晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

8月28日の土星(衝)

2023年08月29日 | 土星
天気に恵まれて土星が衝になる8/28の夜に撮影することができました~。

 今年は輪の消失の2年前なので環の傾きはわずか9°で環の幅も本体の1/3しかありません。この状態でもハイリゲンシャイン効果で環が明るくなるのかウオッチングしてみました~。

 こちらが本日のファーストショットで撮影高度は29°です。この時は低高度と透明度の悪さで色が黄土色でした~。ハイリゲンシャイン効果はどうでしょう? 普段と変わらない感じですが…

2023/8/28 21h12m Shutter=80ms Gain=315 (52%) 50% of 3000frames ap1


22時17分の土星 撮影高度36°
 この頃から透明度が良くなってペガスス座の鼻の星エニフ(2.4等)が眼視で見えるようになりました。画像上では環がいつもより明るいように感じますが、はて、どうでしょう…
 

2023/8/28 22h17m Shutter=65ms Gain=297 (45%) 50% of 4616frames ap1


22時25分の土星 撮影高度37°
 土星の南中まであと1時間というところで西から層状の雲が急速にやってきてこれがラストショットとなりました。雲に入る直前に惑星カメラをアイピースに換えて眼視で確かめましたが肉眼では環の明るさの違いはまったく分かりませんでした。

2023/8/28 22h25m Shutter=60ms Gain=303 (50%) 50% of 4616frames ap1


…ということで画像処理した写真ではよく分からないので8/28と7/29日の動画で比較してみました。

2023年8月28日22時17分に撮影した土星(ハイリゲンシャイン効果あり?)


2023年7月29日0時48分の土星(衝の1か月前、ハイリゲンシャイン効果なし)


 う~む、よく分かりませんね~。やはり環の傾きが小さいとハイリゲンシャイン効果はあったとしても顕著ではないということですかね~。


 下の動画は2021年の衝の翌日に撮影した土星です。この時は衝の翌日でもはっきりとしたハイリゲンシャイン効果が見られてキレイだったのですが、環の傾きが小さい時はハイリゲンシャイン効果が見られる時間が極端に短いのかも…ですね。(今年の衝は9時33分なので日本では観測不可)

2021年8月3日22時38分に撮影した土星(ハイリゲンシャイン効果)




〈関連ブログ〉
8月3日の土星」 2021.8.3


8/24 8/25 のISS

2023年08月26日 | ISS(国際宇宙ステーション)
8月23日10時08分(日本時間)にリフトオフしたプログレスMS-85が8月25日11時45分(日本時間)にISSへドッキングするのでランデブー飛行が見えるかウオッチングしてみました。

 プログレスMS-85がドッキングするまでに日本上空を通過するISSを2回ほど確認できましたが、残念ながらランデブー飛行は確認することができませんでした。


 1回目の観望はリフトオフから17時間後の8月24日03時17分頃、プログレスMS-85まだそれほどISSに近づいていないと思われるのでISS通過後も撮影を続けたが確認できなかった。

通過図とイベントデータ



 ATOMcam2でもプログレスMS-85は確認できませんでしたが流星が3個写っていたのでその部分だけ編集してみました~。

 ISS撮影時に写った流星



  2回目の観望は8月25日02時31分頃、ドッキングまであと11時間というタイミングだったがこちらもプログレスMS-85を確認することはできなかった。

通過図とイベントデータ


 ランデブー飛行はドッキングの直前でないと見えないようですね。NASAのドッキングライブ中継が始まっていれば間違いなくランデブー飛行が見えるはずですがそのタイミングで上空を通過することは確率的にかなり少ないですよね~。

 プログレスMS-85ドッキング後のISSはこんな感じ…

古川宇宙飛行士が搭乗するCrew-7は、船首ハーモニーのzenith(天頂部)にドッキングする予定です。


8月23日のISS撮影記録

2023年08月24日 | ISS(国際宇宙ステーション)
8月23日04時05分のISS撮影記録です。

 この夏は太平洋高気圧の縁を北上する湿った気流が雲を発生させるので快星になることがほとんど無かったのですが、8/23の未明に快星と好条件通過のタイミングが合ってやっと撮影できました~。

