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晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

青空の中の月・下弦(月齢22.0)

2021年09月29日 | 青空の中の月
久しぶりに気持ちのいい青空が広がりました!
ここ最近どーも天気がスッキリしなくて予定していた撮影も全く出来ずモヤモヤでしたが

今日の日めくりカレンダーに載っていた偉人の言葉
    「人は従うことでしか自然を支配することができない」
     (ベーコン 1561~1626 イギリスの政治家 哲学者)

…を読んで、確かにそうだよな~と妙に納得しました。自然には抗えませんからね。


今朝は雲ひとつ無い空(カメラの画角だけですが)に下弦の月が浮かんでいました~。



青空の中の下弦の月(月齢22.0)で~す。


 この下弦の月は1週間後に新月になります。その新月翌日の10月7日は月齢0.9の究極に細い月が見られる日です。(ブログ→「2021年に見える細~い月(月齢1)」)

 新月前日の10月5日は細~い有り明けの月が見られますが、こちらは月齢27.3(輝面比0.03 新月まで38時間30分)なのでフツーに細い月です。

 しか~し、ここで注目したいのは10月6日の新月です。日の出時の月高度は7°もあるので月出直後は輝面比0.01(新月14時間29分前)の月を撮影できるかもしれません。(ブログ→「2021年に見える細~い月(有明の月)

 実は、8月8日も同条件の新月でしたが天気に恵まれずチャレンジできませんでした。今度こそと思いプチ遠征を計画していますが現在の天気予報では五分五分といった感じです。

 季節的には湿度も低くなって透明度も良くなっていますのでその点では期待できるのですが、果たしてどうでしょうか? すべては天気次第…「人は従うことでしか自然を支配することができない」

 … 結果をお楽しみに~

中秋の名月

2021年09月22日 | 
 9月21日深夜、0時21分59秒に撮影した中秋の名月で~す。

 実はこの時間にISSの月面通過があったので撮影していたのですが通過の瞬間だけ
コマ落ちしたようで残念ながらキャプチャーされていませんでした~。


 PC画面上ではISSの通過が見えたので撮れた!と思ったのですがぬか喜びでした~。

 昨夜の通過はISSまでの距離が537kmだったので中接近といったところですがはっきり
形が見えました。ISSの視直径は50.57″でほぼ木星と同じ(視直径=47.3″)です。

通過時間は0.70秒でしたが予報どおりのコースだったこと確認しました。

 あれ!? 撮影時刻が0時を過ぎてるのでこれは中秋の名月の翌日の月ですね。
旧暦8月16日のお月さまで~す。失礼しました~。(^^ゞ


〈関連ブログ〉
中秋の名月・満月 2013年9月19日
中秋の名月と満月 2007年9月17日 

9月20日の木星と土星

2021年09月21日 | 木星
9月20日に撮影した木星と土星の記録で~す。

本日の木星は衛星ガニメデが通過中で20時以降は
ガニメデの影と本体の両方が木星表面上に並びます。

 木星の高度がまだ低かったのでいつものルーティーンどおり
土星から撮影しました。

9月20日の土星データ Diameter=17.85" Magnitude=0.46

2021/9/20 18h47m04s(JST) CMI=135.3° CMIII=188.0°
120sec Shutter=53.92ms Gain=340 (56%)  Autostakkert3 25% of 2226




2021/9/20 18h56m11s(JST)CMI=140.7° CMIII=193.1°
180sec  Shutter=57.66ms Gain=350 (58%) Autostakkert3 25% of 3112


木星の撮影は19時過ぎから開始しました。
9月20日の木星データ Diameter=47.40" Magnitude=-2.77

本日の木星ファーストショット! 黒く見えているのはガニメデ衛星本体です。

2021/9/20 19h09m47s(JST)  CMI=15.1° CMII=303.3° CMIII=135.1° 
Duration=120s Shutter=19.06ms Gain=300 (50%) Autostakkert3 25% of 6296


20時過ぎにガニメデ衛星の影(左)と本体(右)の両方が見えました~。

2021/9/20 20h02m54s(JST)  CMI=47.5° CMII=335.4° CMIII=167.2° 
Duration=90s Shutter=18.43ms Gain=300 (50%) Autostakkert3 25% of 4861


