晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

有明の月と金星、火星の共演(1/30)

2022年01月30日 | 
1月30日早朝の「有明の月と火星、金星、水星の共演」観望記録です。

 家を出るときは全天曇りで星は見えなかったのですが、急速に晴れ上がることもあるのでとりあえず撮影場所に行ってみると… ふむ、細い月は雲越しに見えていますが星はやっぱり見えません。

 眼視では雲の様子が分からないので、感度高めで空の状態を確認した写真がこちら。肉眼では確認できませんでしたが、いくつかの星が雲越しに写っています。ひょっとしたら晴れるかも…!?

2022.1.30 05h40m30s D810A NIKKOR 24mm-70mm F2.8 f70mm ISO3200 1/1.3sec F2.8

 本日の水星出の時刻は5時44分です。それまで雲が切れることを期待して試し撮りをしておくことにしましょう。と撮影を始めたのですが水星が昇ってくる時刻には雲がモクモクやって来て、月も金星も火星も全く見えなくなってしまいました。

 結局、月と金星と火星が写っていたのはこの写真1枚だけでした。ざんねん~。

「有明の月と金星と火星の共演」

2022.1.30 05h41m40s D810A NIKKOR 24mm-70mm F2.8 f70mm ISO1600 1sec F11

 その後も天気が良くなることは無いまま時間は過ぎて… 6時10分頃に青味を帯びた空で輝く金星が見えましたが、月が顔を出すことはなく、水星を確認することもできませんでした。

2022.1.30 06h11m30s D810A NIKKOR 24mm-70mm F2.8 f70mm ISO1600 1/6sec F11

 昨日はドーンパープルに染まる快晴の空がとてもキレイでしたが、快晴の天気が2日間続くことはこの時期は望めないですね。例年寒さのピークは1月下旬~2月上旬。三寒四温がやってくると春の訪れを感じるのですが、週間天気予報を見るとその気配は全くないので、春はまだまだ遠し…ですね。

1月29日の月と金星

2022年01月29日 | 
目覚ましを止めた後の二度寝ほど気持ちよい眠りはないなぁ~ 
と再び眠りに入りかけた時… 妻の「あ、三日月がキレイにみえてるよ~」の声で瞬間覚醒!

カーテンを開けて外を見てみると、ほう、快晴の空に細い月がぽっかり浮かんでいます。

雲の多い天気が続いていた1月でしたが、春を感じさせる空が訪れるようなりました。

 本日のMOONは新月3日前の二十七日月(月齢26)です。妻にやんわりと「あれは三日月ではなく有明の月なんだよ」と訂正を入れつつ撮影の準備です。ふと気になってステラナビで輝面比を確認すると思ったとおり金星と今日の月はほぼ同じ輝面比でした。

 金星はまだ視直径が大きいので望遠鏡を使わなくても細い金星が撮れるかも~、と思ってコンデジと600mm望遠レンズで撮影です。三脚も使わずお気楽な手持ち撮影なのでそれなりにブレていますが、ほぼ同じ輝面比である様子を撮影することができました~。

ほぼ同じ輝面比の金星と月


さて、明日はブログ「2022年見たい天体現象「月と惑星の接近(1月~6月編)」→blog
で紹介した「有明の月と火星、金星、水星の共演」が見られる日です。天気が良かったら
早起きをしてウオッチングしてみることにしましょう。

1月30日の早朝に見える「有明の月と火星、金星、水星の共演」



こちらは1月5日に撮影した「三日月と3惑星の競演」で~す。

2022.1.5 17h13m18s D810A NIKKOR 24mm-70mm F2.8 f46mm ISO800 1/2sec F7.1







月の石

2022年01月21日 | 宇宙開発
大崎生涯学習センターで開催されている「月の石展」に行ってきました~

 展示されているのはアポロ15号が採取した月の石とルナ計画で採取された月の砂ですが…
今回の展示で特筆すべきはルナ計画で採取に成功した月の砂が全てがそろっていることです。

