晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

9月28-29日の火星

2020年09月30日 | 火星
9月28日の続き…。

23時過ぎに何げなく外を見ると…わぉ、なんと晴れてます。火星が-2等級の明るさで輝いています。ふむ、ここで撮影しないともったいないお化けがでますね。さっそく火星を撮影することにしましょう。再度望遠鏡の準備です。

…で、本日のファーストショットです。

9月28日23時52分(JST)の火星



2020.9.28 14h52m(UT)   CM=170.6° Diameter=22.30"
ZWO ASI290MC Shutter=17.19ms Gain=300 (50%) Duration=120s
AS!3 Noise Robust6 50% of 5132frame AP14

ふ~む、µ-210にPowermate5×を装着しての撮影ですが、今日の気流では耐えられないようですね。システムをPowermate2×にチェンジして拡大率を下げてみましょう。

9月29日0時32分(JST)の火星



2020.9.28 15h52m(UT)   CM=180.4° Diameter=22.30"
ZWO ASI290MC Shutter=3.491ms Gain=287 (47%) Duration=120s
AS!3 Noise Robust6 20% of 21995frame AP1

ふむ、いい感じに模様が出てきましたが、拡大率が小さいので画像サイズもかなり小さくなっています。AS!3にはスタックするときに画像サイズを大きくするDorizzle機能があるので試してみましょう。拡大率は1.5倍です。



どうでしょう? もっと解像度が悪くなるかと思ったのですが、この程度なら許容範囲ですね。これからは8月‐9月のような好気流は望めないので、気流が悪いときはPowermate2×で撮影してDorizzle1.5倍でスタックするのが無難ですね。

9月28日の木星

2020年09月29日 | 木星
9月28日の夕方、まだ青みが残る薄暮の空で木星が輝いています。

windyの予報では200hPaの風速が50kt、500hPの風速が20kt程度だったのでかなり期待したのですが、実際はかなり揺らいでいる状態…、考えてみれば9月も終わりなので夏のような好気流を望むほうが無理ですね。現実は直視せねば。

とりあえず撮影してみましょう。

9月28日18時19分の木星 Diameter=40.81" Magnitude=-2.38


2020.9.28 09:19(UT)  CMI=166.7° CMII=299.1° CMIII=35.9°
Duration=60s Shutter=15.32ms Gain=300 (50%) Autostakkert3 50% of 2323 Ap26

ふ~む、よくないですね~。日没直後は凪の状態になって気流が落ち着くのでは…と思ったのですが、そう甘くはなかったですね。

ここで夕食を取って仕切り直しとすることにしましょう。

食事中~



さ~て、時刻は19時30分になろうとしています。撮影再開です。



2020.9.28 10:27(UT)  CMI=207.8° CMII=339.8° CMIII=76.6
Duration=60s Shutter=14.20ms Gain=300 (50%) Autostakkert3 20% of 2703 Ap131

 大赤斑が正面に来ていますね~。黒い点は衛星イオが木星の表面に落とした影です。

 気流は相変わらずメラメラなので、ここからはスタック枚数を20%としています。アライメントポイントサイズはいろいろ試してみたのですが、今日の気流では小さいサイズの方が良かったのでAP130前後でスタックしています。


 撮影時のパラメーターはほぼ同じですが、19時40分と19時47分に撮影した画像だけ比較的よい解像度で模様を抽出することができました。動画を見てもそんなに違いはないのですが、何が功を奏したのかよくわかりません。


19時40分の木星

2020.9.28 10:40(UT)  CMI=215.9° CMII=347.8° CMIII=84.7°
Duration=60s Shutter=16.19ms Gain=300 (50%) Autostakkert3 20% of 3706 Ap135


19時47分の木星

2020.9.28 10:47(UT)  CMI=219.9° CMII=351.8° CMIII=88.7°
Duration=60s Shutter=15.94ms Gain=300 (50%) Autostakkert3 20% of 3764 Ap137

イオの影が完璧な真円でキレイですが、これって正しいのかな? ちなみにイオは木星の表面上に写っていますが模様に埋もれて分かりにくくなっています。場所はこちら→衛星イオ


さ~て、木星はこの辺で切り上げて、このあと土星→月→火星と撮影をする予定だったのですが、土星を5ショットほど撮影したところで、まさかの雲が突如モクモクと湧き出て…

19時52分の土星

2020.9.28 10:52(UT)  Diameter=17.20" CMI=89.0° CMIII=222.0°
Duration=120s Shutter=43.96ms Gain=350 (58%) Autostakkert3 50% of 2730 

…あっという間に雲量9の曇り空になってしまいました。 ざ~んねん!

