晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

2023年1回目の月面X(3/29)

2023年03月30日 | 月面X
3月29日は今年1回目のルナXデーでした~。

 予報ピーク時間は14時38分なので撮影準備を13時過ぎから始めたのですが、惑星カメラのピン合わせをしているときに背後に気配を感じて振り向くと… わぉ!北西の空が真っ暗になっています。

 天気予報では雨が降るなんて一言も言ってませんが、これは間違いなく雨を降らす雲です。急いで望遠鏡にシートをかぶせてノートPCを屋内に避難させたところでポツポツと雨が…

 あちゃ~、ピーク時間に合わせて撮影しようと思っていたのに出鼻をくじかれました。トホホ…

2023年 月面Xカレンダー
  月面余経度358.0°の日時  日没  月高度(方位) 
①  3月29日(水)14時38分 17:57 47° (東)     
 ②  5月27日(土)14時42分 18:51 44° (東)       
 ③  6月25日(日)15時44分 19:05 53° (南東)         
 ④  7月25日(火)12時42分 19:04 14° (東南東)    
 ⑤ 11月20日(月)14時09分 16:22 15° (南東) 

 雨の強さはパラパラ程度ですが月が見えないのでピーク時間の撮影はムリだな~と思っていたら14時過ぎに急に晴れたのでとりあえず600mm望遠で撮影してみましたが今日の天気では望遠レンズではムリのようです。月面Xはまったく写っていませんでした。      

14時17分撮影 600mm望遠レンズ 高度43°(予想ピーク時刻 14時38分)〈photo

2023/3/29 14:17:32 D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO200 F9 1/320sec(トリミング)

 ということで、ここからは惑星カメラでの撮影です。時刻はすでに予報ピークを過ぎています。ファーストショットは口径60mmのミニボーグですが月面Xはしっかり写っていました。

14時41分撮影 撮影時高度48°(予想ピーク時刻 14時38分)〈photo

2023/3/29 14:41 miniBORG60n ASI290MC  Shutter=0.316ms Gain=190 (31%) 30sec

ここからの3枚は80mm屈折望遠鏡で撮影した月面Xです。

15時10分撮影 撮影時高度53°(予想ピーク時刻の32分後)〈photo

2023/3/29 15:10 EVOSTAR80ED ASI290MC Shutter=0.616ms Gain=200 (33%) 60sec

15時35分撮影 撮影時高度58°(予想ピーク時刻の57分後)〈photo

2023/3/29 15:35 EVOSTAR80ED ASI290MC Shutter=0.616ms Gain=200 (33%) 60sec


15時43分撮影 撮影時高度60°(予想ピーク時刻の1時間5分後)〈photo〉トリミング有

2023/3/39 15:43 EVOSTAR80ED ASI290MM Shutter=0.350ms Gain=214 (35%) 30sec

最後はµ210で撮影した月面Xの拡大画像です。ピークから2時間が過ぎているのでXがかなり伸びていますが日没前の明るい空が奏効してかろうじてXの形をキープしているようですね。

16時37分撮影 高度70°(予想ピークの2時間後)

µ210 ASI290MC Shutter=2.161ms Gain= 223 (37%) 60sec 〈photo


16時51分撮影 高度72°(予想ピークの2時間13分後)

µ210 ASI174MM Shutter=1.593ms Gain= 190 (47%) 30sec 〈photo

 今回は気象条件が良くなかったので思うように撮影ができませんでしたが、µ210で見た青空の中に浮かぶ月はとてもキレイで月面Xもハッキリ見えました。

 次回の月面Xは5月27日で条件は今回とほぼ同じです。5月下旬は梅雨入り前の良い天気が続く傾向があるので期待して待つことにしましょう。


3月20日の中国宇宙ステーション(カラー撮影)

2023年03月24日 | CSS(中国宇宙ステーション)
3月20日に撮影した中国宇宙ステーションの撮影記録です。

 3/20の通過は直距離454km、最大仰角56°のいわゆる中接近なので高精細な画像は期待できないな~と思って一度は撮影をパスすることも考えたのですが、この通過以降は早朝の通過イベントになるので貴重な露出テストの機会として撮影に臨みました。