こちらが展示ブース。左側にルナが地球に持ち帰った月の砂が、右側に月の石が鎮座しています。


 これがルナが持ち帰ったサンプル群、一見するとサンプルケースの中に入っている棒状のものが月の石のように見えますが、そこに付着している小さなつぶつぶがお目当ての月の砂です。


 サンプルの左側に拡大レンズが設置してあるのでその位置から見ると月の砂が大きく見えます…と言いたいところですが、実際は黒ゴマ状の粒が付着しているのが分かる程度です。


 ソ連がサンプルリターン・ミッションとして月に送り込んだルナは6機、成功した3機が着陸した地点は下記のとおり。

 ルナ20号が回収したのは豊かの海と危機の海の間にあるアポロニウス高地の砂。分析の結果、70%が白色の斜長石であることが分かっています。


ルナ計画ミニ知識〈主な功績とエピソードメモ〉φ(..)
ルナ 2号1959.9.12 人類初の月面到達宇宙機
ルナ 3号1959.10.4 世界で初めて月の裏側撮影
ルナ 9号1966.1.31 人類初の月面軟着陸、月面上で撮影成功
ルナ10号1966.3.31 世界で初めて月周回軌道投入に成功
ルナ15号1969.7.13 アポロ11号に先駆けて月の石を回収することを目的としてアポロ11号の3日前にリフトオフ、アポロ11号と同じ日に月面に着陸してサンプルを回収する予定だったが月面に衝突して失敗。
ルナ16号1970.9.12 世界で初めて無人探査機で月の石を回収することに成功
ルナ17号1970.11.10 世界初の月面車(ルノホート1号)による月面調査成功 史上初めて他天体に到達した遠隔操作可能なロボットとなる。月面上の11日間にあたる11か月間調査を続けた。
ルナ18号1971.9.7 豊かの海に軟着陸後通信途絶、サンプルリターン失敗
ルナ21号1973.1.8 ルノホート2号、月面調査成功  1993.10ルノホート2号とルナ21号$68,500で売却、購入者はリチャード ギャリオット 2008.10.12にsoyuzでISSへ(6人目の宇宙旅行者)
ルナ23号1974.10.28 サンプルリターン失敗、危機の海にて横転
ルナ24号1976.8.9 ラスト・ルナミッション サンプルリターン成功 コスモアイル羽咋にルナ24号バックアップの実物展示


 次はいよいよ月の石です。


これがアポロ15号が持ち帰った月の石、99.445グラム


正面から撮影した写真


裏面には切断面があります。


切断面のクローズアップ


右45度から撮影したクローズアップ写真


右45度から見た全体像


月の石の実物を見るのは初めてなので何とも言えませんが想像してたのとは違う結晶構造です。

 アクリル越しですが写真とは違って目の前で見る月の石は実に迫力があって神々しさを感じました。
こんなに近距離で月の石を見る機会は二度とないと思われるのでしっかり目に焼き付けてきました。

この展示を運営されている「パレットおおさき」の皆様には心から感謝です。おかげさまで素晴らしい時間を過ごすことができました~。ありがとうございました。

展示室の入り口には各種の宇宙船の模型が展示されてます。


こちらもなかなか見ごたえありますよ~。








2022年最初のルナX

2022年01月10日 | 月面X
1月10日は今年最初のルナXデーです。

 ピーク時刻は月出直後の12時18分なので月がいい具合に昇ってきたときにはルナXが終わってしまうため観望には適さないルナXデーですが、青空の中で上弦の月がきれいに見えていたので撮影にチャレンジしてみました~。

2022年 ルナXカレンダー
 月面余経度358.0°の日時   日没  月高度(方位)  b値
①  1月10日(月) 12時18分 16:36  8°  (東)   -1.20°     
②  3月10日(木)16時47分 17:39  73° (南)   -1.44°       
③  5月 8日(日)17時58分 18:35  72° (南)   -0.18°        
⑦  7月 6日(水)16時18分 19:04  51° (南南東) +1.23°   
⑤  9月 3日(土)14時41分 18:05  20° (南東)  +1.41°        
⑥ 11月1日(火)15時57分 16:39  22° (南南東) +0.14°  
⑦ 12月30日(金)20時24分 16:26  40° (南西)   -1.30°

