晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

ISS拡大撮影ミッション(6)「5thショット」

2008年05月23日 | ISS(国際宇宙ステーション)
5月23日19時37分、21日と同じ条件でISSが
仙台上空を通過します。最大仰角86度、直距離347km…
これ以上ないほど最良の条件なのですが、天気がよくありません。

晴れてはいるのですが、薄雲が広がっています。
おまけに、ジェット機がたすきのような飛行機雲を
引きずって飛んでいます。期待薄ですが、一応撮影して見ましょう。
意外とだめもとで撮ったときの方がよく写ることがあります。

空は薄明+薄雲なので土星とアルクトゥールスとレグルスが
やっと見える程度… 今日は輝星でのピント合わせはやめて
デジタルノギスで18.84mmにあわせてピン合わせは終わりです。

今日のISSは光度が-2.4等級です。ノーマルな条件では
ISO1600、露出1/2000が妥当な線ですが、
本日はISO1600、露出1/500でいきましょう。
一昨日と同じ条件であれば、これで適正露出になるはずです。

19時37分になりましたが…全く見えません。
19時38分…まだ見えません。おっ…
高度30度付近でやっと見えてきました。

暗いですね~。ファインダーで追尾開始です。
お~っ、明るくなってきました。いい感じです。
天頂付近は体勢が苦しいため、追尾がふらつきますが
今日はなんとか追えてます。

天頂を過ぎたところで望遠鏡をガッと180度回転して
追尾再開です。経緯台は楽ちんです。高度が低くなったころ
露出を1/400にしてさらに撮影… ふぅ、終了です。

さ~て、パソコンで確認です。おっ!
今日は細部まで写っているようです。

ピントがジャスピンです!
画像処理をかけて拡大してみましょう。

お~、これは驚きです。かなり細かいところまで写っています。
よく見ると、後部にドッキングしているATVの太陽電池
パネルも見えます。かすかですがコロンバスも確認できます。
ここまで写るとはビックリ、まさに予想外でした。

さて1月31日に始まったISS拡大撮影ミッションも
いよいよ最終段階です。「きぼう」本体がドッキング
したISSを撮影時点でミッション終了です。

6月1日に予定通りSTS-124が打ち上がれば
ラッキーなことに1日~9日頃まで日本からISS通過
を見ることができます。きぼうがドッキングしたISSを
撮影できるチャンスです。期待しましょう。

ISS拡大撮影ミッション(5)「4th ショット」

2008年05月21日 | ISS(国際宇宙ステーション)
5月21日20時30分、ISSが仙台上空を通過する予定…。
条件は…、最大仰角87度!!直距離348km!!!、
なんと天頂を通過していきます。それは、すごい。

ということで、ひさびさの拡大撮影ミッションです。
今回はWHYTY DOB 30cmにパワーメイト2倍を取り付けての
チャレンジです。日没前に望遠鏡を設置して…暗くなったら
輝星でピントあわせをして、準備完了…の予定でしたが、
暗くなっても星が出てきません。薄雲が出ているようです。

やっと見えたアルクトゥールス、レグルス、土星でピント
合わせをするものの、どうもはっきりしません。

今日の透明度では仕方ありません。ピントゲージ代わりの
デジタルノギス測定値18.86mmで撮影してみましょう。

ISO1600、露出は1/400にしましょう。通常この露出では
露出オーバーになりますが、薄雲による減光があるので、
やや長めの露出設定で撮影です。

南西方向にISSが見えました。ドブソニアンは経緯台なので
導入は非常にスムーズです。とはいっても、焦点距離は3000mm
です。視野は20分ほどしかないので、ファインダーの十字線に
きっちり合わせないと視野からすぐに外れます。

できあがった写真を見ると、案の定何も写っていないコマが
かなりありました。写っていたのは半分程度です。

では、写っている写真を見てみましょう。

おー、さすが3000mmです。天頂付近の写真は
拡大しなくてもISSの形がわかります。

あー、やはり露出オーバーですね~。
解像度もよくありません。薄雲の影響か、
焦点距離を2倍にしたためか、感度を1600にした
からなのか…、とにかく、よくないです。

とりあえずフォトショップで画像処理をしてみましょう。

ほ~、真下からみたISSの形がよくわかります。
右側が進行方向です。左側の後部にはATVがドッキング
しているので長く見えます。ラジエターが地球方向に向いているので
反射して明るく見えます。細部はわかりませんね~。

さて、いよいよ6月1日には「きぼう(本体)」が打ちあがります。
「きぼう」はISSの中でも最大級のモジュールなので、条件が
よければ地上から撮影できることでしょう。「きぼう」は他の
モジュールと比べて輝きが違うそうなので、意外とはっきり写る
かもしれませんね。

クラヴィウス クレーター

2008年05月15日 | 
夕方からきれいに晴れ上がり、
久しぶりに星見ができそうな予感…と思ったのもつかの間、
青空の中で月がこちらを見てにっこりとほほえんでいました。