 ガニメデ衛星本体が木星の縁にかかった時、予想もしなかったことが起きました。
なんと、ガニメデ衛星本体の色が薄くなって模様のようなものが浮かび上がったのです。


2021/9/20 20h19m10s(JST)  CMI=57.4° CMII=345.2° CMIII=177.1°  
Duration=90s Shutter=19.68ms Gain=300 (50%) Autostakkert3 25% of 4302


 こ~れはビックリです。ガニメデ衛星の模様がはっきり写っています。

2021/9/20 20h24m15s(JST)  CMI=60.5° CMII=348.3° CMIII=180.1°  
Duration=90s Shutter=19.68ms Gain=300 (50%) Autostakkert3 25% of 4573

 これまで気流の良かった日にガニメデとカリストをレジスタックスして模様の抽出に挑戦したことがあったのですがこのように模様が出ることはありませんでした。9月20日の気流は確かに良かったのですがシーズンベストと言えるほどではないのでなぜ模様が簡単に浮かび上がったのかは謎です。


本日のベストフォト↓


2021/9/20 20h33m54s(JST)  CMI=66.4° CMII=354.1° CMIII=185.9°  
Duration=90s Shutter=19.68ms Gain=300 (50%) Autostakkert3 25% of 4573


GIFアニメ(20h16m~20h42m) ↓ クリックで拡大



本日のラストショット

2021/9/20 21h00m25s(JST)  CMI=82.6° CMII=10.2° CMIII=202.0°  
Duration=90s Shutter=16.57ms Gain=300 (50%) Autostakkert3 25% of 2909

 21時過ぎから雲が湧きだして夕方から続けていた3惑星(金星・土星・木星)撮影会は終了となりました。SCW予報ではもう少し遅い時間に曇る予測になっていましたが若干早まったようです。撮影の合間には30cmドブで妻と木星・土星・アルビレオを見ることができたので久しぶりに星空観望を堪能することができました。


〈参考資料〉


250hPa(10km) 風速11m/s


500hPa(5500m) 風速12m/s


850hPa(1500m) 風速7m/s


〈↓ 2021年木星ブログ〉
8月29日の木星
8月3日の木星
7/18の木星(De-rotation処理, MAP作成)
7月18日の木星
7月16日の木星

宵の明星・金星(9/20)

2021年09月20日 | 金星
 3連休の最終日は見事な快晴になりました。

まだ時刻は日没前ですがこれだけ空が澄んでいれば青空の中で
金星が見えるはずです。現在の金星の等級は-4.1等級です。

 肉眼では無理ですが双眼鏡を使えば簡単に見つけられる明るさです。
早速探してみましょう。高度は約20°、方位は南西の空です。

 おっと,ありました。ほほ~、今日は空気が澄んでいるので輝きが
とてもクリアーです。空に浮かんでいるバルーンのように見えます。

 今夜は木星と土星を撮影する予定なのでちょっと早めに準備して
金星も撮影することにしましょう。

 まだ肉眼では見えないのでファインダーで導入するのに
手こずりましたが、なんとか惑星カメラの視野に入りました。

9月20日の金星 Diameter=17.25" Magnitude=-4.12 輝面比0.66


2021/9/20 17h03m16s ASI290MC Shutter=0.626ms Gain=279 (46%) 90sec


こちらはIR850nmPassFillterで撮影した金星です。

2021/9/20 17h27m27s ASI174MM Shutter=6.830ms Gain=332 (83%) 60sec

 今シーズンの金星は8月から11月まで日没時の高度がほぼ変わらないという特徴があります。
日没時高度は約20°なのでそれほど高くはありませんがこれから輝きが増していく様子を長い
期間見ることができます。

これからのおもな金星イベント
10月30日:東方最大離角ー視直径25秒の半月状になる。-4.4等級 太陽離角47°
11月8日:昼間の金星食ー13時30分過ぎに四日月に潜入。金星の視直径28秒 輝面比0.44 
     金星光度が-4.6等級、太陽離角46°なので肉眼でも確認できるイベント。
12月8日:金星最大光度 -4.7等級 視直径43.7秒 輝面比0.23 太陽離角37° 
12月30日:視直径が60秒になる。-4.3等級 輝面比0.03 太陽離角15°

