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晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

2022年見たい天体現象「2022年に明るくなる彗星」☄

2021年11月27日 | 「見たい天体現象」
2022年見たい天体現象シリーズの第7回目は「2022年に明るくなる彗星」です。

 天文年鑑の「近く訪れる彗星」には、2022年に肉眼等級まで明るくなる彗星として「C/2021 A1(Leonard)」「C/2017 K2(PANSTARS)」「C/2021 O3(PANSTARS)」 の3つを紹介しています。

 このうち、現在接近中のC/2021 A1(12月13日に地球に0.23AUまで近づいて3等級まで明るくなると期待されている)は1月以降日本で見えなくなるので「 C/2017 K2(PANSTARS)」と「C/2021 O3(PANSTARS) 」について掘り下げてみたいと思います。


エントリー№ 1 「 C/2017 K2(PANSTARS)」
 C/2017 K2 は2017年5月21日にPan-STARSサーベイ1.8m望遠鏡で発見された彗星。この彗星の標準等級はH10=+0.5等と明るく大型の彗星(推定直径36km)であることが分かっている。この明るさは1997年に明るくなったヘールボップ彗星の標準等級H10=-3.0等には及ばないが歴代5位に入るほどの明るさである。

 ちなみに歴代1位はC/1729P1 とヘールボップ彗星の-3等級、歴代2位はC/1577 V1と C/1811 F1 の 0等級で歴代3位はC/1743 X1 Great Comet の+0.5等級である。ヘールボップ彗星は別格だが標準等級が+2~3等級もあればかなりの大型彗星なので、 C/2017 K2 はグレートコメットに匹敵する大きさと言える。

 これは期待できると言いたいが、そううまくいかないのが世の常で、C/2017 K2 は近日点距離が1.80AUと大きく、さらに太陽を挟んで地球から遠いところで近日点を迎えるので観測条件がヘールボップの時のように良くない。
 
 日本からは7月にへびつかい座で見えて9月にはさそり座に南下して10月以降は地平線下に沈んで見えなくなる。2022年末に5等級まで明るくなる予報が出ているが、日本では9月下旬に南西の空で日没後に5等級後半の明るさで見えるかどうかと言ったところ… ほうき星は水物なので大化けすることを期待したい。


エントリー№ 2 「C/2021 O3(PANSTARS)」
 C/2021 O3 は2021年7月26日にPan-STARSサーベイで発見された彗星。その後の継続観測で標準等級はH10=9.5等くらいと見積もられている。4月21日に太陽に0.28AUまで近づき4月26日頃から日没後の西空で見えるようになる。4月26日の予報光度は4.2等級となっている。5月8日には地球に0.60AUまで近づくがその時は6.1等級まで暗くなる予報になっている。

 5月1日19時30分には水星とプレアデス星団に5°まで接近するので大化けしていれば素晴らしい眺めになるので期待したい。5月以降はペルセウス座を通り北天へ大きく移動していき、5月中旬にはかなり暗くなるが周極星となって一晩中観測できるようになる。


現在接近中の「C/2021 A1(Lonard)」についてはただ今撮影計画を練っているところですが月の位相と天気がマッチするかが最大の課題で~す。

2022年見たい天体現象「突発出現が期待される流星群」☆彡

2021年11月26日 | 「見たい天体現象」
2022年見たい天体現象シリーズの第6回目は「突発出現が期待される流星群」です。

↑2001年11月18日のしし座流星雨、この時は1時間で1,500個以上の流星が出現した。まさにリアル星降る夜!

 2022年は1年を通して月の中旬が満月になるため中旬前後に極大を迎える流星群は条件が良くありません。なので、三大流星群の8月のペルセウス座流星群は条件が「最悪」で、12月ふたご座流星群は「悪」となっています。

 1月のしぶんぎ座流星群だけは極大が1月4日06時と予想されているので条件としては「最良」になっています。天文年鑑には「1月4日 04~05時台は空の条件によってはHR=100を突破する可能性がある」と記載されてます。ピークの鋭い流星群ですが火球を伴った流星が複数見られる可能性があるので要注意ですね。

 さて、ここからが本題です。2022年は「注意を要する小流星群」の中に突発出現の可能性がある流星群がいくつかあるのでまとめてみました。

エントリーナンバー1番
流星群名    注目極大日  時間       HR  特徴   母彗星  観測条件
ヘルクレス座τ群 5月31日 未明~早朝・夕方   ?    緩    73P   最良

