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晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

5月8日の火星

2025年05月12日 | 火星
ずいぶん長いこと待たされたがやっと拡大撮影に耐えられる気流がやって来た。

 今年は春になっても天気(気流)が悪い。4月30日と5月7日にも火星の撮影を試みたが動画の中の火星はスタックする気には到底なれないほどの見事なブレ具合だった。

 そんな火星を見ていたので5月8日はとてもいい気流に見えたが、月齢10の月が滲んで見えるほどの透明度なので条件としてはそれほど良いわけではない… と贅沢を言ってるヒマはない。

 薄明終了時の火星高度は47°である。低高度になればなるほど大気分散が強くなるので撮影は早いに越したことはない。そして今日は視直径が6秒台まで小さくなった火星のベスト撮影システムを見極めるため3種類の撮影システムを用意している。

 1つ目が µ210 + Plan5+TCA4+ADC+Apollo-C だ。画素サイズが5.86μmと大きいので解像度は不利だがシャッタースピードを速くできるので撮影枚数を多くして解像度を上げようという作戦だ。

 2つ目は µ210 + Ortho2×+ADC にNeptune664Cを組み合わせるシステムだ。Neptune664Cの画素サイズは2.9μm なのでASI290MCと同じであるが低ノイズなので解像度が上がることを期待しての選択だ。

 3つ目は µ210 + PL25mm+TCA4+ADC+Neptune664C だ。µ210 + 2倍バローでは視直径6秒以下の惑星撮影はやはり厳しいものがある。焦点距離をOrtho2×よりも大きくするためのシステムがこれだ。

 で、撮影結果であるが、システム2の µ210 + Ortho2×+ADC + Neptune664C が一番良好であった。撮影時の中央経度が177°でアルベド地形が最も見えない位置だったので面白味のない火星になってしまったが最低限のアルベド地形は判別できたようだ。



 3つの撮影システムの比較は以下のとおりである。システム2の火星が一番写りがいいのは一目瞭然だが、これは今回の気流での結果でありシーイングがさらに良ければシステム3の PL25mmアイピースは十分使えると思われるので試す価値はある。


 まもなく火星の視直径は5秒台に突入する。小さくはなるが5月30日に火星の北半球が夏至を迎えるので、もうしばらくは上空の気流とにらめっこしながら撮影のチャンスを待つことにしよう。

5月1日の土星(中央緯度 地球>-2.41° 太陽>0.11°)

2025年05月03日 | 土星
環のない土星の観測レポートです。(正しくは環の見えない土星です)(^^ゞ

 観測した日は好天の予報が出ていた5月1日、観測場所は土星が出没から見える東空が開けている場所が理想ですが、疲労対効果を考えて遠征はやめて近場の河原球場駐車場にしました。

こちらが観測準備メモです。φ(.. )
 03時00分 天文薄明開始
 03時01分 土星出没 0° 
 03時30分 土星高度 5°
 03時35分 土星高度 8°  航海薄明開始
 03時52分 Starlink G11-9 南西-南東77°-北東
 03時55分 土星高度10°
 04時11分 土星高度12° 市民薄明開始
 04時39分 日の出
〈観測機材〉
・望遠鏡:μ210 焦点距離2,415mm
・撮影機材:OrthoBarlow2×、ADC、ASI290MC(UV/IRcut)
・画像処理(AS!3でスタック→RegiStax6→ステライメージ)

 で、実際の観測ですが、02時にいそいそと起きて観測場所に着いたのが02時30分頃… 観測場所は高度8°付近までは木立で見えませんが、高度10°以上になってからの土星が撮影対象なのでOKです。

 まずは三脚を立ててレベルを取って赤道儀の組み立てです。ピン合わせははくちょう座のデネブで行います。今のところ空に雲はありませんがSCWでは4時頃から薄雲がやってくる情報になっているのが気がかりです。

 5月1日の地球-土星-太陽の位置関係ですが地球が環の南側-中央緯度-2.41°で太陽が環の北側-中央緯度+0.11°にあります。この状況は地球から土星の環の裏側(太陽光の当たっていない側)を見ることになるので理論上はカッシーニの空隙と半透明のC環だけが太陽の光を透過して明るく見えるそうです。

 高度10°付近では大気減光と大気の揺らぎが大きいので土星環の透過光を捉えるのはかなり難しいですが、為せば成る為さねば成らぬ何事も…なのでチャレンジしてみましょう。

 03時40分過ぎに木立を抜けた土星が見えてきました。撮影開始です。う~む、大気分散による色ずれが激しいです。おっと… ADCの調整バーをMAXまで動かしても大気分散が解消されません!

