晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

96P/マックホルツ第1周期彗星(96P/Machholz 1)

2023年01月30日 | 彗星
2023年見たい天体現象「2023年に明るくなる彗星」で紹介した96P/マックホルツ第1周期彗星(1/31に近日点通過)がSOHO LASCO C3 の視野内に入ってきたようです。

 本来 LASCO C3 の視野に写り込む彗星は太陽に突入するサングレージング彗星と言われるものがほとんどですが、96P/Machholz 1 のような短周期彗星が写るのは非常に希なことです。というよりはナンバー/Pの称号が付いた彗星では、96P/Machholz 1 がLASCO C3 に写り込むただ一つのほうき星です。

 その理由は 96P/Machholz 1 彗星の特異性にあります。96Pの周期は5.28年ですが、近日点距離は0.12AUで番号付き短周期彗星の中では最も近距離です。さらに軌道も変わっていて、異常なほど高い軌道傾斜角と高い離心率の両方を持つ唯一の短周期彗星となっています。


 さらに特筆すべきは彗星の化学組成が既知の彗星とは全く違う点です。96Pは1986年の発見から毎回帰ごとに観測されているため詳しい組成が分かっていますが、その観測によると太陽系の他の彗星では普通にある炭素とシアンが96Pでは異常なほど少ない結果が出ています。

 そのため、96P/Machholz 1 はエイリアン(太陽系外からやって来て取り込まれた)彗星ではないかと考えられているようです。もっとも、シアンが少ない理由としては、何度も太陽にあぶられたため揮発したという仮説とカイパーベルトの最も外側の非常に寒い領域で形成されたという仮説もありますが、軌道の特異性から太陽系外からやって来て木星に捕まったという考えは納得いくものでもありますね。

 炭素とシアンが少ないホントの理由は分かりませんが、直径6kmのこのほうき星は今回の近日点通過でも消滅することなく日の出前の東の空にやって来るはずです。近日点通過は2023年1月31日のはずですが、上記軌道図では2月6日に最も太陽に近づくシミュレーションになっています。正確な近日点通過日は分かりませんが、SOHO LASCO C3 image で見ることができますのでここ数日は96P/Machholz 1 ウォッチングを楽しむことにしましょう。
(SOHOのWeb pageはこちら→https://soho.nascom.nasa.gov/data/realtime-images.html

〈1/31 追記〉
1月29日14時~1月31日07時(JST)の様子


〈2/2 追記〉
1月29日9時54分~2月2日0時54分(JST)の様子


〈CME放出の様子〉
2月1日14時54分~2月2日0時54分(JST)

ZTF彗星(C/2022 E3)観望&撮影記録 1/27

2023年01月29日 | 彗星
 ホントに晴れてきた… 毎日雪空が続いていたが、SCW予報に1/27深夜の晴天エリア通過予報が現われた。ホントか?半信半疑であったがテレビを見ながらスマホでATOM com2の映像を見ていると、11時過ぎにオリオン座が見えてきた。

 しかも晴れエリアが奥羽山脈がある西側からやってきている。SCW予報どおりだ。この時期としてはめずらしい… さっそく外に出て晴天域が広がるのを待って、まずは赤道儀の位置からZTF彗星が見えるかチェックです。今宵のC/2022 E3 はこぐま座 β星 コカブの近くにあります。

 う~む、隣家の屋根と庭木はクリアしていますが、北側道路のLED街灯の真上ですね~。トホホ… ま、とりあえず双眼鏡で探索してみましょう。 …あれ? 見えませんね… そんなはずは… 明るくなっているはずだが… はて、LED街灯があっても双眼鏡では5等級まで見えてますが…

 ということで、いつものデジカメで撮って捜索です。

2023/1/28 0h58m27s D810A  Zoom-NIKKOR*ED 50-300mm ISO10000 f4.5 6sec
 …ありました。まだ雪雲が流れてますが、しっかり写っています。あらためて双眼鏡で見ると… あー、ありますね。かすかにしみ状の広がりが見えます。高度はまだ40°でLED街灯の影響もあるのでかすかにしか見えませんが、暗い空では簡単に見つかる明るさだと思います。

