晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

10月30日の中国宇宙ステーション(カラー撮影)

2023年10月30日 | CSS(中国宇宙ステーション)
10月30日早朝に撮影した中国宇宙ステーション(CSS)の記録です。

 2023年は天気に恵まれなかったので拡大撮影をする機会がなかなかなかったのですが、今朝、好条件通過と天気の具合がバッチリ合って久々の拡大撮影ができました~。

 CSSの拡大撮影は前回(6/17)からパワーメイト2× を入れて焦点距離3,000mmのISS撮影モードにしていますが、本日はそのテスト撮影の2回目となります。

 今朝の通過は最大仰角が79°,距離396km,最大光度 -2.2等なのでこれ以上ないほどの最良の条件ですがそれだけに天頂付近の追尾が難しい難易度の高いコースになります。

 さらに、早朝のパスなので天頂通過前は太陽光を反射して輝度が異常に高く、天頂を通過した途端に逆行で暗くなってしまうという露出合わせの難しいコースでもあります。




 で、今回の露出ですが、前回と同じ露出ではやや露出オーバーになるなぁと思いましたが、CSSの超拡大撮影はまだ2回目なので前回と同じ Shutter=0.885ms、Gain=270 (45%) で撮影して様子を見ることにしました。

 さて、時間です。双眼鏡の視野にCSSが入ってきました。地球の影から出た直後は火星のように赤く見えてます。まもなく撮影開始ポイントのおうし座の顔を通過します。カメラをスタートさせて追尾を開始しましょう!

 追尾中はPC画面が視界に入る位置に置いてそれとなくモニターしているのですが、撮影してまもなくモニターに映るCSSの動きがぎこちなくなってきました。

 あちゃ~、こりゃ~バッファ不足でキャプチャー処理が追いついてないようですね~。う~む、予想はしていました。ノートPCには先週撮影した木星・土星の動画がまだ残っているので空き容量不足かな~と思っていたのですが、撮影後に確認してみると空き容量はたったの80GBでした。(^^ゞ

 ということで、今回の撮れ高はほんの十数秒でした~。トホホ…

 こちらがその動画のすべてです。あっという間に終わるのでお見逃しなく~

10月30日の中国宇宙ステーション(カラー撮影)

 
 
 さて、肝心の露出ですがやはりかなりの露出オーバーでした。天頂通過後は徐々に暗くなっていくので適正露出の画像もありましたが、最大仰角のところで適正露出にするのが理想ですね。次回への課題とすることにしましょう。

05時11分25秒、高度46°、推定距離472km


05時11分48秒、高度57°、推定距離425km


05時12分24秒、高度68°、推定距離393km


05時12分24秒、高度56°、推定距離448km


 こちらが現在のCSSの様子、 forward portには10月26日にリフトオフした神舟17号がドッキングしています。神舟17号は打上げ後わずか6時間30分(10/26.09:46UTC)でドッキングを完了しました。



 今後の計画によるとCSSは将来的に6モジュールに拡張して新しいセクションには3Dプリンターや改良型ロボットアーム、スペースデブリの観測・検出・警告システムを搭載するそうです。


 余談ですが X @CNSpaceflightによると2024年5月に嫦娥6号を月の裏側(南緯43°±2°、西経154°±4°)に着陸させて53日間でサンプルを採取するサンプルリターンミッションが予定されているようです。


 さらに長期的なミッションスケジュールでは小惑星と火星のサンプルリターンミッションも計画されていて、天文2号(Tianwen-2)による小惑星サンプルリターンと彗星探査が2025年、天文3号(Tianwen-3)火星サンプルリターンは2028年に実施する予定のようです。

 月面宇宙基地の計画もあるようですが動画を見ると地下洞窟のある地点にペネトレーターを打ち込んで爆破させて穴を開けて地下洞窟に月面基地を作るという独創的な計画でした。わぉ!