本日の通過コース

イベントデータ

地上軌跡はこんな感じ…

 
 撮影システムはいつもの 30cmドブ+Powermate2×+ASI290MC+UV/IR cut Filter で、露出はShutter=0.885ms Gain=275 (45%)です。

 撮影計画としては、高度30°を過ぎたところから撮影を開始して天頂を通過したところで鏡筒回転をします。後半は逆光で暗くなりますがとりあえず追尾できるところまで撮影を続けることにします。

 さて、時間です。土星の東側でISSが地球の影から出てきました。航海薄明が始まってるので空はペガスス座がギリ見える明るさです。まもなくペガスス座に到達します。撮影を開始しましょう~。


 ふう、やはり天頂は捉えることができませんでしたが、高度70°付近まで追尾できたように思います。で、こちらが撮影した動画のフルバージョンです。*動画開始時に見える輝点は直前に撮影したロシアのcosmos2278ロケットが写り込んだものでISSではありません。(^^ゞ  

2023年8月23日04時05分のISS



 今回は太陽電池パドルの向きが良かったので増設したiROSAもはっきり写っていました。
こちらは前半部分のハイライトGIFアニメで~す。


ここからはコンポジット画像です。

7枚コンポジット画像

2023.04:05:01 高度46° 直距離543km


5枚コンポジット画像

2023.04:05:01 高度47° 直距離530km


6枚コンポジット画像

2023.04:05:09 高度52° 直距離498km


8枚コンポジット画像

2023.04:05:22 高度62° 直距離456km


10枚コンポジット画像

2023.04:05:24 高度63° 直距離451km


4枚コンポジット画像

2023.04:05:28 高度67° 直距離442km


5枚コンポジット画像

2023.04:05:29 高度67° 直距離440km


8枚コンポジット画像

2023.04:05:36 高度73° 直距離429km


4枚コンポジット画像

2023.04:05:36 高度73° 直距離429km


2枚コンポジット画像

2023.04:05:37 高度74° 直距離428km


5枚コンポジット画像

2023.04:05:58 高度78° 直距離433km


5枚コンポジット画像

2023.04:06:05 高度73° 直距離445km


5枚コンポジット画像

2023.04:06:11 高度68° 直距離460km


7枚コンポジット画像

2023.04:06:14 高度66° 直距離469km


6枚コンポジット画像

2023.04:06:22 高度59° 直距離496km


10枚コンポジット画像

2023.04:06:27 高度56° 直距離516km


10枚コンポジット画像

2023.04:06:45 高度45° 直距離598km


11枚コンポジット画像

2023.04:06:53 高度41° 直距離640km


コンポジットした画像でループアニメも作ってみました~。
かなりせわしないアニメですがなんとな~く立体感3Dを感じることができます。



天頂通過までのループアニメ








天頂通過後のループアニメ



アンドレアス・セラリウス「大宇宙の調和」

2023年08月22日 | ☆星見隊
先日のこと、部屋の片付けをしていたところ何やら古めかしい筒を発見… 
 包まれている物を引っぱり出して開いてみると、ほほう、ポスターが4枚ほど入っています。ふむ、これはかなり昔に頂いたものですね~。その存在をす~っかり忘れてました。 (^^ゞ

 で、こちらが、その中の1枚 アンドレアス・セラリウスの「大宇宙の調和」北天星図です。オリジナルは1660年に出版された版画図ですが、こちらはSalt Lake CityにあるHansen Planetariumで1982年に作成した復刻版です。


  ↑ この状態で保管されていました~。(いや、ほったらかしてた… が正しいですね)


