晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

昼間の月をきれいに撮る方法

2010年10月29日 | 青空の中の月
早朝、月齢21.1の月がきれいに見えていました。10月30日が下弦なので、
今日は下弦前日の月ということになります。早速、撮影してみましょう。

いつも思うことですが昼間の月って…、撮影すると白っぽくなって、
うまく撮れた試しが一度もないんだよなぁ~。…と、思いのあなた!

そんな悩みを一発で解消してくれるとても便利なものがあります!
その名はズバリ…、「PLフィルター」。これを使えば昼の月もバッチリ!

注:PLフィルターの原理・効果・使用法については紙面の都合上、ご紹介
できませんので、各自で検索して下さい。(笑)

では、早速テストしてみましょう。まずはPLフィルターを使わない
ノーマル状態での撮影です。撮影システムはBORG60 2× です。

2010.10.29 06:37:29 BORG60n Powermate2× D90 ISO400 1/320

ふむ、空の色はきれいに出ていますが月面のコントラストが弱いですね。
コントラストを上げるため露出を2~3段階アンダーにしてみましょう。


2010.10.29 06:38:00 BORG60n Powermate2× D90 ISO400 1/800

さて、いかがでしょうか。この辺が適正露出のように感じます。
さらに、露出を抑えるとどうなるか試してみましょう。


2010.10.29 06:39:34 BORG60n Powermate2× D90 ISO400 1/2000

ほう、月面のコントラストは良くなりましたが、空の色が暗くなってしまい
まるで、夜のようです。露出が足りない分、解像度も悪くなっています。

では、ここでPLフィルターの登場です。このPLフィルターはフィルムカメラに
使っていたものでかなり古いものです。(ビンテージ度数は30年)

フィルター径は55mmなのでBORGにつけるためには62mm→55mmの
ステップダウン・リングが必要です。探したらマルミでありました。

中央がステップダウン・リング、右がPLフィルター(ケンコー製)径55mm

ではPLフィルターを装着して撮影した写真をご覧下さい。

PLフィルター装着

2010.10.29 06:35:40 BORG60n Powermate2× D90 ISO400 1/160

PLフィルターの効果は「青はより濃く、白はより白く」です。そのため、
月面の海と高地のコントラスト比が格段に向上しています。

PLフィルター装着

2010.10.29 06:35:53 BORG60n Powermate2× D90 ISO400 1/250

背景が暗くなるほど絞り込んでも月面のコントラスト比が良好です。

今回の撮影は、ピントの追い込みが甘かったのでかなりピンぼけ
ですが、PLフィルターの効果は一応見られたようです。

PLフィルターの効きは太陽からの離角によってかなり違いますので、
その辺については、今後さらにテストを重ねることにしましょう。

BORG60n 焦点距離2倍ミッション

2010年10月25日 | 観測グッズ
BORG60は月と金星の接近などを撮影するには良い画角だが、
月を単独で撮影する時にはもうちょっと焦点距離がほしいところ…

焦点距離は325mmなので画角は4.2°×2.8°対角5.0°です。

2010.6.24 20:22:49 BORG60 D50 ISO200 1/1250

焦点距離が2倍になれば画角は2.1°×1.4°対角2.5°と
なって、月を撮影するにはちょうど良い画角になります。

そこでパワーメイト2×を装着して焦点距離を650mmにしてみましょう。

真ん中がパワーメイト2×、右はパワーメイト2×用の直焦アダプターに
オアシス ヘリコイドS(7840)とTリングをつないだもの。

パワーメイト2×の上部を外して…、

直焦アダプター・ヘリコイドS(7840)・Tリングと合体します。

これをBORG60に装着すれば完成!


ここで接続部品の紹介…、

左から「パワーメイト直焦アダプター」「M42→M42」「ヘリコイドS」「Tリング」

こちらはBORG60とパワーメイト2×の接続部

パワーメイト2×をBORG60にそのまま接続すると合焦しないので…
延長筒L(7509)をつける必要があります。

これで完成です!

焦点距離が2倍になったので、全長もほぼ2倍になってます。

今日の月でテスト撮影をしてみました。(月齢17.7)

2010.10.25 20:42:08 BORG60n F10.8 D90 ISO200 1/400

ほひょ、いい感じです。焦点距離を2倍にすると面積比は4倍に
なるので、予想以上に大きい月を撮影することができました。

これから月の位相を撮る時はこのシステムを使うことにしましょう。

Alpine Valley

2010年10月19日 | 
さて、今日の月面撮影で使うフィルターは
BAADERのIR-Pass-Filter(685nm)です。

このフィルターは685nm未満の波長をカットして、
685nm以上の赤外波長のみを通過させるものです。

そうすると何が良いのか?

