晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

11月22日の土星(シン・システム構築 編)

2023年11月27日 | 土星
11月22日にTPL-25mmアイピースを使用した拡大撮影法で撮影した土星です。

〈シン・システム5thトライアル 〉
・撮影日時:2023年11月22日17時02分
・撮影機材:μ210+TPLアイピース25mm+拡大撮影アダプター+ASI290MC(UV/IRcut)
・使用アイピース:TAKAHASHI TPL-25mm
・合成焦点距離:f 7,177mm(F34、倍率2.97倍)
・露出:Shutter=30ms、Gain=376 (62%)
・木星データ:視直径17.09"、光度 0.9等
・画像処理(AS!3→RegiStax6→ステライメージ8)
・撮影時データ:土星高度38°、日没41分後(航海薄明中)


↓ 撮影動画
2023年11月22日の土星


AS!3で 50%スタック→RegiStax6→ステライメージ8で画像処理(大気分散による色ズレあり)

2023/11/22 17h02m(JST)CMI=339.4° CMIII=104.3°
Duration=184s  Shutter=30ms Gain=376 (62%) 50% of 6138frames ap21

↓ ステライメージで大気分散を補正した画像(RGB3色分解→位置合わせ→再度RGB合成)


こちらはAS!3で 70%スタック→RegiStax6のみの画像(大気分散による色ズレあり)

2023/11/22 17h02m(JST)CMI=339.4° CMIII=104.3°
Duration=184s  Shutter=30ms Gain=376 (62%) 50% of 6138frames ap21


↓ ステライメージで大気分散を補正した画像(RGB3色分解→位置合わせ→再度RGB合成)



〈考察〉
・今回はアイピースの色収差を見るためADCは装着せず、AS!3でもRGBアラインはオフにしてスタックをしている。記憶による比較だが色ズレはパワーメイトより大きいような感じがするが、RGB3色分解後の再合成画像を見るとシャープさはアイピースの方が優れている感じがする。
・土星衝(8/28)のときは視直径が19″だったが現在は17″まで小さくなっている。当然気流も良くないので条件は悪いはずだがその割には色の彩度が高いように感じる。それがアイピースの透過率が高いからなのか、単に冬空の透明度が高いからか判断に迷うが、アイピースによる拡大撮影法はパワーメイトと比較して劣るものではないことが分かった。



〈おまけの画像〉
TPL-25mm、ROI Max(1936×1096)で撮影した月面(プラトー、ピコ山、アルプス谷)

2023/11/22 16h55m(JST)Duration=9s  Shutter=19.5ms Gain=325(42%) 50% of 500frames

11月21日の木星(シン・システム構築 アイピース対決 編)

2023年11月26日 | 木星
11月21日に木星で実施した「シン・システム構築 アイピース対決編」のレポートです。

〈シン・システム4thトライアル 〉
・撮影日時:2023年11月21日21時19分~
・撮影機材:μ210+アイピース25mm+拡大撮影アダプター+ASI290MC(UV/IRcut)
・使用アイピース:TAKAHASHI TPL-25mm、SE200N 付属品 PL25mm
・合成焦点距離:f 7,177mm(F34、倍率2.97倍)
・露出:Shutter=5.5ms、Gain=350 (58%)
・木星データ:視直径48.71"、光度 -2.86等
・画像処理(AS!3→RegiStax6)

TPL25mmで撮影した木星

2023/11/21 21h19m(JST)CMI=157.0° CMII=161.5° CMIII=204.0°
Duration=60s  Shutter=5.5ms Gain=350 (58%) 25% of 5540frames ap36


PL25mmで撮影した木星

2023/11/21 21h22m(JST)CMI=158.9° CMII=163.4° CMIII=205.9°
Duration=60s  Shutter=5.5ms Gain=350 (58%) 25% of 5541frames ap36

Powermate2× で撮影した木星

2023/11/21 21h31m(JST)CMI=164.2° CMII=168.7° CMIII=211.2°
Duration=60s  Shutter=5.5ms Gain=350 (58%) 25% of 6071frames ap36