本日のラストショット→MOON

9月21日の火星

2020年09月23日 | 火星
すっきりしない天気が続いていた仙台でしたが、9月21日は午後から雲が切れて…
なんと夕方には快晴になりました。

こ~れはチャンスです。windyによると200hPaの風速は80ktオーバーとかなりの強風ですが高度が高い火星は気流の影響を受けにくいので撮影決行です。

ワクワクしながら火星が昇ってくるのを待っていると…あらら、21時過ぎから薄雲がやってきて撮影を始めた23時には見えている星は火星のみという状態に…

あんなに天気が良かったのになぜ~…と愚痴を言いたくなるところですが、薄雲があるということは気流は良くなっているはずだ!…と自分に言い聞かせて撮影を続行です。

なにごともポジティブ・シンキングが大切です。

本日の火星は Ls= 282° 惑星緯度=-18.0°  視直径=21.7″ 光度=-2.3等級です。

…で、撮影した火星がこちらです。

9月21日 23時51分(JST)の火星


2020.9.21 14h51m(UT)   CM=232.7°
ZWO ASI290MC Shutter=62.64ms Gain=392 (65%) Duration=90s
AS!3 Noise Robust6 50% of 1437frame AP9

ふ~む、火星以外の星は見えない薄曇り状態でもそれなりに写るもんですね~。ちょっと驚きです。SCWでは03時頃に雲が切れる予報が出てますので、しばらく休憩することにしましょう。


コーヒーブレイク中~


さ~て、時間は02時前ですが、待ちきれずに撮影再開です。空の具合はのっぺりとした高層雲から、厚みにばらつきのある層状の雲になったようです。火星の明るさがランダムに変化していますが、天気の回復を期待して撮影を始めましょう。

9月23日 01時41分(JST)の火星


2020.9.21 16h41m(UT)  CM=259.5°
ZWO ASI290MC Shutter=53.30ms Gain=358 (59%) Duration=120s
AS!3 Noise Robust6 50% of 1631frame AP9

撮影している間に雲がだいぶ薄くなってきました。というより秋の四辺形の部分のみが晴れています。四辺形の二等星はきれいに見えてますが、そのほかの星は見えません。晴天域がもう少し東に寄ると火星がバッチリなのですが…、この状態は何分たっても変わりませんでした。まー、これでも今日の撮影の中では一番いい状態といえますね~。

 現在の火星は、北半球の冬至、南半球の夏至から約3週間が過ぎたところです。この時期を地球の暦に換算するとお正月ごろになるそうです。地球では寒さのピークも暑さのピークも冬至、夏至からひと月以上後ろにズレます。このズレを放射緩和時間といい、地球の場合は100日ほどあるのですが、火星はなんと3日しかないそうです。地球では「暑さ寒さは彼岸まで」ですが、火星では「暑さ寒さは夏至と冬至まで」のようです。


9月22日 01時50分(JST)の火星


2020.9.21 16h50m(UT)  CM=261.7°
ZWO ASI290MC Shutter=38.36ms Gain=350 (58%) Duration=120s
AS!3 Noise Robust6 50% of 1798frame AP9

9月2日に夏至を迎えた南極冠はご覧のように今が一番小さい時期です。よく見ると南極冠の左側(東側)に円形のモヤのようなものが見えます。ダストストームのようにも見えますが、なんでしょう? 南極地方は冬至を過ぎてから雲が表れるので雲ではないと思うのですが…

9月22日 01時52分(JST)の火星


2020.9.21 16h52m(UT)  CM=262.3°
ZWO ASI290MC Shutter=28.40ms Gain=350 (58%) Duration=120s
AS!3 Noise Robust6 50% of 4226frame AP9

 一方、写真の下に見える北極地方は青く光る雲で覆われています。現在北極地方は一日中太陽の光が当たらない極夜になっています。北極地方は秋分の頃から雲が表れて春分の頃まで雲に覆われるそうです