 11月8日の金星食は九州・沖縄を除く全国で見られます。金星の視直径28秒もあるので月への潜入や出現には時間がかかります。金星の欠けた部分も含めると仙台では1分8秒(東京では2分9秒、大阪では2分45秒)もかかります。望遠鏡で見ると少しずつ潜入・出現していく様子が見られますね。

インスピレーション4ミッション~無事帰還~

2021年09月19日 | 宇宙開発
米国東部時刻午後07時06分、予定どおりの時刻にフロリダ沖大西洋に無事着水しました。


クルードラゴンは回収船に引き上げられて…


スタッフがハッチオープンの準備をします。



最初に降りてきたのはヘイリーさんです。すこぶる元気のようですね。

人類初の民間人だけの宇宙旅行が見事成功です!

 宇宙で過ごした3日間の様子は随時公開されることでしょう。どんな3日間を過ごしたのか?
映像の公開を待つことにしましょう。 

インスピレーション4ミッション~DAY2~

2021年09月18日 | 宇宙開発
高度580km上空のドラゴンからインスピレーション4ミッションの様子が続々と届いています。

セントジュード病院のトレーナーを着ているヘイリーさんは、病院に入院している子供たちと
チャットで通信して宇宙での様子を伝えたようです。


ヘイリーさんがキューポラから見える地球を紹介しました~。

YouTube→Space Talk with Inspiration4 Crew + St. Jude Patients | St. Jude & Inspiration4

宇宙酔い心配していたクリス・センブロスキーさんも元気なようで良かったです。みなさん宇宙旅行を思う存分楽しんでいるようですね。YouTubeでキューポラの様子が見られます。

YouTube→Inspiration4's on-orbit tour of SpaceX Crew Dragon incl. cupola, art & ukulele

 宇宙での食事も楽しんでいるようですよ。

Inspiration4がクルーの宇宙食リストをツイートしたときこんなやりとりがありました~。

Inspiration4 @Inspiration4×
「私たちが今、宇宙で冷たいピザを食べてるなんて信じられる?ありえないことでしょう。」
これは宇宙旅行を楽しんでいるインスピレーション4クルーの宇宙食リストです。
午前7:44 · 2021年9月18日

Elon Musk @elonmusk(イーロンマスク)
返信先: @inspiration4xさん
「すみません、確かに船内は寒いですね! 次回までにフードウォーマーと無料のwifiを
ドラゴンで利用できるようにします。」
午前8:17 · 2021年9月18日·Twitter for iPhone

Inspiration4 @inspiration4x
返信先: @elonmuskさん
「私たちのクルーが宇宙でピザを食べる宇宙飛行士の道を開いたことを光栄に思います。」
午前8:21 · 2021年9月18日·Twitter Web App

 さすがイーロンマスク!反応が早いですね~。これからドラゴンには居住用のグッズが
たくさん取り付けられて快適に過ごすことができるようになるでしょう。


クルードラゴン「レジリエンス」の帰還予定日時は9月19日08時06分(日本時間)です。
ドラゴンはすでに2回の軌道離脱用スラスター噴射を終えて高度365km軌道に降りているようです。
フロリダ沖大西洋に着水するときの時間は午後07時06分のようだけど明るさはどうなのかな?

インスピレーション4ミッション リフトオフ成功!

2021年09月16日 | 宇宙開発
快挙です!
民間企業が開発したロケットで民間人だけを載せた宇宙旅行がついに実現しました!!! 

 今回の宇宙船は野口宇宙飛行士が乗ったクルードラゴン「レジリエンス」のドッキング装置を外して360°宇宙を見渡せる観察窓「キューポラ」を取り付けた観光仕様クルードラゴンです。

 今回のツアー実現には、Shift4ペイメントの共同創設者兼CEOであるジャレッド・アイザックマンがイーロン・マスクと会った時に別れ際に「実は民間人だけを乗せて宇宙旅行をすることを考えているんだ…」と話したところ「じゃぁ、きみが一番最初にやってみる?」と言われて話がすぐに決まったという経緯があるそうです。

