晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

有明の月とプレアデス星団、木星、火星の競演(7/3)

2024年07月04日 | 
有明の月とプレアデス星団、木星、火星の競演」の観望記録です。

 早起きをして観望場所に着いたのは 02時少し前… 木星出が02時04分なので、木星はまだとして月と火星は見えているはずですが、東の空はわずかに月の位置分かる程度です。トホホ…

 SCWを見ると03時30分頃には高層雲がなくなって晴れる予報です。薄明開始が02時22分なので03時30分に晴れたとしても時すでに遅しですが、少しでも回復が早まるのを期待しましょう。

 お、02時10分過ぎに火星が写るようになりました。ふむ、双眼鏡でも確認できました。

2024/7/3 02h13m15s D810A NIKON VR24mm-70mm f2.8 f70mm ISO3200 F7.1 1sec

 天頂付近は星が見えているので広角で撮影して写った星を繋ぐとこんな感じでした。

2024/7/3 02h21m26s D810A NIKON VR24mm-70mm f2.8 f24mm ISO1600 F7.1 5sec
 
02時30分のことです。突然まばゆい光点が出現!こ~れはISSか?と思って双眼鏡で確認すると、動きが超ゆっくりです。なんじゃこりゃ~?と見続けること数分、あら~、木星でした~ (^^ゞ

2024/7/3 02h31m22s D810A NIKON VR24mm-70mm f2.8 f58mm ISO3200 F7.1 1.3sec

 ISSまがいの木星には笑ってしまいましたが、 02時40分に撮影した画像ではプレアデス星団とアルデバランが写っていました。薄雲は相変わらずありますが、これで本日のオールスターが揃いました~。

2024/7/3 02h42m09s D810A NIKON VR24mm-70mm f2.8 f70mm ISO1600 F3.5 2sec

 …と喜んでるひまはありません。特大の波状雲が迫っています。撮影を急ぎましょう。

2024/7/3 02h49m34s D810A NIKON VR24mm-70mm f2.8 f34mm ISO6400 F7.1 2sec

 ここでレンズを望遠にして二十八夜月とプレアデス星団の撮影にチェ~ンジです。

2024/7/3 02h52m55s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f350mm ISO10000 F5.6 2.5sec

う~む、プレアデス付近には雲がないのですが、月周辺にはなぜかずっと雲がありました…

2024/7/3 02h54m03s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f350mm ISO10000 F10 1sec

 
で、こちらが本日のベストフォト「二十八夜月とプレアデス星団の接近」です。

2024/7/3 02h54m58s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f480mm ISO5000 F7.1 1sec

 結局、このあとも月の周りが晴れることはなく、波状雲もやってきてプレアデス星団は見えなくなりました。

2024/7/3 03h01m04s D810A NIKON VR24mm-70mm f2.8 f35mm ISO6400 F5.6 1.3sec

 ラストフォト「細月とプレアデス星団」

2024/7/3 03h06m39s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f420mm ISO12800 F6 1/8sec

 今回の観望は最後までスッキリ晴れることはなかったのですが、双眼鏡で見たプレアデス星団は、雲間から見え隠れしていたからなのかキラキラしていて息をのむほどキレイでした。

 月とプレアデス星団の接近はこれまでも見てきましたが今回の接近は幻想的で別格な感じがしました。たぶん雲で月がいい具合に減光された効果だと思うのですが、まさかこの天気でこれほどの感動ビューが見られるとはオドロキでした。

 どんな天気でも見てみないとわからないものですね~。

〈関連ブログ〉
2024年見たい天体現象「月と惑星の接近(1月~4月編)」
2024年見たい天体現象「月と惑星の接近(5月~8月編)」

月面アポロ着陸地点 ロケハン~その2

2024年06月17日 | 
6月14日(上弦・月齢7.9)の月でアポロ着陸地点拡大撮影の2ndロケハンを行いました~。

 天候はまあまあ良好でしたが高層雲と思われる薄雲があったので露出はかなり長めとなっています。今回のミッションはまだ特定できていないアポロ16号着陸地点の撮影ですが、アポロ17号着陸地点の山塊がはっきり見えたのでこちらも撮影してみました。