 CSSカラー撮影は前回、前々回の撮影でカメラのゲインを220にして露出オーバーだったので今回はゲインを180まで落としてテスト撮影です。ここまで落とすと露出アンダーになることが予想されますが適正範囲を知るためにはその方が都合がいいので大胆に落としてみました。

 夕方のこのコースは最大仰角までは逆光となって暗い状態で飛行します。なので撮影は最大仰角を過ぎてからが勝負となりますが金星の近くを通過するのでそのポイントを待ち伏せ地点として待機していたのですが…

 なんと時間になっても眼視で見つけることができませんでした。(ちょっと焦りました~) 目をこらしてやっと発見できたのは金星を過ぎてからで光度は2等星より少し明るい程度でした。

 本日の撮影システムは30cmドブ(f1500mm)+ASI290MC+UV/IRcut です。CSSの発見は遅れましたがこのシステムは写野が広いので撮影時の追尾はほぼ完ぺきでした。撮影データはShutter 0.897ms、Gain 180(30%) です。通過記録はATOM com2 で撮影しました。

3月20日18時36分 CSS通過の様子(おうし座から地球の影に入るまで)3倍速再生

      全画面表示で見ると左下の電線付近で地球の影に入る様子が分かります。↑


↓ こちらは拡大撮影したCSSのフルバージョン動画です。
CSS(中国宇宙ステーション)拡大撮影 (おうし座付近~最大仰角~地球の影に入るまで)

 この動画では逆光で太陽電池パネルが橙色になっている状態から最大仰角(天和がフレアを起こす付近)を通過してCSS全体が白色になる様子が写っています。高度が低くなると大気分散で徐々に青色と赤色の分離が強くなっていく様子や地球の影に入る瞬間も捉えることができました。


 さて、動画から静止画をキャプチャーして画像処理をする過程ですが、今回は距離がそれほど近くないので苦労しました~。上記動画は300pixel×300pixel で切り出していますがCSSの大きさは画角の1/3以下で最大仰角でも80pixel × 80pixel 程度です。なので元画像はご覧のとおりガタガタです。(photo


 ここからいつもの秘伝の方法で画像処理をしていきますが、今回は思うように画質が上がらず四苦八苦でした~。最終的にはこれが限界の完成型です。まだまだ修行が足りませんね。(photo


 こちらは最大仰角を過ぎて順光になった時のCSSです。(photo


 一番明るくなった頃のCSS…これを見ると今回の露出は適正だったと言えます。(photo


 これが今回のベストフォトかな…(photo


 今回のコースは太陽光の照射角度が良かったので結果的にこれまででベストの解像度になりました。船尾にドッキングしている補給船「天舟5号」が太陽電池パネルも含めてここまではっきり写るのはめずらしいことだと思います。(photo

 船首にドッキングしている有人宇宙船「神舟5号」もよく見ると帰還モジュールとサービスモジュールの色の違いが分かります。(かなりひいき目な見方ですが…)

〈参照資料〉CSS(中国宇宙ステーション)にドッキングしている神舟13号

サービスモジュールとドッキングモジュールは白色だが帰還モジュールだけ色が違う。


 今後CSSは3月24日から4月23日まで早朝の通過イベントとなります。早朝のコースは昇る朝日に向かっていくCSSを撮影することになるのでなかなか難しいものがあります。(…というよりは単純に好みではないと言う方が正しいかな)

 次回夕方の通過イベントになるのは4月26日以降です。その頃になると気流も落ち着いてくるのでそこからが本格的な拡大撮影スタートといった感じですね。

落下予報が出ていた日本製のISSデブリ「ICS-EF」のその後

2023年03月18日 | 宇宙開発
落下予報が出ていたISSデブリ「ICS-EF」は軌道高度低下に伴い最終的な落下予報時間が2023年3月18日11時16分±14時間(日本時間)に修正され、日本上空を通過するイベント時刻も変更になりました。