 さて、この星図、芸術的な美しさがあってとてもキレイなのですが、じ~っくり見ると、今とちがうところがたくさんあって… 突っ込みどころ満載の星図です。

 ということで、今回はアンドレアス・セラリウスの「大宇宙の調和・北天星図」を晴れスタ的に深掘りしてみました~。

深掘りポイントその1
「星図が裏返し! 星座が神様の視点で描かれている!?」
 この星図、よく見るとしし座が左を向いていて、その左にかに座、ふたご座があります。そう、この星図はすべての星座絵が裏返しになっています。なぜ空を見上げた時の向きにしないのだろう? と誰しも疑問を抱くところですが、その理由は、それが当時の「星図の流儀」だったからです。

 当時の星図は天球上の恒星の位置を示す天球儀に描いていたので、星図を天球の外から眺めるように描くのが主流となっていました。1729年に刊行されたジョン・フラムスティードの星図・天球図譜以降は多くの星図が空を見上げた向きで作られています。

 ジョン・フラムスティードは「星座を正面から描かないのはプトレマイオス時代からの流儀だが、それが無用な混乱の元になっているので(1603年にバイエルが刊行した)「ウラノメトリア」の星図表示法を正したい」という思いを持っていたらしく、それがフラムスティード星図を刊行した動機のひとつだったと言われています。


深掘りポイントその2
「みつばち座、こがに座、ヨルダン座ってなんですか? 聞いたことないんですけど…」
たしかにこの3つの星座は現代の88星座に残っていませんがそれぞれ由緒正しき?歴史があるようです。そのヒストリーを紐解いてみましょう。

 エントリー№1「みつばち座(Apes)」
 「みつばち座」が星図の歴史に初めて登場するのは1603年。バイエルが「ウラノメトリア」で南天のはえ座を「みつばち座(Apis)」と誤って紹介したことに始まる。その後、1612年にオランダの天文学者ペトルス・プランシウスがバイエルが誤って命名した南天の「みつばち座(Apis)」を本来の名前である「はえ座(Muica)」に戻し、それと同時におひつじ座の北側にある4つの星を使って「みつばち座(Apes)」作ったことで北天の「みつばち座(Apes)」が誕生した。ここから「はえ座」を巡る数奇な運命が始まる。
 1624年にドイツの天文学者ヤコブ・パルチウスが北天の「みつばち座(Apes)」に「Vespa(すずめばち)」と記したことからこれ以降は「すずめばち座(Vespa)」となったが、1690年にヨハネス・ヘヴェリウスが「はえ(Musca)」と名付けたことから、南天にある「はえ座(Musca)」との区別が付かなくなり混乱が発生する。しかも、ヘヴェリウスは名前は付けたが星座としてはカウントしなかったため正式な星座ではなくなるという事態が発生! そのため、それ以降は南天の星座としての「はえ座 Musca」と北天の星座絵だけの「Musca」が天球図に描かれることに…。
 この時代は約100年間続いたが、1801年にドイツの天文学者ヨハン・ボーデが刊行した星図「ウラノグラフィア」で北天の昆虫を「Musca(はえ)」、南天の昆虫を「Apis(みつばち)」と記したことで再び混乱が発生!、なんと200年の時を経て南天星座に再び「みつばち座(Apis)」が記されることになった。
 その後、1822年にイギリスの教育者アレクサンダー・ジェミーソンが出版した星図「Celesyrial Atlas」で北天の昆虫に「北のハエ」を意味する「Musca Borealis」と記したことで正式に「きたばえ座」となったのだが、なぜか南天の昆虫には名前が記載されてなかったため南天のハエ座(みつばち座?)の存在があやふやに…。そんな混乱の中、1835年にはアメリカの教育者イライジャー・バリットが出版した星図「Celestial Atlas」で、南天の昆虫に「インドのハエ」を意味する「Musca Indica」と記し、北天の昆虫の方を「Musca」としたため「はえ座」を巡る騒動は更に続く…。