アポロ17号の着陸地点はリトロー・クレーターの南側にある谷「Taurus–Littrow」です。

2024/6/14 20h19m μ210+ASI174MM+ZWO IR850 Filter Shutter=37.98ms Gain=317 (79%) 50% of 1000frames

 着陸地点は山塊群に囲まれています。今回は大きさの目安としてスケールを入れてみました。

2024/6/14 19h39m μ210+TPL25mm+ASI174MM+ZWO IR850 Filter Shutter=82.93ms Gain=317 (79%) 50% of 1000frames

 この山塊群は38億年から39億年前に巨大な隕石が月に衝突してセレニタティス盆地を形成した際に岩石を外側と上方に押し上げて形成されたと考えられています。

2024/6/14 19h41m μ210+TPL18mm+ASI174MM+ZWO IR850 Filter Shutter=81.22ms Gain=315 (78%) 50% of 1970frames

 着陸地点の南東にあるベア・マウンテン(Bear Mountain)は地質学者宇宙飛行士ハリソン・シュミットの故郷にある同名の山にちなんで名付けられた山です。

2024/6/14 19h45m μ210+TPL18mm+ASI290MM+Barder IR-Pass Filter 685nm Shutter=7.446ms Gain=331 (55%) 50% of 2000frames

 アポロ17号の着陸地点はだいたい把握することができました。あとは夏場の好気流時をねらって拡大撮影に挑戦することにしましょう。さあ、次はアポロ16号の着陸地点、デカルト高原です。

アポロ16号着陸地点・デカルト高原の位置はここ ↓

2024/6/14 19h32m μ210+ASI174MM+ZWO IR850 Filter Shutter=30.17ms Gain=250 (62%) 50% of 3000frames

 アポロ16号が着陸したデカルト高原はSLIMが着陸した地点の北西約300kmのところです。

2024/6/14 19h30m μ210+ASI174MM+ZWO IR850 Filter Shutter=30.17ms Gain=250 (62%) 50% of 3000frames

 小さな光条があるサウス・レイ(South Ray)は着陸地点を特定する上での大きなポイントです。

2024/6/14 19h51m μ210+TPL25mm+ASI290MM+Barder IR-Pass Filter 685nm Shutter=4ms Gain=386 (64%) 50% of 3000frames

 サウス・レイ(South Ray)とスモーキー・マウンテン(Smoky Mountains)の中間が着陸地点です。

2024/6/14 19h55m μ210+TPL25mm+ASI290MM+Barder IR-Pass Filter 685nm Shutter=7.517ms Gain=445 (74%) 50% of 3000frames

 今回は月齢が良かったのでアポロ16号の着陸地点を特定することができました。これでアポロ16号着陸地点の拡大撮影もなんとかできそうですね。アポロ15号の着陸地点も撮影してみましたがギリ夜明け前でした~。ざんねん!

アポロ15号着陸地点、ハドレー・アペニン「Hadley–Apennine」

2024/6/14 20h09m μ210+TPL25mm+ASI290MM+Barder IR-Pass Filter 685nm Shutter=27.17ms Gain=328 (54%) 50% of 2000frames

アルプス山脈とピトン山の夜明け

2024/6/14 20h05m μ210+TPL25mm+ASI290MM+Barder IR-Pass Filter 685nm Shutter=36.85ms Gain=328 (54%) 50% of 1000frames

月面アポロ着陸地点

2024年05月24日 | 
5月22日は月齢14.4のとても眩しい月でしたが天気が良かったのでアポロ着陸地点拡大撮影の下見(ロケハン)を行いました~。

 月齢14.4はほぼ満月なのでアイピースにはムーンフィルターを装着したのですが、ND96(50%)だけでは眩しかったのでND96(13%)の2枚重ねで観望です。

 さすがにこの月齢では月面の起伏はまったく分かりませんが、クレーターの光条と月面(海)の色の違いが分かるのでそれをたよりに着陸地点の特定をしてみました。

アポロ12号とアポロ14号の着陸地点

2024/5/22 22h24m μ210+ASI174MM+ZWO IR850 Filter Shutter=19.78ms Gain=228 (57%) 25% of 2000frames