13時31分撮影 撮影時高度23° 

2022/1/10 13:30:59 miniBORG60n ASI290MC  Shutter=0.751ms Gain=151 (25%) 8sec


14時31分撮影 撮影時高度34° 

2022/1/10 14:30:59 EVOSTAR80ED ASI290MC  Shutter=0.501ms Gain=287 (47%) 60sec

 ふ~む、かなりXが伸びてますね~。青空の中の月はコントラストが低いのでXが長くなっている方が写りはいいのですが… これではXというよりはただのクレーターの縁ですね。

 次のルナXも日没前のピークですが日没1時間前なので今日よりはきれいに見えるはずです。

次回のルナXは 3月10日(木)、ピーク予想時刻は16時47分で~す。

金星内合 観望記録(1/9)

2022年01月09日 | 金星
 金星内合の観望及び撮影準備は薄明が始まる05時20分から始まった。

 目的は望遠鏡のアライメントである。本日の天気は時折青空も見えるが北西の季節風が雲を運んできて小雨が降る予報になっている。となると望遠鏡に防雨シートを被せて晴れた瞬間に金星を自動導入して撮影するのが一番確実な方法となる。その準備のためのアライメント調整である。

 アライメントはアークトゥルスとベガのツーアライメントで完了させて試しにアークトゥルスと火星に望遠鏡を向けてみた。特に大きな誤差はなかったので火星追尾のままシートを被せて準備完了である。

 昨日は山の端に沈む金星を撮影したが、本日から金星は明けの明星として東の空にやってくる。日の出時刻の金星高度は2.5°だが気象条件によっては見えないこともない。

 …ということで06時30分過ぎに明けの明星を探しに出かけたが、透明度が悪く金星を見つけることはできなかった。そもそもカメラを向けているところが正しい金星の方向であるかよく分からなかった。


 さて、家に戻ってあらためてSCW予報を見ると、本日の天気はどちらかと言うと午前中の方が晴天域が広がる予報である。しかし、スマホの雨雲アラームが知らせるとおりに小雨が降ってきて望遠鏡のシートを外すことはなかなかできなかった。

 チャンスは09時前にやってきた。雲量が2~3になり青空が広がった。シートを外して火星追尾している状態から金星導入をスタートさせる。望遠鏡の動きが完全に止まったのを確認しておそるおそるファインダーを覗く。幸い太陽光は差し込んでいなかった。ファインダーの中の青空をよく見ると… 

 ありました~! 細い細い内合の金星です。25mmアイピースで覗くと、キラキラ輝きながら揺れ動く細い金星がはっきりクッキリ見えました。今回の内合は離角が5°もあるので究極の細さではないが、それでも弧は半円を超えているように見えました。

 さて、ずっと観望をしていたいところですが天気が不安定なので早速撮影です。始めはカラーで撮影ですが本日はADCを入れて大気分散を一応キャンセルさせています。30秒露出を30%スタックさせてレジスタックスで処理した画像が下記の写真です。


Venus Diameter=62.77" Magnitude=-4.04

2022/1/9 08h54m15s µ210 ADC UV/IRcut FocalLength=2200mm 
ZWO ASI290MC Duration=30s Shutter=0.744ms Gain=185 (30%)


実際の金星はもっと細いのですがどーも見た感じには処理できませんでした。

2022/1/9 09h00m39s µ210 ADC UV/IRcut FocalLength=2200mm 
ZWO ASI290MC Duration=30s Shutter=0.694ms Gain=189 (31%)

今回の金星内合の正確な時間は国立天文台Webページによると09時48分のようです。

…なのでこちらは内合47分前の金星となります。

2022/1/9 09h01m19s µ210 ADC UV/IRcut FocalLength=2200mm 
ZWO ASI290MC Duration=30s Shutter=0.694ms Gain=189 (31%)