 この混乱に終止符を打ったのがイギリスの天文学者フランシス・ベイリーだった。19世紀初めのイギリスの天文学者フランシス・ベイリーが編纂し、彼の死後の1845年に刊行された星表で100以上あった星座が87個に整理されて、そのタイミングで北天の昆虫は駆除?され、南天の「はえ座」が残されて名前も「Musca」に確定した。

 ふう、天界にある唯一の昆虫星座である「はえ座」にこのような約200年も続いた混乱劇があったとは驚きですね。セラリウスの「大宇宙の調和」北天星図は初期の「みつばち座(Apes)」が描かれているのでプランシウスの天球儀を元に描かれたものなのでしょう。

(注:きたばえ座(旧みつばち座)は1679年にロワーエが、後援者であるフランス国王ルイ14世を称える(忖度?)ために「ゆり座(ブルボン王朝の紋章に使われていたユリの花の意匠がモチーフ)」と命名していますが、ハエ座ヒストリーとは系譜が違うのでここでは割愛しています。)


 エントリー№2「こがに座(Cancer minor)」
 「こがに座(Cancer minor)」はペトルス・プランシウスが1613年に新設した8つの星座(きりん座、いっかくじゅう座、こがに座、みつばち座、チグリス座、ヨルダン座、おんどり座、南の矢座)のひとつとしてプランシウスの天球儀に登場しますが、なぜか支持されなかったらしく、1624年のヤコブス・パルチウス星図では「こがに座」の姿が早くも無くなっています。

 アンドレアス・セラリウスの「大宇宙の調和」は1660年出版ですが、「こがに座」が描かれていることからプランシウスの天球儀を元にしているということがよく分かりますね。それにしても、この時代のかに座はどーみてもカニというよりはエビ寄りの姿(ロブスター系?)をしていますよね。

 これは推測ですが世界で最初に印刷された星図と言われている1515年出版の「デューラー天球図(プトレマイオスの48星座を描いた古典星図)」のかに座がエビ系だったので初期の星図はこの形で描かれていたものと思われます。

↑ 1515年に出版されたデューラーの星図(北天)

 さて、最後はヨルダン座です。

 エントリー№3「ヨルダン座(Iordanis fluv)」
 「ヨルダン座(Iordanis fluv)」は前出のペトルス・プランシウスが1613年に新設した星座のひとつで、ヨルダン川をモチーフとして作られています。ヨルダン座は1624年のヤコブス・パルチウスの星図や1679年のオギュスタイン・ロワーエの星図でも描かれていますが、1690年に刊行されたヘベリウスの星図から描かれなくなりました。

 …というよりは、ヘベリウスがヨルダン座があった場所にりょうけん座、やまねこ座、こじし座を新設したため、ヨルダン座は忘れ去られることになったというのが正しいヒストリーです。ヘベリウスは星座間の空白粋を埋めるために10個の星座を新設したと思っていたのですが、ひとつの星座を消していたとはまったく知りませんでした~。

*ヘベリウスが新設した10個の星座こぎつね座、こじし座、たて座、とかげ座、やまねこ座、ろくぶんぎ座、りょうけん座、ケルベルス座、しょうさんかく座、マエナスルさん座

 このように長い星図の歴史の中でもごく初期の短い期間にだけ描かれていた「みつばち座、こがに座、ヨルダン座」が載っているアンドレアス・セラリウスの「大宇宙の調和」北天星図は星座ヒストリーを語る上では貴重な資料と言えますね。さて、セラリウスの「大宇宙の調和」北天星図にはもうひとつ注目すべき点があります。

 それは、星座と一緒に世界地図が載っているところで~す。

深掘りポイントその3
「1660年のニッポン(Japan)には… 東北と北海道が無い!?」

 アンドレアス・セラリウスの「大宇宙の調和」北天星図はご覧のように世界地図の上に星座絵が描かれています。フツー天球儀は星座だけが描かれていて、世界地図は当時としても地球儀に描かれていますが、この星図では重ね合わせるというとてもオシャレな描き方をしています。

