倍 52°÷120倍=0.43°(25.8′) ← 3rdミッション
☆EF-16mm(60°) +レデューサー(0.66×) 125倍  60°÷125倍=0.48°(28.8′)← 8thミッション(今回)
・EF-16mm(60°) 187倍  60°÷187倍=0.32°(19.2′)
・Ph15mm(60°) 200倍 60°÷200倍=0.30°(18.0′)← 6thミッション

☆はISSを確認できたミッション


〈おまけの画像と動画〉
記録用に撮影したカメラがISSと木星の接近を捉えていました~。

2021.11.18 17h54m02s~17h58m36s D810A 24~70mm f2.8 f24mm F4.5 ISO1600 2sec×91

2021年11月18日のISS


木星に接近するISS

2021.11.18 17h57m33s D810A 24~70mm f2.8 f24mm F4.5 ISO1600 2sec

〈過去ブログ〉
ISS超拡大眼視ミッション・シーズン2 「リボーン編 」 2021.10.11

部分月食中の月に向かうISSパス

2021年11月21日 | ISS(国際宇宙ステーション)
部分月食中に通過したISSの撮影記録です。

 今回の通過は最大高度がわずか28°というとても低いパスです。高度15°で地球の影に入って見えなくなりましたが、影に入らなければ食分0.6の月の北1.5°を通過するコースだったので、部分月食に華を添えるイベントになったはずです。

イベントデータ



 ISSを撮影した機材は10.5mmの対角魚眼。市民薄明が16時50分に終わったので航海薄明中の撮影です。まだ水平線は見えてましたが空はかなり暗くなっていました。撮影はISSを眼視で確認できた高度10°付近からスタートさせましたが、撮り始めから撮影終了までの時間はトータルで4分44秒でした~。

西空で輝く3惑星と月食中の月に向かうISS

2021/11/19 17h09m10s~17h13m54s D90 10.5mm/f2.8 ISO400 f5.6 4sec × 68

月食中の月に向かって進むISSと3惑星

 高度が低いといっても明るさは-2.6等ですから木星とほぼ同じ明るさです。水平線の上を月に向かって進むISSはとてもキレイに見えました。地球の影に入っていく様子も双眼鏡でじっくり見ることができて久々に落ち着いた気持ちでISSパスを楽しむことができました。(ISSを見るときはいつも心拍数高めなので…) (^^ゞ



ISS拡大撮影(Daylight 惑星カメラ編)その3

2021年11月07日 | ISS(国際宇宙ステーション)
 なかなか結果が出ない「ISS拡大撮影~Daylight 惑星カメラ編」ですが、6回目のチャレンジで動画撮影に成功したので11月1日の4thトライアルから11月6日の6thトライアルまでをまとめてみました~。

4th トライアル
日時:2021年11月1日 天候:晴れ(ほぼ快晴)
イベントデータ:429km、-3.4mag MAX79°  SUN 21.3° 通過図
待ち伏せポイント:08h12m11s SE221° 79° 429km
撮影データ:f1500mm ASI290MC、0.857ms、Gain = 100(16%)
結果:失敗(ISSを視認したが追尾開始時にロストして画像取得できず)
考察:月齢25.4の月でテスト撮影、露出を0.857ms、Gain は100(16%)前後が適正と判断して撮影を試みたが画像取得できず。ISS通過後に月面を対象としてモノクロカメラのテストを実施。
テスト画像1テスト画像2テスト画像3テスト画像4

5th トライアル
日時:2021年11月5日 天候:晴れ(薄雲あり) 
イベントデータ:431km、-3.6mag MAX77°  SUN 5.1° 通過図
待ち伏せポイント:06h39m30s~40s SE230° 77° 431km
撮影データ:f1500mm ASI290MC、0.751ms、Gain = 106(17%)
結果:失敗(ISS視認できず)
考察:薄明中にカペラでピン合わせをして待機、通過直前に薄雲が流れてきて視程がやや不良になる。ISS通過と同じタイミングでハトがファインダーを横切ったため脳がバグってISS確認できず。

6th トライアル
日時:2021年11月6日 天候:晴れ(ほぼ快晴)
イベントデータ:485km、-3.3mag MAX59°  SUN -3.8°


今回のPassは太陽が地平線下にあるため通過図が星図になっている。本来なら夜間モードで撮影する対象だが今回はデータ収集のため Daylight Pass 用のシステムで撮影を行った。日の出20分前は青空で星は見えなかったが、ISSは高度20°付近から肉眼で見えた。この時間は地球からの反射光がまだないため露出不足になることは予想できたが昼間の撮影を想定して Daylight Pass 設定の露出で撮影を試みた。