25mmアイピースとPowermate2×の比較図

・同条件比較のため惑星カメラの露出、画像処理ソフト(AS!3とRegiStax6)のパラメーターはすべて同一にしています。

〈考察〉
・25mmアイピース対決では、廉価品代表として望遠鏡付属のPL25mmアイピースを、メーカー品代表としてTAKAHASHI TPL-25mmをセレクトして比較してみたが結果は意外にも付属品PL25mmの方が解像度が良い結果となった。この日は気流が不安定だったこととピント合わせはピント支援装置を使わず目分量で行ったのでその差が出た可能性はあるが追跡調査でその差を確かめる必要があると感じた。
・さらに意外だったことはPowermate2×で撮影した木星の解像度が今回の比較では思ったほど良くなかったことである。これも撮影時に気流が悪かったと言ってしまえばそれまでだが、Powermate2×は凹レンズが持っている光路の広がりを補正させるためにメニスカス凸レンズが入っている分、硝材の厚みがあるのでそれが影響している可能性もある。こちらもさらなる追跡調査が必要だ。


こちらはアイピースを18mmに換えて試し撮りしてみた木星画像です。μ210に18mmアイピースを装着すると合成焦点距離は f 11,200mm(F53)、拡大率4.6倍になるので惑星カメラセンサーに投影される木星像の大きさは2.7mmになります。


 ASi290MCのイメージセンサーは縦3.2mm×横5.6mmなのでギリギリ画面に収っているといった感じで、さすがにこれは過剰すぎる拡大率だと感じました。気流の落ち着いたときの天王星、海王星を撮影するときには使えるかも…といったところですね。

↓ 25mmアイピース、パワーメイト2×と比較すると実はこんなに大きさが違います!…の図


 さて、今回のアイピース対決の総括ですが、25mm比較では更なる検討が必要なので保留ということにしておいて、あらたな気付きとしてはパワーメイトが万能というわけではないかも…という観点が見えてきたことです。

 バーローレンズ系では最強と言われるパワーメイトですが、「研磨の良い単体オルソと比較して、レンズ枚数と硝材の厚みにより,ゴースト,フレア,透過率の点では不利になる」とテレビュー・ジャパンのHPで説明しているようにアイピースの方が上回る点があることはたしかなようです。

 パワーメイトよりアイピースを使用した方が拡大撮影では透過率が良いということは、前回のCSS撮影時にパワーメイト使用時より感度を落とさないと露出オーバーになることからも体感的に実感できています。

 ゴーストとフレアに関してはISS拡大撮影ではいつも悩まされるファクターなのでこれが押さえられるとしたらアイピースによる拡大撮影法には大きなメリットがあると思われます。

 次回のブログではアイピースによる拡大撮影法で撮影した土星画像からメリットでデメリットを探ってみたいと思いま~す。

CSS拡大撮影(シン・システム構築 編)

2023年11月25日 | CSS(中国宇宙ステーション)
シン・システムによるCSS拡大撮影の記録です。

〈シン・システム2ndトライアル 〉
・撮影日時:2023年11月21日17時29分
・撮影機材:ドブ30cm+アイピースPL25mm+拡大撮影アダプター+ASI290MC(UV/IRcut)
・合成焦点距離:f 4,860mm(F16.2、倍率3.24倍)
・露出:Shutter=0.985ms、Gain=350 (58%)
・イベントデータ:最大仰角39°、距離586km、光度 -1.4等
・画像処理(ステライメージ:コンポジット→レベル調整→マルチバンドシャープ等)
・2023年11月21日のCSS(中国宇宙ステーション)

5枚コンポジット画像

12枚コンポジット画像

SER Player スクショ画像~その1

SER Player スクショ画像~その2

通過図

イベントデータ

地上軌跡



〈シン・システム3rdトライアル 〉
・撮影日時:2023年11月22日18時04分
・撮影機材:ドブ30cm+アイピースPL25mm+拡大撮影アダプター+ASI290MC(UV/IRcut)
・合成焦点距離:f 4,860mm(F16.2、倍率3.24倍)
・露出:Shutter=0.860ms、Gain=280 (46%)
・イベントデータ:最大仰角67°、距離417km、光度 -1.9等
・画像処理(ステライメージ:コンポジット→レベル調整→マルチバンドシャープ等)
通過図

イベントデータ

地上軌跡

11月22日のCSS(中国宇宙ステーション)


SER Player スクショ画像


17枚コンポジット画像



8枚コンポジット画像


2023年11月22日現在の構成図


〈考察〉
・11月21日の通過は最大仰角が40°未満なので大気分散による色ズレが発生することは想定内だったが11月22日最大仰角67°でも同じような色ズレが発生した。これがアイピースの色収差によるものなのか、地球の影に入る天頂通過コースを進むときのCSS特有の現象(以前同じコースで同様の現象を撮影したことがある)なのかは今後のテスト撮影で明らかにしていきたい。
・露出に関しては11月22日撮影時の Gain=280 (46%) がほぼ適正露出だったので、今後はこれを基準として適正露出を探っていきたい。