 今回見つかったポスター4枚の中には1660年当時の世界地図「THE WORLD IN 1660」というのもあったのですが、そこに記載されている日本列島には東北地方がないにもかかわらず「Aquita(秋田?)」という地名が載っています。

 そのほかに載っている日本の地名は京都付近の「Meaco(都?)」と東京付近の「Iedo(江戸?)」だけなので、なぜ、京都、江戸と並んで「秋田(Aquita)」が記載されているのかまったく謎です。Aquita の地名はよく見ると太平洋側に記されているので秋田以外の地名という可能性もあるかな…

 最後は星図の話ではなくなってしまいましたが、アンドレアス・セラリウスの「大宇宙の調和」北天星図は深掘りするとまだまだ発見がありそうですね。今回見つかった4枚のポスターの中には南天星図もあったので、そちらも後日紹介したいと思いま~す。

月探査機 ルナ25号

2023年08月18日 | 宇宙開発
久々の宇宙開発ネタで~す。 (それ以前にブログ更新が久々ですね…) (^^ゞ

 なんと、ロシアが47年ぶりとなる月探査機ルナ25号を打上げたというビックリニュースが飛び込んできたので分かる範囲でまとめてみました。

↑ 2023年8月11日にボストチヌイ宇宙基地からリフトオフするソユーズ2.1bロケット(Credit Roscosmos)

 そもそもロシアの月探査は1976年のルナ24号がラストミッションだったはずですが、47年を経てルナ25号が月に向かうとは想像すらしていませんでした~。(関連ブログ→月の石


↑ ルナ24号のバックアップ機(完全な形で現存している唯一のルナランダー)

ルナ25号についてはロシア科学アカデミー宇宙研究所のHPに説明があったので要約してみました。
↓ 組み立て工場で最終検査を受けるルナ25号(Credit Roscosmos)

〈プロジェクトの内容〉
・Luna-25は月の南極、月の外気圏の領域の表面の上層を研究し、着陸と土壌分析技術をテストするために、自動惑星間着陸ステーションを立ち上げるプロジェクトである。

〈プロジェクト目的〉
・月へのフライトを提供する
・南周極地域(UPL)の選択された海域における月面への軟着陸
・月面での作業技術の開発と月の夜の宇宙船の生存により、搭載機器と科学機器の複合体の1年間の運用
・レゴリスの組成と構造の科学的研究を実施し、遠隔法と接触法によるUPLの月の外気圏の研究

〈主な科学的課題〉
・月の極性物質中の水と揮発性化合物の探索、極性レゴリスの表面と上層の元素と同位体組成の研究
・太陽風とレゴリスの上層との相互作用、表面近くの月面近くの外気圏のプラズマおよびダスト成分の研究

〈科学技術課題〉
・将来の月面プロジェクトの宇宙船の高速かつ安全な着陸システムをテストするための表面不均一性のマップの構築
・レゴリスの物理的および機械的性質の研究


〈ミッション〉
 21世紀には、月の極地が研究にとって最も興味深いものになりました。ソビエトとアメリカの宇宙計画の一部として作成された、無人と有人の1950年代と1970年代の最初の着陸船は、赤道近くと温帯緯度で月を着陸させて探検しました。しかし、20-21世紀の変わり目に行われた月の遠隔研究によって示されるように、月極近くの条件は以前に研究された地域の条件とは大きく異なります。主な違いは、極性レゴリス(土壌の最上層)には揮発性化合物が多く含まれており、その主なものは水であるということです。

 ロシアの中性子望遠鏡LEND(IKI RASで作成され、アメリカのオービター月偵察オービターに設置された)を含む21世紀の初めに得られたデータは、極レゴリスには水から複雑な分子で終わる宇宙起源の揮発性化合物がたくさんあることを示しました。これらの化合物は彗星を月にもたらしました。月の極は、何億年もの間極レゴリスの冷たい罠の中に、地球の衛星にこれまでに落ちたすべての宇宙揮発性物質の霜の層が蓄積して持続している天然の冷蔵庫と比較することができます。太陽系の発展の初期の痕跡を保存することができるのはここにあるので、これは研究にとって非常に興味深い場所です。