 イーロン・マスクは「人類は多惑星種にならなければならない」と豪語して火星移住用のロケットを建造中ですが、ジャレッド・アイザックマンの熱い思いが無ければこんなに早く商業宇宙旅行が実現することはなかったことでしょう。今回のフライトが民間宇宙旅行を加速させるブースターになったことは間違いないですね。

 さて、今回のツアーはISSには寄港せず3日間地球周回軌道を回ります。高度はISS軌道より150kmも高い570kmの軌道です。ハッブル宇宙望遠鏡(高度540km)の修理に行ったスペースシャトル乗員が体験した高度よりも高いところです。(これまでの地球周回高度記録は1966年ジェミニ11号の高度1374km、他アポロ宇宙船の乗員)

 高度540kmから3日間も地球を眺められるので感動的な宇宙体験になると思いますが、個人的には健康面での懸念を感じています。本来クルードラゴンやソユーズはISSへ人員を輸送するタクシーフライトの意味合いを持っているのでリフトオフからドッキングまでの時短化がかなり進んでいます。

 ソユーズに比べかなり広い空間を持っているクルードラゴンですが大人4名がこの空間で3日間を過ごすにはそれなりの苦労が伴うと思います。訓練を重ねた宇宙飛行士でも宇宙酔いには苦労するようですのでメンタル面も含めてどのように克服したかが今後の宇宙旅行に向けての参考事項になると思います。

今回のクルーは以下の4名
 ミッションコマンダー、ジャレッド・アイザックマン(38歳)
 メディカルオフィサー、ヘイリー・アルセノー(29歳)
 ミッションスペシャリスト、クリス・センブロスキー(42歳)
 ミッションパイロット、シアン・プロクター博士(51歳)
 
 コマンダーのジャレッド・アイザックマンはShift4ペイメントのCEOであるがアクロバットチームに所属するほどのパイロットであり南極大陸に出かけるまでの冒険家でもある。今回のミッションで費用を全額負担することに対して、自分はラッキーな人生だったため今の自分があるが誰もが希望が持てる人生を送ってほしいという願いを込めて「希望」を象徴するシートにジュード小児研究病院で医師助手を務めているヘイリー・アルセノーさんを招待したと語っている。

 ヘイリー・アルセノーさんは10歳の時に骨肉腫を患いジュード病院で治療を受けて完治した女性である。退院するときに将来はジュード病院で看護師として働くことを決意したそうだがその夢を実現して今幸せな人生を送っている。左足には埋め込み型義足を装着している。彼女は「人生で美しいのは予測がつかないこと。だから希望が持てる」と言っている。彼女の人生を物語っている言葉だ。

 残りの2席は「寛大」「繁栄」を象徴するシートだがジャレッドはジュード小児研究病院に送る2億ドルの寄付金を集めるためジュード病院に寄付をすることを条件に宇宙旅行参加者を募集した。

 応募者の中から「繁栄」のシートに選ばれたのが地球科学者のシアン・プロクター博士である。彼女はNASAの宇宙飛行士最終選考に残ったが惜しくも選ばれなかった黒人女性だ。今回のフライトで4人目の黒人女性宇宙飛行士になる。彼女の父は独学で微積分・物理・化学を学び19歳という若さでNASAに就職し、グアムの宇宙ステーション追跡センターに勤めてアポロ11号帰還の際に行方不明になたアポロを唯一追跡して着水地点を計算した人物である。後日ニールアームストロングから感謝の気持ちを込めた直筆サインをもらったが、シアン・プロクター博士は今回そのサインを私物として持ち込んでいる。

 「寛大」のシートに座るのは空軍に勤めていたことのあるクリス・センブロスキーさん。小さい頃から宇宙に興味を持っていた男性で見た感じは失礼な言い方だがどこにでもいる親父という風貌をしている。この方が宇宙に行けるのなら自分も行けるよね~と思わせるキャラクターでまさに「寛大」のシートにぴったりだと感じた。ただ、遠心分離機?の訓練で6Gを体験したときに嘔吐をしていたので宇宙酔いに苦しんでいるのでは…と個人的に心配している。酔い止めの薬が効くことを願っている。


ミッションコマンダー、ジャレッド・アイザックマンさん(左)とミッションスペシャリスト、クリス・センブロスキーさん(右)