こちらは4枚の写真をつないだ作った10分間の火星の自転です。大シルチスとヘラスがいい具合に見えてます。

9月22日 02時00分~02時10(JST)の火星アニメーション

2020.9.21 17h00m~ 17h10m(UT)  CM=264.2~266.7°
ZWO ASI290MC  ①17h00m ②17h04m ③17h07m ④17h10m
①Gain=300 (50%) Duration=120s Shutter=55.79ms  50% of 1464frame AP9
②Gain=300 (50%) Duration=120s Shutter=44.58ms  50% of 2513frame AP9
③Gain=300 (50%) Duration=120s Shutter=44.58ms  50% of 2556frame AP9
④Gain=300 (50%) Duration=120s Shutter=51.43ms  50% of 2558frame AP9

02時を過ぎると層雲が消えて、積雲がポコポコ流れてきたので雲間の透明度は良くなりましたが、今日はこの辺でお開きです。いや~久しぶりの火星撮影を十分楽しめました。

最接近日まであと少し… 南中高度が高い今年の火星は期待できますね。

土星の白斑発生30年説?

2020年09月12日 | 土星
 昔の天文雑誌を見ていたら「土星の白斑発生30年説」という興味深い話題が載っていたので、ちょっとだけ深掘りしてみました。

 記事によると「土星の赤道地域に小さな白斑が出現することはよく知られているが、ごくたまに大嵐ともいえる大規模な白斑が赤道地域に出現することがある」とのこと。

 赤道地域の大嵐は土星が遠日点を通過してから数年以内に起きていることから、土星の公転周期約29年を周期とする「白斑発生30年説」が生まれたようです。では実際はどうだったのか観測結果を見てみましょう。

 近年の土星の遠日点と大規模白斑出現年は下記のとおりです。

土星の遠日点(公転周期29年)     大規模白斑の出現年(遠日点通過から…)
1900年 7月 9日     →   1903年(3年後)
1929年11月11日     →   1933年(4年後)
1959年 5月29日     →   1960年(1年後)
1988年 9月11日     →   1990年(2年後)
2018年 4月17日     →      ?

 なるほど、これを見ると約30年周期で大規模白斑が発生していることが分かります。

 ということは、現在土星で大きな白斑は発生していませんが、2018年の遠日点通過から2年が過ぎているのでそろそろ大規模な白斑が発生する可能性があるということになります。12月には土星と木星の大接近という一大イベントもありますが2020年後半は土星の白斑出現にも要注意ですね。

 ところで、大規模白斑の発生周期には30年説のほかに57年説があります。



HUBBLE ⒸNASA

 これは1990年に発生した大嵐をハッブル宇宙望遠鏡が撮影したものです。この時は白斑が土星を一周してぐるりと取り巻いたそうです。これと同規模の大嵐が発生したのは1933年のみで他の年には出現しなかったそうです。



HUBBLE ⒸNASA

 このことから、土星を一周するほどの大規模嵐が57年周期で発生するのではと考えられています。次の遠日点通過は2047年頃なので発生するとしたらその数年後ですかね~。ちょっと未来過ぎる話ですね。

 さて、周期的に大規模白斑が発生することは分かりましたが、そのメカニズムも気になります。そのメカニズムについては2015年の英科学誌「ネイチャー・ジオサイエンス(Nature Geoscience)」に現象の謎を解明したという内容の研究論文が発表されています。

 それによると、土星の大気は地球と同様に性質の異なる層で構成されており、雲が形成される密度の低い「外層」が、「高密度の混合大気(水素やヘリウム、水などの分子が主成分)」の上にのっている状態になっていて常に安定状態にあるそうです。そのため土星の外層は下部のより温かい空気の上昇を妨げる作用があり安定した状態を長期にわたって維持するそうです。

 しかし、これは「嵐の前の静けさ」だと米カリフォルニア工科大学の研究チームの Cheng Li 氏と Andrew Ingersoll 氏は述べています。

 外層大気は常に宇宙空間に熱を放射しているため徐々に気温が下がり、ついには下部の雲下層より密度が高い状態になる。これにより2層間の均衡が崩れて下部に閉じ込められていた暖かい空気が外層へとあふれ出す現象が起きるそうです。それが大規模な土星の嵐です。

 大嵐によってかき混ぜられた大気には他の分子より重い水分子が含まれているため、これが巨大嵐で雨として落ちることで元の平衡状態が回復し、また静けさが戻るという仕組みだそうです。

 Cheng Li 氏は「惑星がどのくらいのペースで宇宙空間に熱を放射して冷却できるかによって時間スケールは決まる。土星は巨大な大気圏を持つので、冷却には数十年を要する」と述べています。