最終通過イベントデータ(元期:3月17日で高度はすでに177kmまで低下している)

夜間の最終通過コースとイベントデータ


 上記通過は落下予報時間外(最終的な落下予報時間は2023年3月17日21時16分~3月19日01時16分)ではあったが観望を試みた。

 あいにく薄雲があり北極星も見えなかった状況であったが大気圏に再突入すれば確認できると思い、時報を聞きながら凝視していたが発光体は何も見えなかった。

 落下予報中央時刻での衛星落下場所はアフリカ-オーストラリア間の海上で時間も昼なので今回も目撃情報は無いだろうと思っていたら、先ほどツイッターでカリフォルニアでこの衛星が落下する様子が多数目撃されたという情報が流れ始めた。

こちらはツイッターで公開されている動画からキャプチャーした画像。



 衛星の落下時刻は3月18日14時30分(日本時間)で現地の時間では3月17日21時30分(西海岸標準時)だったようです。予報中央時刻から地球周回の2週遅れで大気圏に再突入したことになります。

 大気圏再突入の1時間10分前には北海道上空を通過していたので、その時間に大気圏再突入すれば青空の中で輝く発光体が目撃されたかもしれませんね。落下してからまだ4~5時間しか経過していないので落下を撮影した動画がネット上にたくさんあるわけではありませんが日本製デブリの落下動画はじっくり見てみたいですね。


〈追記:3/18 21:30〉
カリフォルニア州のKCRA3とabc KRCRがニュースとして報道しています。以下そのリンクです。
Video: Bright orbs of light blaze across the Northern California sky tonight
Mysterious lights streak over the Northstate, explained
こちらのページでは投稿された動画を多数視聴できます→CHIME IN

〈追記:3/19 9:50〉
YouTubeで公開されたICS-EF落下の様子です。
ICS-EF Re Entry recorded on home camera


〈追記:3/20 10:30 〉
ICS-EFの最終的な落下場所と落下時刻です。

これを見ると落下時間は日本時間の13時33分ですね~。ブログに落下時刻は日本時間の14時30分と書きましたがそれは私の計算違い(現地時間の変換ミス?)で… ということは落下の20分前に東京-仙台上空を通過していたことになりますね。わお! これはスゴイ! ICS-EFはJAXAの上空で最後を迎えようとしていたのかも~。 超感動!!!!

まもなく落下する日本製のISSデブリ「ICS-EF」

2023年03月14日 | 宇宙開発
 AEROSPACEにMade in Japan のISSデブリ落下情報が掲載されていました~。

「ICS-EF」は2009年7月16日にスペースシャトル(STS-127)で打上げられた日本実験棟の打上げ第3便、2J/Aミッションで、若田宇宙飛行士がロボットアームを操作して船外プラットフォームに取り付けた衛星間通信システムです。(photo


 
 運用を終えた ICS-EF は2020年2月22日にロボットアームで船外プラットフォームから外されました。そのICS-EF が3月16日23時14分~3月19日1時14分(日本時間)に大気圏に再突入します。

 残念ながら仙台からの可視通過は一度も無いようなので最終通過情報を載せておきますが、軌道低下に伴って通過情報は変わるので注視していくことにしましょう。

 もし運良く大気圏再突入の瞬間に巡り会えたとしても、 ICS-EF の大きさは、2.2×0.8×2.0m(アンテナ展開時)ととても小さいので、一筋の流れ星にしか見えないかもしれません。それでも Made in Japanの衛星が大気圏にダイブして光る流れ星はぜひ見たいですね。





 組み立て中の船外プラットフォームとロボットアーム(2007年6月22日JAXAにて撮影〉


 打ち上げ前の船外プラットフォームの実物です。


 こちらはロボットアームの実物です。


 右に見える「きぼう」は実物ではなく試験機だそうです。



落下予報衛星 SZ-13 MODULE 観望記録 3/6~3/8

2023年03月10日 | 宇宙開発
落下予報が出ているSZ-13 MODULEの3月6日以降の観望記録です。

 3月6日以降の可視通過情報は3回ありましたがウオッチングしたのは3月6日と3月7日。
(3/8は日没30分後で空が明るいため可視不可日)