 アポロ12号は月探査機サーベイヤー3号に歩いて行ける場所へのピンポイント着陸、アポロ14号は海ではなく初の丘陵地(13号が着陸する予定だったフラ・マウロ)への着陸を成功させています。

2024/5/22 22h01m μ210+TPL25mm+ASI290MM+Barder IR-Pass Filter 685nm Shutter=2.759ms Gain=238 (39%) 25% of 2000frames


 12号と14号はコペルニクス・クレーターの光条の及ぶ範囲内に着陸していることが分かります。

2024/5/22 22h04m μ210+TPL25mm+ASI290MM+Barder IR-Pass Filter 685nm Shutter=2.397ms Gain=238 (39%) 25% of 3000frames

 14号が着陸したフラ・マウロ高地は起伏の激しい場所ですがまったく起伏が無いように見えます。月齢によって起伏の見え方が変わるのは月面上でも顕著だったらしくフラ・マウロ高地に着陸した宇宙飛行士が目指すコーン・クレーターにたどり着いたと思ったら違っていたという逸話があります。

2024/5/22 22h31m μ210+TPL18mm+ASI174MM+ZWO IR850 Filter Shutter=55.62ms Gain=301 (75%) 25% of 2000frames

さて、こちらは11号、15号、17号の着陸地点を撮影したものですが、これも起伏がまったく分からない画像となっていますね。

2024/5/22 22h55m μ210+ASI174MM+ZWO IR850 Filter Shutter=19.78ms Gain=211 (52%) 25% of 2000frames

 これは上弦の前日(月齢6.3)に撮影した11号と17号の着陸地点ですが、17号が着陸したタウルス・リトロウ谷は山塊に囲まれた地域であることが分かります。→拡大photo

2024/5/14 19h24m μ210+TPL25mm+ASI290MM+Barder IR-Pass Filter 685nm Shutter=4.828ms Gain=297 (49%) 25% of 3000frames

さて、最後に残るは16号の着陸地点、デカルト高原ですがこれがアポロの着陸地点としては最も特定しにくい場所と言えます。似たようなクレーターが一面に広がる高原なので着陸地点にたどり着く目印が無い状態です。夜明け直後の月齢を狙うしかチャンスは無いようですね。

2024/5/22 22h11m μ210+TPL25mm+ASI290MM+Barder IR-Pass Filter 685nm Shutter=2.448ms Gain=214 (35%) 25% of 2000frames

 さて、これで本日のロケハンは終了です。とりあえず着陸地点のおおまかな特定はできたので、あとはベストな月齢で撮影を試みることにしましょう。



本日のラストフォト・美しい月面北部

2024/5/22 22h27m μ210+ASI174MM+ZWO IR850 Filter Shutter=19.78ms Gain=214 (53%) 25% of 2000frames


アレキサンダーのビーズ 撮影記録(5/14)

2024年05月22日 | 
5月14日にアレキサンダーのビーズが見られるというので初ウオッチングしてみました~。

 アレキサンダーのビーズは「アレキサンダー・クレーターの夜明け頃にクレーターの縁がビーズ状に光って見える」という現象です。5月14日の18時30分頃に見えるという情報を得たので望遠鏡を向けてみると…
 
 ほほう、たしかに太陽光が照らしているクレーターのリムが途切れ途切れになっています。日没時刻は18時41分なので空はまだブルースカイですがリムがビーズ状になっているのが分かります。

2024/5/14 18h51m μ210+TPL18mm+ASI290MM Duration=23s Shutter=3.793ms Gain=397 (66%) 25% of 2000frames


 アレキサンダーはアリストテレス・クレーターとエウドクソス・クレーターの南側に位置する直径82kmのかなり浸食された壁平原クレーターです。


 まだ空が明るかったのでキレイなビーズ状には見えませんでしたが、暗い空だったらもう少しキレイに見えたかもです。次回見えるのは7月12日16時頃なのでこれまた青空の中での観望となります。日没後に見えるのは2025年11月26日まで待たなければならないようですが、そもそもこの月齢は暗い空で見えている時間が少ないので条件良く見るのは難しい現象と言えますね。

2024/5/14 19h31m μ210+TPL25mm+ASI174MM Duration=94s Shutter=47.09ms Gain=223 (55%) 25% of 2000frames