赤外のような長波長はシーイングの影響を受けにくいので
これを使うと月面や惑星をシャープに写すことができます。

外国のサイトを見るとこのフィルターを使ったきれいな写真が
たくさん紹介されています。

このようなフィルターはAstoronomik社でも出しています。
そちらは透過波長が742nm以上と807nm以上の2種類です。

上記の2種類は透過波長が可視域波長を越えていますので
覗いても濃いサングラスのように何も見えないはずです。

BAADERのIR-Pass-Filter(685nm)は赤色光(620nm-750nm)の
685nm以上を通すので、覗くと世の中が赤黒く見えます。

では、さっそく撮影です。雲が多くなってきました。急ぎましょう。

ToUcamのカメラは黒白モードにします。
さて、今日の撮影目標はアルプス谷の蛇行谷です。

アルプス谷はアルプス山脈の中にある月名所のひとつです。

*2009年6月1日に撮影(月齢8.0)

このアルプス谷には中央に蛇行谷があるのですが、これは
30cm以上の望遠鏡を使って、しかもシーイングの良い日でないと
見ることのできない、とてもチャレンジングな月面地形です。

実際、私はまだ見たことがありません(笑)

さて、写るでしょうか?早速、撮影&レジスタックスしてみましょう。

「Alpine Valley」

2010.10.18 21:57 SE200N HC-12mm ToUcam B/W
Baader IR-PASS-Flter 685nm 1/25 30sec

写真は上が南になっています。う~む、蛇行谷は写っていない
ようですね。では、さらに強処理をかけてみましょう。

コントラストをかなり強調してみました。

う~ん、残念!写っていないようです。

こちらは月面軌道上から撮影した蛇行谷

ほほう、さすが探査機です。くっきり写っています。

今回の撮影は月齢が10.7だったので月齢は8~9の方がよいのかも
しれません。今日は蛇行谷の中に影ができていないように見えます。

それと、気流が木星撮影時よりかなり悪くなったことも敗因の一つ
です。次回のチャンスを待ちましょう。

おまけのカッシーニ

2010.10.18 21:56 SE200N HC-12mm ToUcam B/W
Baader IR-PASS-Flter 685nm 1/25 30sec

このあと急にドン曇りとなったためハートレイ彗星はまたしても
撮影できませんでした。どーも天気が安定しません。

10月18日の木星

2010年10月18日 | 木星
この頃、夜になると雲が発生してしまい、
すっきり晴れる日がまったくありません…。

今夜は移動性高気圧が通り過ぎるはずなので、
うまくいけば、ハートレー彗星が撮影できるかもしれません。

と言っても、月が明るくなってきたので月没を待たなければ
なりません。今日の月齢は10.7(21時)、月没は02時01分です。

それまでの間、木星と月を撮影することにしましょう。
ベガの瞬きを見ると、今日の気流はまあまあ良さそうです。

さっそく撮影してみましょう。

ふ~む、モニター上の木星は揺らぎが少なく、良さそうですが
どうも模様がはっきりしません。雲はないように見えますが
薄雲があるのかもしれません。

とりあえず撮影です。

2010.10.18 21:37 SE200N ToUcam ProⅡ 15fps 120sec

木星のすぐ上にある衛星はカリストです。

上と同じ写真ですがやや処理を変えてみました。

今年は夏の気流が良すぎた分、秋はコンスタントに不安定のようです。

さて、今日の木星はいまいちなので、ここからは月の撮影に
スイッチしましょう。今日は赤外フィルターのテストです。

この続きは次回のブログで…。

10月11日のハートレー彗星/103P

2010年10月11日 | 彗星
秋の変わりやすい天気でしばらく見ることができなかったハートレイ彗星…、
今宵は夜になっても曇ることなく星が見えています。チャンスです!

早速、準備開始です。ところが21時を過ぎるとじわじわと薄雲が…、
雲が消えるのを待って撮影を開始するものの、露出中に雲の通過が
あって、まともな写真は結局ゼロ、薄雲にじゃまされ双眼鏡でも
確認できず…。23時過ぎに本格的な曇りとなり、撮影終了~!

ガイドエラーが見られるが今日撮影した中ではベストの写真

2010.10.11 22:34:11 SE200N D90 LPS-P2 ISO2500 180sec


上記写真から25分後の写真、彗星の移動がよく分かります。

2010.10.11 22:59:09 SE200N D90 LPS-P2 ISO2500 180sec

さて、これから月明かりが明るくなるので、今後は月没を待って
の撮影となります。この彗星が今後劇的に明るくなることはないと
思いますが、しばらく推移を見守ることにしましょう。

波照間島、石垣島の火球騒動

2010年10月03日 | 隕石・小惑星
2010年10月1日20:15分頃、石垣島、宮古島、鳩島、波照間島
などの広い範囲で大きな火球が目撃されたようです。

この第一報が入ったのは10月2日(土)02時19分、
日本火球ネットワークの掲示版に次のような報告が寄せられた。

「極軌道の人口衛星墜落か?
2010年10月1日20:15分過ぎ、波照間上空で火球が飛んだとの情報を得た。
今現在私の確認できた人数を報告する。3人の大人と2人の児童が波照間島の
北村で同時に見ている。学校の近くで2人大人が同時に見ている。単独で見て
いる物が3人。音のみ聞いた者でも私を含めて6人はいる。」