 さらに、極地は居住可能なものを含む恒久的な月面基地の創設に関心を持ち始めています。レゴリスに凍った水が存在すると、将来の宇宙飛行士は地球からこの貴重な資源を届ける必要性から解放されます。また、酸素の製造、そして長期的には水素燃料の製造にも必要になります。しかし、月の状態は人間にとって危険な場合があります。将来の宇宙飛行士は、大気の欠如と低重力だけでなく、宇宙放射線や月の塵によっても脅かされており、その特性は地球の塵の特性とは著しく異なります。

 したがって、Luna-25ミッションは、地球の自然衛星の起源と進化の問題の開発に関連する科学的タスクだけでなく、将来の月探査の可能性に関連するより実用的なタスクを設定します-天然資源(および主に水)の分布の研究、レゴリスの構造と組成の研究、塵と微小隕石の状態、放射線条件など。

 Luna-25は一連のソビエト自動惑星間ステーションLunaを継続し(1976年にLuna-24宇宙船は約170グラムの月の土を地球に届けることに成功しました)、ロシアの月面計画を開きます。Luna-25ミッションの後には、Luna-26オービターとLuna-27着陸機が続き、その後、レゴリスサンプルを周極地域から地球に届け、衛星に本格的な科学ステーションの展開を開始する予定です。

ふ~む、ふむ、なかなか壮大なミッションですね。Luna-25は南極地域への着陸システムの構築とマップ作成を行い、2027年に打上げる月軌道周回機Luna-26では月面地形図の作成と2028年に打上げる着陸機Luna-27とのデータ通信ステーションとしての機能を確立、2030年に打上げるLuna-28で極地域のサンプルリターンを行って有人月面基地への展開を開始する…という計画のようです。

↓ ミッション概要には着陸の技術的内容についても詳しく載っていました。

〈ステーション、フライトおよび着陸の技術的特徴〉

↑ ルナ25号の着陸降下装置(Credit Roscosmos)
宇宙船重量: ~1605 kg
KPA 重量: ~30 kg
 降下プローブの着陸は、最後のソビエト着陸任務のシナリオに従って行われます、すなわち、装置は月の周りの低極軌道で移動し、それから減速と垂直降下を行います。1976年に最後に行われたソビエト自動ステーションの着陸とは異なり、宇宙飛行学の歴史の中で初めてルナ-25は70°近くの月の極地に送られます。比較のために:ノリリスクは地球の北半球の同様の緯度に位置し、ロシアの南極基地ノボラザレフスカヤは南半球にあります。

 着陸エリアはいくつかの条件に従って選択されました。まず第一に、着陸機は着陸段階でアクティブな操縦システムを持っていないので、それらは十分に大きくなければなりませんでした(楕円30x15 km)。楕円内の表面の傾きは15°を超えることはできず、表面は十分に滑らかでなければなりません。極緯度では太陽は地平線より上に低いので、地平線は太陽と地球を長期間隠すべきではありません。月の日の日照時間(月)の長さは少なくとも40%であるべきであり、地球からの電波可視性の間隔は50%以上であるべきではありません。

 照明、無線通信、および救済に関するこれらの工学的要件を満たすすべての候補領域の中から、表面の上層の水の質量分率の推定値が最大である3つが選択されました。
 着陸目標地点はボグスラフスキークレーターの北にある南緯69.545度、東経43.544度です。予備目標地点はマンジニクレーターの南西(68,773 S、21,210 E)とペントランドAクレーターの南(68,648 S、11,553 E)です。月面上の探査機の活動寿命は少なくとも1地球年です。


↑ 緑点が主目標地点、白点と赤点が予備目標地点(Credit Roscosmos)