 この研究論文には発生場所となる遠日点との相関関係については触れていませんが、太陽から受けるエネルギーが一番小さくなる遠日点が一つの引き金になっているのかもしれませんね。

 30年に1回発生する巨大嵐と土星に降り注ぐ大雨とは…とてもスケールの大きな話ですね。土星はいつ見ても木星ほどの変化はないのであっさり見ていましたが、この話を知ってじっくり眺めてみたくなりました。週間予報では月曜日の夜に雲が切れそうなのでウオッチングしてみることにしましょう。
 

下弦の月

2020年09月10日 | 青空の中の月
不安定な天気が続いています。

昨夜は目を覚ますほどの雷鳴が轟き、雨もかなり強く降っていましたが、
朝になると日差しが差し込み、雲間から下弦の月が見えました。

今朝の下弦はずいぶんと高いところにいます。首が痛くなるほどの高さです。

2020/9/10 7h17h43m PowerShot G7X MarkⅡ IS1250 F3.5 1/1250sec(トリミング)

ステラナビで調べてみると撮影時の高度は55°、南中時(04時59分)は72°です。

2020/9/10 7h17h56m PowerShot G7X MarkⅡ IS1250 F4.0 1/1000sec

本日の下弦はかなり高いところにありますが、調べてみると今年一番高くなる下弦は来月、10月10日のようです。南中時(05時27分)の高度はなんと76°もあります。感覚的にはほぼ真上ですね。

晴れたら今年一番高いところにある下弦の月をウオッチングしてみることにしましょう。

2020/9/10 7h18h06m PowerShot G7X MarkⅡ IS1250 F4.0 1/1000sec

ちなみに、満月が一番高くなるのは12月30日の深夜(24時05分)で高度は76°で~す。


8月28日の木星

2020年09月04日 | 木星
8月28日に撮影した木星で~す。

空の具合は8月19日より若干劣るもののほぼ同等の好気流でした。

FocalLength=5250mm
Diameter=44.68"  Magnitude=-2.58

2020.8.28 11:09(UT)  CMI=21.1° CMII=29.4° CMIII=118.0°
Duration=60s Shutter=13.51ms Gain=300 (50%) Autostakkert3 50% of 4440



2020.8.28 11:11(UT)  CMI=21.8° CMII=30.0° CMIII=118.7°
Duration=60s Shutter=13.51ms Gain=300 (50%) Autostakkert3 50% of 4439



2020.8.28 11:16(UT)  CMI=24.9° CMII=33.2° CMIII=121.8°
Duration=60s Shutter=13.51ms Gain=300 (50%) Autostakkert3 50% of 4439



上記3枚は単ショットですが、同条件で撮影した10枚をDe-rotationしてみました。




ご覧のとおり、De-rotationしても驚くほどの変化はありませんが、細部の解像度は良くなっている感じがします。LD valueを1.00で処理したところ、リムに不自然なリングが発生したので、0.80で再処理したら自然な感じのリムになりました。


本日のラストショット

2020.8.28 11:22(UT)  CMI=28.5° CMII=36.7° CMIII=125.3°
Duration=60s Shutter=13.51ms Gain=300 (50%) Autostakkert3 50% of 4439



火星の冬至・夏至

2020年09月02日 | 火星
9月2日(Ls=270°)は火星の季節で北半球が冬至、南半球が夏至の日です。

現在接近している火星は南半球を地球に向けている(惑星緯度-17.6°)ので夏真っ盛りの南半球がよく見えていることになります。

火星世界では1日の長さが24時間36分35秒なので地球の1日とよく似ていますが、1年は火星日で669日(地球での687日に相当)もあるので四季の長さも地球に比べるとかなり長くなります。

火星の北半球では春分から夏至までが199日、夏至から秋分まで183日、秋分から冬至が147日、冬至から春分までが158日です。火星の公転軌道は離心率の大きな楕円軌道のため北半球では夏が長く、冬は短くなります。南半球はその逆です。

火星の地軸の傾き(25°)は地球とよく似ているので一見すると地球と同じように季節が進むと思いがちですが実際はかなり違うようですね。

さて、気流が良かった8月の観測で地形をいくつか確認することができたのでまとめてみました。













この後、火星は9月8日に視直径が20”を超え、10月6日の最接近時に22”57になります。2018年の大接近時の24”33には及びませんが、今年は南中高度が高いので期待したいところですね。