あらら…いつの間にお太りになられたのですか?ほ~月齢10ですか。
それでは星見はむりですね~ …ならば、月を撮ってさしあげましょう。

ということで、月を撮影することになりました。
今日の望遠鏡は、WHYティーどぶ30cmです。
これにパワーメイト2×をつけて直焦点で撮影です。

ドブソニアンですのでガイド撮影はできません。
まー、明るい月ですから、露出時間も短くてすみます。
お気軽撮影で2~3枚くらい撮ってみましょう…。

口径30cm 合成焦点距離3000mm F10 …けっこうパワフルです。
そういえば、この仕様でまじめに撮影するのは初めてです。
どんなもんでしょう?う~ん、さすがに月がはみ出しています。

ほほ!!?、ファインダーをのぞいてみると…
思いのほか、よく見えます。どぶとは言え、30cmです。
分解能がよろしいようです。


欠け際の南側を撮ってみました。
左からコペルニクス、ティコ、クラヴィウスとクレーターが
並んでいます。今日の月はなかなかきれいです。


クラヴィウスクレーターを中心にもってきてみました。


トリミングしてさらに拡大してみました。
さすが直径225kmの巨大クレーターです。
宇宙船で近づいているような雰囲気に見えます。

虹の入り江も撮影してみました。

今日の写真は、すべて1枚画像です。処理はレベル補正と
トーンカーブとアンシャープマスクのお決まりルーティーンです。

最後に土星も撮ってみました。

こちらは画像処理なしのトリミングのみです。

なかなか楽しめる望遠鏡です。
お気軽観望とちょい撮影には申し分ないかも…
ただ、重いんですよ…鏡筒が、設置と撤収のためには
毎日の筋トレが欠かせません!?

春の系外銀河Part3

2008年05月10日 | 系外銀河
久しぶりに晴れた5月6日の夜、
22時30分頃から始めた撮影が終了したのは25時30分頃。
撮影時間は約3時間、その間、透明度が良くなることはなく…
ソラノクラサは18.22等級→17.75等級→18.32等級と推移する。

途中薄雲が北極星付近で発生するが撮影には影響なし。
おおぐま座から撮影を開始して、りょうけん座、かみのけ座と
望遠鏡を向けていく。

撮影した天体は17天体…。内訳は銀河15個、球状星団2個。
10分ペースで1天体を撮影したことになります。
まさに自動導入のなせる技です。

自動導入といってもアライメントの取り方で精度は変わります。
そこでおおぐま座の天体を撮る時は北斗七星のドゥベで
りょうけん座はコル・カロリで、かみのけ座はデネボラで
アライメントをとってから導入をかけました。そうすることで
直焦点の視野には一発で入ってきます。

撮影はISO800で120sと180sを1枚ずつ…
ISOを1600まであげると感度は良くなるのですが
露出時間を適正にしないとすぐ飽和状態になるので
ほとんどの写真がISO800です。

望遠鏡がかみのけ座の銀河にむかって動き始めました。
かみのけ座は暗い星ばかりですが、実はたくさんの銀河を
見ることができる「宇宙のぞき窓」です。

始めに紹介するのはM91です。

M91(NGC4548) 明るさ10.8等、視直径3.7'x3.2' 距離3,700万光年
メシエ91は実は所在不明のメシエ天体です。このNGC4548が
M91らしいと考えられています。形は棒渦巻銀河です。最近の研究で
天の川銀河も棒渦巻き銀河だと考えられています。

次はM98です。

明るさ10.7等 視直径 8'×2' 距離 3,600万光年
M91もM98もかろうじて写っているという感じですね。

さて次はさらに遠いおとめ座銀河団です。距離は5,480万光年です。
おとめ座銀河団は1000万光年以上の範囲に約2500個の
銀河で形成されている銀河集団です。おとめ座とかみのけ座の
境界付近にあります。かみのけ座で見える明るいものは次の4つです。

M85(楕円銀河)

明るさ 9.3等 視直径 3' 距離 5,480万光年
すぐそばに写っている銀河はNGC4394(11.5等)です。

M88(渦巻銀河)

明るさ 10.2等 視直径 5'×2' 距離 5,480万光年

M99(渦巻銀河)

明るさ 10.1等 視直径 5'×4' 距離 5,480万光年

M100(渦巻銀河)

明るさ10.6等 視直径 5' 距離 5,480万光年
中央右側に見えるのがM100、中央左に見える
細長い銀河はNGC4312(12.7等)です。

現在銀河団は1万個以上発見されているそうですが
おとめ座銀河団は、私たちの銀河に一番近い銀河団
です。そのため、私たちの銀河はおとめ座銀河団の
強力な引力に引き寄せられているとのこと…。
5,480万光年も離れているのにその影響を受けるとは、
何ともスケールの大きな話です。