3月6日の通過は最大仰角がわずかに15°です。


なので条件的に眼視確認は無理ですが画像処理すれば写るかも…と思って撮影したところ

2023/3/6 19h07m03s D810A NIKKOR f28mm ISO1600 F3.2 1.6sec(photo
…まったく写っていませんでした。最大仰角15°という低高度の大気減光は想像以上でした。


翌日7日は6日とほぼ同じ条件ですが可視時間が長くケフェウス座付近で高度27°に達するので双眼鏡でウオッチングしましたがSZ-13は確認できず、カメラでも光跡を捉えることはできませんでした。

2023/3/7 18h39m40s D810A NIKKOR f28mm ISO2500 F2.8 1.6sec(photo

 SZ-13 MODULEの落下予報時刻は3月9日11時29分±14hour(JST)なので3月7日時点で落下していることは考えられません。衛星が暗くて見えなかっただけと思われます。

 これ以降の可視通過はなかったので仙台から確認できる最終パス(3/8.21:09)を大気圏再突入に備えてウオッチングしました。もちろん地球の影を通過するパスなので輝いて見えることはありませんが大気圏に突入すれば尾を引く発光体として確認できるはずです。

仙台から確認できる最終パスの通過図とイベントデータ、地上軌跡



 大気圏再突入の予報時刻には±14時間の幅があるので3月8日21時29分から予報範囲内になります。通過時間は21時09分なのでギリ範囲には入っていませんがひょっとすると…という期待を込めてその時を待ちました。

 撮影は感度が高く動画で撮れるATOM Cam2を使いました。(左に見えるのは十六夜の月です。)
 右下に見える明るい星がシリウスです。この近辺をSZ-13が通過しているはずですが大気圏再突入はしなかったので当然ですが写っていません。ざんねん~。

で、さきほどAEROSPACEからSZ-13の落下情報が公開されました。それによると…

 大気圏再突入時刻は2023年3月9日06時23分±2時間(日本時間)、落下場所は西オーストラリアの南側海上のようです。地理的にも時間的にも目撃するのは難しいところですね。

 かくしてSZ-13 MODULEの追っかけは落下を目撃することなく終了となりましたが、同タイプの衛星「SZ-14 MODULE」が現在軌道高度365 x 371 km で絶賛降下中なので、時期を見て追っかけを再スタートすることにしましょう!

〈関連ブログ〉
落下予報衛星 SZ-13 MODULE 通過確認 3/5
落下予報衛星 SZ-13 MODULE 観望記録 3/4

まもなく帰還する若田宇宙飛行士が搭乗しているISS

2023年03月08日 | ISS(国際宇宙ステーション)
ISSに滞在している若田宇宙飛行士の累積宇宙滞在日数が昨日で500日に達したそうです!
すごいですね~。1年間を超える日数を宇宙で滞在しているのですから、もはや宇宙人ですね~。

 その若田宇宙飛行士が乗船しているISSが本日未明に仙台の真上を通過していきました。



 ISS撮影の準備をしたのは4時を過ぎた頃でしたが、外に出てビックリ、3月とは思えない寒さです。気温はなんと-2度… ISS通過まで約1時間しかないのでこれでは温度順応が間に合いません。仕方ないです。気休めでしかないとは思いましたが、一応うちわでパタパタと望遠鏡の中を扇いでみました~。
 
 本日の通過コースは最大仰角が86°の天頂パスです。追尾が難しいことと太陽高度が-8°の航海薄明中でしかも太陽に向かって進むので太陽電池パネルが写りにくいコースです。さらに空の状態もよくありません。春霞がかかっていて薄明が始まる前でもベガとアルクトゥルスしか見えない状態でした。


 まー、これまた仕方ないですね。星の瞬きがゆっくり明滅している?不思議な気流でしたが真冬よりは落ち着いた気流のようなので、そこに期待しましょう!本日のシステムは、30cmドブ+Powermate2×+ASI290MC+UV/IR cut Filter で、露出は Shutter=0.926ms Gain=295 (49%) です。

 さて、時間です。今日のコースは北西の空が屋根で遮られているので、撮影は北斗七星のミザールを過ぎてからです。見えました。撮影開始です!