*母天体である73P/シュワスマン・ワハマン第3周期彗星が1995年回帰時に生成・放出したダストトレイルに5月31日14時台に接近する予報が出ている。母天体の73Pが1995年に回帰したときには大規模なバーストが観測されており多くの流星物質を放出した可能性があるためHR=500を超す予測もある。日本では残念ながら接近時刻が日中のため観測はできないが、1892年と1897年に回帰した時のダストトレイルが長時間にわたり地球に接近するので5月31日の未明から早朝と夕方に出現を捉えられる可能性があります。5月30日が新月のため条件は最良であり2022年最大の要注意流星群です。


エントリーナンバー2番
流星群名    注目極大日  時間   HR  特徴   母彗星      観測条件
5月きりん座群  5月25日  17時台   ?   ?    209P/LINEAR    最良

*2014年に突発出現を見せた209P/LINEAR周期彗星を母天体とする流星群。2022年は1903年と1909年の回帰時に生成・放出されたダストトレイルへの接近により5月25日17時台に突発出現を見せる可能性がある。日本では日没前のためピークの観測はできないが日没後の北の空には要注意です。


エントリーナンバー3番
流星群名    注目極大日  時間   HR  特徴   母彗星   観測条件
7月りゅう座γ群  7月29日  02時台   ?  中速    ?     最良

*この流星群は発見が1963年で、2007年~2008年に日本で観測されて2012年8月にIAUに追加された新しい流星群です。2016年には1時間続く活動が見られたがその後は大きな活動は見られていません。母天体は周期270年~600年の長周期彗星と考えられているがまだ発見されてない。2016年以降は活動が見られていないが来年は条件が良いので注目したい流星群です。


エントリーナンバー4番
流星群名        注目極大日   時間   HR  特徴   母彗星   観測条件
11月おうし座南・北群  11月10日前後     10~15  緩    2P/Encke    悪

*こちらは小流星群でなくメジャーな流星群です。天文年鑑では2022年における第2の要注意流星群であると紹介しています。母天体は周期3.3年の2P/エンケ彗星で過去に放出されたダストが木星に対して7:2の共鳴構造となる状態で公転する特徴を持つ。2022年はこの塊が地球と接近する年になる。同条件の2005年には-5等級程度の火球が11月上旬に連日観測されたほか2015年には10月末から11月上旬に満月を上回る明るさの火球が複数出現した。残念ながら2022年は11月8日が満月であるため条件は良くないが、11月8日の皆既月食が輻射点の近くにあるため皆既中の赤銅色の月と火球を撮影できる可能性がある。皆既中の月と大火球を同時に撮れる千載一遇のチャンスです。


エントリーナンバー5番
流星群名   注目極大日  時間  HR  特徴    母彗星     観測条件
11月しし座群  11月22日  0時台   15  速・痕  55P/テンペル・タットル   悪

*母天体である55P/テンペル・タットル彗星の回帰を9年後に控えるしし座流星群ですが、2022年は母天体が1800年に回帰したときに生成・放出したダストトレイルが22日0時に接近する予報が出ています。下弦過ぎの月の影響を受けるが、HR=15前後の出現と痕を伴った火球クラスの流星を複数捉えることができるだろうと天文年鑑には記載されています。


エントリーナンバー6番
流星群名    注目極大日   時間       HR  特徴  母彗星   観測条件
12月こぐま座群  12月22日  19時台と23時台   ?   緩   8P/タットル   最良

*年末を飾るこぐま座流星群ですが2022年は22日19時台に小規模ながら突発する可能性と同日23時台に843年に回帰したときのダストトレイルとの接近予報が出ています。12月23日が新月のため条件としては最良です。