私たちの銀河は直径600万光年の範囲にアンドロメダ銀河
やマゼラン星雲など約50個の銀河で構成されている
「局部銀河群」に所属しています。
小集団…といったところですかね~。

かみのけ座にはもう一つ銀河団があります。
その名もずばり「かみのけ座銀河団」

明るい恒星の下、写真中央にもやっとして見えるのがNGC4874、
その左ななめ上に見えるのがNGC4889です。その周りに見える
小さなもやっとした天体はすべて銀河です。距離はなんと…
2億9000万光年! 
約3億年前の光を見ていることになります。
4億年前にオゾン層ができたので3億年前は地上には
まだ生物がほとんどいない頃…です。

気が遠くなります…。

かみのけ座には肉眼で見える散開星団Mel.111があります。
距離は288光年。3番目に近い散開星団です。

288光年から2億9000万光年の天体を一望できる星座が
かみのけ座です。暗い夜空でないと見えませんが
みなさんもかみのけ座を探してみて宇宙の広がりを
感じてみてはいかがでしょうか。

春の系外銀河Part2

2008年05月07日 | 系外銀河
GW最終日の5月6日、ついに晴れました。
夜はどうでしょう… う~ん、もやもやしていますね~。

雲はありませんが、透明度が悪すぎます。ふ~む
4等星がやっと見える状態です。しかし、予報では
晴れの状態が続くようです。ならば撮影決行です。

始めは春の定番!おおぐま座の銀河から撮影です。
おおぐま座と言えば、M81&M82ですね。

M81 光度 7.9等 視直径 16'×10'  距離 850万光年
M82 光度 8.8等 視直径 7'×1.5' 距離 850万光年

M82は爆発銀河という名前の通り、大量のジェットが吹き出しています。
M82はもともと渦巻き銀河だったそうだが、2億年前にM81が近づいて
壊滅的な打撃を受けてしまったそうな… 
M82が吹き出しているのはガスだけではありません。
多数の恒星も宇宙空間へ飛び出しているそうです。なんと、今では
500万個の星がM82から失われてしまったそうです。

広い広い宇宙ですが、実は衝突している銀河はけっこうあります。
おおぐま座にも衝突銀河があります。NGC3690(Arp299)です。

2つの銀河が並んでいるように見えますが、少なくとも4つの
銀河が相互作用していることが最近の観測でわかっています。

天文学者ハルトン・アープはこのように相互作用する銀河や、
形のゆがんだ銀河を観測をしてカタログを作りました。
NGC3690はそのカタログの299番目に記載されているので
Arp(アープ)299とも呼ばれています。

さ~て次はふくろう星雲です。

M97(ふくろう星雲)光度 12.0等 視直径 3' 距離 10,000光年

このM97のすぐ近くにあるのがM108。

M108 光度 10.1等 視直径 8'×2' 距離 2,350万光年

さて、おおぐま座はそろそろ終わりにしまして…おとなりの
りょうけん座を見てみましょう。りょうけん座もたくさんの銀河が
見られます。M51、M63は前回撮影したので、今日はM106と
M94に望遠鏡を向けてみました。

M106 光度 8.6等 視直径 18'×8' 距離 2,000万光年

M106はセイファート銀河という種類の特殊な銀河で、強い赤外線と
電波を放っているそうです。

M94 光度 7.9等 視直径 3'×2' 距離 3,260万光年

中心部が明るく、周辺部が淡いので楕円銀河のように見えますが
M94は渦巻き銀河です。周辺部の構造が出るように処理したのですが
ちょっと難しいようですね…。

さあ、まだまだ続きますよ~。このあとはいよいよ、かみのけ座です。
と言いたいところですが、だいぶ長くなったので今日はこのへんで…

続きは、次回で~す。お楽しみに~。

写真限界等級

2008年05月06日 | 系外銀河
GW後半は天気がよくなる予報だったのですが…
ど~も晴れません。期待していただけに残念です。
春の系外銀河撮影Part2はもうしばらく待つことにしましょう。

そこで、今日は先日撮影した写真は何等星まで写っていたのか
調べてみました。

撮影に使用した望遠鏡は口径20cm、焦点距離1000mm。

天文年鑑によると有効口径20cmの眼視限界等級は14.3等級ですが
写真限界等級は、焦点距離1000mmでは18.1等級とのこと。

写真限界等級は空の明るさ、星像の直径に左右されるため、この数値
は条件が最良の時(シーイング良好、空の暗さが22等級)のこと…。
ソラノクラサが17~18等級の仙台では、何等星まで写るのだろうか?

で、調べてみました。使用した星図はインターネット上で閲覧できる
Astronet Sky Map Online です。

比較的光害が少ないM101の写真で調べてみました。



等級はいずれもB等級です。16等級までは確実に写っているようです。
ソラノクラサは撮影方向でかなり違うので、撮影対象によって限界等級は
かなり違うことが予想されます。時間があるときに他の写真で調べてみる
ことにしましょう。