ここからIR Pass Filter を装着した174MMにチェンジしましたが、雲がやってきて2動画を撮影したところで一時中断となり…その後天気が回復しなかったので撮影は終了となりました。



2022/1/9 09h12m19s µ210 IR Pass Filter(685nm)FocalLength=2200mm  
ZWO ASI174MM Duration=30s Shutter=1.000ms Gain=191 (47%)

 予定ではPowermate2×を装着して拡大撮影をするはずでしたが、それはできなかったのでちょっと心残りですが、このような天気の中で内合を望遠鏡で観望できたのですからそれだけで文句なしの100点満点ですね。

内合前日の金星 観望記録(1/8)

2022年01月08日 | 金星
いよいよ金星内合前日となりました。

 SCWの予報どおり15時過ぎから雲量が少なくなって常時太陽が顔を出すようになったの観望開始です。本日も安全を考慮して太陽が山際に沈むのを待って、その直後からベランダで撮影を行いました。

 この時間の金星は見かけ上、太陽の右斜め上(離角5°)のところにあるはずですが、双眼鏡で捜索してもなかなか見つかりません。すでに時刻は16時15分を過ぎているので。金星の高度は6° です。

 うゎ~、このまま金星が見つからないまま金星没か~と思った直後、やっと見えました。一昨日と比べて細さはそれほど変わらないように見えますが輝度はかなり低く、背景の夕空と同化しています。

 それはさておき、急いで撮影です。本日の機材は一昨日と同じ80mm屈折望遠鏡(EVOSTAR80ED f600mm F7.5)ですが惑星カメラを装着しています。しか~し、ここで問題発生です。なんと双眼鏡では見えた金星が望遠鏡のファインダーではどういうわけか全く見えません。どういうこと?

 なるほど、単に光学スペックの差のようです。金星と夕空のわずかなコントラストから位置を特定して導入しましたが、時間がないので ASI290MCで数カット撮影して、すぐにPowermate2× と ASI174MM にチェンジして拡大撮影を試みるが導入できず失敗…

 結局、虻蜂取らずの中途半端な撮影となりました。ま、画像的にはイマイチですが内合前日の金星を撮影したということでよしとすることにしましょう。(^^ゞ

Venus Diameter=62.78" Magnitude=-4.04

2022/1/8 16h24m58s EVOSTAR80ED ZWO ASI290MC UV/IRcut
Duration=30s Shutter=0.713ms Gain=147 (24%)Autostakkert3 25%


撮影時金星光度 4° 

2022/1/8 16h25m59s EVOSTAR80ED ZWO ASI290MC UV/IRcut
Duration=30s Shutter=0.713ms Gain=147 (24%)Autostakkert3 25%

  Powermate2× と ASI174MM を使った撮影は狭視野すぎて導入できなかったので(なにせ経緯台固定撮影だったので当然の結果です!)最後はASI290MCに戻して山の端に沈む金星を撮影しました~。金星の内合は明日の午前9時48分なので内合17時間前の金星で~す。

   山の端に沈む金星(撮影時の金星高度 1.2° )撮影時刻16時40分

        ↑ 早送りではなくリアルタイムの30秒動画です。


 明日も撮影したいところですが残念ながら天気はイマイチのようです。
一応準備はしますが… なんとか晴れてほしいですね。

内合3日前の金星(1/6)

2022年01月07日 | 金星
1月6日に撮影した内合3日前の金星観望記録です。

 内合3日前になると太陽と金星の離角はわずかに5°です。さすがに日中の撮影は文字通りの目玉焼きや望遠鏡から狼煙を上げることになりかねないので安全を考慮して日没後の夕空で観望と撮影を行いました~。

 仙台の日没は16時32分ですが16時20分過ぎに蔵王山が太陽を遮ってくれたので撮影開始です。本日の撮影は80mm屈折望遠鏡(EVOSTAR80ED f600mm F7.5)による直焦点撮影です。