 それに向けて中国版ゲートウエイの構想がすでにあるようで

 有人月面着陸は2030年を目標としているようです。

10月11日の木星

2023年10月28日 | 木星
10 月11日夜の木星撮影記録です。

 真夏のようなどっしりした気流ではありませんでしたがまあまあの好気流でした~。

木星データ:Diameter=48.61" Magnitude=-2.86 
撮影機材:μ210 + Powermate2 +ADC + ASI290MC


23時53分 高度61°

2023/10/11 23h53m43s(JST)CMI=251.9° CMII=208.4° CMIII=240.0°
Duration=90s  Shutter=10ms Gain=321 (53%) 25% of 8996frames ap62


23時55分 高度62°

2023/10/11 23h55m17s(JST)CMI=252.8° CMII=209.4° CMIII=241.0°
Duration=90s  Shutter=10ms Gain=321 (53%) 25% of 8995frames ap62



23時58分 高度62°

2023/10/11 23h58m58s(JST)CMI=255.1° CMII=211.6° CMIII=243.2°
Duration=90s  Shutter=10.50ms Gain=321 (53%) 25% of 8571frames ap62


0時22分 高度64°

2023/10/12 0h22m07s(JST)CMI=269.2° CMII=225.6° CMIII=257.2°
Duration=90s  Shutter=10ms Gain=321 (53%) 25% of 8997frames ap62


0時24分 高度64°

2023/10/12 0h24m03s(JST)CMI=270.4° CMII=226.8° CMIII=258.4°
Duration=90s  Shutter=10ms Gain=326 (54%) 25% of 8997frames ap62


0時29分 高度65°

2023/10/12 0h29m40s(JST)CMI=273.8° CMII=230.1° CMIII=261.8°
Duration=90s  Shutter=10ms Gain=326 (54%) 25% of 8996frames ap62


 10月12日03時の天気図はこんな感じでした。

 今年は残暑が長かったので今になって移動性高気圧がやって来ているようですね。高気圧が来たからといって必ずしも好気流というわけではないのですが、10/24~10/25に偏西風の南下による好気流が出現したので撮影を行いました。

 撮影の機会に恵まれなかった2023年でしたが10/24~10/25は土星・木星の今季ベスト画像が取得できたように思えます。現在、鋭意画像処理中ですが、遅々として進んでないのでブログアップはもう少し時間がかかりそうで~す。(^^ゞ


10月11日の土星

2023年10月21日 | 土星
10月11日に偏西風が南下して気流が落ち着く予報が出ていたので惑星撮影会を実施しました。
ターゲットは火星を除いた4つの外惑星(木星・土星・天王星・海王星)です。以下その撮影記録で~す。

 最初の撮影対象は南中時刻が薄明終了2時間後の20時32分になっている土星です。すでに観望好機は過ぎているので今季の見納めの時期と言えますね。

 さて、気流が落ち着くと言っても250hPaの風速60m/sが38m/sに低下する程度の予報なので夏の気流とは比べものにならない状態ではありますが、ここ最近ではベストな気流なので期待が持てます。

 撮影を開始したのは18時40分過ぎ、土星の高度は32°でした。撮影機材はいつもの μ210+Powermate2×+ADC+ASI290MC+UV/IR cut filter です。

ファーストショット

2023/10/11 18h43m Shutter=21.50ms Gain=382 (63%) 50% of 5582frames ap1

 う~む、写りは良くありませんね~。風速はそこそこでも、夏と比べて気流の質がぜんぜん良くない感じです。惑星撮影の旬はとうに過ぎてしまった感がありありですね。


本日の土星データ:光度0.6等、視直径18”.4、輝面比1.00、中央緯度10°

2023/10/11 18h47m Shutter=20ms Gain=406(67%) 50% of 8999frames ap31




本日のベストフォト

2023/10/11 18h59m Shutter=14.56ms Gain=436(72%) 50% of 16549frames ap30




本日のラストフォト(高度は南中時刻とほぼ同じ38°)

2023/10/11 19h51m Shutter=14.50ms Gain=436(72%) 50% of 12421frames ap35

 さて、土星の撮影はここで終了としてターゲットを海王星にチェンジです。海王星は土星がいるみずがめ座と東側にあるうお座の境界線上にいます。

 望遠鏡の自動導入では惑星カメラの写野に入るほどの精度がなかったのでファインダーで導入しようとしたのですが、7.8等級の海王星は光害のある自宅ではファインダーで捉えることでできず…

 結局、惑星カメラの写野に入れることができませんでした。ざんねん~。海王星は次回のお楽しみということにしましょう!