 では。ここから本格的に撮影です。今日の機材は Zoom-NIKKOR*ED 50-300mm(オールドレンズ)とSIGMA150-600mm f5-6.3 です。撮影は0時55分から04時09分まで行いました。撮影開始時は高度43°でしたが4時過ぎには高度54°になったので撮影条件はやや良くなりました。

こちらは04時過ぎ、高度54°、焦点距離500mmで撮影したZTF彗星(C/2022 E3)です。

2023/1/28 04h01m55s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f500mm ISO3200 f6 30sec × 2

 この時間に街灯を外して双眼鏡で覗くと、尾は見えませんが淡く広がるコマがしっかり見えました。尾が見えないので17Pホームズ彗星の超ミニチュア版といった感じですね。

これは焦点距離600mm、露出60秒を彗星核基準コンポジットしたものです。

2023/1/28 03h16m43s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO1600 f6.3 60sec × 3

 ダストテイルがもう少し明るくて長かったら光害地でもそこそこ写って見栄えがいいのですが… ちょっと残念ですね~。撮影時の地心距離は0.32AU(約4900万km)です。

で、こちらが120秒露出2枚をコンポジットして強調画像処理したものです。

2023/1/28 03h11m01s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO3200 f6.3 120sec × 2

 120秒露出でほぼ飽和状態をかなりの強調画像処理であぶり出した彗星頭部です。仙台市郊外の光害地ではこれが限界ですかね~。イオンテイルがまっすぐ上に伸びているようにも見えますが、アンチテールは全く写ってません。

双眼鏡で見た感じに近いのがこちらの画像、眼視では緑色には見えず白色です。

2023/1/28 03h39m28s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f390mm ISO10000 f6 10sec × 6

 ZTF彗星(C/2022 E3)の観望は今回で3回目ですが、遠征撮影は一度もできずじまいでした。当初は1/30と1/31に晴れ間があるという予報もありましたが、大寒寒波が居座っていて天気は良くないようです。

 2023年に見えるほうき星としてはC/2022 E3 が一番明るいので、暗い空でしっかり見ておきたかった気持ちは強いのですが、雪道を考えるとハイリスクなので残念ですが遠征はやめることになりそうです。まー、この天気の中で3回も撮影できたのですからむしろラッキーと考えた方がいいですね。 (^^ゞ

2023年1月25日の寒波は何年ぶり?〈検証〉

2023年01月25日 | お天気
 昨日から10年に一度の寒波が到来するとさかんに報道されているので
どれほど寒いのかと思って早朝の気温を確認してみると…

ふ~む、氷点下7℃ですか~。

 たしかに、寒いけど大騒ぎするほどの気温ではないですね~。
…と思ったのは朝だけで、日中に外気温度計を見て超ビックリです! 0℃を大きく下回ってます。

 なんと本日の最高気温は-4.2℃、仙台で最高気温がプラスにならない真冬日はたま~にありますが、これほど気温が低い真冬日は記憶にありません。ひょっとしたら今日の寒さは10年に一度のレベルを超えているのではないだろうか?…ということで、その疑問を解決すべく晴れスター気象解析斑が急遽出動しました~。

 2023年1月25日 日最高気温の低い方ランキング(宮城県)
    地名  最高気温 時刻 標高  〈今日の寒さは?〉
第1位 駒ノ湯 -10.2℃ 16:28 525m  観測史上1位(2位 -9.7℃ 1996/1/31)
第2位 気仙沼  -7.0℃  16:30 2m   観測史上1位(2位 -5.3℃ 1984/2/6)
第3位 新川   -6.4℃  19:57 265m  歴代2位(1位 -6.5℃ 1984/2/6)
第4位 川渡   -6.0℃  08:50 170m  歴代2位(1位 -6.4℃ 1996/1/31 1984/1/17)
第5位 塩釜   -5.6℃  11:09 105m  観測史上1位(2位 -5.1℃ 1996/2/2)
第6位 大衡   -5.4℃  12:32  57m   歴代2位(1位 -5.6℃ 1996/2/2)
第7位 古川   -5.0℃  12:15  28m   観測史上1位タイ(1位 -5.0℃ 1996/1/31)
第7位 志津川  -5.0℃  14:13  39m   観測史上1位(2位 -3.9℃ 2010/2/6)
第8位 築館   -4.8℃  09:47  25m   歴代3位(1位 -5.3℃ 1996/2/2 2位 -4.9℃ 1984/1/17)
第9位 鹿島台  -4.6℃  13:13  3m    歴代4位(1位 -5.0℃ 1996/2/2)
第10位 女川  -4.5℃  13:16  35m   観測史上1位(2位 -2.8℃ 2014/2/5)Δ
第11位 仙台  -4.2℃  14:58  39m    歴代2位(1位 -4.9℃ 1931/1/11)
第11位 蔵王  -4.2℃  13:05 112m   観測史上1位 (2位 -3.3℃ 2010/2/6)Δ
第11位 白石  -4.2℃  19:56  86m    歴代2位(1位 -4.4℃ 1996/2/2)
第12位 石巻  -3.8℃  12:53  43m   
第13位 丸森  -3.0℃  14:11  18m   歴代6位(1位 -4.4℃ 1996/2/2)
第14位 名取  -2.8℃  09:53  2m    観測史上1位 (2位 -2.2℃ 2014/2/8)Δ 
第15位 亘理  -2.7℃  13:36  4m    歴代3位 (1位 -3.0℃ 1978/2/1)