今回はNASAミッションではないのでスペースXのロゴの方にサインしてます。

ミッションパイロット、シアン・プロクター博士(左)とメディカルオフィサー、ヘイリー・アルセノーさん(右)

今回のフライトのもう一人(一匹?)のクルー「ジュードさん」

ミッションZero-Gインジケーター:ジュード小児研究病院の医療介護犬ゴールデン・レトリバー
「ジュード」のシートはありませ~ん。いつも浮いています。

キューポラから見る570km彼方の地球

View from Dragon’s cupola credit:spaceX

注:ご紹介したエピソードはNetflixで配信されている「宇宙へのカウントダウン」で詳しく見ることができます。

〈関連過去ブログ〉
2021年は宇宙旅行元年!

ISS拡大撮影(カラー編)その2

2021年09月14日 | ISS(国際宇宙ステーション)
ISS拡大撮影(カラー編)2ndトライアルの記録で~す。

 今回のテストはウエッジプリズムによる大気分散キャンセルの効果についてです。
大気分散はザックリ説明すると、光の波長の違いで天体の見かけの位置が変わるため色の滲みが(青い光が撮影天体の上に、赤い光が下に)出る現象のことです。

 この現象は高度が低いほど顕著になるため高度60°以上では影響が少ないと言われていますが、いろいろ調べてみるとピクセルサイズ2.9μmのASI290MCでは高度60°でズレ幅が5~6ピクセルの色にじみが出ることが分かりました。(ちなみに高度70°では3~4ピクセル、80°では1~2ピクセルのようです。)

 こちらは先日撮影したISSです。拡大してみると青と赤の色にじみ出ていることが分かります。

〈9月10日に撮影したISS:高度69° 距離452km〉↓クリックで拡大


 大気分散をキャンセルする方法はいくつかありますが、今回は惑星を撮影するときにいつも使っている「ウエッジプリズムで光学的に補正する方法」で試してみました。

今回のイベントデータは下記のとおりです。



 今回のイベントは最大高度がわずかに36°で距離が692kmもあります。あきらかにフツーは撮影しないパスです~。(笑) えー、それは置いといて…今回の通過は計算上では10~14ピクセルの色ずれが発生するケースです。これは無視できない大きさですので、テストには最適のパスと言えます。

 さて、本日のシステムは前回と同じですがPowermate2×と惑星カメラの間にADCを入れてあります。この状態でピント合わせを行って第一準備段階終了です。入れただけでは何の変化もありませんのでここからの調整が重要です。木星の撮影時はファイヤーキャプチャー上にあるADC支援装置を使って調整しますが、ISSの場合はそうもいかないので、最大仰角に合わせて調整レバーを設定することにしました。詳しい説明は省略しますが高度によって調整レバーの開き具合が決まってくるのでそれに合わせてレバーの位置を固定してみました。今回は高度36°なのでレバー間の角度を30°にしました。

 さて、いよいよ撮影です。幸い、空は晴れています。ISSが地球の影から出てきました。撮影スタートです!

 ふう、撮影終了しました~。で、こちらがその動画です。
2021年9月13日04時09分のISS(仰角36° 距離692km)

撮影データ
 D300mm + Powermae2× + ADC + ASI290MC + UV/IR Cut Filter
 Shutter=0.763ms Gain=300 (50%) FPS (avg.)=48

 今回は距離が遠いので解像度が悪いのは仕方ないですね。さてADCの効果はあったのでしょうか?これでは全然わかりませんよね。…ということでほぼ同条件で撮影した過去動画を見て比較してましょう。

野口宇宙飛行士と星出宇宙飛行士が搭乗するISS(2021/4/26 撮影)

イベントデータおよび撮影データ
 最大仰角40° 距離633km -2.8等級
 D300mm + ASI290MC + UV/IR Cut Filter
 Shutter=0.882ms Gain=275 (45%) FPS (avg.)=13

 ふむ、ひいき目かもしれませんが、4/26は明らかに青色の滲みが出てますが今回は色にじみが無いように感じます。ADCの効果はありそうな感じがしますが、さらにテストを重ねることにしましょう。

