晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

バーティノフ・マスク

2010年08月26日 | 観測グッズ
今ちまたで話題のピント合わせ支援装置!
その名も「バーティノフ・マスク(BAHTINOV MASK)」…、

さあ、これを使えば、あなたの悩みは全て解消!どんなシーイングでも
ピントはバッチリ!これで、あなたも今日から豊かな天文ライフを確実に
手に入れることが出来ます。

…とTVショッピング風にいうまでもないのですが、気になるので自作してみました。

20cmクラス反射望遠鏡用バーティノフ・マスク


材料は厚さ0.5mmの黒塩ビ版、それにケンドリック社のHPから
ダウンロードした型紙を重ね、アクリルカッターでコキコキと切ること
数日…、仕上げにケバやバリを削って、今年の夏休みの工作は終了!

これを夏休みの作品として提出する小学生はいないと思いますが(笑)
最近、天文少年少女が少なくなっているので、むしろ、これを作る
小中学生がいてほしいなぁ…と思います。

もっとも、これを提出しても、先生は お面!? としか思わないかも…


で、早速テストしてみました。

テスト星は「アルタイル」
カメラはD90、SE200Nの直焦点です。

SE200N F5 直焦点 D90 ISO800 1.7sec(トリミング)


SE200N F5 直焦点 D90 ISO800 2.5sec(トリミング 右回転)

上の2枚はピントが合っている状態です。

ピントが合ってない状態はこちら…

真ん中の縦線が右にずれています。

この日は月が明るく、透明度も悪かったので、その後の撮影は
出来ませんでした。ピントの精度は確認できませんでしたが、
期待通りのマスク・パターンがでたので今日のテストは終了です。

天気の良い日に、さらにテストを重ねていきましょう。
さらに、30cm望遠鏡への流用が可能かも調べていく事にしましょう。

8月24日の木星

2010年08月25日 | 木星
今年と来年は木星の観望条件がかなり良くなります。
視直径がほぼ50秒…、南中高度もかなり高くなります。

ということで、今年初の木星撮影です。
気流の状態は…、ふ~む、思ったほどよくありません。
アルタイルとベガが予想以上に瞬いています。

しか~し、夏場の好気流はそろそろ終わりです。
とりあえず撮影することにしましょう。

まずは、赤道儀の極軸をチェックして(暑い…)
お、かなりずれてます。調整しましょう…(あぢぃ…)
ふう、次はWEBカメラをセットして、(ふひゃ~、暑いなぁ…)
木星を導入して、パソコン上で確認して、(体が熱い…)
準備完了!(なんなんだ~、この暑さは…)

この暑さ、仙台では有史以来初ではないでしょうか?
そもそも、仙台人の体は冷夏には適応できますが、猛暑には適応不可です。

おや~、木星が画面上から外れていきます。
ピリオデックエラーにしては動きが変です。赤道儀もこの暑さに
耐えられず悲鳴を上げているのでしょうか?挙動不審です。

結局3カットしか撮影できませんでした。薄雲が厚くなって撮影終了です。
ノートパソコンも不調で撮影時刻の記録がとれてませんでした。

2010年の木星ファーストショット

2010.8.24 23時頃 SE200N ToUcam ProⅡ 15fps 90sec 1300frame

SEB南赤道縞が淡化して縞が1本になった木星です。小赤斑が
大赤斑と並んだり、小天体がぶつかったりと何かと話題の木星ですが
明るさはなんと-2.9等級!話題がなくても夜空で十分目立っています。

こちらは眼視で見た感じに近い木星

2010.8.24 23時頃 SE200N ToUcam ProⅡ 15fps 90sec 1300frame

大赤斑が昨年より赤くなっているという情報もあります。
大赤斑が見える日に色の確認と小赤斑の撮影にチャレンジ
してみましょう。今年の木星の衝は9月22日です。

600倍で見た月

2010年08月07日 | 
ふひゃ~、気流の良い時の月がこんなにきれいだったとは…

驚きです。月がピッタリ静止しています。今まで見てきた月とは
全く違います。なんときれいなことでしょう。小さなクレーターが
くっきり、しかもシャープに見えます。宇宙船の窓から月を見ると
こんな風に見えるのでは、と思わせる解像度です。

現在の倍率は200倍です。今日の気流ではもっと倍率を上げても
大丈夫でしょう。ということで、PH5mmのアイピースにチェンジです。
これで、倍率は600倍です。30cmの望遠鏡でも過剰倍率です。

ふひゃ!驚きです。像がクリアです。揺らぎが全くなくシャープです。
架台はドブなので月面が日周運動で静かに移動していきます。
その様子は、まるで月面上空を周回する宇宙船から見ているようです。

600倍で見るということは、計算上、月面上空633kmから見ていること
になります。まさに宇宙船から見た月面、といった感じでした。

どの場所もきれいでしたが下記の4地点が特に印象的でした。

シュレーター谷はちょうど画面いっぱいに広がって、いい感じに
見えました。欠け際なのでアリスタルコスの中は真っ暗に、ヘロドトスの中は
明るく見えていました。

彗星がぶつかった跡では、と言われているライナーガンマも
はっきり見えました。オタマジャクシのシッポのように見える
部分の途中にあるクレーターがくっきり見えたのが印象的でした。

Photographer/Claude Navarro Telescope:C14 + Barlow

ガッセンディはちょうど夜明けのようで、クレーターの中に
ギザギザの影が映っていて、これぞ荒涼とした月世界!
と言った感じに見えました。

ガッセンディに隣接している湿りの海は、谷の宝庫と
言われているところですが、まず目に跳び込んできたのは
湿りの海にある小クレーターです。なめらかな泥に小さな鉄球
を落としたかのようなクレーターは美しいのひと言に尽きます。