 ふう、やはり天頂通過は追尾が難しいですね。今日は撮影開始がほぼ天頂なので捕獲率は30%にも満たなかった感じです。気流も思ったほどではありませんでした。


こちらは天頂通過直前のISSです。これが本日のベストフォトでした。








 天頂通過後は逆光による超露出アンダーでほとんど写っていませんでした。画像処理でだいたいのデティールは浮かびましたが春霞と気流の悪さでボケボケです。


 地球のきれいな写真をたくさん届けてくれた若田宇宙飛行士のISS滞在はまもなく終了します。CREW-6の宇宙飛行士が到着したので寝袋を「きぼう」に移した写真がアップされていました。残りの期間をMade in Japan の宇宙船「きぼう」でゆっくり過ごしてほしいですね。

 若田宇宙飛行士さん、お疲れ様で~す。無事のご帰還をお待ちしてます。


落下予報衛星 SZ-13 MODULE 通過確認 3/5

2023年03月06日 | 宇宙開発
3月5日も天気が良かったのでSZ-13 MODULEのウオッチングをしてみました~。

 本日の通過は昨日とほぼ同じコースですが太陽高度がたったの -6°です。これは時間にして日没の24分後で、薄明の中でも一番明るい市民薄明(外で新聞が読める明るさ)です。


 なので、空を見上げても星は一つも見えません。肉眼で星を確認できたのは通過の5分前… カメラをオリオン座(と思われる方向)に向けて試し撮りを数枚して、感度はISO200、開放F2.8の28mmレンズをF5.6まで絞ってシャッタースピードは1/2secの連続撮影で大丈夫でしょう。

 …と決めてインターバル設定を打ち込んで撮影開始をONにしたら「時間の設定が違うので実行できません」との表示が… え、どして?と思って時計を見たらすでに通過時間の18時を過ぎてます。あちゃ~

 ということで、このハイテク時代にまさかのシャッターボタン早押しの連続撮影です。むかしもこんなことあったな~と思いながら撮影した画像を確認したところ…

 あちゃ~、目測を見誤ってしまいました。オリオン座は写っていますがSZ-13 MODULEの通過コースは画角のはるか上です。ベテルギウスとプロキオンは眼視で見えてたのになぜこうなったの?トホホ…

2023/3/5 18h00m19s D810A NIKKOR f28mm ISO200 F5.6 1/2sec (photo

 本日の通過は最大仰角がオリオン座のお顔の辺りです。18時00分を過ぎてからの撮影なので写っているとすればピンポイントでこのエリアだけです。ダメ元で画像処理をガリガリやってみたら…


写ってました!通過予報図どおりです。SZ-13 MODULE通過確認です!(photo

 SZ-13 MODULEはまだ落下していません。AEROSPACEの落下予報も昨日と変わらず、3月10日07時22分±29hour(JST)となってます。 今日現在のSZ-13 MODULE軌道高度は201km×214kmです。

 軌道高度が200kmを下回れば大気圏再突入カウントダウン開始ですが、SZ-13 MODULEの軌道は近地点と遠地点の距離の差が少ないほぼ円軌道なので予報時刻に近い時間での落下になると思われます。

 仙台では今日から可視通過が北天の低いところになるので観望は難しくなりますが、落下まであと少しなので引き続き追っかけをしてみることにしましょう。

落下予報衛星 SZ-13 MODULE 観望記録 3/4

2023年03月05日 | 宇宙開発
2月9日未明に石垣島で大気圏に再突入する様子が目撃されたSZ-12 MODULEと同タイプの衛星 SZ-13 MODULEの大気圏再突入が近づいています。

