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晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

9000万km彼方の火星

2020年11月27日 | 火星
11月25日の夜、22時過ぎに外に出てみると、
宵の口にあった雲はどこかに行ったようで、
きれいに空は晴れ上がり、月と火星が並んで見えた。

恒星の輝き見ると、瞬いてはいるが、
撮影には耐えられそうである。

ダストストームも気になるので撮影を開始する。

最接近時に-2.6等級もあった火星だが、今日の明るさは-1.3等級…
地球から急速に遠ざかっていることを日々感じる今日この頃である。

今日の火星は、距離が9,000万km、視直径はすでに15秒台になっている。
10月上旬は視直径が22秒台、距離は6,200万kmだったので、
PC画面上で見る火星は、思った以上に小さくなっている。

幸いなことに11月下旬にしては気流が良いようである。
良いといっても今日の気流はWindyによると
200hPa(11.7km)が 111kt、500hPa(5500m)が63ktである。

11/12の撮影時は200hPa(11.7km)が65kt、500hPa(5500m)が22kt
だったので、決して良い気流ではないがこの時期としてはいいかな…
という程度だ。

撮影した火星をみるとダストストームの影響で、
どこの地形か分かりにくいが、サバ人の湾と子午線湾が
中央に位置しているはずである。

右下で明るくなっているところは、ヘラス平原で
ダストストームの広がりで明るく見えているらしい。


先月撮影した画像に同じ中央経度の写真があったので比べてみた。
アリンの爪やその直下に見える南半球のノアキス付近が
ダストストームの影響を受けているようにも見える。



単時間で全球的に広がる火星の砂嵐は想像を超えるすさまじさに違いない。


その赤い砂漠の住人になって8年になるキュリオシティから最近の様子を伝える
自撮り写真が届いている。これは先月10月25日に撮影した画像とのこと。

働き者のキュリオシティは現在、メアリー・アニングと呼ばれる地点で黙々と掘削
作業をこなして火星の古代環境を調査している。

度重なる砂嵐にも耐えて作業を行うキュリオシティのボディは大量の砂塵が付着して
かなり埃っぽくなっている。ああ、今すぐ行って洗車機に入れて洗ってあげたい…。

…火星の気圧を考えると水は無理なのでエアブローがいいですね。



日暮れの空を通過するISS

2020年11月24日 | ISS(国際宇宙ステーション)
日没後のブルーモーメントの光に包まれた空を通過するISS…

*ブルーモーメントとは夜明け前と夕焼けの後のわずかな隙に訪れる、辺り一面が青い光に
照らされてみえる現象です。もともとは薄明の時間が長い北欧で生まれた言葉です。

日本では、江戸時代の明け六つ、暮六つに相当する時間として、太陽高度が-7度21分40秒に
なる時刻を夜明け・日暮れとしています。この日暮れ前・夜明け直後の時間帯が、ブルーモ
ーメントに包まれたISSを見ることができる時間帯です。


今日のコースでは、最大高度までは逆光のため暗かったISSが、最大高度を通過したあとに
どんどん明るさを増していき、高度が低くなってもまぶしいくらいの明るさで見えました。

通過するときの太陽高度によってISSの見え方や空の色が違うので見るたびに新たな
発見がありますね。

火星 ダストストーム(黄雲)観測記録

2020年11月23日 | 火星
火星にダストストームが発生している。以下その観測記録である。

 11月12日(1回目の観測) Diameter=17.95" Magnitude=-1.76

惑星撮影時にPCモニター上で異常に明るい部分を確認。アキダリアの海
の南側に広がるハート型の雲?と思ったのだが、雲にしては明るいため、
ネットで調べたところダストストームであることが分かった。


2020/11/12 10h46m(UT) CM=70.9° 
 

µ210 Powermate5× Shutter=12.21ms Gain=347 (57%)
Duration=90s  25% of 7368 frames


 11月16日(2回目の観測) Diameter=17.17" Magnitude=-1.62


µ210 Powermate2× Shutter=3.481ms Gain=313 (52%)  
Duration=120s 25% of 22956 frames