 現在の土星高度は8°です。ADCも想定外の高度ということですかね~。ファーストショットはこんな感じでした。→photo これをRegiStaxでRGB Balance処理をした画像がこちらです。→photo

 撮影は03時44分から04時21分まで行いましたが、03時30分からSCW予報どおりの薄雲がやってきて2等星の星は見えない空になってしまいました。ざんねん~、とりあえず撮影した16ショットを持ち帰って画像処理です。

 ほとんどが雲の中の撮影でダメダメでしたが04時10分に撮影した動画がタイミングよく雲間だったらしくそれっぽい土星が写っていました。さすがに光るカッシーニの空隙と半透明のC環は写っていませんが、環の影っぽい黒いラインが写っています。

環のない土星(撮影時高度12°、撮影時刻04時10分)

2025/5/1 04h10m µ210+ADC+ ASI290MC(UV/IRcut)Shutter=143.4ms Gain=350 (72%) Duration=120s AS!3 50% of 809frames

 はたしてこの黒いラインが土星の環の影なのかはよく分かりませんが、通常の環が見えない土星の姿は捉えたようです。この時間は空が急速に明るくなっていくので04時14分(土星高度13°)でこんな感じで→(photo)、04時19分(土星高度14°)でこれでした→(photo)

↓ 04時07分の空の様子(金星の右下にある土星は雲の中ですね)

 季節が逆の南半球オーストラリアなどでは夜の時間が長いので条件良く撮影できるかもですが、北半球では限界がありますね。5月7日の「環の真横から太陽光が当たる環の消失日」まではまだ時間があるので天気の具合を見ながら撮影できるチャンスを狙うことにしましょう。

三日月と木星の接近&スターリンク衛星通過 観望記録(4/30)

2025年05月01日 | 
天気が良かったので「三日月と木星の接近」を観望することができました~。

 日没時刻(18:28)のタイミングで飛行機が通過していきました。

2025/4/30 18h27m55s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO640 f/5.6 1/800sec


 木星の光度は-2.0等、お月さまは月齢が2.3で輝面比は0.10のやや細めの三日月です。

2025/4/30 18h41m54s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f230mm ISO640 f/5.6 1/320sec


 三日月と木星の離角は6°(満月12個分)なので接近と言うには離れすぎていますが、今宵は19時06分頃にスターリンク衛星が月と木星の間を通過していく予報がでています!ワクワク…

2025/4/30 18h44m16s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f220mm ISO640 f/5.6 1/320sec

 本日の銀河鉄道は三日月-木星通過後に火星近傍をかすめてしし座レグルス-おとめ座スピカへと向かうまさに春の天体観望絶景コースです。その疑似体験をしようと三日月-木星間を凝視したのですが…


 肉眼ではまったく見えず、ふたご座でかすかな光を感じて双眼鏡を向けると…ありました! 13個の光の粒が連なって火星の脇を通過しています。かなり暗いですね~。ATOM Cam2で録画もしていたのですがスターリンクをとらえることはできませんでした。

 眼視では確認できませんでしたが通過予報時刻にやみくもにシャッタ-を押していた三日月-木星撮影カメラがスターリンク衛星をとらえていました。下の画像は強めの露出補正をかけています。

 こちらは前列グループの10機(ノーマルタイプ)です。双眼鏡でも確認できなかったグループです。

2025/4/30 19h06m15s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f230mm ISO6400 f/5.6 1/125sec

 そして少し間をあけて後列グループ13機のDTCがやって来ました。こちらの方が明るいですね。

2025/4/30 19h06m21s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f230mm ISO6400 f/5.6 1/100sec


 スターリンクG12-10は4月29日11時34分(JST)リフトオフなので打上げから約31時間後の通過です。

2025/4/30 19h06m24s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f230mm ISO6400 f/5.6 1/80sec


 4月30日はやや間延びした三日月と木星の接近だなぁ~と思ってましたがスターリンク衛星が通過するというビッグ・サプライズで見応えのあるイベントになりました~。めでたし、めでたし

2025/4/30 19h06m35s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f230mm ISO6400 f/5.6 1/80sec