 ここで惑星撮影会の前半部分は終了です。後半は木星と天王星ですが、東側の庭木エリアをクリアして撮影可能高度に達するのが23時以降です。木星の南中時刻は01時06分で高度は66°に達します。

 惑星撮影は高度が高いほど気流の影響を受けにくくなるので南中時刻に近い方がダンゼン有利です。ということでそれまでコーヒーブレイクで~す。続きは次回のブログで~

月齢27.7(今年最も細い新月2日前の月)

2023年10月18日 | 
10月13日未明の月は、新月2日前の月としては2023年でいちばん細い有明の月でした~。

 月齢27.8 新月2日前(輝面比0.03 新月45時間44分前)

2023/10/13 05h11m33s D810A SE200N ISO1600  1/80sec トリミング有

月出の瞬間は2Pエンケ彗星探索中に撮影した画像に偶然写っていました。(photo

2023/10/13 04h01m05s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO10000 F10 3sec

こちらは 月出に気付いて急いでカメラを向けて撮影した写真。(photo

2023/10/13 04h01m28s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f230mm ISO10000 F10 3sec

 これだけ細い有明の月が昇る様子は初めて見ましたが、それはまさに宮沢賢治の短編小説「二十六夜」に出てくる「黄いろな尖とがった変なかたち」そのものでした。

φ(.. ) 宮沢賢治 短編小説「二十六夜」より一部抜粋
「…そのとき、黒い東の山脈の上に何かちらっと黄いろな尖とがった変なかたちのものがあらわれました。梟どもは俄にざわっとしました。二十四日の黄金の角、鎌の形の月だったのです。たちまちすうっと昇ってしまいました」


上記写真の30秒後にはこの高さに…
 宮沢賢治の「…たちまちすうっと昇ってしまいました」の表現どおりです。(photo

2023/10/13 04h02m01s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO6400 F10 5sec

月が高く昇ったように見えますがこの写真の月高度はまだ2.5°です。(photo

2023/10/13 04h13m56s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO12800 F6.3 4sec

地球照がとてもキレイでした。(photo

2023/10/13 04h42m08s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f180mm ISO5000 F6.3 1sec

今日の月は輝面比が0.03なので地球照の面積は97%ということになりますね。(photo

2023/10/13 04h41m42s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO5000 F6.3 1sec トリミング有

高度9°、月齢は27.8になりました。(photo

2023/10/13 04h48m16s D810A SE200N ISO5000  1/250sec トリミング有

日の出25分前、空は市民薄明(新聞が読める明るさ)になりました。月高度14°(photo

2023/10/13 05h17m40s D810A SE200N ISO2000  1/200sec トリミング有


日の出10分前の月、太陽は地平線下-3°まで迫ってきています。(photo

2023/10/13 05h17m40s D810A SE200N ISO1600  1/320sec トリミング有


そして…サンライズ!まぶしい~、気温が5℃まで下がっていたので太陽の熱を実感!

2023/10/13 05h48ms D810A SE200N ISO200  1/8000sec トリミング有

 かくして、2Pエンケ彗星と新月2日前としては今年一番細い月の撮影は終了となりました。その帰り道のことですが、大郷町で新幹線の高架橋の下を通過する時に、新幹線ではなく軽トラ(のような車両)が高架橋をトコトコと走るのを目撃!

  え!、今のなに!?、まぼろし~、目が疲れてるのか?

