晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

サイディング・スプリング彗星(C/2013 A1)

2014年10月26日 | 彗星
10月19日に火星との距離わずか138,000kmまで接近したサイディング・スプリング彗星を火星上の探査機はどのように観測したのでしょう。現在公開されている情報から読み解くことにしましょう。

火星の隣に見られるサイディング ・ スプリング彗星

こちらはハッブル宇宙望遠鏡が撮影した複数の画像をコンポジットして最接近時の様子を再現したもの。サイディング・スプリング彗星と火星の角距離は1.5分(満月の1/20)。火星は彗星と比較して1万倍明るいため実際にはこのように見えることはない。また彗星の核が明るく輝いているため大きく感じるが実際の大きさは1km以下である。

マーズローバー・オポチュニティが火星上から撮影したサイディング・スプリング彗星

これはマーズローバー・オポチュニティがパノラマカメラを使用して撮影した画像。露出は50秒、最接近時は火星上の早朝になり彗星を撮影するには明るすぎるため、再接近2時間30分前となる、夜明け前の比較的まだ暗い時間に撮影をおこなった。火星上でマイナス等級に見えるという前評判だったので期待していたのだが、ちょっと残念な写真である。オポチュニティの西方で砂嵐が起きていたようなので透明度はベストではなかったらしいが、パノラマカメラの限界かもしれない。

そもそも、発見時は核の直径が50kmという巨大彗星のはずだったが、NASAの探査機「マーズ・リコナサンス・オービター」の観測で核の直径は1km未満であることが分かった。

サイディング・スプリング彗星が発見されたのは木星軌道の内側付近…

オールトの雲から初めて飛来する彗星はチリに覆われていないため遠距離の位置でジェットを放出することがある。そのため絶対等級が高めに測定され、あとになって核の大きさを下方修正することはあるが、アイソン彗星に引き続き、期待はずれとなったのはとても残念な出来事である。

ネオワイズ探査機が7月28日に撮影した画像

これはNASA's NEOWISEが 1.55天文単位の距離から撮影した画像、このときサイディング・スプリング彗星は太陽から1.88天文単位離れていた。(オレンジ色に見えているのがサイディング・スプリング彗星)この時点では、核の直径が1km未満だとは思えませんでした。分からないものです。

火星最接近から1週間が過ぎ、新たな情報が出なくなったように思いますが、多くの探査機が様々な観測をしていますので、これから観測報告が続々出てくるはずです。

一番気になっていることは、キュリオシティからの情報がまだ発表されていないことです。
分析に時間がかかっているのでしょうか。今後の情報を待つことにしましょう。

Sun Spot AR2192

2014年10月25日 | 太陽
太陽に肉眼黒点がでています。

遮光プレートと太陽観察用双眼鏡では見ていましたが、
写真は撮っていなかったので、本日はその撮影会です。

雲一つない快晴ですが、水蒸気量が多いような透明度です。

2014.10.25 9:21:37 BORG60 Powermate2 NIKON D90 ISO Lo1 1/1250(トリミング)

ToUcamでも撮影しました。


望遠鏡が古いのでレンズがゴミだらけです。

2014.10.25 14:33 D60mm f1200mm ToUcam 1300frame Registax

向きを合わせて一枚の画像にまとめてみました。


黒点関連ブログ→SunSpot1654(*),1339(*),1140(*),1109(*),1041(*),1040(*),1039(*),1035(*)

10月8日皆既月食:観望会記録

2014年10月12日 | 月食
10月8日は仙台でも好天に恵まれ最高の条件で月食を見ることができました。
皆さんも思い思いの場所で夜空の天文ショーを楽しんだことと思います。

今回は始まりが18時14分でしたので遠征はせず、職場で残業中の同僚と
ワイワイ言いながらのプチ観望会とあいなりました。

〈イベント時刻〉
部分食の始まり:18時14.5分
皆既食の始まり:19時24.6分
食の最大    :19時54.6分
皆既食の終わり:20時24.5分
部分食の終わり:21時34.7分

今回使用した望遠鏡
〈CELESTRON C90 MAK 90mm Spotting Scope〉
光学系:マクストフカセグレン
口径:90mm 焦点距離:1250mm  F値:13.9 
アイピースPL32mm(39倍) 45°正立プリズム