 上記ランキングは1月25日の最高気温を過去記録と比較したものですが、これを見るといろいろなことが分かりますね。

注目ポイント〈その1〉
上記の観測史上1位の8か所と歴代2位の5か所の記録から今回の寒波は1996年と1984年を上回る寒波またはそれと同等だったことが見て取れます。(Δ印の女川、蔵王、名取は統計開始が2000年以降なので除く)ただし、観測史上1位を記録した地点は1976年11月が統計開始年なので、1976年11月以降という期間限定になりますが最強寒波だったということが言えます。

注目ポイント〈その2〉
1926年(大正15年)から統計を開始している仙台での最高気温の低い方ランキングを見ると1996年(第6位)と1984年(第7位)の記録を抜いて第2位になっていることから過去約100年間で2番目に強い寒波だったと言っても過言ではないと思われます。
日最高気温の低い方ランキング(仙台)
(統計期間 1926/10~2023/1)
第1位 -4.9℃ 1931年1月11日
第2位 -4.2℃ 2023年1月25日←(本日)
第3位 -3.8℃ 1947年2月3日
第4位 -3.6℃ 1936年1月6日
第5位 -3.5℃ 1936年1月21日、1927年1月21日
第6位 -3.1℃ 1996年2月2日、1990年1月24日、1977年1月1日
第7位 -3.0℃ 1984年2月6日、1931年2月8日

注目ポイント〈その3〉
1887年(明治20年)から統計を開始した石巻では1月25日の最高気温はランキングの歴代10位にも入っていません。これは19世紀末から20世紀初頭にかけて気温の低い年が多かったためと思われます。石巻だけランキングに入っていないのが不思議でしたがそういうわけだったんですね~。
日最高気温の低い方ランキング(石巻)
(統計期間 1887/9~2023/1)
第1位 -6.8℃ 1906年1月21日
第2位 -5.2℃ 1931年1月11日
第3位 -5.0℃ 1891年2月10日
第4位 -5.0℃ 1889年1月19日
第5位 -4.8℃ 1947年2月3日
第6位 -4.7℃ 1931年2月8日
第7位 -4.5℃ 1971年3月7日
第8位 -4.5℃ 1936年1月31日
第9位 -4.4℃ 1976年1月20日
第10位 -4.4℃ 1936年1月17日

 これまで、朝の最低気温ランキングを寒さの指標と捉えていましたが、考えて見ると朝の最低気温は放射冷却で下がることが多いので寒気のことを考えると最高気温で比較するのが正論かなと思いました。今回の寒気はごく短期間のことなので今季が厳冬だったというわけではありませんが、歴史に残る第一級の寒波がやって来たということは間違いないですね。

 例年1月下旬から2月上旬が厳冬期なので寒さはまだ続くと思いますが、雪はなるべく降らないでほしいですね~。1月25日の仙台の積雪は10cmでした。



二日月と金星、土星の接近 1/23

2023年01月24日 | 
1/23の二日月と金星、土星の接近観望記録です。

 昨日の接近はホントにきれいでした。ここ最近ではピカイチではないでしょうか。ビーナスベルトの中で輝く二日月と寄り添って輝く金星と土星…。 これほどの絶景になるとは予想してませんでした。