以上、来年楽しみたい流星群の紹介でした。

2022年見たい天体現象「Lunar X」

2021年11月25日 | 「見たい天体現象」
 手元に2022年度版の天文年鑑が届いたので天文年鑑から読み解ける
「来年見たい天体現象」を紹介していきま~す。


 今日のお題は、何度も撮影したけどやっぱり気になる「ルナXデー」です。



 2022年版天文年鑑の「展望」に月面Xの観察可能日が載っていますが、今年も独自予報として月面Xの観察可能日を載せておきます。

月面余経度358.0°の日時  日没  月高度(方位)  b値
○ 1月10日(月)12時18分 16:36   8°  (東)   -1.20°       
× 2月 9日(水) 02時45分 17:08   -21°
○ 3月10日(木)16時47分 17:39  73° (南)   -1.44°       
× 4月 9日(土) 05時55分 18:08   -25°
○ 5月 8日(日)17時58分 18:35  72° (南)   -0.18°        
× 6月 7日(火)06時30分 18:59   -36°       
○ 7月 6日(水)16時18分 19:04  51° (南南東) +1.23°   
× 8月 5日(金)02時15分 18:44   -47°       
○ 9月 3日(土)14時41分 18:05  20° (南東)  +1.41°        
× 10月3日(月)02時49分 17:18   -57° 
○ 11月1日(火)15時57分 16:39  22° (南南東) +0.14°  
× 12月1日(木)05時58分 16:17   -55°
○ 12月30日(金)20時24分 16:26  40°(南西)  -1.30°
(注:上記日時はあくまでも晴れスター的独自予報です。)
 b値:月面上で太陽が真上から照らす地点の月面緯度

2022年は月面X発生時に月が地平線上に出ている回数は7回ほどありますが、1月10日、9月3日、11月1日は月高度が低いので、条件良く観測できるのは、3月10日、5月8日、7月6日、12月30日の4回かと思われます。3月10日、5月8日、7月6日は日没前の青空の中で、12月30日は日没後の夜空で見ることができます。

 天文年鑑の展望には「2023年には夜間に好条件で見られるものがない」と書いてあるのでこの4回はぜひ見ておきたいですね。


 こちらは今年撮影したLunarXクローズアップフォトで~す。
2月19日(金)予想ピーク時間:18時59分 月面緯度 -1.50°

2021/2/19 21:05 SE200N ASI290MC Shutter=5.358ms 25% of 1233flames


4月19日(月)予想ピーク時間:20時54分 月面緯度 -1.10°

2021/4/19 20:41 SE200N ASI174MM Shutter=3.375ms 50% of 200flames


6月17日(木)予想ピーク時間:19時51分 月面緯度 +0.39°

2021/6/17 21h11m55s SE200N ASI290MC Shutter=4.719ms Gain=340 (56%) 50% of 1735flames



大気圏再突入直前のDRAGON CRS-23 DEBについて

2021年11月24日 | 宇宙開発
ISS 補給船ドラゴン(CRS-23)を打ち上げたファルコン9ロケットの第2段ロケットが
11月18日19時37分(JST)に大気圏に再突入して南アフリカ沖に落下した。

 CRS-23 DEB は落下直前の17時11分に日本上空を通過していたのだが、日本上空を通過
することに気付いたのが18時過ぎだったため惜しくも見ることはできなかった。

 その通過予報図をよく見るといろいろと気付くことがある。

 一つは移動速度の速さである。通過図を見ると南西仰角40°から天頂を通過して北東の
仰角30°までの通過時間がわずかに1分である。この速さはISSと比較しておよそ2倍である。

 これまで何度か落下直前の人工衛星を見て漠然と移動速度がかなり速いと思っていたが、
ISSの約2倍の速さだったということに至極納得した。

 もうひとつ気付いたことは地球の影に入る時刻の早さである。CRS-23 DEB は17時11分に地球の影に入って見えなくなっているが、この日の17時11分の太陽高度はまだ-10°なので航海薄明も終わっていない。この時間の空は2等星が見え始めるころでまだ薄明るい。それにもかかわらず地球の影に入ってしまう軌道の低さはあらためて尋常ではないと実感した。

 落下直前の人工衛星ウオッチングはなかなかスリリングでISS観望とは違ったワクワク感がある。またひとつ楽しみを見つけてしまった。ネット上には落下直前のサテライト情報がたくさんあるので知りたい情報が簡単に手に入ってしまう。困ったもんだ…。


〈関連ブログ〉
大気圏再突入直前のCZ-7ロケットボディ 目撃記録 
まもなく落下か?CZ-7 ロケットボディ目撃記録
長征5号Bロケット・コアボディ 目撃記録 

ISS超拡大眼視ミッション season2「2ndトライアル編 」

2021年11月23日 | ISS(国際宇宙ステーション)
2021年11月23日 プレスリリース
「11月18日に、ISS超拡大眼視ミッションを実施した」
「出た!お得意の過去形プレスリリースですね~」