ISS拡大撮影 シン・システム構築 編

2023年11月24日 | ISS(国際宇宙ステーション)
 2008年から始めたISS拡大撮影は今年で16年目、来年はシーズン17を迎えることになります。

 拡大撮影は2021年に撮影機材をデジカメから惑星カメラに変えたことで解像度が格段にアップしたのですが、3年を過ぎて早くも頭打ちになった感がありこれ以上の解像度アップは好気流が来るのを待つのみ…という運まかせになってしまってます。

 そこで、これでは、いか~んということでシン・システムを考案しました。それはズバリ! パワーメイトを使わない拡大撮影法、アイピースを使った拡大撮影法です!

 そもそも望遠鏡は焦点距離で拡大率が決まっており、30cmドブの焦点距離(f1500mm)では視直径約60″のISSは焦点で0.44mmの大きさに結像することになってます。

 それをパワーメイト2×という色消し凹レンズで0.88mmの大きさに拡大して惑星カメラのセンサー(ASI290MCの場合は 縦5.6mm×横3.2mm)で撮像するのがこれまでのパワーメイトによる撮影法です。

 それに対しアイピースという凸レンズで拡大してその像をセンサーで撮像するのがアイピースによる拡大法です。アイピースには種類があり望遠鏡との相性もあるので使うアイピースで見かけ上の違いがあります。そこに掛けてみようというのが今回のシン・システムです。

 結果的にパワーメイトの方が優れていたということは十分考えられますが、アイピースによる拡大法はアイピースの焦点距離と光路長で合成焦点距離が決まるので拡大率を変えられるというメリットがあります。

 これまでアイピースによる拡大法でISSを撮影したことはないのでクリアする課題はたくさんありますがテストを重ねて来シーズンへの準備を進めることにしましょう。

 で、記念すべき第1回テスト撮影の機会は11月19日にやって来ました。システムとしては、ドブ30cm+アイピースPL25mm+拡大撮影アダプター+ASI290MC(UV/IRcut)で、計算上の合成焦点距離は f4860mm、F16.2、倍率3.24倍です。

 適正露出はまったく分からないのでとりあえず、Shutter=0.935ms、Gain=430 (71%) で撮影してみました。で、こちらがその動画です。

 ご覧のように完全な露出オーバーだったので解像度等は不明ですがこれまでのシステムと同じように撮影できたことは収穫です。


 ↓ こちらは動画再生時の画像をスクショしたもの…

 ROI Max(1936×1096)でこの大きさに写っているのでパワーメイト2倍より若干大きく写っていますが計算上の倍率3.24倍の大きさはないようにも感じます。そこは今後精査することにしましょう。

 この日は天頂通過コースでしたが雲量が6~7だったのでISSが見え始めたのは天頂を過ぎた東の空(とかげ座付近)からで、そこからの撮影となりました。

 イベントデータ

 地上軌跡

 ここ最近はISSの好条件通過がないのでテスト撮影はCSS(中国宇宙ステーション)でも行っていて、すでに第2回・第3回テスト撮影を終えています。それと並行にアイピースの違いによる解像度の変化を見るための撮影を木星で行いました。その様子は順次アップしていきま~す。


2023年最後の月面X(11/20)

2023年11月20日 | 月面X
11月20日は今年5回目、そして2023年の最後となる月面Xデーでした~。

 2023年 月面Xカレンダー
  月面余経度358.0°の日時  日没  月高度(方位) 
 ①  3月29日(水)14時38分 17:57 47° (東)→撮影成功(blog)     
 ②  5月27日(土)14時42分 18:51 44° (東)→撮影できず       
 ③  6月25日(日)15時44分 19:05 53° (南東)→撮影できず         
 ④  7月25日(火)12時42分 19:04 14° (東南東)→撮影できず    
⑤ 11月20日(月)14時09分 16:22 15° (南東) 

 振り返ってみると今年は天候に恵まれなかったので撮影できたのは3月29日だけ… で、今日の天気は強い季節風に運ばれたお天気雨がポツポツと降っていますが、青空が見えているので撮影決行です!