 これまで新幹線の高架橋で目撃するのは超スピードで通過する車両のみなので、トコトコと走る軽トラはあまりにも可愛いので笑ってしまいました。

 自宅に帰ってから調べたところ東北新幹線の保守車両 確認車というものらしいです。ほのぼのとしていて疲れが癒やされました~(→画像

2P/エンケ彗星 観望記録

2023年10月15日 | 彗星
2P/エンケ彗星の観望記録で~す。

 時は少し戻って10月12日夕方のこと… 何気なく天気予報を見てると、ほひょ、移動性高気圧の到来で2日連続で快晴が続く予報になってる…。こ~れは、待てば海路の日和ありだ~。

 エンケ彗星の観望好機は月の影響を受けない9月25日頃までと月が細くなる10月11日以降なので、撮影の機会を待っていた身としてはこれはまたとない絶好のチャンスです!

 早速、遠征計画を立てましょう!エンケ彗星は、太陽に近いので日の出前の低高度での撮影になります。…ということで今回の遠征地選定のポイントは…

1.撮影地から見た東側の空が開けていること
2.撮影地の東側に街明かりなどの光害がないこと
3.撮影地まで自宅から1時間以内の場所であること
4.土地勘のある場所であること…です。

 1と2は説明するまでもないのですが、3については疲労対効果を考えた場合の今回の適正値として、4はかなり大事で突発的な事象で撮影予定地が不可になった時に短時間で代替撮影場所を探すには絶対的な土地勘が必要なので、です。

 で、結果として選んだ撮影場所は涌谷付近で以前下見をしていた撮影ポイントとなりました。エンケ彗星が地平線から出る時刻は03時45分なのでそれに間に合うように02時過ぎに自宅を出発!予定どおり03時過ぎに目的地に近づいたのですが、問題発生です。霧です!

 地を這うようにうごめく霧がこちらにどんどん近づいてきます。あちゃ~、今夜も夜霧よこんにちは~です。夜霧発生は想定してたので避けて選定したつもりでしたがここまで流れています。SCWを見ると今夜の夜霧は北上山地の西側、北上川流域で大発生して南下しているようです。ここが霧に覆われるのも時間の問題です。

 う~む、代替地は南下する霧を避けて西へ進むしかありません。赤道儀設置の時間を考えると移動時間は15分以内…わぉ、考える時間も惜しいのですぐ車を発進させて、着いたのはお隣の美里町です。タイムアップです。ここに霧が流れてきたら諦めるしかありません。

 スゴイスピードで赤道儀を設置して極軸を合わせて、バーティノフマスクでピントを追い込み、試し撮りをして準備完了。時刻はエンケ彗星が地平線から出る時刻の03時45分です。ギリ間に合った~。

 ここで本日のエンケ彗星の位置情報です。場所はおとめ座のβ星(3.6等級)とν星(4.0等級)の間です。月齢28の月も近くにあるので目印になります。


 こちらがエンケ彗星の基本情報と彗星軌道上の現在位置です。


 さて、すでにエンケ彗星は地平線上にありますが双眼鏡では確認できません。目星を付けてデジカメの感度をISO10000で撮影してみましょう。遠方に先ほど脱出した霧の層が見えています。(photo

2023/10/13 03h59m23s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO10000 F10 3sec

 月齢27.7の月が昇ってきました。霧の層が上空まで広がっています。(photo

2023/10/13 04h09m33s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f170mm ISO12800 F6.3 4sec

 う~む、この場所にあるはずですがデジカメでも確認できません。エンケ彗星の確認はできていませんが場所は分かるので20cm反射望遠鏡のファインダーで星をたどって撮影して見ましょう。(photo

2023/10/13 04h13m48s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO12800 F6.3 3sec

 ISO12800で露出を4秒にして…カメラのモニターに浮かび上がった画像を見ると… わぉ! ビンゴです!! エネラルドグリーン色のエンケ彗星が写っています。(photo