 現時点ではSZ-13 MODULEの大気圏再突入日時は3月10日07時44分±29時間(JST)となっていますが、予報の幅が±29時間(3月9日03時44分~3月11日11時44分)もあるのでいつどこに落ちるかは見当がつかない状態です。

 さて、以前のブログ(2/10付)で石垣島で目撃された人工衛星落下は「神舟12号」を打上げた長征2号Fのロケットボディだと断定した言い方をしたのですが、どーもそうではないようです。そもそも衛星名がSZ-12 MODULE(モジュール) となっていることから、ロケットボディ(R/B)やペイロード(paylord)とは違うカテゴリーの衛星のようです。

 神舟12号13号は宇宙飛行士がCSSと地球を往復するためのソユーズタイプの衛星で、帰還するときに分離するサービス モジュールとオービタル モジュールは帰還モジュールと一緒に大気圏に突入してその場で燃え尽きると思っていたのですが…神舟の場合は落下させずに飛行を続けるようにしてあるのでしょうか?ならば2つのモジュールが並んで飛行をしているのだろうか?


 …と疑問が尽きないので解決すべく好条件通過の日を探していたのですが、ついにそのチャンスがやってきました。最大仰角は51°でオリオン座のど真ん中を通過していきます。明るさが分からない衛星なので待ち伏せ作戦をするにはこれ以上ないほどの好条件パスです。


 待ち伏せ場所のオリオン座三ツ星を通過する時刻は18時22分20秒前後です。時報を聞きながら双眼鏡でじっと見ていると…

 おっ、流れてきた雲から飛び出す移動光点が見えます。SZ-13 MODULEです!徐々に明るくなっています。光度は2等級よりは明るく…1等級よりはやや暗い感じでした。それにしてもスピードが速い!

 軌道高度は220km程度です。まだ航海薄明中のしかも月明りが煌々と照らす明るい空なのに肉眼ではっきり見える明るさで駆け抜けて東の空で地球の影にスッと入って見えなくなりました。(photo

 このスピード感、そして薄明中の明るい空なのに地球の影に入る様子、さらに地球の影に入るときにかき消すようにフッと見えなくなる様子などはISSでは味わえない落下直前の衛星ならではの見え方です。

 おっと、大事なことを忘れていました。2つのモジュールが並んで飛行をしているかについてですが、単独の移動光点で明滅もしていませんでした。分離したモジュールがあんなに明るく見えるのだろうか?という新たな疑問がわいてしまいました。謎は深まるばかりです…

 SZ-13 MODULEの落下まではまだ時間があるので機会を見付けてもう少しだけウオッチングしてみることにしましょう。


木星と金星の大接近 撮影記録 2/27~3/2

2023年03月04日 | 木星
木星と金星の接近を撮影した4日間の記録で~す。

 撮影を始めたのは2月27日、今思うと天気が良かったのはこの日だけで、あとはすべて雲越しの撮影でした。3日間連続で曇るとは運が悪いとしか言いようがありませんが、雲越しとはいえ4日連続で撮影できたという点では運が良かったかも…

2月27日の木星と金星(最接近の3日前)
 この日の離角は2°50′なの数値的にはまだまだ離れていますが、徐々に距離を縮める木星と金星を長い間見てきたので、いよいよ近づいてきたな…と感じた星並びでした。

2023/2/27 17h48m24s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO800 F8 1/20sec(photo


2023/2/27 18h12m27s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f70mm ISO1250 F10 1/2.5sec(photo

 下記写真はまだ薄明が終わっていない時間に撮影したものですが、この日は透明度が良かったので背景の星がいくつか写り込んでいます。撮影時の木星の高度は17°、金星は14°です。

2023/2/27 18h35m03s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f70mm ISO1250 F8 1/2.5sec(photo