 2023年の月面Xはすべてピーク時間が日中だったので条件良く見られる日はなかったのですが、それにしても今年撮影できたのが1回というのはあまりにも少なすぎます。

 ということでやる気まんまんで13時過ぎから準備を始めたのですが早速問題発生です!今日の月面Xピーク時刻は14時09分ですが、白道が低いので13時30分になっても月の高度はわずかに9°です。

 なんと固定赤道儀からは月が屋根に掛かってまったく見えません…トホホ、しかたないので高度が上がるまではポタ赤にBORG60を載せて簡易撮影です。

 月が見える場所に三脚を立ててポタ赤の極軸をおおよその北極星に向けて惑星カメラを装着したところでなんと雨です。お天気雨なのですが可愛くない本格的な降り方です。あちゃ~

 急いで機材を三脚ごと室内に避難させて、しばしの待ちです。雨が上がったのは14時30分を過ぎたころ、今日のピークは14時09分なのでそろそろXがビヨ~ンと伸びている時間です。

 ま、青空の中だから少し伸びた方がはっきり写っていいだろう…というプラス思考をむりやり働かせて撮影した写真がこちらです。

14時41分、ピークから32分後の月面X(photo

2023/11/20 14:41 miniBORG60n ASI290MC  Shutter=0.559ms Gain=158 (28%) 13sec

 やはりXはピークを過ぎているようですね。この時間になるといつもの赤道儀からギリ見えるようになったので、8cm屈折にモノクロ惑星カメラを装着して撮影した写真がこちら…


14時53分、ピークから44分後の月面X(photo

2023/11/20 14:53 EVOSTAR80ED ASI174MM Shutter=1.227ms Gain=89(22%) 31sec

 いつもなら、最後にμ210でXの拡大撮影をするところですが、今日は時雨れているので撮影はここで終了です。風速もかなり強くて、ときおり暴風に近い突風も吹いているのですみやかに撤収です。

 こちらは機材を片付けた後に600mmで撮影した、4時間52分後に上弦時刻(19時50分)をむかえる月です。やはり600mm望遠では青空の中の月面Xは写らないようですね。

上弦の4時間52分前の月(月齢6.9、輝面比0.48、撮影高度22°)

2023/11/20 14h58m29s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO200 F9 1/250sec

 いや~、2023年は月面Xがすべて青空の中で発生するという異例の年でしたが2回ほど撮影に成功したので、成功率にすると2割5分…は手前味噌ですがまあまあですかね。

 さて、来年は月面Xを何回見られるのでしょうか? 来年は2年ぶりとなる夜間の月面Xが見られるといいですよね。来年の情報は「2024年見たい天体現象・月面X」で紹介する予定ですので、いましばらくお待ちを~

2024年に見える細~い月(有明の月)

2023年11月17日 | 「見たい天体現象」
 2024年見たい天体現象の第2弾「来年見える細~い有明の月」で~す。
↓ 有明けの月は10月14日に輝面比0.008(0.8%)の撮影に成功したのでアーカイブ更新です。

月齢28.7 輝面比0.008 (新月21時間18分前)撮影高度1.5°(日の出36分前) NEW

2023.10.14 5:07:53 SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO2000   f7.1  1/100sec


月齢28.4 輝面比0.01 (新月24時間39分前)撮影高度8°(日の出29分前)

2021.11.4 5:36:41 SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO2000   f7.1  1/160sec


月齢28.5 輝面比0.01 (新月25時間33分前)撮影高度4°(日の出33分前)

2022.9.25 4:52:45 SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO1000   f9  1/40sec


月齢28.4 輝面比0.02(新月27時間21分前)撮影高度8°(日の出33分前)

2013.12.2 6:01:21 BORG60 Powermate2× ISO400 1/2sec


月齢28.4 輝面比0.02(新月28時間18分前)撮影高度4°(日の出40分前)

2016.1.9 6:13:40 BORG60 Powermate2× ISO800 1/5sec


月齢28.1 輝面比0.03(新月40時間33分前)撮影高度12°(日の出26分前)