本日のファーストショット 視直径62.6″  光度-4.1等級  輝面比0.01の金星です。

2022/1/6 16h23m35s EVOSTAR80ED D810A IS200 1/1600sec

撮影開始時の高度は6°です。

2022/1/6 16h26m30s EVOSTAR80ED D810A IS400 1/1250sec


さすがに視直径が大きいので双眼鏡で見てもくっきりシャープに見えてとてもキレイです。

2022/1/6 16h27m04s EVOSTAR80ED D810A IS640 1/640sec


内合3日前なのでもう少し細く見えると思いましたが実際の見た目もこんな感じでした。

2022/1/6 16h27m04s EVOSTAR80ED D810A IS640 1/1000sec(トリミング)


山並みが迫ってきました。現在の高度は3°です。

2022/1/6 16h43m05s EVOSTAR80ED D810A IS640 1/250sec(トリミング)


夕焼けが異常なほど赤く見えますが画像調整は一切していません。実際のソラの色そのものです。

2022/1/6 16h43m39s EVOSTAR80ED D810A IS640 1/320sec(トリミング)


電線に近づいたので肉眼で見えるか確かめましたが私の眼力では確認できませんでした。

2022/1/6 16h44m37s EVOSTAR80ED D810A IS640 1/250sec(トリミング)


電線ゾーンを抜けて低層の雲に突入です。高度は2°です。

2022/1/6 16h47m32s EVOSTAR80ED D810A IS640 1/125sec(トリミング)


本日のラストショット

2022/1/6 16h47ms EVOSTAR80ED D810A IS640 1/sec(トリミング)

内合直前の金星を双眼鏡でじっくり見たのは初めてですが望遠鏡を使わなくても金星をぐるっと取り巻くように見える光環がこれほどキレイに見えるものかと驚きを感じました。とにかく美しくてキレイで… 時を忘れるほど見入ってしまいました。

 日没後の観望は太陽の恐怖を感じることなく観望できるので安心ですね。さて、めまぐるしく変わる天気が続いていますが、雲のすきまを見つけて夕空の金星ウォッチングをもう少し続けることにしましょう。

レナード彗星 観望記録ファイナル!(2022/1/5)

2022年01月06日 | 彗星
1月5日、沈む金星を撮影した後にダメ元でレナード彗星の撮影にチャレンジしてみました~。

 レナード彗星は1月3日に近日点を通過して少しずつ太陽から離れています。仙台では日没から1時間後の17時30分時点での高度がわずかに3°なので大気減光も考えると写真撮影も限界を超えている気がします。

 しか~し、今宵は雪雲も流れていないので画像処理次第ではレナード彗星の姿が浮かび上がるかもしれません。…という淡い期待を持ちつつ撮影機材をベランダに持ち込んで、さあ撮影開始です。ベランダ定点観測はレナード彗星のおよその位置が分かるところが最大のメリットです。いざ、いでよ、レナード彗星!

 さて、日没から50分後、つる座の3等星 γGruをカメラが捉えました。レナード彗星が近日点を通過後にバーストしたという情報は聞こえてないので当初の予報光度5.6等級前後と思われます。5等星が写るのはもう少しあとのようです。

2022/1/5 17h21m45s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f220mm ISO1600 f5.3 1.6sec

 日没から1時間がたちました。カメラは6等級の星まで捉えていますがレナード彗星は写っていません。星図で確かめているのでレナード彗星のあるべき場所は分かっていますが、全くその存在が感じられません。残念ですがそろそろ低層に広がる靄に沈むので撮影は終了です。あとは画像処理であぶり出してみましょう。

2022/1/5 17h30m52s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f170mm ISO1600 f5.0 6sec

…ということであれやこれやと画像処理をすること十数分、ありました! レナード彗星はちゃんといるべき所でじっと待っていました。地心距離0.99AU、1億4850万km彼方のレナード彗星です!