2月28日の木星と金星(最接近の2日前)
 この日は空に大きな雲はなかったのですが透明度が良くなかった記憶があります。気象庁の過去データで調べてみると前日2/27の雲量は0+で視程は30km、2/28の雲量は0+で同じですが視程は20kmとなっていたのでやはり透明度は良くなかったようです。

2023/2/28 17h47m51s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f420mm ISO1600 F8 1/50sec(photo

 まー、透明度が良くないと言ってもガリレオ衛星がクリアに写っているので3/1と3/2の天気よりはるかにいいですね。もっとたくさんの写真を撮っておけば良かったなぁ…と思ってもあとの祭りです。


2023/2/28 17h41m34s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f340mm ISO3200 F9 1/20sec(photo



3月1日の木星と金星(最接近の1日前)
 いよいよ大接近前日ですが、この日は雲が分厚くて肉眼ではほとんど見えませんでした。気象庁過去データによると天気は薄曇り、雲量は10-(マイナス)だったようです。

2023/3/1 18h32m27s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO6400 F7.1 1/13sec(photo

 3月1日は角距離が1°を切って57分(満月2個分)まで近づきました。常に雲があったのでISO感度を6400まで上げて雲が薄くなったところを撮影してやっと撮れたといった感じでした。

2023/3/1 18h34m07s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO6400 F6.3 1/125sec(photo


3月2日の木星と金星(最接近日)
 こちらは最接近日のファーストショットです。言うまでもないのですがご覧のとおり天気は良くありませんでした。気象庁過去データでは雲量8で天気は晴れ!です。そーなんです。天気の定義上は雲量2~8は晴れなので、雲量8は晴れの中では一番空に雲がある晴れということです。トホホ…

2023/3/2 17h44m50s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO1600 F5.6 1/160sec(photo

 それでも雲間を待って見えたときの木星と金星の接近はキレイでした~。撮影中は気付きませんでしたが市民薄明中に撮影した画像にガリレオ衛星が写っていました。超ビックリです。

2023/3/2 17h57m37s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO4000 F6.3 1/25sec(photo

 こちらは暗くなってから撮影した接近の様子。ガリレオ衛星の明るさの違いが分かります。最接近時の離角は約30′なのでほぼ満月1個分ですが、実際の空で見る木星と金星はものすごく近いのでホントにこの間に満月が入るの?と思ってしまいますね。


2023/3/2 18h31m36s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO5000 F6.3 1/30sec(photo
 

惑星カメラで撮影した大接近画像
 で、こちらが「2023木星と金星の大接近」の集大成の写真で~す。80mm屈折(焦点距離600mm)に惑星カメラを装着して木星と金星を同視野でとらえた画像にµ210で撮影した木星と金星の拡大画像をはめ込みました。同視野画像の木星には縞模様が写っています。(拡大画像


撮影データ
 同視野画像:2023/3/2 17h55m36s EVOSTAR80ED Duration=60s Shutter=8.472ms Gain=72 (12%) 25% of 402frames
 拡大木星画像:2023/2/27 18h35m23s µ210 Duration=60s Shutter=10.96ms Gain=249 (41%) 25% of 1000frames
 拡大金星画像:2023/2/27 18h30m36s µ210 Duration=30s Shutter=0.813ms Gain=177 (29%) 25% of 5420frames


 金星の輝度が高いので同視野画像で見る金星と木星の視直径は同じように見えますが、実際は拡大画像で分かるように金星の視直径(12.2″)は木星(34.2”)の約1/3でしかないんですよね~。いかに金星が明るいかわかりますね。


 さて、次回の木星と金星の大接近はいつなのか調べてみました。
 ステラナビゲーター11の会合検索で調べたところ直近では2025年8月12日でした。


 その次に条件良く見られるのが2028年11月10日ですが、いずれも今回ほどの接近ではないです。


 今回と同じくらいの離角で条件良くみられるのは2032年2月7日の接近のようです。

 今回と同じくらいの大接近を見るには2032年まで待たなければなりませんが、そこそこの接近は3~4年のペースで見られるのはいいですね。次回の接近を楽しみに待つことにしましょう。