この話題は地方紙にも記事として載っています。

この写真は石垣島観光WEBサイトの「管理人のつぶやき
Twitter」に載っています。→WEB

この火球は台湾でも目撃され大きなニュースになっています。

台湾の元記事はこちら→東台神秘火球

この記事にもあるようにこの火球の正体は10月1日18時59分
(日本時間19時59分)に中国が打ち上げたロケットの1段目、
または2段目が落下したものと思われます。

Image credit: CCTV
このロケットは中国の健康記念日である10月1日に打ち上げられた
長征三号丙(CZ-3C)で、中には月周回探査機「嫦娥2号」が搭載
されています。

石垣島天文台のスカイモニターカメラは打ち上げ時の閃光を
捉えていました。→石垣島天文台

この写真も石垣島観光WEBサイトの「管理人のつぶやきTwitter」
に載っています。

それにしても物騒な話ですね。特に台湾ではまさに真上を通過
しているので、トラブルがあれば巻き込まれる可能性大です。

安全性は確立されていると思いますが、長征三号は過去に
重大な事故を起こしたことがあります。

1996年2月14日の初飛行のとき、ロケットは飛行前2秒に誘導の
失敗を被りピッチオーバーし、打ち上げ後22秒で村に墜落して、
インテルサット708衛星が失われ、多数の村人が死亡したという
痛ましい過去があります。

また、2009年に長征3Bが第3段の異常で打ち上げに部分失敗し、
Palapa-Dを計画より低い軌道に投入することになったが、衛星
本体のロケットを噴射して予定の軌道に到達することができた
そうです。しかし、燃料を大幅に使用したため運用期間が予定
より大幅に短くなったということです。

今回、石垣島などで目撃された落下は予定通りのシークエンス
だったのか、燃焼異常が起きて予定より手前の海域に落下したの
かは分からないが、そもそもロケットの射場が海岸ではなく内陸に
あることが問題ですね。


*中国のロケット発射場

中国で人工衛星の打ち上げをしている発射場は甘粛省の
酒泉衛星発射センター、山西省の太原衛星発射センター、
そして四川省の西昌衛星発射センターの3カ所である。

これらの中で静止軌道への打ち上げを行っているのは
西昌のみである。西昌は酒泉や太原より低緯度で、
静止軌道への打ち上げに適した北緯28度に位置している。

西昌衛星発射センターは、西昌市から北西に約60キロ離れた
峡谷の中にあって、海抜約1,500メートルと高地に位置している。

西昌衛星発射センターのある西昌市の位置(赤)

ハートレイ彗星/103P

2010年10月02日 | 彗星
今日(10/1)は1日中、太陽が見えていました。

その好天気は夜になっても続いています。
…ということで、今宵は旬のハートレイ彗星撮影会です。

現在の等級は5.8等級ほどです。カシオペヤ座の近くにある
ので、条件としては良いのですが眼視では見えないでしょう。

とりあえず、双眼鏡で見てみましょう。…むむ、見えません。
いや~、見えてます。目をそらすと存在が分かります。

では、撮影してみましょう。

機材は20cm反射の直焦点、コマコレクターを装着してます。
今日は自宅で撮影なので、感度を上げて短時間露光です。

2010.10.1 22:23:25 SE200N D90 ISO2500 60sec ステライメージ

光害の影響がかなりあるのでLPS-P2を装着してみましょう。

2010.10.1 22:43:49 SE200N D90 LPS-P2 ISO2500 60sec

ふむ、もっと露出をかけてみましょう。

2010.10.1 22:49:22 SE200N D90 LPS-P2 ISO2500 180sec

なんとか、見えてきました。ちょっと処理のかけ過ぎかな?
画像処理は自動レベル補正とトーンカーブ調整と背景の黒レベルの
調整のみです。

さて、当初の予報ほど明るくなっていないようですが、今後は
どうなるのでしょう。推移を見守ることにしましょう。

下弦の月

2010年10月01日 | 青空の中の月
早朝、青空の中に下弦の月が見えました。

2010.10.1 07:05:13 BORG60 D90 ISO200 1/2000 レベル調整

撮影時の月のデータ
月齢:22.5 視直径:32.0' 輝面比:0.53
赤経:06h17m54.0s 赤緯:+23゜19'08" (J2000)
赤経:06h14m51.5s 赤緯:+23゜20'20" (B1950)
赤経:06h18m34.5s 赤緯:+23゜18'52" (視位置)
黄経: 94゜15'32" 黄緯:-00゜03'18"
銀経:188゜27'51" 銀緯:+03゜31'32"
方位: 63.064゜ 高度: 63.425゜
出22:39 南中05:14 没12:50
測心距離: 37.34万km 地心距離: 37.91万km
中央経度: -6.6゜ 中央緯度: -0.3゜

この時間の下弦の高度は63°もあります。
けっこう、高いところに見えました。