2022/1/5 17h35m24s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f280mm ISO1600 f5.6 4sec

 近日点を過ぎたレナード彗星は太陽圏離脱コースにのって深淵の宇宙へ向かって進み始めました。暗く冷たい宇宙を進むレナード彗星は二度と長い尾を伸ばすことはないでしょう。

 bon voyage!レナード彗星…

内合4日前の金星(1/5)

2022年01月05日 | 金星
新年開けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
2022年最初のブログは内合4日前の金星観望記録で~す。

 撮影を開始したのが15時過ぎだったので金星の高度はすでに20°を下回っていて双眼鏡で見る金星はかなり揺れていましたが何とか撮影することができました~。

Venus Magnitude=-4.11 Diameter=62.44" 

2022/1/5 15h06m13s µ210 UV/IRcut FocalLength=2200mm 
ZWO ASI290MC Duration=30s Shutter=1.000ms Gain=174 (29%)

↓こちらはシンチレーション対策としてIR Passフィルタを装着して撮影した金星です。

2022/1/5 15h13m04s µ210 IR Pass Filter(685nm)FocalLength=2200mm  
ZWO ASI290MM Duration=30s Shutter=1.100ms Gain=327 (54%)

 いよいよ内合まであと4日です。太陽との離角がさらに小さくなって条件は厳しくなりますが天気の具合を見ながら再度撮影にチャレンジしてみることにしましょう。

さて、地球から見る金星は8年周期で同じ位置に戻ってくるので2022年の金星は2014年と同じ動きをします。なので2022年の天文年鑑と2014年の天文年鑑の金星ページを比べると…


 ご覧のように、コピペしたの? …と思うほどそっくりです。そして特筆すべきはこの位置の金星が、8年周期の中で一番大きく見えるということです。
〈内合時の視直径比較表〉
 2014年 62.7″ ←Max
 2015年 57.9″ 
 2017年 59.4″ 
 2018年 61.3″ 
 2020年 57.8″ 
 2022年 62.8″ ←Max

 ということで、どんなもんかと思って山の端に沈む金星を双眼鏡で見てみたら…これは必見です!
朱色に染まった三日月上の金星が…まさに小さな三日月が沈むように見えてとてもキレイでした。

2022/1/5 16h53m15s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO640 f6.3 1/320sec

2014年と2022年の金星は何から何までそっくりですが、実はひとつだけ違うところがあります。それは最大光度です。2014年の最大光度は-4.6等級ですが2022年の最大光度は-4.9等級もあります。これまでの金星の最大光度は-4.7等級だったので0.2等級も明るくなっています。
え!? いったい金星に何が起こってるの~、ひょっとして爆発するの~


…と思いのあなた、心配ご無用です! 国立天文台が惑星の明るさの計算方法を12月に最新の計算方法に変更したため金星の最大光度が-4.9等級となったのです。


 詳しい説明は国立天文台のWebページ「暦象年表の改訂について (2022)」をご覧いただきたいと思いますが、個人的には金星の内合前後に増光現象が見られるというくだりが初めて知ることだったので興味深く感じました。

 説明を読むと、金星の増光現象は内合前後 (位相角 i ≈163°) で発生するようですが「その原因として金星大気中の硫酸分子による前方散乱が考えられる」と書いてあります。位相角163°は1月2日と1月15日頃だと思いますがその時に約0.2等級くらい明るくなる現象が起きているようですね。初めて知りました~。

〈質問コーナー〉
Q:前方散乱って何ですか?
A:説明しよう! 

 これは牛乳を一滴垂らした水にレーザー光線を照射した写真である。左は手前から奥に向かって、右は向こう側から手前に向かってレーザーを照射している。左は直進するレーザーが散乱してほんのわずかだが広がっているのが見て取れる。それに対して右は入射したレーザーが大きく広がって全体的に明るく見えている。これが前方散乱だ。

Credit:NASA/JPL/Space Science Institute

 年末に増光したレナード彗星も見かけ上の位置が太陽に近かったため前方散乱で明るく見えたという説もある。前方散乱の様子を最も分かりやすく説明しているのが探査機カッシーニが撮影した土星の写真である。どうぞご覧あれ。


Credit:NASA/JPL/Space Science Institute