2023/1/23 17h20m59s D810A f280mm ISO1600 f8.0 1/13sec

 ここ数日は、日中は全天曇りで日没の前後だけ晴れる傾向がありましたが今日はどうだろう?と半信半疑で待っていると… 晴れてきました! 日没時刻には西空の雲がほぼ無くなりました。このまま天気が続けば見えるかも…いやがうえにも期待が高まります。

 本日の日没時刻は16時49分、すでに金星は見えていますが月はまだ見えません。二日月は日没30分後には見えますが、今日は金星の左下約4°のところに二日月があると分かっています。日没10分後の17時に試しに双眼鏡で覗いてみると… お、ありました!すでに見えています…これは、すばらしい! 茜色に染まった月齢1.5、輝面比0.03の細月が金星と並んでいます。

本日のファーストショット(なぜか絞りf20で撮っているので画像が暗くなってます。トホホ…)

2023/1/23 17h03m36s D810A f240mm ISO1600 f20 1/100sec

月齢1.5(輝面比0.03)新月から35時間15分後の月

2023/1/23 17h10m15s D810A f600mm ISO1600 f8.0 1/60sec

カメラが土星を捉えたのは17時12分、ビーナスベルトの中に浮かぶ二日月が美しすぎます。

2023/1/23 17h12m50s D810A f230mm ISO1600 f8.0 1/15sec

夕焼け色のコントレールを曳いた飛行機が通過中!

2023/1/23 17h21m39s D810A f280mm ISO1600 f8.0 1/5sec

かすかですが地球照が写るようになりました。

2023/1/23 17h27m27s D810A f240mm ISO1600 f8.0 1/1.3sec

土星を眼視で確認できたのは17時33分でした。今日は見えました~。

2023/1/23 17h28m15s D810A f240mm ISO1600 f8.0 1/5sec

 17時30分を過ぎた頃から空が暗くなりました。青味が残る薄明の空で見る月と惑星の接近はとてもキレイですが、空が暗くなってから地球照が見える月と接近する惑星は神秘的な美しさがあります。

2023/1/23 17h37m40s D810A f280mm ISO1600 f7.1 1/2.5sec

月高度はまだ5°ですが奥羽山脈を越えてくる雪雲にまもなく沈みます。

2023/1/23 17h45m53s D810A f280mm ISO1600 f5.6 1sec

本日のラストショット

2023/1/23 17h48m33s D810A f260mm ISO3200 f5.6 1sec

 昨日の天気と同じように17時30分以降はたくさん雪雲が流れてきて月を隠す時間が多くありましたが、この気象条件で長時間に渡って二日月と二惑星の接近を見られたのはまさにミラクルでした。天気の神様に感謝ですね!


金星と土星の接近 1/22

2023年01月23日 | 金星
 1月22日の金星と土星の接近観望記録です。

 撮影を開始したのは17時を過ぎた頃、眼視で見えるのは金星のみでしたが画像では土星がしっかり写っていました。撮影時刻は日没の22分後、金星の高度は14°です。

2023/1/22 17h10m17s D810A f150mm ISO1600 f5.6 1/160

 金星と土星の離角は43′16″、23日の最接近では34′54″まで近づきます。

2023/1/22 17h18m19s D810A f150mm ISO1600 f5.6 1/80


 こちらは600mmで撮影した画像をトリミングしたものですが、なんとな~く金星と土星の形が分かります。金星は左上方が少しだけ欠けています。土星の方が視直径が大きいというのは意外でした~。

2023/1/22 17h28m25s D810A f600mm ISO2000 f8 1/10(トリミング)

 17時30分頃からは雪雲が流れてきて見え隠れする状態が続いて、結局土星を肉眼で確認することはできませんでした。これは日没40分後の写真ですが、やぎ座のδ星(2.85等と)、その下にやぎ座のγ星(3.69等)を確認することができます。

2023/1/22 17h33m27s D810A f600mm ISO1600 f8 1/4

 さて、本日23日は最接近した金星と土星に二日月が近づきます。はたしてみえるでしょうか。天気は良くありませんが雲が切れることを期待して待ち構えることにしましょう。

1月19日のCSS通過の様子

2023年01月22日 | CSS(中国宇宙ステーション)
昨年末に購入したATOM com2 でCSS通過の様子を撮影してみました~。

 ATOM com2 は感度がいいので流星検出にも使えると評判ですが、今のところは家に居ながらにして空の様子が分かるお天気チェックカメラとしてのみ使っています。(^^ゞ