 そうそう、今回のアレキサンダービーズ撮影中に飛行機の月面通過に遭遇しました。

〈アレキサンダーのビーズ撮影中に通過した飛行機の動画〉
 ↑ YouTubeの設定(歯車マーク)で再生速度を0.25にすると主翼(その直後に尾翼)が通過している様子が見えます。

 フライトレーダー24のプレイバックで調べたところ札幌発→羽田着のAir Do Boeing 767型機でした。飛行高度は11,582m、対地速度は793km/hです。この時は1000フレーム限定で撮影したので撮影時間は9.6秒でしたが、この短い時間にタイミングよく入ったものですね~。


 ↓ GIFアニメを作成してみたのですが主翼の部分がうまくキャプチャーできなかったようです。

 動画を撮影中はPCのモニターを見ていたので飛行機が通過した瞬間に月を見上げたのですが、その時はすでに月を通過したあとでした。そりゃ、そうですよね~。

有明の月と火星の接近(5/5)

2024年05月09日 | 
5月5日の早朝に「有明の月と火星の接近」ウオッチングに行ってきました~。

2024/5/5 03h16m35s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f190mm ISO1600 F5.3 1sec(トリミング)
 
 早起きをして観望場所に着いた時刻は3時10分頃… 火星出の時刻は02時53分なのですでに見えているはずです。双眼鏡で探すと月の東側にあって双眼鏡の視野に収まっていい感じに見えました。

 肉眼で見えるか確かめたのですが、5/4の「二十六夜月と土星の接近」と同じような空模様だったので「あそこに見えてるよ!」と言われれば「あ、見えてるかも…」という程度の見え方でした~。

2024/5/5 03h20m40s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f260mm ISO1600 F5.6 1sec

 観望を始めた直後というのに月には雲がかかり始めたので、天気はきのうの方が良かったかも…

2024/5/5 03h23m41s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f240mm ISO1600 F5.3 1sec

 ま、雲がかかった月は、これはこれで風情があるのでキレイですが、今日撮りたい月はこれではないので、なんだかなぁ~、と思っていると

2024/5/5 03h24m10s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f340mm ISO1600 F5.3 1sec

 あっという間に薄明が進んで早くも空一面がブルーモーメントです。

2024/5/5 03h52m04s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f340mm ISO2500 F9 1/2.5sec

 昨日、撮影画像で土星を確認できなくなったのは04時20分頃でしたが火星は4時を過ぎた直後で確認できなくなりました。視直径の違いは大きく影響するようですね。

2024/5/5 04h04m58s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f320mm ISO2500 F9 1/50sec

 さて、このあと約8時間後に月が火星を隠す「白昼の火星食」がありましたが、お出かけの予定があったので観望することは出来ませんでした。

2024/5/5 04h13m02s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO1600 F9 1/400sec(トリミング)

 視直径が4秒台の火星を白昼に撮影するのは至難の業ですが、その瞬間を撮影した画像がSNSでアップされていて、すばらしいな~と思いました。その技術の高さには感服です。

 今年は12月8日夕方に土星食、12月9日夕方には海王星食があって、どちらも観測しやすい時間と位置なので楽しみですね。


月面南極 撮影記録

2024年05月02日 | 
アポロ計画以来の月面着陸を目指すアルテミス計画で日本人宇宙飛行士がアメリカ人以外では初となる月面着陸を目指すことが4/10の日米首脳会談で合意されたとのこと… これはスゴイことです!なんと近い将来に日本人が月面に降り立つという夢のような出来事が確実にやってきます! ワクワク…

 そのアルテミス計画で月面着陸予定地となっているのが月面南極です。NASAは2022年8月にアルテミス計画の着陸候補地となる13か所をすでに発表しています。→MAP

 その南極地域の拡大撮影を晴れスタ撮影班が2月からチャレンジしていましたが、月面南極が条件良く撮影できる日は月の秤動と月齢の関係で決まるので撮影チャンスは意外と少なく、天気にも左右されるのでこれまでに撮影できたのは5日間だけでした。