「博士、今回は順調にシーズン2ミッションを行っているようですね~」
「いや、ここ最近WHITEY DOB30の稼働率が高くてやっと順番が回ってきた。
  計画は大幅に遅れている」

「あ、そうですか~、ところで今回のコースは距離が遠いようですが、これは
  いわゆる プラクティスという名の練習ですね」
「今回のミッションは2つの目的がある。一つは前回の課題である光学装置の減光について
  もうひとつは拡大率のアップである。そもそもこのミッションは…」

「あ、分かりました~。 博士、結果が気になるので、ご報告を~」

 さて、今回のイベントは確かに距離はそれほど近くはない。しかも
木星をかすめていくというレアな通過が見られるコースである。


 本来、このコースは金星の近くを通過するが木星には近づかない通常の
パスであった。それが11月15日にデブリを避けるためISSが軌道高度を上げ
たため木星接近コースになった。

 そのためISS拡大撮影を行うべきだという意見が上がったが、博士が専有利用許可を
取っていたためそれを横取りすることはできないということで予定通りの実施となった。

さて、今回のシステムは下記のとおりである。
・WHITEY DOB30 + Powermate2× + ELS正立双眼装置 + EF-16mm(60°) +レデューサー(0.66×)
 これで合成焦点距離が3,000mmのF10になり、 Powermate2×とレデューサー(0.66×) の組み合わせで
倍率が125倍になった。視野は0.48°(28.8′)である。この視野と倍率ではたして手動追尾できる
のかを確かめるのが今回の目的だ。

今回のコースでの高度と直距離、通過時刻
・10°   1487km  17:58:39
・15°   1217km  18:00:15
・20°   1021km  18:00:46
・25°    877km  18:01:10
・30°    771km  18:01:29
・35°    689km  18:01:45 木星近傍を通過
・40°    625km  18:01:59
・45°    579km  18:02:11
・50°    543km  18:02:23
・51°    535km  18:02:26 影に入る 
*上記時刻はステラナビ11による表示であるためHeavenAboveの時刻とは相違がある。

ISSは高度15°付近で導入できたが今回は東へ水平移動しながら高度を上げていくコースのため高度35度まで追尾した時点で体がねじれてあり得ない姿勢になってロスト!再導入のためにファインダーを覗いているときに木星のすぐ北側を通過!その距離は木星の視直径の2つ分くらいだったのでまさにかすめたと言った感じだった。それはさておき再導入のコツがつかめたので3度ロストしたがすべて再導入することができた。

 前回の倍率は93倍だったが125倍は想像以上にISSが大きく見えて素直に驚きを感じた。その時の様子は下のまとめ図に載せてあるが、530kmでこれほど大きくの見えるのだから近距離の430kmでみたらどのように見えるのだろうと想像しただけでワクワクする。

 課題は低高度から水平移動を伴いながら高度を上げる時にどのようにして視野から外れないようにISSを追尾するかだ。対策としては①ヨガ教室に通って体を柔らかくする。②どの高度からでも導入できるよう任意の方向に望遠鏡を向けられるよう熟知する。などが考えられるが、今のところは②でいこうかと思っている。(^^ゞ

今回のまとめで~す。

眼視イメージは望遠鏡視野内でのISSの大きさを表している。右は実際に見えた様子の再現図。

〈WHITEY DOB30とアイピースの組み合わせφ(..)メモ〉
焦点距離1,500mm F5
☆PL25mm(52°) 60倍 52°÷60倍=0.86°(51.6′) ← 1st.2ndミッション
☆EF-16mm(60°) 93倍  60°÷93倍=0.64°(38.7′)← 7thミッション
☆HC12mm(42°) 125倍 42°÷125倍=0.33°(20.1′) ← 5thミッション
・PL10mm(52°)150倍 52°÷150倍=0.34°(20.4′)
・Ph5mm(60°) 300倍 60°÷300倍=0.20°(12.0′)

合成焦点距離3,000mm(powermate2× 使用) F10
☆WA32mm(70°) 93倍 70°÷93倍=0.75°(45.0′) ← 4thミッション
・Ph25mm(60°) 120倍 60°÷120倍=0.50°(30.0′)
・PL25mm(52°) 120倍 52°÷120倍=0.43°(25.8′) ← 3rdミッション
☆EF-16mm(60°) +レデューサー(0.66×) 125倍  60°÷125倍=0.48°(28.8′)← 8thミッション(今回)
・EF-16mm(60°) 187倍  60°÷187倍=0.32°(19.2′)
・Ph15mm(60°) 200倍 60°÷200倍=0.30°(18.0′)← 6thミッション