 これをISSやCSSの撮影時の記録用カメラとして使えたらお気楽に撮影できるのでどんなものか試してみました。以下そのレポートです。

 と、その前に ATOM com2 のスペックですが、焦点距離は2.8mm、画角120度、デジタルズーム8倍、解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)でナイトビジョン機能もあるので小さい割には優秀な性能といえます。

 撮影は天気に恵まれずなかなかできなかったのですが1月19日にチャンスが巡ってきました。衛星はCSSなので最大光度は-1.8等級ですが暗い方が感度を確かめられるのでむしろ好都合です。

 で、こちらが撮影した動画です。(動画は3倍速で再生しています)
 中国宇宙ステーション通過の様子 2023.1.19

 通過図とイベントデータはこんな感じでした。


 今回の撮影は感度の高いナイトビジョンモードで撮影していますが、月明かり程度の光量があれば(感度はやや低下しますが)鮮明なカラー撮影ができるカラーナイトビジョンモードもあるので、様々なシチュエーションでテスト撮影をしていくことにしましょう。

太陽黒点(SunSpot 3190)

2023年01月21日 | 太陽
久々に肉眼黒点が出ているというのでウオッチングしてみました~。

 久しく使ってない太陽関連グッズBOXから日食グラスをゴソゴソと取り出して、雲が切れたところを見計らって太陽を覗いてみると、

 ほほう、たしかに肉眼で見える黒点があります。驚くほど大きい黒点ではありませんが、ほぼ中央にポツンと黒点が見えてます。次に太陽観測用双眼鏡(10倍)で見てみると… わぉ! 肉眼では一つだけでしたが双眼鏡では黒点がたくさん見えます。こんなにたくさん黒点がある太陽は久しぶりです。

 …ということで、取り急ぎ80mm望遠鏡を出して撮影したのが下記画像です。 

1月20日10時10分の太陽面

2023/1/20 10h10m41s EVOSTAR80ED ZWO ASI174MM UV/IRcut 
Duration=30s Shutter=0.051ms Gain=38 (9%) AS!3 25% of 1311



 SOHOで確かめたところ、黒点群は9つあるようです。一番大きな黒点 AR3190は地球の直径のほぼ5倍だそうです。さすが太陽!スケールが違いますね。

2023/1/20 10h17m18s EVOSTAR80ED ZWO ASI174MM UV/IRcut 
Duration=30s Shutter=0.051ms Gain=38 (9%) AS!3 25% of 1961


青空の中の月(月齢27.6 新月2日前)

2023年01月20日 | 青空の中の月
1月20日は見たい天体現象で紹介した「有明の月と水星の接近」の日です。
ということで初日の出を見た場所に観望に行ったのですが結局見ることができませんでした~。

 天気はそこそこ晴れていたので少々雲があっても見える瞬間はあるだろうと期待を胸に4時30分には家を出て、途中のコンビニでカフェラテを買ってルンルン気分で月出を待っていたのですが…

2023/1/20 5h40m14s D810A f150mm ISO1600 f5.6 1/2sec

 …はてさて、月出時刻を過ぎても月明かりがまったく見えません。薄雲があったとしても輝面比0.06の月明かりが見えないはずはないのだが… ひょっとして方位を間違えているのか? と思って双眼鏡で探すも月は全く見えません。

(この数十分後、黒く写っている空は雲の無い晴天域だと都合の良い方に勝手に考えてしまう「確証バイアス」が働いていたことを知って愕然となります。あちゃ~)

2023/1/20 6h04m24s D810A f150mm ISO1600 f5.6 1/1.3sec

 そ~なんです。上記の写真を撮って黒い空が実は分厚い雲層だと気づいたのですが、こんどは雲の間から月が見えるかもしれない…と別の「確証バイアス」が働き出して待つこと数十分…。あとで冷静に考えるとおバカだなぁと思うのですがその時は気づかないんですよね~。

 …ということで「有明の月と水星の接近」はみごと撃沈でした。トホホ…

 なんの収穫もなしに手ぶらで帰ることがどこか釈然としないもう一人の自分が、ならば青空の中で撮影してリベンジだ~という意味の無いことを叫んでいるような感じがして、それもそうだなと思って9時過ぎに南の空にある月を双眼鏡で探してみました。