Luna-25の着陸予定日は 8月21日ですが、現在、南極着陸を目指して飛行している探査機がもう1機あります。それはインドの月探査機チャンドラヤーン3号です。7月14日にリフトオフしたチャンドラヤーン3号は8月23日21時17分(日本時間)に南極地域(南緯69.367621° 東経32.348126°)への着陸を試みます。

 チャンドラヤーン2号は月面降下中に通信が途絶えて失敗しましたが3号が成功すれば米、露、中に続いて4カ国目の月面着陸成功となります。さらに南極地域への着陸はどの国も成し遂げていないので世界初となるわけですが、チャンドラヤーン3号の2日前の8月21日に着陸を計画しているLuna-25は南極地域の一番乗りを目指してスケジューリングしているように感じるのですが…考えすぎでしょうか。

 ランダーが南極地域に着陸することは技術的にもかなり難易度が高いと思われますのでどちらの探査機にもリスクはあります。月面南極一番乗りを果たすのはルナ25号かチャンドラヤーン3号か、はたまたどちらも涙をのむ結果となるのか、この一番乗りレースをしずかに見守ることにしましょう。

 

7月30日の木星

2023年08月03日 | 木星
7月30日未明の木星で~す。

木星データ:Diameter=39.51" Magnitude=-2.38 
撮影機材:μ210 + Powermate2 +ADC + ASI290MC


2時54分 撮影時高度44°

2023/7/30 02h54m32s(JST)  CMI=193.2° CMII=353.4° CMIII=5.4°
Duration=90s Shutter=15.00ms Gain=336 (56%) Autostakkert3 50% of 5999


3時00分 撮影時高度45°

2023/7/30 03h00m18s(JST)  CMI=196.2° CMII=356.5° CMIII=8.4°
Duration=60s Shutter=11.00ms Gain=347 (57%) Autostakkert3 50% of 5434


3時00分 撮影時高度46°

2023/7/30 03h05m14s(JST)  CMI=199.3° CMII=359.4° CMIII=11.4°  
Duration=90s Shutter=10.50ms Gain=352 (58%) Autostakkert3 50% of 8555


3時10分 撮影時高度47°

2023/7/30 03h10m10s(JST)  CMI=202.7° CMII=2.9° CMIII=14.8°
Duration=90s Shutter=10.00ms Gain=360 (60%) Autostakkert3 50% of 8997


2時54分から3時10分までの自転の様子




 撮影時のシーイングはこんな感だったので早々と切り上げたのだが、その割には模様がそこそこ出ているな~。もう少し続けても良かったかも… (^^ゞ





こちらは7月28日に撮影した木星です。
よ~く見ると木星面(右下)を通過中のエウロパが分かりま~す。

7月28日 2時32分 撮影時高度38°

2023/7/28 02h32m24s(JST)  CMI=223.5° CMII=39.1° CMIII=50.6°
Duration=90s Shutter=5.41ms Gain=389 (64%) Autostakkert3 50% of 16630


7月28日 2時41分 撮影時高度40°

2023/7/28 02h41m10s(JST)  CMI=229.3° CMII=44.9° CMIII=56.3°
Duration=90s Shutter=3.92ms Gain=403 (67%) Autostakkert3 50% of 11851



こちらは上記写真を2枚並べたものですが、交差法で見るとステレオ写真に見えるかも…

立体視で見ると右下にあるエウロパが木星の手前に見えると思うのですが…どうでしょう?



こちらは7/25に撮影した今シーズンのファーストショットです。

7月25日 2時18分 撮影時高度36°

2023/7/28 02h18m42s(JST)  CMI=101.9° CMII=300.5° CMIII=311.1°
Duration=60s Shutter=24.00ms Gain=349 (58%) Autostakkert3 50% of 2501

 どの木星も梅雨明け後に撮影したものですが、写りはどれもイマイチですね~。夜明けが近づくと気流が悪くなる傾向が撮影時にはあったので仕方ないですかね~。気流が落ち着くチャンスを待つことにしましょう。