待ち伏せポイント:05h51m40s~50s N 0° 53° 512km
撮影データ:f1500mm ASI290MC、0.844ms、Gain = 100(16%)
結果:成功(動画取得、センタリング動画作成)
考察:今回は見え始めの高度53°(高度50°までは屋根で死角)から高度26°まで追尾できた。時間にして約2分間(5h51m51s~5h53m50s)の追尾はDaylight Passモードでは最長記録である。今回のパスは太陽方向へ進行しているため昼光ですぐ見えなくなると思ったがファインダーの中ではずっとISSが輝いて見えていた。下記動画は見えていた時間とほぼ同じ長さに編集してみた。動画を見て分かるように露出はアンダーである。画像処理ではレベルをかなり引き上げたので背景がグレーになっているがオリジナル画像の背景はブラックでISSで写っている部分は「きぼう」や「コロンバス(欧州実験棟)」など輝度の高い居住棟のみであった。

ISS(Daylight Pass)2021 11 06




File.No.2770 高度54° 距離504km   オリジナル画像→No.2770

2021.11.6 05h51m52s  Shutter=0.844ms Gain=100 (16%)


File.No.3956 高度59° 距離494km  オリジナル画像→No.3956

2021.11.6 05h52m16s  Shutter=0.844ms Gain=100 (16%)


File.No.4680 高度56° 距離515km  オリジナル画像→No.4680

2021.11.6 05h52m33s  Shutter=0.844ms Gain=100 (16%)


File.No.5408 高度49° 距離560km  オリジナル画像→.No.5408

2021.11.6 05h51m48s  Shutter=0.844ms Gain=100 (16%)


〈参考気象資料〉



過去ブログ ↓
ISS拡大撮影(Daylight 惑星カメラ編)その2  2021.10.29
ISS拡大撮影(Daylight 惑星カメラ編)その1  2021.10.21


ISS拡大撮影(Daylight 惑星カメラ編)その2

2021年10月29日 | ISS(国際宇宙ステーション)
「ISS拡大撮影~Daylight 惑星カメラ編~」3rdトライアルの記録です。

 実は昨日もチャレンジしたのですが通過直前に雲に阻まれISSを見つけることが出来ませんでした。本日の通過は最大仰角57°、直距離が495kmなので好条件とは言いがたいパスですがデータ収集のためにあえてチャレンジです。

本日のイベントデータ



 本日のシステムは前回の教訓を生かしてPowermate2×を外します。焦点距離はf1500mm(F5)になるのでISSの捕獲率も高くなります。 

 事前の準備としては、下弦の月が出ていたので月でピントを合わせて、露出は月のテスト撮影を参考にしてShutter速度を0.869ms、Gainを165 (27%)と設定しました。

 待ち伏せポイントは最大仰角の直前、北東20° 高度50° 直距離500km地点として、この地点でのファインダー内通過時刻を8h57m00s~8h57m10sと見込んで時報を聞きながら待機しました。

 青空の中でISSを待つのはいつもドキドキですが、今日は透明度が良かったのでほぼ時間どおりに通過したISSを約30秒間追尾することができました。

こちらが SER Player のスクショです。

露出オーバーではありますが青空の中のISSを惑星カメラで初めて写すことができました。

 で、今回とても苦労したのがPIPPによる動画編集です。いつもならデフォルトのパラメーターで簡単にセンタリング動画を作ってくれるのですが、今回はどーやっても青空の中の白いISSを認識してくれませんでした。試行錯誤の結果、理由は分かりませんがセンタリング動画ができたので、とりあえずその時のパラメーターを備忘録として残しておきます。



そしてこちらが完成したセンタリング動画です。
 ISS Daylight Pass 2021.10.29

しきい値をもう少し上げればさらにきれいな動画になるような感じもしますがこれが限界でした。

 今回気づいたのですが太陽からの離角によって空の青さが変わり、それに伴って適正露出も刻々と変化するようです。下のGIFアニメは今回撮影した30秒間を5秒刻みでつないだものですが、見て分かるように太陽に近づくにしたがってどんどん露出オーバーになり最後は真っ白になっています。たしかに青空をじっくり眺めると空の青さと明るさが太陽からの距離でけっこう違うことが分かりますね。


 今回のテスト撮影は想定以上に収穫がありました。今年はどーもスッキリしない天気が続いていますが首を長くして次の好天を待つことにしましょう。

過去ブログ↓
ISS拡大撮影(Daylight 惑星カメラ編)その1 2021.10.21



おまけの動画で~す。
下弦の月(東の海)



おまけの目撃情報で~す。
 月でテスト撮影をしているとき、ファインダーで見ていた月のすぐ下を右から左へ高速で飛ぶ白色の飛行物体を見ました。それは速度と光度と見かけ上の大きさがISSとまったく同じでフレアのような明るさの変化もなかったのでちょっと気味の悪さを感じました。青空の中であの速度であの明るさで飛ぶ物体はISS以外にあるのだろうか?と思いすぐにスカイライブビューを見たのですが該当する人工衛星はありませんでした。青空の中はいろいろなモノが飛んでいるようですね。