2020.11.4 5:50:34 BORG60 Powermate2× ISO640 1/20sec


 さて、来年見える細~い有明の月データは下記のとおりです。
輝面比は太陽出の時刻で比較してあります。

2024年新月前日  月出 太陽出 月高度   新月まで  輝面比 月齢
  1月10日(水) 05:49 06:52 3.064°  39時間08分 0.0342 27.9
  2月9日(金) 06:18 06:34 1.713°  25時間25分 0.0168 28.4
  3月9日(土) 05:26 05:56 4.588°  36時間04分 0.0344 27.9
  4月8日(月) 04:49 05:10 3.384°  22時間11分 0.0128 28.5
  5月7日(火) 03:42 04:32 8.694°  31時間50分 0.0152 28.0
  6月5日(水) 02:44 04:12 14.994°  41時間26分 0.0382 27.7
  7月5日(金) 02:57 04:18 12.294°  27時間39分 0.0152 28.3
  8月3日(土) 02:50 04:39 17.566°  39時間34分 0.0278 27.9
  9月2日(月) 03:54 05:06 12.240°  29時間50分 0.0143 28.4
  10月2日(水) 04:46 05:32 7.954°  22時間17分 0.0076 28.8
  10月31日(木) 04:35 06:01 14.527°  39時間46分 0.0246 28.1
  11月30日(土) 05:29 06:32 9.090°  32時間49分 0.0182 28.4
  12月30日(月) 06:26 06:52 3.049°  24時間35分 0.0115 28.6
 
 う~む、下記に細い月ランキングを示していますが、これを見ると10月2日(輝面比0.76%)以外は輝面比が1%を超えているので究極に細い有明の月を見るにはちょっとザンネンな年ですね~。

〈2024年細い有明の月ランキング〉
 第1位 10月2日(水)輝面比0.76% 新月22時間17分前(日出時刻)太陽離角8゚56'
 第2位 12月30日(月)輝面比1.15% 新月24時間35分前(日出時刻)太陽離角 12゚57'
 第3位 4月8日(月)輝面比1.25% 新月22時間11分前(日出時刻)太陽離角12゚38'
 第4位 9月2日(月)輝面比1.43% 新月29時間50分前(日出時刻)太陽離角 13゚16'
 第5位 7月5日(金)輝面比1.52% 新月27時間39分前(日出時刻)太陽離角 14゚05'

〈2024年撮影条件良い順ランキング・有明の月編〉
 第1位 8月3日(土)月齢27.9 輝面比2.78% 日の出30分前の月高度 12.3°
 第2位 6月5日(月)月齢27.7 輝面比3.82% 日の出30分前の月高度 9.5° 
 第3位 10月31日(木)月齢28.1 輝面比2.46% 日の出30分前の月高度 9.2° 
 第4位 7月5日(金)月齢28.3 輝面比1.52% 日の出30分前の月高度 7.2°
 第5位 9月2日(月)月齢28.4 輝面比1.43% 日の出30分前の月高度 6.7° 
 第6位 11月30日(土)月齢28.4 輝面比1.82% 日の出30分前の月高度 4.5°
 第7位 1月10日(水)月齢27.9 輝面比3.42% 日の出30分前の月高度 4.0°  
 第8位 5月7日(火)月齢28.0 輝面比2.47% 日の出30分前の月高度 3.0° 
 第9位 10月2日(水)月齢28.8 輝面比0.76% 日の出30分前の月高度 2.3° 
 第10位 3月9日(土)月齢27.9 輝面比3.44% 日の出30分前の月高度 0.7° 
 第11位 4月8日(月)月齢28.5 輝面比1.28% 日の出20分前の月高度 -0.5°
 第12位 12月30日(月)月齢28.6 輝面比1.15% 日の出20分前の月高度 0.1° 
 第13位 2月9日(金)月齢28.5 輝面比1.28% 日の出10分前の月高度 0.1° 

 上記のデータを見ると2024年細い有明の月ランキング1位の「10月2日 月齢28.8 輝面比0.76%」は条件的にはかなりキビシイですが、今年撮影に成功した10月14日の月齢28.7(輝面比0.8%)とほぼ同条件なので空の透明度がよければ撮影は十分可能だと思われます。

 オススメとしては、9月2日(月齢28.4、輝面比1.43%)と7月5日(月齢28.3、輝面比1.52%)の月が(細さランキングでは第4位と第5位ですが)上記アーカイブ写真の輝面比0.01と同じ細さで、しかも暗い空で見ることができるので、息をのむほど美しい月が眺められること間違いナシですよ~。


2024年に見える細~い月(月齢1)

2023年11月16日 | 「見たい天体現象」
え!?もう立冬過ぎてたの?と思わず口にするほど今年は晩秋らしくない天気が続いていましたが、気付くと2023年もあと40日余り…そろそろ来年の天文現象が気になる時期となりました~。

 …ということで今年もやります!年末恒例の「来年見たい天体現象」シリーズ始まりで~す。今年の第1弾は、新月の翌日に見える究極的に細いお月様「来年見える細~い月(月齢1)」です。

 2023年は天気に恵まれなかったので月齢1.0は撮影できませんでしたがこれまで未撮影だった月齢1.2の撮影に成功したので、月齢0.9から月齢1.3までの細月アーカイブがコンプリートとなりました~。