気流が良くなかったため詳細は写っていないが、ダストストームが
南半球のエリトリア海まで広がっていることが分かる。



 11月17日(3回目の観測) Diameter=17.01" Magnitude=-1.59


この日は気流が良かったため、アルベド地形の詳細が写った。ダストストームは
南半球に広がり、太陽湖の西側にあるダエダリア付近まで到達しているように見える。



 ダストストームによるアルベド地形の変化



こちらはダストストーム発生日である11月12日と5日後の11月17日の比較である。
ほぼ同じ火星経度であるがアルベド地形がかなり変化していることが分かる。
 
11月23日現在、火星の視直径は16″を切り、急速に遠ざかっている。冬の気圧配置になり
気流も悪化しているが、機会をみて今後も観測を続けていく予定である。

11月21日のISS

2020年11月21日 | ISS(国際宇宙ステーション)
17時30分過ぎ、野口宇宙飛行士の搭乗するISSがきれいに見えました。

本日のISS通過は夏の大三角からカシオペヤ座へ向かう天の川 銀河鉄道コースです。


通過条件は申し分ありません。


北東の空30度で地球の影に入るコースなので…

天文薄明が終わる直前のほぼ夜空の通過となります。


…で、拡大撮影ですが、


気流の悪さ、露出設定ミス、望遠鏡調整不備で、ご覧のありさまでした。
2020.11.21 D300mm F10 D810A ISO1600 1/1250

今日の気流は完全に冬バージョンです。本来冬場は拡大撮影シーズンオフの時期ですが、
ドックしているCrew-1を確認できるISS撮影に向けて、ISS拡大撮影班がプロジェクトCrew-1
を計画中です。タイムリミットは6か月後の5月上旬まで… 果たして結果はいかに~。

月・土星・木星の接近

2020年11月19日 | 
夕方、まだ青みの残る空に月が見えました。



今日の一番星は木星です。



暗くなるとクレーターがくっきり見えます。まん丸く見えているのは危難の海です。



やっと土星が見えました。木星の明るさが際立ってますね。



その木星の脇を飛行機が通過していきました。おっ、これは月と重なるか…



…と思わせておいて、ギリギリをかすめて飛んでいきました。



今日も地球照が明るく見えています。

月の隣に見える星は、いて座の恒星(4等星と5等星)のようです。


クルードラゴン ドッキング6時間後のISS(観望記)

2020年11月17日 | ISS(国際宇宙ステーション)
野口宇宙飛行士が乗るクルードラゴンがドッキングしたISSを見ることができるかな~と
HEAVEN ABOVEで調べたところ残念ながら可視通過情報には載っていませんでした。が…

なんと、ISS - All Passes情報を見てみると、ISS - Visible Passesページには載っていない
可視通過情報(Visible)が載っています。どういうこと?


ふ~む、分かりました。高度7°で地球の影に入るということですね。


…ということは7°までは見えるということになりますね~。


こ~れは、おもしろい! かなりチャレンジングなイベントですが、ISSを
この目で見て野口宇宙飛行士に手を振ってきましょう。

ISS通過までまだ時間があるのでダストストームの起きている火星を撮影すること2ショット…
ISSが地平線上から昇るのが19時15分だから、そろそろ出かけ…

どひゃ~、時間を間違えていました。ISSの通過は19時05分です。現在の時刻は18時45分です。
西の空が見える撮影地までクルマで10分…機材設置に5分… わぉ、間に合うのか~

とにかく出発です。時刻は18時50分、これで間に合ったら奇跡です。

写真撮影は無理としてもISSに手を振ることができたら良しとしたいところですが
予報光度が0等級では大気減光の大きい高度7°では見えない可能性もあります。

ふう、18時59分に着きました。間に合うかもしれません。
スマホで時報を聞きながら機材設置です。地平線出現1分前に機材設置完了です。

そして時刻は19時05分30秒…
…見えません。時報を読み上げる声だけが淡々と時を刻んでいきます。

あっという間に時刻はISSが地球の影に入る19時06分50秒を過ぎました。撮影終了です。
目をこらしてみましたが動く光点は見えなかったので手を振ることはできませんでした。

肉眼ではまったく見えませんでしたが、画像を確認すると、ISSの見えはじめから
地球の影に入るまでの軌跡が写っていました。まさにミラクルです。

Crew-1 ドッキング6時間後のISS

2020/11/17 19:05:48~19:06:46  NIKON D90 ISO3200 F5.6 2sec × 25  f42mm

Crew-1がドッキングしたISSは、11月21日土曜日の夕方に日本列島を縦断していきます。
全国各地で条件よく見られますので、お天気になってほしいですね。

野口宇宙飛行士 3度目の宇宙へ!

2020年11月16日 | 宇宙開発
野口宇宙飛行士が米国商業有人宇宙船 クルードラゴンに搭乗して3度目の宇宙へ出発しました。


今回のクルーは4名、左からシャノン・ウォーカーさん。2010年6月16日から11月26日までの第24次/第25次長期滞在に続き今回が2回目の飛行となります。左から2番目はビクター・グローバーさん。今回が初飛行です。野口宇宙飛行士のおとなりのマイケル・ホプキンスさんは2013年9月26日から2014年3月11日まで第37次/第38次クルーとして長期滞在しました。今回が2回目の飛行です。そしてNASAの切り込み隊長こと野口宇宙飛行士は、2005年STS-114ミッション(2005年7月26日~8月9日)、2009年第22次/第23次長期滞在(2009年12月21日~2010年6月2日)に続き今回が3回目の飛行となります。