 月面南極を好条件で撮影できるシーズンは4月でいったん中断するので、ここでこれまでに撮影できた画像をまとめてみました。

〈撮影機材〉
・望遠鏡:タカハシ μ210
・拡大撮影アダプター:タカハシTCA-4
・使用カメラ:ASI290MM、ASI290MC、ASI174MM
・使用アイピース:TPL25mm、PL25mm、Plan5
・使用フィルター:IR-Pass Filter685nm、UV-IR Cut Filter


〈撮影記録〉
月齢7.4 緯度秤動 -4.76° 経度秤動 +6.98°  アムンゼン(Amundesen)、スコット(Scott)

↑ 2月17日撮影、 周壁がはっきりしている環状クレーター・アムンゼン(直径105km)と破壊された周壁を持つスコット・クレーター(直径85km)の様子を見ることができる。南極点にあるシャクルトン・クレーター(Shackleton、直径19km、89.95S、0.0E)の円形リムも確認することができる。


月齢7.4 緯度秤動 -4.76° 経度秤動 +6.98°  ノビル(Nobile)、ファウスティーニ(Faustini)

↑ さらに拡大率を上げて同エリアを撮影した画像。この日は上弦、撮影時の輝面比は0.58である。ノビル・クレーター(直径73km)とファウスティーニ・クレータ(直径39km)に日光が当たってわずかだがクレーターの内部の様子を見ることができる。


月齢8.5 緯度秤動 -5.70° 経度秤動 +6.86°  マラパート山塊(Mapapert Massif)

↑ 2月18日撮影、上弦の翌日、輝面比は0.68になっている。マラパート山塊(Malapert Massif)に日光が当たって山全体の様子が見えるようになった。マラパート山塊はアルテミス計画の着陸候補地の一つになっている場所である。緯度秤動 -5.70°なのでシャクルトン・クレーターの円形リムがより分かる画像となっている。


月齢12.0 緯度秤動 -5.22° 経度秤動 +2.93°  モレトス(Moretus)、ショート(Short)

↑ 翌月3月22日に撮影、満月3日前の月齢12.0、段丘のある環状山脈のような周壁と中央丘を持つモレトス・クレーター(直径114km)の様子がよく分かる画像となっている。緯度秤動は2月18日の撮影時とそれほど違わないが、経度秤動が約4°も違うのでマラパート山塊(Malapert Massif)の真後ろにシャクルトン・クレーターが見えているところがおもしろい。



月齢14.1 緯度秤動 -4.96° 経度秤動 +1.70°  ニュートン(Newton)、カベウス(Cabeus)

↑ 3月24日撮影、満月の前日、ニュートン・クレーター(直径79km)の向こうに少し形の崩れたクレータ-・カベウス(Cabeus)が見えている。この画像で注目すべきはシャクルトン・クレーターが写っていないことである。緯度秤動は -4.96° なので角度的には見えている位置にあるのだが、写っていない理由としては満月の前日のためシャクルトン・クレーターに日光が当たっていないことが考えられる。



月齢14.1 緯度秤動 -4.96° 経度秤動 +1.70° カサトス(Casatus)、クラプロート(Klaproth)

↑ さらに拡大率を上げて同エリアを撮影した画像。溶岩に満たされたカサトス・クレーター(111km)と溶岩のあふれた壁平原を持つクラプロート・クレーター(119km)の様子がよく分かる画像になっている。カサトス・クレーターとドリガルスキー(Drygalski・直径163km)の間にあるなめらかな斜面の山塊は背後に影を落として見事な眺めとなっている。



月齢14.1 緯度秤動 -4.96° 経度秤動 +1.70° ティコ(Tycho)、クラビウス(Clavius)

↑ こちらは広角でティコ・クレーター(直径85km)から月南極までのエリアを撮影したものである。ティコ・クレーターと月南極の間にはクラビウス・クレーターがあるのだが、まったくもってその存在が分からなくなっているところが月面ウオッチングのおもしろいところでもある。(クラビウス・クレーターの夜明け→photoティコの光条もすばらしい眺めとなっている。



月齢6.6 緯度秤動 -6.85° 経度秤動 +6.70° ブサンゴー(Boussingault)、ボグスラフスキー(Boguslawsky)、マンチヌス(Manzinus)、ヘール(Hale)