2023/10/13 04h15m47s SE200N D810A  ISO12800  4sec

 彗星は予想どおりの場所にあったのですが望遠レンズでは写らなかったようです。(photo


 では、ここからはコンポジットして画像処理したエンケ彗星をご覧ください。

4枚コンポジット、かすかですが尾が伸びているのが分かります。(photo

2023/10/13 04h15m47s~ 04h17m02s 4枚コンポジット 総露出時間22秒 D810A  ISO12800 トリミング有り

04時15分に薄明が始まっているので背景が青くなっています。彗星高度7°(photo

2023/10/13 04h23m00s~ 04h23m23s 2枚コンポジット 総露出時間30秒 D810A  ISO12800 トリミング有り


太陽に0.42AUまで近づいた2P/Encke、尾が長く伸びている様子が見えます。(photo

2023/10/13 04h24m54s~ 04h26m48s 4枚コンポジット 総露出時間75秒 D810A  ISO12800

 2P/エンケ彗星の近日点通過は10月22日です。エンケ彗星は周期3.3年の短周期彗星ですが近日点通過時にいまも長い尾を伸ばしていることはビックリでした。撮影してみないと分からないものですね。

 エンケ彗星の撮影は04時40分まで続けましたが04時30分以降は薄明が進んで画像処理をしても尾が伸びている画像は1枚もありませんでした~。

さてさて、実は今日の月は2023年で最も細い新月2日前の月(輝面比0.03)だったのです。その月を撮影することも今回の目的のひとつだったのですが、なんと月が出る瞬間から撮影をすることができたので撮影枚数はエンケ彗星より月の写真の方が圧倒的に多い状態でした~。笑(photo

2023/10/13 04h42m08s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f180mm ISO5000 F6.3 1sec

なので「今年最も細い新月2日前の月・観望記録」は別ブログでアップしたいと思いま~す。

ここからは、まったくの余談ですが撮影を終えた後、あの広がっていた霧はどこまで近づいていたかを見たかったのでSCWの局地予報を見たらこんな状態でした。わぉ!(photo) 

 なんと撮影場所だけが霧に覆われず、しかも撮影方向の東方面にも霧が発生しないという超ミラクルな現象が起きていました~。なんというラッキーなことでしょう。どういう作用が働いたのか分かりませんが感謝の極みです。

 で、昨日知ったことですがこの広範囲の霧が発生したとき、涌谷町の中央に鎮座する箟岳山(標高236m)の頂上から、朝日を受けて黄金に輝く雲海を望むことができるそうです。

【宮城県涌谷町】最寄り駅からたったの15分で絶景!黄金の雲海スポット「箟岳山」


 なるほど霧で撮影ができなくてざんねん~な日は黄金の雲海が広がる絶景を見られる超ラッキーな日ということですね。こ~れは覚えておきましょう!

 涌谷町HPによると、この雲海展望エリアは「令和5年秋の公開は、令和5年10月1日(日曜日)から11月5日(日曜日)までの期間で、雲海が出現している早朝に限ります。」とあるのでいつでも行ける場所ではないようです。詳しくは下記リンクから涌谷町HPをご覧くださ~い。
リンク→〈涌谷町・箟岳山からの雲海

細い月を求めて 観望記録

2023年10月14日 | 
10月14日は見たい天体現象「2023年に見える細~い月(有明の月)」で紹介した最も細い有明の月が見られる日です。輝面比は0.01にも満たない0.0075(0.75%)なのでまさに究極に細い月と言えます。

〈2023年細い有明の月ランキング〉*条件的にキビシイ観望不可日は除いてあります。
 第1位 10月14日(土)輝面比0.75% 新月21時間12分前(日出時刻)太陽離角 9゚10'
 第2位 5月19日(金)輝面比0.82% 新月20時間31分前(日出時刻)太陽離角 9゚51'
 第3位 7月17日(月)輝面比0.87% 新月23時間07分前(日出時刻)太陽離角 10゚49'
 第4位 9月14日(木)輝面比1.3% 新月29時間24分前(日出時刻)太陽離角 13゚02'
 第5位 12月12日(火)輝面比1.4% 新月25時間50分前(日出時刻)太陽離角 13゚31'

 輝面比0.75%は日出時刻の数値なので実質的には撮影可能時刻である月出直後の輝面比0.81%から05時20分の輝面比0.78%が現実的な数値となります。それでも究極に細い月なので難易度はMAXです。

 究極に細い有明の月の撮影は2020年12月24日(輝面比0.89%)にチャレンジしていますがその時は目撃も画像上での確認もできませんでした。(ブログ→細い月を求めて 遠征記録