 さて、話はちょっと逸れますがISS拡大撮影の成否を左右する重要なファクター「大気の揺れ=シーイング」を今まではネットの天気予報に頼っていましたが予報はあくまで予報であって実際のデータではないので、本日から撮影後にシーイング評価を実測することにしました。

 方法はいたって簡単で、天頂付近にある2~3等星の星を高倍率で見てシーイングスケールと比較するだけです。(回析パターンを見る時は口径(インチ)×30~40倍の倍率が適正のようです。)

 シーイング評価は10段階スケールの方が正確ですが、ここでは簡易的な5段階で評価することにしました。シーイングスケールはカナダ政府の公式ウエブサイトにあるものを参考にさせてもらいました。

 余談ですが、カナダは環境や気候変動及び気象に対する関心が国民レベルで高いようですね。このカナダ政府公式ウエブサイトの見やすさとその有益な情報量の多さに驚きました。シーイングに関するページはこちら→Seeing Forecast For Astronomical Purposes


今回使わせていただいたシーイング・スケール(5段階)
↓ クリックでアニメスタート


 V  完璧な動きのない回折パターン
 IV  回折リングを横切る光のうねりが見られる
 III  中央ディスク変形、回折リングが一部壊れている
 Ⅱ 中央円盤の重大な渦流. 回折リングが欠落又は部分的に欠落している
 Ⅰ 回折パターンがみじんも見られない沸騰しているような星像

 で、今回のシーイングレベルはⅠとⅡの中間でした~。(あれ?、それって10段階評価じゃないの?…)
 
 今回はウエッジプリズムによる大気分散キャンセルの効果について調べましたが、大気分散キャンセルの方法はこのほかに3つほど思いついていますので、機会を見て検証していくことにしましょう。


〈参考資料〉
250hPa(10km) 風速55m/s


500hPa(5500m) 風速25m/s


850hPa(1500m)) 風速23m/s



Sun Spot 2863 2864 2866 2868 2869

2021年09月12日 | 太陽
久しぶりに複数の太陽黒点が出現していたので撮影してみました~。



 2020年1月頃から第25期の太陽活動が始まったと言われてましたが本格的に活動が始まったと思っていいのかな?今後の推移を見守ることにしましょう。

 今回の黒点の中でAR2866は面積が大きいので肉眼で見えるかも…と思って確認しましたが、全然見えませんでした~。

 最後に肉眼黒点見たのはいつだったかな? 過去ブログを見てみると2014年10月15日に見てるようだけど、その後は無かったかな?

 過去ブログ→Sun Spot AR2192


ISS拡大撮影(カラー編)その1

2021年09月11日 | ISS(国際宇宙ステーション)
お待たせしました! いや、お待たせしすぎたかもしれません~。

 6月10日にブログでお知らせした「新たなミッションISS拡大撮影(惑星カメラ・カラー編)」がついにスタートしました~。え、遅すぎるんじゃない?と思いの方も多いと思いますが、7月~8月はISS拡大撮影のベストシーズンで勝負所だったのであえてトライアルはしませんでした~。(天気が悪くて今年は惨敗でしたが…)

 で、空に秋の気配が来てベストシーズンが終わってしまったので、来年の夏に向けてカラー撮影のトライアルを始めたというわけです。

 さて、記念すべきファースト・トライアルのチャンスは、9月10日の早朝にやってきました。イベントデータを見ると空は星図になっていますが、太陽高度が-4.6°なので「昼光のため見えない通過」とHeavens-Aboveでは紹介されています。



 しか~し、ISSの光度は-3.8等もあるので見える可能性は十分あります。見えたらラッキー通過なのでテスト撮影には最適のイベントで、しかも直距離が452kmとかなりの好条件です。

 9月10日早朝は天気予報どおりの快星…、04時にセットした目覚ましで起きてゴソゴソと用意すること20数分… 4時30分にすべての準備が完了しました。

 撮影システムは30cmドブにPowermate2× …ここまではいつもと同じですが、カメラをUV/IRcut Fillter を装着したZWO ASI290MCに替えてあります。

 ASI290MCはASI174MMに比べて視野角が狭いのでPowermate2× を外すことも考えましたが、あえてハードルを高くしてどの程度追尾できるかもテストすることにしました。そして最大の悩みどころは露出です。これが全く分かりません。そこで今回はピント合わせに使ったリゲルで適正露出を想定することにしました。