↑ 翌月4月15日撮影、上弦の前日、輝面比0.46、運良く緯度秤動がMAXの日に撮影することができたのでなかなか見どころのある画像となっている。内側に大きなクレーターがあることから二重の周壁に見えるブサンゴー・クレーター(直径131km)、溶岩に満たされた平らな底面を持つボグスラフスキー・クレーター(直径97km)とマンチヌス・クレーター(直径98km)はクレーター内部がよく見えて見事な眺めになっている。ヘール・クレーター(直径84km)は月面の裏側にかかるクレーターだがクレーター内部が見えているのは注目に値する。


月齢6.6 緯度秤動 -6.85° 経度秤動 +6.70° アムンゼン(Amundsen)、デモナクス(Demonax)

↑ 同エリアをさらに拡大した画像。アムンゼン・クレーター(直径105km)とデモナクス・クレーター(直径114km)の内部がよく写っている。特筆すべきはまでアムンゼンの向こう側にあるイーデルソン L・クレーター、その並びのイーデルソン・クレーター(Idel son 直径60km)、ガンスヴィント・クレーター(Ganswindt 直径74km)が写っていることである。これらのクレーターの経度は東経110° 付近なので完全に月の裏側にあるクレーターである。


 この画像に写っているクレーターの緯度・経度は下記のとおりである。

 あらためて見ると東経15°のシンペリウス・クレーターから東経110°のガンスヴィント・クレーターまで写っているとはなんともスゴイことである。今回の撮影は、緯度秤動が -6.85° で 経度秤動が +6.70° というMAXの好条件日に天気に恵まれたことが奏効している。

 4月以降はしばらく撮影条件の良い日はありませんが、夏以降に再び月面南極の撮影にチャレンジしてみようと思ってます。近い将来に日本人宇宙飛行士が降り立つ場所はここかな?と妄想しながら眺めると月面ウオッチングがより楽しくなりますね。


〈クレーター同定参照資料〉
・エリア別ガイドマップ「月面ウオッチング(新装版)」A・ルークル著/山田 卓 訳
・SKY & TELESCOPE'S FIELD MAP OF THE MOON
・Google MAP MOON


アポロ11号着陸地点・静かの海

2024年04月19日 | 
アポロの月面着陸地点を拡大撮影するとどこまで写るのだろう?という疑問を解決すべく新たなミッション「アポロの月面着陸地点を探れ!」を始めました~

 第一弾はアポロ11号着陸地点・静かの海です。着陸地点の撮影は月面の起伏がよく分かる太陽高度が低い日(日の出直後または日没直前)が適しているのでステラナビで調べてみると撮影条件の良い日は3月30日と4月15日の二日間でした。

 残念ながら3月30日は天気が悪かったので撮影は出来ずじまいでしたが、4月15日は天候に恵まれたので撮影することができました。

アポロ11号着陸地点・静かの海 西部

2024/4/15 18h13m17s μ210+PL25mm+ASI174MM+IR-Pass Filter 685mm Duration=30s Shutter=4.362ms Gain=386 (96%) 75% of 5165frames

 望遠鏡で見る静かの海は起伏の無いなだらかな地形ですが、実際は小さなクレーターだらけだったので手動操縦で着陸船を降下させていたアームストロングが着陸できる平地を見つけたのは燃料切れ寸前(着陸完了後の残燃料は20秒分)だったというエピソードがあります。

 では、Google map moonを使って正確な着陸地点を探っていきましょう。

こちらはチャンドラヤーン2号が撮影した月面に残っているアポロ11号の下降部です。


Google map moon にも着陸船下降部が写っています。余談ですがアームストロング船長は着陸船イーグル号が月面上空60mまで降下したときにクレーター(Little West crater)の真上だと気付いたので、さらに着陸船を進めてその先で見つけた平地にピンポイントで着陸させています。


上の画像から少し引いて見ると…こんな感じです。中央にある大きなクレーター(West Crater)はフットボールのフィールドぐらいの大きさで着陸船イーグル号はこの上空300mを通過しています。