〈新月の翌日に見えた細月アーカイブ〉
新月から21時間17分後の月(月齢0.9)撮影時高度 3.1°(日没14分後)日没時月高度9.2°

2010年4月15日 18時46分  f100mm F6.0 D50 ISO800 1/4(トリミング)

新月から25時間14分後の月(月齢1.0)撮影時高度 3.0°(日没40分後)日没時月高度9.4°

2016年12月30日 17時06分  SE200N 直焦点 D90 ISO400 1/13

新月から25時間29分後の月(月齢1.0)撮影時高度 2.6°(日没32分後)日没時月高度7.6°

2022年8月28日 18時46分 D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f550mm ISO1250 F9 1/40sec

新月から27時間12分後の月(月齢1.1)撮影時高度 3.0°(日没35分後)日没時月高度10.2°

2022年4月2日 18時36分 D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO1250 F8 1/10sec

新月から29時間53分後の月(月齢1.2)撮影時高度 7.0°(日没26分後)日没時月高度11.6°← NEW

2023年6月19日 19時30分 D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO400 F7.1 1/10sec

新月から31時間13分後の月(月齢1.3)撮影時高度 9.5°(日没21分後)日没時月高度13.5°

2009年2月26日17時48分 SE200N 直焦点 D70 ISO200 1/10

 さて、画質はともかくとりあえず月齢0.9から月齢1.3までコンプリートしたので、次なる目標は月齢0.8のお月さまということになりますが、来年はそのチャンスがあるのでしょうか?(2023年は新月の翌日が月齢0.8になる日は1回もありませんでした)

 では、早速2024年の「月齢1前後の超スリムなお月さまが条件よく見える日データ」を見てみましょう。来年の新月翌日の日没時刻(仙台市)・日没時月齢・日没時月高度は下記のとおりです

2024年新月翌日   日没時刻  日没時月齢  日没時月高度   月没時刻   輝面比
 1月12日(金) 16時37分  0.8    5.122°  17時14分 0.0096 0.96%
 2月11日(日) 17時10分  1.4   15.202°  18時41分 0.0290 2.9% 
 3月11日(月) 17時41分  1.0   12.248°  18時45分 0.0149 1.49%
 4月10日(水) 18時09分  1.6   20.144°  20時05分 0.0376 3.76% 
 5月 9日(木) 18時36分  1.3   14.364°  20時10分 0.0214 2.14%
 6月 7日(金) 18時59分  0.9   10.010°  20時07分 0.0097 0.97%
 7月 7日(日) 19時04分  1.5   12.917°  20時23分 0.0231 2.31%
 8月 5日(月) 18時43分  0.9    6.800°  19時24分 0.0086 0.86% 
 9月 4日(水) 18時03分  1.3    5.600°  18時36分 0.0152 1.52%
10月 4日(木) 17時16分  1.6    4.300°  17時44分 0.0215 2.15%
11月 2日(土) 16時37分  0.8    -2.325°  16時39分 0.0057 0.57%
12月 2日(月) 16時17分  1.0    2.022°  16時36分 0.0110 1.10%


 ふ~むふむ、これを見ると2024年は月齢1.0以下の月を見るチャンスが4回(11/2,12/2は除く)もあるので挑戦のしがいのある年になりそうですね。

 さて、今回のデータを見てひとつ気になることがありました。それは1/12,月齢0.8の輝面比(0.96%)より8/5,月齢0.9の輝面比(0.86%)の方が小さいという逆転現象が起きていることです。

 月齢が小さい方が輝面比は小さい…とこれまでは思っていたのですが、考えて見れば月軌道は真円ではないのであり得ることですね。輝面比の小さい順に並べるとランキングは下記のようになります。

〈2024年新月の翌日に見える細い月ランキング〉*観望不可日は除いてあります。
 第1位 8月5日(月)輝面比0.86% 月齢0.96 新月22時間30分後(日没時刻)太陽離角 10°41′
 第2位 1月12日(金)輝面比0.96% 月齢0.82 新月19時間40分後(日没時刻)太陽離角 11°44′
 第3位 6月7日(金)輝面比0.97% 月齢0.89 新月21時間22分後(日没時刻)太陽離角 11°24′
 第4位 3月11日(月)輝面比1.49% 月齢0.99 新月23時間41分後(日没時刻)太陽離角 13°06′
 第5位 9月4日(水)輝面比1.52% 月齢1.30 新月31時間7分後(日没時刻)太陽離角 13°43′