2023/1/20 9h14m18s D810A f400mm ISO200 f6 1/8(トリミング)

 なんと探して5分もしないうちにあっさり見つかりました。新月2日前の輝面比0.06の月を青空の中で見付けるのは難しいはずですが、流れる雲があったことで動かない月との対比で見つかりやすかったのかもしれません。

2023/1/20 9h14m25s D810A f400mm ISO200 f6 1/1000sec(トリミング)

 過去ブログを見ると2012年10月13日に同じく新月2日前の月を青空の中で撮影していますが、その時の輝面比は0.09だったので今回の撮影で青空の中の細い月撮影の記録更新となったようです。めでたし、めでたし…

ZTF彗星(C/2022 E3)観望記録 1/19

2023年01月19日 | 彗星
1月19日早朝のC/2022 E3 観望記録です。

 観望を始めたのは03時を少し過ぎた頃…月出時刻は4時09分なのでまだ月明かりはありません。今日の月齢は26なので昇ってきてたとしてもそれほどは気にはなりませんが、さて前回は双眼鏡で確認できませんでしたが、今日はどうでしょう? さっそく双眼鏡で覗いてみると…

 おっと、すぐ見つかりました。近くにあるうしかい座の2つの恒星と並んで正三角形の頂点のように見えてます。明るさは…う~ん、6等級~7等級の間くらいでしょうか。コマは見えますが尾は双眼鏡では見えません。

 本日の観測場所は、またしても自宅からのお気楽観望です。なので、バリバリの光害がある場所なので6等星が見える暗い空ではもっと明るく見えることと思います。で、今日の観測機材ですが、本日は20cm反射望遠鏡をすでにセッティング済みです。

 天気が良くなることが分かっていたので、昨夜からセッティングして温度順応をがっちりしてあります。では導入です。正立ファインダーでかんむり座からたどっていくと… ほう、今日は目印になる星が近くにあったので思いのほか簡単にたどり着きました。

 25mmアイピースを入れて40倍で覗いてみると、おおー、光害の空でもしっかり見えます。尾が伸びている様子は見えませんが、尾が伸びている方向ははっきりわかります。距離はまだ0.54AUなので接近時はさらに明るく見えるのでしょうね。

 おっと、撮影を急ぎましょう。時間に余裕はありません。撮影はコマコレクターを装着しての直焦点です。記録を見ると撮影は4時8分から4時59分まで行っていました。撮影はけっこうの枚数を撮りましたが、今日は取り急ぎ画像処理の終わった3枚をご紹介します。

1月19日のZTF彗星(C/2022 E3) 地心距離0.54AU

2023/1/19 04h11m16s. 04h11m56s. D810A SE200N ISO3200 30sec×2

 撮影時高度は55°です。右方向にイオンテイルが伸びている様子がかすかに分かります。ISO感度を上げて撮りたいところですが光害があるのですぐ飽和してしまいます。さらに彗星の移動速度が速いので長時間露出では彗星が流れてしまいます。自宅からの撮影としてはこの辺が限界のようでした。

2023/1/19 04h17m02s. 04h17m41s. D810A SE200N ISO2500 30sec×2


 こちらは光害フィルター(LPS-P2)を装着して撮影した画像です。月が高く昇ってきたからか、画像処理が適切でないのか、LPS-P2を装着した方は尾の写りがイマイチ良くないように感じます。

2023/1/19 04h44m08s. 44m46s. 45m59s. 46m46s. D810A SE200N ISO3200 30sec×4

 1枚目と3枚目の時間差は約30分ですが、彗星の位置が大きく変わっていることが分かります。今日の彗星の移動量は273秒/時間ですが地球接近時は約1000秒/時間なのでおそろしく速いことがわかりますね。お天気次第ですがチャンスがあれば遠征撮影に行きたいと思っているのですが、大寒波が来る予報もあるのでやや弱腰になってます。次回も自宅からの撮影になってるかも… (^^ゞ

〈1月19日 3時00分の天気図〉

ZTF彗星(C/2022 E3)初観望記録 1/13

2023年01月14日 | 彗星
 …昨日のブログの続きです。

 ヤバイヤバイ…時刻は4時12分です。目覚ましを4時にかけていたはずなのに誰かがアラームを止めたのか!?… なんてことがあるわけ無く、保険としてかけておいた睡眠アプリアラームがセットされていなかったためルーティーンで?無意識にアラームを止めた後に二度寝をしてしまったようです。

 本日の薄明開始は5時19分です。急ぎ外に出て赤道儀ピラーからとりあえずの1枚を撮影すると… あら!? ZTF彗星は屋根も庭木も超えてますが、なんと電柱でござる!
 