 とりあえず今回は Shutterを0.863ms、Gainは300 (50%) で撮影することにします。

 さて、時刻は04時50分を過ぎました。今回は北西から南東へ向かうコースですが撮影場所からは北西40°まで屋根で死角になっています。う~む、空はすでにほぼ青空です。見えている星はシリウスだけですが… ホントに見えるのだろうか?と不安になりながら北西の空に目を戻すと…

  わぉ! スゴイ明るさでISSが迫っています。圧倒的な明るさです。即ファインダーで追尾開始です! おおー、肉眼では見えませんでしたがファインダーでは青空に消えかかる星々を背景にISSがものすごいスピードで空を通過していきます。ふひゃ~、夜空では見ることのできないキレイな眺めでプチ感動です~。

 ISSは最大仰角を過ぎると逆光になって急激に暗くなりました。ふう、撮影終了です。ファインダーで追尾中にチラチラとPC画面上に撮影中のISSが見えましたが、やや露出オーバーのようでした。冷静に考えると今回の露出は174MMの時とほぼ同じなので、これでは露出オーバーになるのは当然ですが全く気付きませんでした。反省です…。

 では、撮影した動画を見てみましょう。

動画①:2021年9月10日のISS(取り始めから天頂付近まで 15秒)
 


動画②:2021年9月10日のISS(後半部分 26秒)



SER Player 切り出しサンプル画像



サンプル画像①





サンプル画像②





サンプル画像③



〈考察〉
①追尾について
 ASI290MCの画角:0.11°×0.06° はASI174MMの画角:0.22°×0.14° と比較して面積比で1/4である。これほどの狭視野にも関わらず予想以上にキャプチャーできたのは追尾しやすかったコースだったというアドバンテージはあるが、正立ファインダーでの追尾は十分可能だと感じた。
②画質について
 ASI174MMの画素数:235万画素に対し、ASI290MCは210万画素なのでそれほどの差はない。解像度はどちらも1936×1096 で同じであるが、カラーカメラはベイヤー配列(RGGB)になっているので感度も解像度も悪くなると思っていた。ところが今回撮影した画像を見ると速いシャッターに対応できる感度を十分持っていることが分かった。今回の撮影で特筆すべき点は解像度である。全体的にみるとモノクロに比べ解像度の低い映像になっているが、上記のSER Player 切り出しサンプル画像のフレーム(ひとつ前のフレームを含む2フレーム)は驚愕の解像度でキャプチャーされていた。それを切り出したのがサンプル画像③である。この解像度で写っていたのは9000フレーム中のたった2コマであるが、全ての条件がそろえばASI290MCはこれほどの解像度を発揮できるポテンシャルを持っているということなのだろうか。さらにテストを重ねて明らかにしていきたい。
③次回への課題
 今回の撮影は言うまでもなく露出オーバーであるが、このことはゲイン感度を同レベルにすればシャッタースピードを落とせるということである。0.6msも可能かもしれないのでテスト撮影を重ねてベストマッチを探っていきたい。最大の課題は大気の揺らぎである。ASI290MCはASI174MMのようにシーイング対策のIR Pass フィルターを付けることはできないので別対策が必要である。ADCを付けることも考えているが高度60°以上では大気分散はそれほど影響ないので期待するほどの効果はないようにも感じる。究極の方法も思いついてはいるが、一笑に付される方法なので秘密で~す。(笑)

〈参考資料〉

現在のISS



250hPa(10km) 風速39m/s


500hPa(5500m) 風速14m/s


850hPa(1500m)) 風速4m/s


〈追記〉
 画像を再確認したところ緑色の断熱ブランケットで覆われたソユーズの軌道船と帰還船を
確認できたので写真を掲載しておきま~す。




過去ブログ↓
ISS画像 コンポジット(ステライメージ編)2021.6.10
ISS画像 コンポジット(AS!3でスタック編)2021.6.10
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その8 2021.6.2
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その7 2021.5.30
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その6 2021.5.15
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その5 2021.5.14
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その4 2021.4.7
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その3
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その2 2021.2.19~2021.3.12
ISS拡大撮影(惑星カメラ編)その1 2020.10.5