 今回はそれよりもキビシイ条件ですが昨日は移動性高気圧に覆われて新月2日前の月もキレイに見えて、しかもその天候状況が今日も続いているので期待が持てます。

 今回の撮影場所は自宅から車で5分ほどの東の空がよく見える場所です。月出直前の空の様子はこんな感じでした。雲が少しありますがほぼベストと言える状況でしょう。

2023/10/14 04h54m44s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f340mm ISO2000 F7.1 1/15sec

 さて、時刻は月出の04時55分になりました。本日の日の出時刻は05時43分です。ここから日の出20分前の時刻、05時25分までが実質的な撮影可能時間です。

2023/10/14 04h55m07s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f340mm ISO2500 F7.1 1/6sec


 低層は大気減光があるので見えるとしたら月高度が1°に達する05時05分を過ぎてからと予想して双眼鏡で空のコントラストの違いに注視して月を探したのですが…

2023/10/14 05h05m28s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f500mm ISO2000 F7.1 1/40sec

 まったく見えません!…時刻はまもなく05時10分です。撮影した画像を拡大して探すもまったく写っていません!あちゃ~残り時間は10分です。空もどんどん明るくなっています。

2023/10/14 05h09m10s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f360mm ISO2000 F7.1 1/160sec

 月の方位はコンパスで確認しているので場所は分かるのですが、究極に細い月はその姿を現わしません… う~む、タイムアップです。ざんねん~!あとは自宅で画像を確認することにしましょう。


で、自宅に帰って現在PCモニターで画像確認中です。う~む、写っていませんね~。

 おっと… 星が写っています。ステラナビで確認すると… おとめ座のポリマです!

2023/10/14 05h01m29s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f440mm ISO2000 F7.1 1/15sec

 …ということは、これで月の位置を特定できます!探してみましょう!

画像のコントラストや露出補正をかけて確認すると…おおー!これは… わぉ!写っていました~!

2023/10/14 05h02m24s D810A  f5-6.3 f440mm ISO2000 F7.1 1/30sec 露出補正 +2.85(photo


新月21時間23分前の月(月齢28.77 輝面比0.80%)〈photo

2023/10/14 05h02m44s D810A  f5-6.3 f440mm ISO2000 F7.1 1/30sec 露出補正 +2.93


 さほど影響が無いと思っていた雲が実は月を隠していたという悲しい事実…トホホ

2023/10/14 05h06m00s D810A  f5-6.3 f500mm ISO2000 F7.1 1/40sec 露出補正 +2.15


月が写っていたラストフォト「 月齢28.77  新月21時間18分前の月」(photo

2023/10/14 05h07m53s D810A  f5-6.3 f440mm ISO2000 F7.1 1/100sec 露出補正 +3.52

 今回の撮影で輝面比1%未満の月でも撮影できることが分かった。撮影中は露出オーバーで月が飽和しないよう露出アンダーを意識したがもう少し露出をかけた方が良かったようにも感じる。

 さて、今年は天気が不順でなかなか撮影できませんでしたが今回やってきた移動性高気圧が3日間連続で晴天をもたらしてくれたことで究極に細い月の撮影ができたので天気の神様に感謝ですね。

有明の月と金星、レグルスの接近 観望記録

2023年10月13日 | 
10月12日のブログの続きで~す。

 月が昇ってきて、有明の月と金星とレグルスの接近は一応見られましたが低層の霧がどんどん成長して空はまったくクリアではありません~。この時の月と金星の高度は3°でレグルスは5°です。

2023/10/11 02h17m52s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO1600 F8 1.6sec


 月高度が高くなったころは霧だけでなく雲も発生して状況は悪化する一方です。

2023/10/11 03h42m04s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f220mm ISO1600 F8 1sec


 霧はさらに濃くなり撮影できる状況ではなくなったのでやむなく撤収です。トホホ…

2023/10/11 03h47m05s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f220mm ISO1600 F11 1sec

 気付くと機材はぐっしょり濡れていてカメラのストラップも水分をかなり吸った状態でした。まー、この霧ではしかたないですね。帰る途中で霧が晴れているところがあったら撮影を再開することにしましょう。