2023/1/13 04h39m39s D810A Zoom-NIKKOR*ED 50-300mm F4.5 ISO1600 2sec f5.6

 あちゃ~こりゃあかん… ということで少し離れたところに三脚を立てて固定撮影でZTF彗星撮影をしながら双眼鏡で彗星探索です。星図で位置は確認しているのですが… う~む、月明かりがあるせいかZTF彗星はまったく見えませんね~。まだ7.1等級なので無理ですかね…。

 しか~し、デジカメではご覧のとおりあるべき所にしっかり写っていました。今日のC/2022 E3は、ギリかんむり座にありますが明日14日からはうしかい座エリアに入ります。

2023/1/13 04h53m37s D810A NIKKOR 24mm-70mm F2.8 f62mm ISO2000 6sec f2.8(トリミング)

 05時を過ぎた頃からは赤道儀の位置でZTF彗星を撮影できるようになりました。まだ写野に電柱が残ってますが薄明開始まであと20分なので撮影を急ぎましょう。こちらは焦点距離200mmで撮影した画像です。位置確認のために撮影した写真なので露出は6秒程ですがコマもうっすら写っています。

2023/1/13 05h04m43s D810A Zoom-NIKKOR*ED 50-300mm F4.5 ISO2000 f200mm f5.6 6sec  

 05時の高度は45°なので十分高い位置にあります。1月13日現在の地心距離はまだ0.7auですが、2月1日-2日の地球接近時には0.28au(約4200万km)まで近づきます。光度が4.8等級まで明るくなる予報が出ていますが、そのころは満月に近い月が出ているのが惜しいところですね。

2023/1/13 05h09m46s D810A Zoom-NIKKOR*ED 50-300mm F4.5 ISO1600 f200mm f5.6 10sec  

 こちらは300mmで撮影した画像をトリミングして400mm相当の画角にしたものです。露出60秒の1枚画像ですが、わずかにダストテイルが伸びている様子が写っています。

2023/1/13 05h18m18s D810A Zoom-NIKKOR*ED 50-300mm F4.5 ISO1000 60sec f5.6(トリミング 400mm相当)

 こちらは4枚をコンポジットした写真です。(総露出時間140秒)

2023/1/13 05h12m48s~05h16m41s D810A Zoom-NIKKOR*ED 50-300mm F4.5
f300mm f5.6 ISO3200 20sec、ISO3200 30sec、ISO1600 30sec、ISO1600 60sec、(トリミング 600mm相当)


 さて、ZTF彗星は1月12日に近日点を通過してすでに太陽から遠ざかりつつある状況なので肉眼で尾が長く伸びて見える巨大ほうき星に大化けすることはありませんが、地球接近時の距離が0.28auとかなり近いので観望中に見える位置が変わっていく様子を楽しむことができます。

 最接近時は見かけ上の移動距離が1時間で約15′(満月の直径の約半分)なので、まさに星空を駆け抜けていく様子が見られます。ダストテイルがどのくらい伸びて見えるかは分かりませんが、2021年12月に西空で見えたレナード彗星のダストテイルに近い形で見えるのでは…と勝手に妄想しています。

*2021年12月22日に撮影したレナード彗星(5枚コンポジット:総露出時間50秒)

2021/12/22 17h38m35s~39m35s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO3200 f8.0 10sec×5

 地球接近時にZTF彗星(C/2022 E3)がどのような姿を見せてくれるのか今から楽しみですね。観望好機は彗星の高度と接近距離、そして月没後の時間であることを考えると1/30と1/31がベストだと思うのですが、そのどちらかが晴れてくれるといいですね。(2日とも晴れるのが一番いいのですが…)

 今後、月が新月になる1/21頃から大寒寒波が来る予報もありますが、晴れ間を探しながらZTF彗星(C/2022 E3)のウオッチングを続けることにしましょう。