それに負けないほど美しかったのは西の端にあるドッペルマイヤー谷です。
そのドッペルマイヤー谷の北部に十字の形が見えました。

Rükl Zone 58

クレーターのように見える丸いところの中に
ドッペルマイヤー谷と直交するように小さな谷が見えます。
幅は何キロくらいでしょうか?今日見える谷の中では限界に
近いものです。

写真は撮っていませんが「Rükl MAP」にその場所が
あったので記録として載せておきましょう。

「Rükl MAP」は下図のようなインデックスがあって
月面の様子を調べるときにとても重宝します。

Rükl-based Index to the-Moon Wiki→MAP

いや~、気流の良いときに見る月は美しいですね~。
時の経つのも忘れて見入ってしまいました。気づくと
空はいつの間にか明るくなり、空に見えているのは
月と木星だけでした。
夏場の好気流、惑星はもちろんですが月面散歩も捨てがたいですね。

ISS超拡大眼視6thミッション

2010年08月06日 | ISS(国際宇宙ステーション)
8月6日プレスリリース
    「ISS超拡大眼視ミッションの6回目を本日予定通り行った」

「それはまたずいぶん唐突な話ですね~。しかも過去形ですか!?」
「そうだ。しかも倍率は200倍だ。」
「え?120倍も成功していないのに、いきなり200倍ですか!?」
「そう、焦点距離3000mに15mmのアイピースで200倍だ。」
「で、結果は?…」
「残念ながらミッションは失敗した。」
「…ですよね~、どう考えても無謀過ぎますよね~。」
「しかしながら、貴重なデータは取得できたと考えている。」
「そもそも今回のミッションの目的はなんですか?」
「限界を知ることで適正を見つけることである。そもそも、この
  ミッションは非常に難易度が高いため成功への道は険しい、
  であるからして…、」
「はい!ありがとうございました。次回のプレスリリースを待ってま~す。」


今回の通過条件は下記の通りである。


条件としてはかなり良い。

しかも夏場の好気流のためシーイングも良い。
直前に見た木星は揺れが全くなく、とてもよく見えた。
しかし湿度が高いため透明度はベストとは言えない状況である。

今日の拡大眼視ミッション・システムはWHITEY DOB30(f1,500mm F5)に
powermate2×を装着(合成焦点距離f3,000m)アイピースはPh15mmである。
今回の実視界は下記の通りである。

f3,000mm Ph15mm(見掛視界60°) 倍率200倍
実視界=60°÷200倍=0.30°(18.0分)

実視界
焦点距離1,500mm
☆PL25mm(52°) 60倍 52°÷60倍=0.86°(51.6′) ← 1st.2ndミッション
☆HC12mm(42°) 125倍 42°÷125倍=0.33°(20.1′) ← 5thミッション
・PL10mm(52°)150倍 52°÷150倍=0.34°(20.4′)
・Ph8mm(60°) 187倍 60°÷187倍=0.32°(19.2′)
・Ph5mm(60°) 300倍 60°÷300倍=0.20°(12.0′)

合成焦点距離3,000mm(powermate2× 使用)
☆WA32mm(70°) 93倍 70°÷93倍=0.75°(45.0′) ← 4thミッション
・Ph25mm(60°) 120倍 60°÷120倍=0.50°(30.0′)
・PL25mm(52°) 120倍 52°÷120倍=0.43°(25.8′) ← 3rdミッション
・Ph18mm(60°) 166倍 60°÷166倍=0.36°(21.6′)
・Ph15mm(60°) 200倍 60°÷200倍=0.30°(18.0′)← 6thミッション

☆はISSを確認できたミッション



これだけの狭視界でも天頂通過コースであれば
低高度で導入に成功すれば、追尾は可能と思われる。

成功への鍵は、いかに低高度でISSを補足するかである。

今回の通過では、高度20°付近でISSが地球の影から出てくる。
高度20°ではISSの移動速度はけっこう速い。見えた段階でISS
を導入できれば追尾可能だが、その後の導入はかなり難しいだろう。

今日のミッションでは導入限界高度の目安を判定できるかもしれません。

時間です。
う~む、ISSはまだ見えません…。お、見えました!
ほひょ、高度20°は予想以上に高い位置です。

一度目の待ち伏せ…、むむ、入りません。
二度目の待ち伏せのためファインダーを覗くと…、
あちゃ~、かなり速度が上がっています。
通過予想位置にあわせて待っていると、ものすごいスピードで
ISSが通過して行き、全く追尾できませんでした。

う~む、天頂通過コースの場合、高度20°は導入限界高度と
考えていいでしょう。導入目標高度は10°~20°でしょう。

さて、為す術がなくなった後は眼視で天頂を通過するISSを見送るしかありません。
トホホ…です。と、その時です。「そうだ!30倍反射式双眼鏡があったぞ~!」

急いで部屋に戻り、双眼鏡を手に外に出たときには、すでにISSは
北東の空…、何とか高度30°付近で導入に成功するも、手ぶれが激しく
詳細は分からず…、両端に光る鈴が付いた細長い板のように見えました。

ふう、ISSを見送ると、東の空には有明けの月がきれいに見えています。

天文エキスパートのKさんが(気流のいいときに見る月はものすごくきれいだぞ~)
と言ってたのを思い出し、望遠鏡を月にむけると…、「なんじゃ!こりゃ~!!!」
そこには今まで見たことのない月世界が広がっていました。

この続きは「600倍で見た月」で…。