☆はISSを確認できたミッション


〈おまけの画像と動画〉
記録用に撮影したカメラがISSと木星の接近を捉えていました~。

2021.11.18 17h54m02s~17h58m36s D810A 24~70mm f2.8 f24mm F4.5 ISO1600 2sec×91

2021年11月18日のISS


木星に接近するISS

2021.11.18 17h57m33s D810A 24~70mm f2.8 f24mm F4.5 ISO1600 2sec

〈過去ブログ〉
ISS超拡大眼視ミッション・シーズン2 「リボーン編 」 2021.10.11

めずらしい大気光学現象パリーアーク出現!

2021年11月22日 | お天気
11月21日にとてもめずらしい大気光学現象が出現しました。以下その目撃記録です。

それを見たのは午前9時30分ごろ…
窓からふと外を見ると太陽の両側に幻日が見えていたので久々だなぁと思って外に出てみると…
ん!? 左右の幻日から中心の太陽に向かって白い線が伸びています。え?…

 おお!これは…「白虹日を貫く」の幻日環では!? さらに見上げると環天頂アークも見えてしかも
見たことない光学現象がたくさん見えます。

 わわ、これはすごい! 初めて見る光学現象がてんこ盛りだ~

 なにより驚いたのは上部タンジェントアークがM型になっていてその中央部が盛り上がっていることです。この現象についての知識は残念ながら持ち合わせていませんでした。とにかく撮影です。


 撮影するとさまざまな光学現象が写っていたのでネットでいろいろ調べてみたところ…
ふむふむ…なるほど、やっとその全貌が分かりました。

 今回見えた光学現象の中ではパリーアークがとくにめずらしいようです。パリーアークは上部タンジェントアークの上側に接した状態で現れる現象ですが出現頻度は年1回程度でラインとして見えるのは数年に1回のようです。ちなみにタンジェントアークの出現頻度は年20日程度で比較的簡単に見られる現象です。

 タンジェントアークとパリーアークは太陽高度によって形が変わるようで(下図参照)30°を超えるとほぼ水平になるようです。撮影時の太陽高度は25°なので下図の20度によく似た形になっています。



環天頂アークは逆さ虹とも呼ばれ頭上高い位置にでます。



左幻日、赤色は太陽に近い方に青色は太陽から離れた位置に見えるそうです。



右幻日、内暈の外側に位置していることが分かります。



環天頂アーク、上部ラテラルアーク、パリーアーク。上部タンジェントアーク、内暈


 白虹が太陽の中心を貫いて空を一周する幻日環は一度でいいから見てみたいと思っていた光学現象なので今日見ることができたことは本当にラッキーで嬉しい出来事でした。しかも、存じ上げなかった現象のパリーアークも見られたのですから超オドロキです。待てば海路の日和ありですね。


〈過去ブログ〉
タンジェントアーク 2009.3.9

部分月食中の月に向かうISSパス

2021年11月21日 | ISS(国際宇宙ステーション)
部分月食中に通過したISSの撮影記録です。

 今回の通過は最大高度がわずか28°というとても低いパスです。高度15°で地球の影に入って見えなくなりましたが、影に入らなければ食分0.6の月の北1.5°を通過するコースだったので、部分月食に華を添えるイベントになったはずです。

イベントデータ



 ISSを撮影した機材は10.5mmの対角魚眼。市民薄明が16時50分に終わったので航海薄明中の撮影です。まだ水平線は見えてましたが空はかなり暗くなっていました。撮影はISSを眼視で確認できた高度10°付近からスタートさせましたが、撮り始めから撮影終了までの時間はトータルで4分44秒でした~。

西空で輝く3惑星と月食中の月に向かうISS

2021/11/19 17h09m10s~17h13m54s D90 10.5mm/f2.8 ISO400 f5.6 4sec × 68

月食中の月に向かって進むISSと3惑星

 高度が低いといっても明るさは-2.6等ですから木星とほぼ同じ明るさです。水平線の上を月に向かって進むISSはとてもキレイに見えました。地球の影に入っていく様子も双眼鏡でじっくり見ることができて久々に落ち着いた気持ちでISSパスを楽しむことができました。(ISSを見るときはいつも心拍数高めなので…) (^^ゞ