さらに引くとこんな感じ、アポロ11号宇宙飛行士の名前を冠したクレーターはまだ見えません。


ここまで引くと、アポロ11号宇宙飛行士の名前のクレーターが見えてきます。



さらに引いて惑星カメラで撮影した画角に合わせるとこんな感じ…


こちらはGoogle moon map と撮影画像の比較図です。(惑星カメラ撮影画像はこちら→photo


 今回の撮影ではシーイングがそこそこ良かったのでゴーストクレーター・ラモントのリンクルリッジもキレイに写っていますが、夏の気流にはほど遠いものだったので、夏場の良シーイング時に再度アポロ11号着陸地点の撮影にチャレンジしてみることにしましょう。

2024/4/15 18h28m28s μ210+PL25mm+ASI174MM+IR-Pass Filter 685mm Duration=30s Shutter=76.10ms Gain=251 (62%) 75% of 395frames
*リンクルリッジ(しわ状の尾根)で囲まれたラモントは起伏が乏しく、太陽高度が5°以下にならないとその全体像が見えないことからゴーストクレーターと呼ばれている。


〈アポロ11号関連・YouTube〉

アポロ11号着陸動画(動力降下開始からタッチダウンまでの16mmフィルム・ムービー)

↑ 見どころ:動力降下中に何度も表示されるシミュレーション訓練では見たことの無いプログラムアラームに翻弄される中で着陸中止か続行かを決定する緊迫した交信が記録されています。5分08秒にマスケリンWクレーター上空を通過する様子、11分57秒付近でフットボールフィールド大のウエスト・クレーター(Crater West)上空を通過する様子、12分35秒過ぎから見える最後のクレーターであるリトル・ウエスト・クレーター(Little West Crater)を飛び越えてランディングポイントの平地に着陸する様子は必見です。



アポロ11号着陸動画・完全版

↑ 16mmフィルム・ムービーだけでなく、地上管制官の様子、月着陸船の姿勢と高度が同時に表示されているので状況がよく分かる動画です。これを見ればアポロ11号の着陸の様子が手に取るように分かる完全版の名にふさわしい完璧なムービーです。(←ほめすぎ!)


二日月(月齢1.0) 観望記録 3/11

2024年03月12日 | 
天気はあまり良くなかったのですが月齢1.0の観望に行ってきました~。

 日没時の西空がこんな感じ(→photo)だったので絶対ムリ~と思ってたのですがラッキーなことに10分間だけ見ることができました。

月齢1.0(新月から24時間0分後の月)輝面比0.01、撮影時高度7°
2024/3/11 18h00m06s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f400mm ISO640 F6 1/20sec(トリミング)

 3月11日の二日月は〈2024年新月の翌日に見える細い月ランキング〉の4位で、〈2024年撮影条件良い順ランキング〉は2位なので条件良く細い月が見られる日でしたが、高度6°以下に層状の雲があって-1.3等の水星もまったく見えなかったのでかなり厳しい条件だったといえます。

 日没時刻は17時41分…月齢1.0が確実に見えるのは経験則で日没30分後です。はやる気持ちを抑えられず日没10分後から双眼鏡で探すもまったく見えず…。

 月の位置はプラネタリウム・アプリで確かめているので目をこらして双眼鏡の視野をくまなく探してもどこにも見当たりません。やはりだめか~と思った次の瞬間… わぉ、見えました! なんかいつもの月齢1.0とはちがって、やけに弧が短く見えます。見たことのない不思議な感じの月です。

 この細さでは当然肉眼では見えませんがカメラの望遠レンズでも月がどこにあるのかまったく分からなかったのでとりあえず400mm望遠で当てずっぽうに撮ったらラッキーなことに写っていました。

本日のファーストショット(新月から23時間58分後の月)

2024/3/11 17h58m05s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f400mm ISO640 F6.1 1/60sec


 発見したのは雲の層に沈む直前です。双眼鏡では左上の拡大写真のように見えました。

2024/3/11 18h00m40s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO640 F5 1/30sec

 高度が7°を切りました。この時もカメラのファインダーでは月は見えていません。

2024/3/11 18h02m17s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f175mm ISO640 F5 1/25sec


本日のベストフォト! 月齢1.0(新月から24時間4分後の月)撮影時高度6.4°(photo

2024/3/11 18h04m34s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f360mm ISO640 F5.6 1/8sec(トリミング)


本日のラストフォト。この直後に双眼鏡の視野から消えて、カメラにも写らなくなりました。

2024/3/11 18h07m44s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f370mm ISO4000 F6 1/25sec(トリミング)