ちょい見用のお気軽望遠鏡ですが、正立プリズム入りで
見た目の月と同じ向きで見られるのがメリットです。

おっと、時刻は18時30分を過ぎました。ここからはビルにじゃまされ
見えないのでちょっと移動してみましょう…。

ほひょ、すでに地球の影にかなり食われています。
18時30分過ぎは食分でいうと0.3ほどですが左下がかなり欠けています。

さっそく、みんなを呼んで観望会です。まずはアイピースを覗いてもらい
月が見えるか確認です。これは観望会での大事なファーストステップです。

どうやら皆さんクリアーです。まだ食分が小さいので欠けた月を確認できた方
から残業再開モードです。次の観望は皆既20分前の19時頃にしましょう。

~カチャカチャ~みなさん残業中

そろそろ時間です。次のターゲットは天王星です。
月明かりが暗くなってきたので探してみましょう。

ありました!19時過ぎに発見です。かなり月から離れていますがギリギリ
同一視野に収まっています。(月は右縁が少しだけ見えている状況ですが)

「お~い天王星が見えたよ~」
「え~、天王星って、水金地火木土天海冥の?」
「えっ、今は水金地火木土天冥海じゃなかった?」
「いや冥王星は無くなったよ~」
などと、やけにハイレベルなつぶやきを発信しながら皆が集まってきました…。

見えたと言っても、望遠鏡はF14で、現在地は仙台国分町まで徒歩2分の場所です。
望遠鏡の中でかすかに輝く、5.7等級の天王星を見つけるのは、望遠鏡を見慣れていない人にとっては至難のわざです。

「月縁が9時方向に見えるので、反対側の2時から3時方向を探すと小さな光る点が見えるので…、それを探して…、えっ見えない…、そこに必ずあるから…」とおまじないのように繰り返したところ、全員が天王星を見つけることができました。
「えっ、あの小さな光の点が天王星…」
「わぁ~初めて見た~」「うわぁ小さい!」
「へ~、天王星ってこんなに遠いの~」
「宇宙って広いねぇ~」などと、やはりハイレベルな感想を述べていました。

さぁ~て、そろそろ皆既が始まります。本日の観望会メインイベント、ターコイズフリンジの観望です。今回の皆既月食開始はちょうど月の上が明るくなって指輪のように見えます。その様子は、夜空に輝く0.01カラットのダイヤモンドリングといった感じでとてもビューティフォーです。

「ではみなさん、これからターコイズフリンジを見てもらいます。」
「今、月はまもなく皆既に入ります。てっぺんが明るく見えて、月の下はすでに赤銅色になっていますが、そのあいだが青っぽく見えます。ターコイズ色に見えるので、これをターコイズフリンジと言います。さぁ、望遠鏡を覗いて自分の目で確かめてみましょう。」

「えっ、ターコイズってトルコ石のこと?」
「月が青っぽく見えるって聞いたこと無いけど…。」
「あー、ほんとだ! 欠け際が青っぽく見えてる、不思議~」
「えっ、これって知られてることなの?」

「これは太陽光がオゾン層を通過する時、赤い光が吸収されて青い光だけが直進するからだと言われています。」

「あー、そうかー、オゾン層は高いところにあるから、欠け際だけ青くなるんだ~」
「へりがターコイズ色になるから、ターコイズフリンジって言うワケね~、納得。」
むむ…、またしてもハイレベルなつぶやきです。

さ~て、時間も遅くなってきたので、そろそろ終了です。
「天王星を初めて見たし、月食中のターコイズ…フリンジ?…も初めて見てたのしかった~」という感想を背中で聞きながら撤収開始です。

そうそう、自分の目で直接見るということが観望会の醍醐味です。たとえ小さな光の点でも、天王星から2時間30分かけて届いた光を見ているという体験が実感につながります。

観望時はカメラを持っていなかったので、帰宅してから今回の記念写真?を撮りました。

「食分0.51」

2014.10.8.21:01:47 D90 BORG60 Powermate2× ISO800 1/2000(トリミング)

「地球の影に写るウサギの耳」

2014.10.8.21:04:45 D90 BORG60 Powermate2× ISO800 1/4(トリミング)

「半影食」

2014.10.8.21:40:46 D90 BORG60 Powermate2× ISO800 1/4000(トリミング)