 …と車を走らせること30分、急に霧エリアを抜けてキレイなお月様が見えたので安全な場所を探して撮影再開です。月の高度は30°に達していて薄明も始まっていましたが薄明の空で眺める月と惑星の接近は晴れスタ的にはとても好きなシチュエーションです。

2023/10/11 04h46m58s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f210mm ISO1600 F10 1sec


本日のベストフォト(photo

2023/10/11 04h51m44s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f210mm ISO1600 F9 1.6sec


 空はすでに航海薄明になっていて、太陽が地平線下 -9° まで迫ってきました。

2023/10/11 04h55m00s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f210mm ISO1600 F9 1/2sec


 薄明中の空は急速に明るくなっていきます。気付くとさっきまで見えていた星は消えて、空のキャンバスはロイヤルスターのレグルスと二人の女神ビーナスとセレーネだけになりました。

2023/10/11 05h00m39s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f210mm ISO1600 F9 1/2sec

 まもなく市民薄明です。「103P/ハートレー彗星」と「有明の月と金星、レグルスの接近 」の撮影会はこれにて終了です。機材を片付けて昇る朝日をバックミラーに見ながら帰路につきました~。



〈おまけの写真〉
 秋は湿度が低いので昼間の空でも細月と金星がキレイに見えました。(photo

2023/10/11 11h19m52s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f210mm ISO400 F9 1/1000sec

103P/ハートレイ彗星  撮影記録

2023年10月12日 | 彗星
103P/ハートレイ彗星の撮影記録です。

 今年は秋の移動性高気圧が来ないまま冬になるかも…と思っていましたがやっと来ました~。
こ~れはチャンスです!10月12日に近日点を通過する103P/ハートレイ彗星の撮影に出かけましょう!

 せっかくなので空の暗い場所へ遠征して撮影しよう!と意気込んで20cm反射を引っ張り出してふたを明けると… わぉ、これは古墳から出土した鏡ですか?と思えるほどホコリで鏡面がくすんでいます。
 
 これはすぐに洗ってあげたい…う~む、遠征に出かけるのは深夜なので時間はありますね~、ふむ、思い立ったら吉日です。ガシガシと外して風呂場へ直行!シャワーでホコリを流してから洗顔フォームを指の腹につけてやさしく撫でて汚れを落とします。あとはシャワーで流して…うむ!新品同様です!

 さて、撮影地はSCWの局地予報を見て晴天率の高い登米市付近にしました。遠征に出かけた日(10月10日)は昼から一日中雨が降っていましたが深夜の日付が変わる頃から晴れ上がる予報でした。

 なので出かけるときはまだ小雨が降っていましたが現地に着くと雲量は3~2程度です。いいですね~。空を見上げると秋の天の川がクッキリ見えます。早速SCM(スカイクオリティーメーター)でソラノクラサを計ると… ピピッ、お、でました。あらら、20.82…です。

 この近辺(登米市の田園一帯)は、Light pollution map によると21.26はあるはずなのですが、雨上がりの湿度が影響しているのかなぁ~などと考えながら望遠鏡を赤道儀にセットして、まずはM42でテスト撮影です。試し撮りをして、よしピンを追い込むぞ…と思ったその時、大問題発生です!なんとピント合わせの必需品「バーティノフマスク」を忘れてきました~。あちゃ~、

 仕方ないので星像が一番小さくなるところでピントが合ったことにしました。トホホ… で、こちらがテスト撮影のM42オリオン大星雲です。鏡面がピカピカなのでいつもより立体感のある写りになったような気がします。

M42(1枚画像)

2023/10/11 0h55m42s SE200N Nikon D810A ISO1600 60sec(photo


燃える木、馬頭星雲(2枚コンポジット)

2023/10/11 01h01m31s. 01h02m31s. 30sec,60sec SE200N Nikon D810A ISO1600(photo

 さて、ここからが本題です。10/12に近日点を迎える103P/ハートレー彗星は現在ふたご座にいます。デルタ星(3.5等級)と58番星(6.2等級)の中間にいるので見当は付けやすい位置にあります。