 見えていた時間はわずかに10分ほどでしたが、集中していたせいかもっと長い時間見ていたような感じがしました。薄雲越しですが今日見た月はこれまで見た中ではいちばん細くて一番キレイな月でした。


本年最小の満月(2/24)

2024年02月25日 | 
月出が見えそうな天気だったので ムーンライズ・ウオッチングに行ってきました~。

 2月の満月は本年最小の満月のようですが、月出はいつもの満月と同じでとても大きく見えました。

2024/2/18 17h26m57s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO1000 F7.1 1/160sec(トリミング)


 雲があったので月が見えたのは月出時刻の17分後でした。(撮影時高度1.6°)

2024/2/18 17h21m18s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO1000 F7.1 1/250sec

 
 今宵の月は、月齢14.4、視直径29.5′、距離は40万5900kmです。

2024/2/18 17h27m21s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO640 F7.1 1/200sec(トリミング)


 群青色の空にぽっかり浮かぶオレンジ色の真ん丸お月様はこの時間の限定品ですね~。

2024/2/18 17h30m08s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO1000 F7.1 1/320sec(トリミング)


 とてもきれいな月出でした~。

2024/2/18 17h24m34s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO640 F7.1 1/320sec(トリミング)


 こちらは満月の瞬間の7分前の月です。(あとで気づいたことですが…)(^^ゞ

2024/2/18 21h22m47s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO640 F7.1 1/2000sec

 天気が良ければ民間企業による世界初の月面着陸に成功したNova-C/ Odysseusの着陸地点マルパートAクレーターの拡大撮影をしようと思っていたのですが、薄雲で2等星以下が見えない空だったので諦めました。ざんねん~。




二日月と土星の接近(2/11)

2024年02月12日 | 
2月11日は「二日月と土星の接近」が見られる日でした。昨日は山越えの雲が多かったので厳しい条件でしたが西の空がよく見える場所に出かけてウオッチングしてきました~。

 二日月は日没30分後には見えるので双眼鏡で薄雲越しの夕空を探してみると… ほひょ、もうすでに見えています。今日の月齢は1.4、輝面比は0.03とやや太めなので早い時間から見えていたようですね。

日没20分後の二日月(新月33時間30分後)

2024/2/11 17h29m52s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO2000 F6.3 1/100sec

 月は見えましたが西空の様子はこんな感じで、雲の動きも少ないので土星が見えたとしても雲のスキマから一瞬だけだよね~と思いながら双眼鏡で注視すること15分…

2024/2/11 17h30m16s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO2000 F6.3 1/60sec

 見えました~! 時刻は17時45分過ぎ、月高度は9°、土星の高度は7°です。太陽高度は-8°なので市民薄明が終わって航海薄明が始まった頃です。

こちらが二日月と土星の接近ファーストライト!

2024/2/11 17h46m10s D810A f340mm ISO3200 F7.1 1/6sec


撮影時の月と土星の離角は3°48′(サムアップした親指約2本分)です。

2024/2/11 17h47m06s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f290mm ISO3200 F7.1 1/5sec

 この後、土星は隠れては現れるを繰り返しながら十数分ほど見えていましたが、18時過ぎに雲海に没してついに見えなくなりました。ざんねん~。

2024/2/11 18h01m30s D810A f290mm ISO3200 F7.1 1/2sec


「二日月の地球照」*月の右側に見える星はみずがめ座の恒星(6.7等)です。

2024/2/11 18h01m59s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO3200 F7.1 1/1.3sec

 今日はご覧のとおりのモクモク雲だったのでスッキリとした接近写真は撮れませんでしたが、これはこれで幻想的と言える星景を見ることができたので来た甲斐があったなぁと感じました。

こちらが本日のラストフォト *月の右上に見える星はみずがめ座の恒星(3.7等)です。

2024/2/11 18h05m30s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO3200 F7.1 1/1.6sec

 さて、本日、2月12日は「三日月と海王星の接近」ですが、はたして見えるでしょうか?空の具合は昨日と同じような雲量なので雲間ねらいの撮影になりそうですが、望遠鏡をセッティングして拡大撮影にもチャレンジしてみることにしましょう。