月出帯食(11/19)

2021年11月20日 | 月食
天気に恵まれて月出から部分月食を見ることができました~。

 仙台の月出時刻は16時18分。日没時刻が16時23分です。部分食の始まりは16時18.4分
なので仙台では月出と同時に部分食が始まります。

 月を確認した時刻は月出から5分後の16時23分、部分食開始5分後ですが予想以上に欠け
て見えました。厚い大気の層で減光されているため半影食部分が強調されたのかもしれま
せん。ちょっと意外でした~。

月出帯食 食分0.07 撮影時高度0.389° 日没0分後

2021/11/19 16h23m50s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO200 f6.3 1/20sec


食分0.13 撮影時高度1.220° 日没5分後

2021/11/19 16h28m32s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f500mm ISO1000 f6.3 1/250sec



食分0.17 撮影時高度1.658° 日没8分後

2021/11/19 16h31m00s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f440mm ISO1000 f10 1/50sec


食分0.28 撮影時高度3.230° 日没16分後

2021/11/19 16h39m48s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO3200 f11 1/125sec トリミング


食分0.53 撮影時高度6.883° 日没36分後

2021/11/19 16h59m58s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO3200 f11 1/320sec トリミング


食分0.70 撮影時高度9.714° 日没52分

2021/11/19 17h15m22s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO1600 f10 1/400sec トリミング


食分0.95 撮影時高度16°


2021/11/19 17h49m42s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO2000 f6.3 1/100sec トリミング

食分が最大になる頃、北西から近づいていた雲がついに到達して、あっという間に月を隠してしまいました。なので、まともに撮れたプレアデス星団とのコラボ写真はこの1枚のみでした~。

プレアデス星団と最大食分の月

2021/11/19 18h00m36s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f200mm ISO10000 f5.3 1/3sec

最大食分0.98 撮影時高度18°

2021/11/19 18h01m55s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO3200 f6.3 1/4sec トリミング

 月食中は双眼鏡で月を観察していましたが、今回の月食は地球の影の部分の色合いがとてもきれいに見えました。ターコイズフリンジも見えるのではと思い、注視していましたが肉眼では確認できませんでした。最大食分時の高度が20°と低かったことが影響しているのかと思います。

部分月食中の17時6分過ぎにISSが通過していきました。遠めのパスでしたが対角魚眼で連続撮影してありますのでその様子は次回のブログで~。

2022年見たい天体現象「月と惑星の接近(7月~12月編)」

2021年11月19日 | 「見たい天体現象」
7月27日「月齢27.6と金星の接近」

 新月二日前の月と金星が横並びに接近する現象です。季節は夏ですが背景は冬の星座ふ
たご座です。月と金星の右側ではオリオン座の三つ星がまっすぐ立ち昇ってくる様子も同
時に見られます。


7月30日「二日月と水星の接近」

 新月翌日の二日月が水星と接近します。輝面比0.03の月が見えるのは太陽が沈んでから
30~40分が過ぎたころです。この時の水星の高度は約2°です。水星が沈むとき火星のよう
に赤く見えることがあるので運が良ければ赤い水星を見ることができるかもしれません。


8月26日「有明の月と金星の接近」

 この日の月は新月前日で輝面比0.02ですが、注目すべきは弦が上を向いてお皿のようにな
っていることです。この向きの月と惑星が接近するとそれだけで荘厳的な美しさがあります。
2022年で条件よく見られるのはこの日だけなので見逃せない接近です。


8月29日「究極に細い三日月と水星の接近」

 水星はやや離れたところ(角距離6°)にありますが、究極に細い三日月と一緒に見るこ
とができます。ただし水星の明るさが0.3等と明るくないので探すのは難しいかもしれま
せん。デジカメで撮影して位置を確認してから肉眼で探すのがおすすめの方法です。


9月25日「新月前日の月と金星の接近」

 こちらは「2022年に見える細い有明の月」で紹介した新月25時間前の月です。接近を見
る以前にこの月が見えるかが鍵となります。これほど細い月と金星の接近は撮影したこと
がないのでぜひ撮影したい天体現象です。