 細い月ランキングは分かったけど、条件的に撮影しやすいのかキビシイのか分からないと困るんだよなぁ~と思いのあなた!その悩みを解決する「撮影条件の良い順ランキング」を作りました。どうぞ参照を~

〈2024年撮影条件良い順ランキング・新月翌日編〉月齢1.3を超える月は除いてあります。
 第1位 5月9日(木)月齢1.27 輝面比2.18% 日没20分後の月高度 11°47′
 第2位 3月11日(月)月齢0.99 輝面比1.49% 日没20分後の月高度 7°54′
 第3位 6月7日(金)月齢0.89 輝面比0.97% 日没20分後の月高度 6°70′
 第4位 8月5日(月)月齢0.96 輝面比0.86% 日没20分後の月高度 3°11′
 第5位 1月12日(金)月齢0.82 輝面比0.96% 日没20分後の月高度 1°81′
 第6位 9月4日(水)月齢1.30 輝面比1.52% 日没20分後の月高度 1°81′

 撮影条件としては日没30分後に月高度が3°以上あればカメラは月を捉えることが(透明度が極端に悪くなければ)できるので輝面比が1%以下となる6月7日と8月5日は晴れてほしいですね。

 普通に考えると6月7日は梅雨入り前、8月5日は梅雨明け後となるので可能性としては高いはずですが…はたしてどんな天気になるのか?来年は振れ幅の小さい平年的な気候になることを願いましょう。

11月14日の木星とガリレオ衛星

2023年11月15日 | 木星
11月14日の夜のコトで~す。

 衝をむかえた天王星を撮影する前に新しく購入したアイピースで木星を見てみようと思って望遠鏡を木星に向けてみると…

 ほひょ、木星の東側で3つのガリレオ衛星が並んでキレイな正三角形を作っています。これはめずらしいので記録しておこうと思って、急いで惑星カメラを装着して撮影した画像がこちらです。

11月14日20時25分のガリレオ衛星(撮影機材:μ210+ADC+UV/IRcut+ASI290MC)

2023/11/14 20h25m(JST)Duration=60s  Shutter=9ms Gain=236 (39%) 70% of 6667frames ap53(photo

 ふむ、望遠鏡(100倍)で見たガリレオ衛星は輝度が高くキラキラしてはっきり見えるのですが、惑星カメラの露出を木星に合わせると、どこにいるの?と探さないと分からないほど暗くなりますね~。

 ということで、ここでパワーメイト2倍を装着してターゲットを東側のトライアングル衛星に絞って撮影です。


トライアングルに並んだ3つのガリレオ衛星(撮影機材:μ210+Powermate2×+ADC+UV/IRcut+ASI290MC)


2023/11/14 20h38m(JST)Duration=60s  Shutter=8ms Gain=2348(58%) 70% of 7427frames ap41(photo


 むむ、今日は気流が良くないので期待していなかったのですが、思いのほか衛星がシャープに写っています。こ~れはオドロキです!

 よく見るとガニメデ表面の模様だけでなくカリスト表面の模様(色の違い?)も写っているようです。直径の違いも正確に写っている感じがします。光軸修正の効果がここで発揮されたかも…


 さらに特筆すべきは写っている衛星の色と輝度(暗さ?)です。ガリレオ衛星の中でアルベド(反射率)が一番低いカリストですが、その黒さ(0.20)が忠実に表現されているようです。

 エウロパ(5.3等)とカリスト(5.7等)は光度の差はわずかですがアルベドはエウロパが0.67でカリストが0.20なので大きく違います。その様子が見て取れるという点では貴重な写真だと感じます。


 今回はたまたま見たキレイに並ぶガリレオ衛星を撮るという目的で撮影したのですが、なかなかおもしろい発見がありました。昨日の気流で衛星の表面の様子が写るのであれば夏場の好気流だったらさらに細部が写るのでは…と単純に思ってしまいますが、どうでしょう?