今回の打ち上げを見て思ったのは、さすが3回目の飛行となる野口宇宙飛行士は、スペースシャトルとソユーズを経験しているだけあって4人の中で一番余裕がありましたね。終始リラックスした表情でした。



今回NASA TVを見てておもしろいなぁと思ったのは、クルードラゴンに搭乗する前に
宇宙飛行士のみなさんが壁にサインをしているところです。

ソユーズの打ち上げではガガーリン以来恒例となっている出発時にホテルのドアにサインする
験担ぎ的行事がありますが、スペースXでも同じようにサインをしていることに興味を持ちました。

こちらは2009年ソユーズに乗り込む前の野口宇宙飛行士。
ホテルの壁にサインをしています。野口宇宙飛行士はサウスポーのようですね。


初飛行となるビクター・グローバーさんいい表情してますね。
映画のワンシーンのような一コマです。

左の背中は野口宇宙飛行士です。いよいよクルードラゴンに搭乗します。



スペースX社製品は全てが近未来的なデザインです。クルードラゴンにはフェアリング
がなくて脱出用ロケットも一体型です。


いよいよ最終シーケンスです。発射30秒前…


リフトオフ! ファルコン9ロケットが闇を切り裂いて力強く上昇していきます。


スペースシャトル退役から9年後にこのような近未来的なロケットが民間企業による
商業有人宇宙船としてリフトオフするとは全くもって想像できませんでした。


人類が宇宙へ進出する新たな時代のスタートです。




月と水星の接近(地球照)

2020年11月15日 | 水星
2020年11月14日は天気が良かったので月出直後から地球照がくっきり見えました。

こちらは月出13分後の高度1.7°で撮影した地球照です。
大気の影響(大気差)で月全体がややつぶれて見えているのが分かります。

「大気差」とは地平線に近い天体が実際の位置より浮き上がった位置に見える現象です。
高度0°のときの大気差は約35′なので実際の月が地平線に上ってくるときには、すでに
見かけ上の月は全体の姿が地平線上に出ているいうことです。

日の出・月出の時間は実際に見えたときの位置(見かけ上の位置)で表さなければならない
ので大気差を考慮して計算した正確な時間を国立天文台が発表しています。

では、なぜ大気差があるとつぶれて見えるのか? という疑問が当然湧きますよね。
これについては、私も完全には理解していないのですが、見かけ上の月の高度変化率が
実際の月の高度変化率よりも遅いために起きる現象のようです。

下記写真は高度2.2°で撮影した月と高度6.5°で撮影した月を比べたものです。
大気差は高度によって違いますが、高度2°では約1割ほどつぶれた形になるそうです。
地平線に近いほど大気差は大きいので高度が上がると真ん丸の姿に戻ります。

上記写真では月に対して水星の高度が高くなっているように見えますが、実際に位置が
変わったのは月の方です。月基準で重ねているので相対的にこのように見えています。

月は地球の周りをまわっているので少しずつ東へ動いています。水星の位置変化は
月が公転運動で移動したことを表しています。上記写真の撮影間隔は約20分です。
月をじっくり見ると公転運動が思った以上に速いことに気付きますね。

月と水星の接近

2020年11月14日 | 水星
天候に恵まれて、月と水星の接近を月出から見ることができました。

月齢28の月はとっても細く、細かい模様まで分かる地球照がくっきり見えました。


薄明はあっという間に進み、空は朝焼けで赤く染まり始めます。




月の右上に見える星は、おとめ座の恒星(95Vir 5.46等)です。
水星の光度は -0.7等級、日出時の高度は17°で今が本年一番の観望好機です。




時間の経過とともに月齢はさらに進みます。(撮影時月齢28.1)




青みが深まる空を背景にして見る細い月と水星は息をのむほどの美しさです。


いつの間にか空の星は見えなくなり、冬のダイヤモンドを彩る1等星だけが西の空で輝いていました。

薄明の空に溶け込むように消えていく冬の星座の1等星たち… 最後まで残っていたのは、シリウスとカペラです。最後の最後まで見えていたシリウスも日の出5分前には空に溶け込み見えなくなりました。(ちなみに水星は日の出20分前に見えなくなりました。太陽が昇ってくる東の空ですからね。)

新月前日の細~い月は日の出と同時に見えなくなりました。

月と金星の接近

2020年11月13日 | 金星
今日は月と金星が接近する日です。

明け方、東の空で月(月齢27.1)と金星きれいがに並びました。



日の出から1時間が過ぎた青空の中でもくっきり見えました。

金星の光度は -4.0等、 視直径 は12.5" 、 輝面比は 0.85です。

今日は新月の前々日、月と太陽の離角は約30°です。明日は離角17°まで近づき水星と並びます。