12月25日「三日月と水星、金星の接近」

 クリスマスの夕方に西の空で見える三日月と2惑星の接近です。この時の水星は明るさが
-0.2等なのでキレイに見えることと思います。日没時から注意してみていると三日月→金
星→水星の順に輝く様子を見ることができます。


 最後にこれまでに撮影した月と惑星の接近アーカイブから数枚を紹介します。

↓「月と惑星たちの接近 選」
2016年2月7日「ほぼ1週間の天体たち」



2019年11月19日「五日月と土星・木星の接近」



2019年1月2日「月と惑星たちのアーバンな接近」



2019年11月24日「輝面比0.01の月と水星の接近」



2008年12月30日「月齢1.8の月と水星・木星の接近」



2017年9月19日「月齢28の月と水星・火星の接近」



以上蔵出し画像でした~。

2022年見たい天体現象「月と惑星の接近(1月~6月編)」

2021年11月18日 | 「見たい天体現象」
2022年見たい天体現象の第3弾は「月と惑星の接近」です。

 来年みたい「月と惑星の接近」をリストアップしてたら、とても多くなったので
「1月~6月編」と「7月~12月編」の2回に分けてお送りしま~す。

 今回もシミュレーション画像はステラナビゲーター11で作成しました。

1月1日「有明の月と火星、アンタレスの競演」

 この接近は元旦の早朝、初日の出の約1時間前に見ることができます。ほぼ同じ明るさで
輝く2つの赤い星の競演に輝面比0.05の有明の月が寄り添います。薄明が進んで月と火星と
アンタレスだけが空に残されたとき、赤い眼をしたスマイルマークに見えるかも…


1月4日「二日月と水星・金星の接近」

 月齢1.6の二日月と水星が並びます。金星は日没直後から見えてますが水星が見える頃は
金星の高度がかなり低くなるので眼視では難しいかも。肉眼で見えなくても撮影は可です。


1月5日「三日月と3惑星の競演」

 こちらは金星が沈んで空が暗くなった頃に見える月と3惑星の競演です。木星が-2.1等、
土星が0.7等、水星が-0.6等です。3惑星はやや離れていますが一直線に並ぶのできれいな
眺めになります。


1月30日「有明の月と火星、金星、水星の共演」

 1月上旬に西の夕空で見えていた金星と水星は下旬には明け方の東の空に移動します。
接近と言えるほど近づいてはいませんが夏の星座を背景にした3惑星と月が楽しめます。


2月3日「究極に細い三日月と木星の接近」

 輝面比がわずかに0.06という究極に細い三日月が木星と並んで見えます。前日はかなり
低い高度ですが月齢1.1(輝面比0.02)の二日月が見えます。そちらも見逃せませんね。


2月27日「有明の月と火星、金星の接近」

 有明の月が、明るさ1.3等級になった火星と-4.6等の金星に近づきます。火星は徐々に
明るさを増して12月上旬にはおうし座で-1.9等まで明るくなります。2022年は火星の明
るさの変化にも注目ですね。


3月1日「有明の月と水星と土星の接近」

 この日は、月と水星の離角が4.5°、土星と水星の離角は2.3°で3天体がかなり近づきます。
月高度が2°に達する頃には土星も水星も見えなくなるので難易度はMAXですが離角が小さ
いので来年見てみたい天体現象のひとつですね。(^^ゞ


4月28日「有明の月と土星、火星、金星、木星の共演」

 こちらは2022年でも一推しの見たい天体現象です。肉眼で見える5つの惑星のうち4惑星
がきれいに並びます。新月3日前の有明の月の位置も絶妙です。肉眼では見えませんが実は
金星と海王星が離角4分という超大接近しているおまけ付きです。


5月27日「有明の月と火星、木星、金星の共演」

 こちらは「木星と火星の接近」と「月と金星の接近」が一度に楽しめる?天体現象です。
惑星の接近でも横並びになるのはけっこうレアなのでぜひ写真に収めたい星景ですね。


6月27日「有明の月と金星、水星」

 こちらは月を挟んで2つの惑星が並ぶ現象です。月の両側に明るい惑星が並ぶと写真的に
はとてもフォトジェニックでいいなあといつも思っています。晴れスター的には月と惑星
の接近の中でもおすすめの一品です。

 本日はここまでです。次回は「月と惑星の接近(7月~12月編)」をお送りしま~す。