 来年の夏はガリレオ衛星の表面模様にも注目して撮影をすることにしましょう。



〈11月16日追記〉
画像処理前の元動画~シーイングの様子

 11月14日の木星とガリレオ衛星~その1


 11月14日の木星とガリレオ衛星~その2

天王星(衝)

2023年11月15日 | 天王星
11月14日の夜に撮影した天王星です。

 衝をむかえた天王星の視直径は3″.8、光度は5.7等級で、地球からの距離は18.6AU(27億9000万km)です。5.7等級という明るさはガリレオ衛星のカリストと同じですが望遠鏡(270倍)で見た天王星は青緑色の円盤像に見えてとてもキレイでした~。

 本日の撮影機材は、いつもの μ210+Powermate2×+ADC+UV/IRcut +ASi290MCです。撮影を開始したのは21時過ぎで天王星の高度は56°ほどでした。露出を変えて数パターン撮ってみたのですが、どれも代わり映えのない画像となって適正露出は分からぬまま終了となりました~。


21時19分

2023/11/14 21h19m Shutter=100ms Gain=400 (66%) Duration=120s 70%of 1201frames


21時23分

2023/11/14 21h23m Shutter=190ms Gain=350 (58%) Duration=120s 70%of 632frames


21時26分

2023/11/14 21h26m Shutter=381ms Gain=301 (50%) Duration=120s 70%of 317frames


21時31分

2023/11/14 21h31m Shutter=377ms Gain=300 (50%) Duration=180s 70%of 477frames


〈11月16日追記〉
衝をむかえた天王星~11月14日21時23分撮影(Shutter=190.2ms)

30cmドブソニアンで土星と木星を撮影

2023年11月10日 | 観測グッズ
今日のブログは自動追尾機能のない30cmドブで木星・土星を拡大撮影をするというこれまでやったことのない実験的撮影の記録で~す。

 自動追尾機能のないドブソニアンはポンセットマウントに載せなければ惑星の拡大撮影はムリだよね~と思っていたのですが、ISSの拡大撮影と同じようにすればできるのでは…という考えが浮んだので撮影システムを考えてみました。

 具体的にはISSの撮影と同じシステムで手動で惑星を導入して、ファインダーとPCモニターを見ながら惑星カメラの写野に収まるよう手動で追尾(微調整)するという方法です。しか~し、これにはひとつ問題があります。

 それは、ISSの撮影システム(30cmドブ+ Powermate2× )はF10(f 3000mm)なので焦点距離が圧倒的に足りないということです。

 そこで今回はパワーメイトは使わずアイピースによる投影法でやってみることにしました。30cmドブに18mmアイピースを装着して拡大撮影カメラアダプターで惑星カメラにつなぐと、カメラアダプターの光路長から計算して合成焦点距離は7,250mm(F24)になります。

 これで動画を撮影して、撮影後はISSの時と同じようにPIPPでセンタリングして、その後はいつもの惑星画像処理(AS!3→RegiStax6→ステライメージ)を行います。

 撮影時間は木星が60秒、土星は240秒程度としてどれだけ惑星を捕獲できるかが勝負ですが実際撮影してみると、さすが焦点距離7,250mmの狭視野です。捕獲率は全体の2割にも満たない感じでした~。


 そんなこんなで撮れ高はほんの少しでしたが、写っている画像はさすが30cmと思わせる解像度でした。撮影はROI Max(1936×1096)で行ったのですが画角はこんな感じでした。↓

 
 で、こちらがPIPPでセンタリングした画像の一部です。


 撮影データを見ると動画6816frameの中で土星が写っていたのは1039frame、その40%をスタックしたので実質のスタック数は約400枚ほど… それを画像処理したのがこちらです。スタック枚数が少ないのでこれ以上の画像処理はできませんでしたがとりあえず土星らしい姿にはなったようです。


2023/11/9 18h17m Shutter=22ms Gain=350 (58%) Duration=240s 40%of 1039/6816frames


木星でもテストをしてみました~。

 木星は84秒間(4876frames)撮影して写っていたのは842frames 、それを70%スタックしたので実質のスタック枚数は589枚(総露出時間5.3秒)です。

PIPPでセンタリングした木星動画


 さすがにスタック数が少ないのでこれが精いっぱいでしたが、気流の割にはそこそこ模様が出たように思えます。右に見える衛星はエウロパです。


2023/11/9 21h14m(JST)CMI=58.1° CMII=154.2° CMIII=193.5°
Duration=84s  Shutter=9ms Gain=312 (52%) 70% of 842/4876frames

 今回の実験的撮影ではやや拡大率が大きすぎる感があるので次回はアイピースを25mmにして撮影してみようと思います。25mmのアイピースでは焦点距離が4800mm(F16)になるのでもう少し取り回しが楽になるかな、と考えていますが、あまり変わりはないかも…

 投影法での撮影はアイピースの性能(望遠鏡との相性も含む)で写りがぜんぜん違うのでアイピース選びが大事になります。次回のテスト撮影では複数の25mmアイピースを使用してアイピースの違いによる差もテストしてみることにしましょう。