 103P/ハートレー彗星の等級は最近の観測値で8等級まで明るくなっていますが、双眼鏡では確認できませんでした。2010年にハートレー彗星を撮影した時は5.8等級だったので自宅でも確認できたのですが今回はそこまで明るくならないようです。

103P/ハートレー彗星(ファーストショット)

2023/10/11 01h17m21s SE200N Nikon D810A ISO10000 60sec

 こちらはハートレー彗星の基本情報と彗星軌道上の現在位置です。


 ハートレー彗星は近日点を通過しても尾が延びることがないとても小さな彗星ですがコマがエメラルドグリーに輝くキレイなほうき星です。

2023/10/11 01h32m10s SE200N Nikon D810A ISO6400 30sec×4

 こちらは60秒画像を4枚コンポジットした画像ですがこのころから霧が発生して透明度が悪くなってしまい、この後は撮影不可となってしまいました。

2023/10/11 01h40m29s SE200N Nikon D810A ISO1600 60sec×4

 霧は晴れることなくどんどん濃くなるばかりで望遠鏡もしっとりと濡れてきました。今日は「2023見たい天体現象」で紹介した「有明の月と金星、レグルスの接近」が見られる日です。月出は01時58分なので撮影機材は撤去せずにしばし車の中に避難して休憩タイムです。

 霧だけでなく雲も広がってきたので撤収かなぁ~とも思ったのですが、01時58分過ぎに車の外に出てみると、おー、山の端にオレンジ色に妖しく輝く三つの光点が見えます。一つは金星、もう二つは弓形に光る月の両端部分です。むむ、この弓月の両端はまさに江戸時代の二十六夜待ちで見られる阿弥陀三尊の観音菩薩と勢至菩薩の正体なのでは…

 以前から江戸時代の二十六夜待ち(旧暦7月26日)では阿弥陀三尊(真ん中が阿弥陀如来、左脇侍が観音菩薩、右脇侍が勢至菩薩)が見えると言われているのでいつか確認してみたいと思っていたのですがたぶんこの現象でしょう。今日は見えませんが天気が良ければ地球照が中央に見えるのでそれが阿弥陀如来なのでしょう。

 今日は旧暦8月26日の夜です。1ヶ月前の旧暦7月26日もほぼ同じ向きで弓月が昇ってくるので江戸時代の二十六夜待ちはこの月を見ていたということになりますね。準備をしていなかったので写真は撮れませんでしたがいいものを見ました。旧暦7月26日の「二十六夜待ち」は江戸の人たちの粋な遊びだったようなので深掘りしてみると面白そうですね。

 急ぎカメラをセットして撮った写真がこちら

2023/10/11 02h16m42s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f200mm ISO1600 F7.1 2sec

 この続きは次回のブログ「有明の月と金星、レグルスの接近」観望記録で~

落下人工衛星ALE-1(エール・ワン)観望記録 10/2

2023年10月03日 | 宇宙開発
落下予報が出ているALE-1(エール・ワン)の観望記録で~す。

 ALE-1の通過時刻は19時45分ですが地球の影に入っているので衛星が大気圏に突入しなかったときは何も見えないパスです。しかも落下予報時刻の17時間も前なので大気圏突入の可能性はほぼゼロですが、日本上空を夜間に通過するラストパスなのでウオッチングしてみました~。

軌道高度は187kmだったのでよもや…と思いましたが結果は何も見えませんでした~。笑

通過図

イベントデータ


 ALE-1は2019年1月に革新的衛星技術実証1号機に搭載された「人工流れ星実証衛星」です。放出機の不具合で人工流れ星の実験は成功しませんでしたが現在3号機の打上げに向けて準備中とのことです。

 ALE-1の落下予報時刻は10月3日12:00(JST)頃のようです。人工流れ星の素を積んだままの衛星がどのような落下をするのかは興味深いところですが、どこかでその様子が見られるといいですよね~。

まもなく落下予報時刻です。落下目撃情報が届くのを待つことにしましょう。