晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

2021年見たい天体現象「月と惑星の接近」

2020年12月31日 | 「見たい天体現象」
 早いもので2020年の大晦日となりました。本年ラストのブログは
  2021年見たい天体現象第4弾「月と惑星の接近」です。

 月と惑星の接近についても天文雑誌等でたくさん紹介されていますが、こちらは
晴れスター的に見たいと思っている完全オリジナル版の「月と惑星の接近」で~す。

 シミュレーション画像はステラナビゲーター11で作成しています。


 1月14日「究極に細い月(月齢1.1)と3惑星の競演」

 これは「来年見たい細~い月の1月14日付けを見るともれなく3惑星が一緒に見られる」
というイベントです。ステラナビの昼光はオフで作成しています。実際の空はかなり
明るい薄明になります。


 3月11日「新月前々日の有明の月と3惑星のコンジャクション」

 日の出前の薄明の空で輝く3惑星と輝面比0.03の有明の月が並ぶフォトジェニックな
星景となります。かなり低高度でのイベントですが、一見の価値アリです。


 5月13日「金星と水星の間で輝く二日月(月齢1.6)」

 こちらは、水星‐二日月‐金星が縦に並ぶイベントで、実際の空で見るとかなりキレイな
星景となります。昼光オフで作成しているので、実際の空ではかなり明るい夕焼け色の空
になります。なので、プレアデス星団を含む恒星等は見えません。


 6月12日「究極に細い三日月(月齢2.0)と金星の接近」

 金星と月が並ぶことはよくありますが、この日は三日月としては究極に細い月(月齢2.0)
と並びます。実際の空ではもう少し空が暗くなると思いますが、数ある三日月と金星の接近
の中でもとびきりキレイに見えるイベントだと思います。


 7月12日「三日月と火星・金星の接近」

 こちらは天文雑誌等で紹介されているので詳しい説明は特に必要ないと思いますが、
遠ざかった火星と金星が横並びになるキレイなイベントです。


 8月11日「四日月と金星の接近」

 この日は、四日月も金星もとても明るいので日没直後から長い時間楽しめるイベントです。


 9月9日「三日月と水星・金星の接近」

 月と離れているので接近とはいいがたいですが、水星と並ぶ機会は多くないので見て
おきたいイベントです。


 11月4日「究極に細い有明の月と二惑星・スピカの接近」

 こちらは昼光オフで作成しています。実際の空はかなり明るいので有明の月を見ること
ができたら素晴らしい星景になることは間違いないのですが、難易度はMAXでかなりの
強運も必要です。


 11月8日「金星食が終わった後も見逃せない接近イベント」

 来年のメイン・イベントである金星食の直後は月から離れていく金星を見ることができ
ます。金星は最大光度の-4.5等級と明るいのでとてもきれいな星景が見られることと思い
ます。シミュレーション時刻の18時は薄明終了時刻なので空が暗い場所では上記のように
天の川とのコラボ写真を撮影できるイベントです。



さ~て、2020年もあ5時間となりました。
今年もこのブログを見てくださった みなさん、本当にありがとうございました。

 来年もたま~にアップしていきますので、時間があるときにご覧いただければ幸いです。
それでは皆さん、よいお年を~!


木星と土星の接近 画像処理完了

2020年12月25日 | 木星
12月22日に撮影した木星と土星の接近の画像処理が終わりました。
結局、AS!3でスタッキング→RegiStaxでウェブレット処理→ステライメージ8で
画像復元とシャープ処理という至ってスタンダードなプロセスでまとまりました。


その完成形がこちらです。(合成なしの1枚画像)



元の動画からはここまで模様が抽出できるとは正直思っていなかったので大満足です。

今年は長い期間、火星・木星・土星を楽しむことができたなぁ~と思いながら今年撮った
写真を見返していたら3惑星と山羊座の肉眼二重星が写っている写真を見つけました。

山羊座二重星の角距離は、木星・土星大接近の離角とほぼ同じです。この写真には木星と
土星が大接近したときの様子をイメージさせるヒントがあったのですね。

撮影したときは全く気付きませんでした。(^^ゞ




惑星の接近は、ただ並んでいるだけなのですが、とても感動しますよね。

惑星の接近に月が加わると、まさに天空のアート! 何時間でも見ていられます。

さ~て、来年はどのような接近が見られるのか要チェックですね。


12月22日木星と土星の大接近

2020年12月23日 | 木星
12月22日はルナX撮影後も晴天が続き…

日没後の夕空で接近している木星と土星がはっきり見えました。


今日の離角は7分12秒ですので昨日とほぼ同じです。
木星と土星の大接近が2日続けてみられるのは幸せなことです。

さて、今日のメインイベントは惑星カメラによる木星と土星のツーショット撮影です。

木星の縞模様と土星の輪が分かる写真を撮りたいところですが、-2.0等の木星と0.6等の
土星の両方を適正露出で撮ることはかなり難しいことです。しかも、時間が過ぎるほど
高度は低くなり条件は悪くなっていきます。時間がありません。撮影を急ぎましょう。


…で、こちらが惑星カメラで撮ったファーストショット

完全に露出オーバーです。ここから追い込んでいきましょう。
木星と土星の露出あわせに悩みましたが、正解が見つからないまま撮影終了です。ふう…
露出を変えて何ショットか撮影したので現在も画像処理中ですが、どーもうまくいきません。


で、こちらが現在処理中の撮って出しの画像です。



ワンショット動画を処理しているので複数画像の合成やはめ込みはしていません。

もう少しうまく処理できればいいのですが、私の技術ではこれが限界かも…。
当初は夕方の低空で接近している木星と土星のツーショットを拡大で撮影できるとは
思っていなかったので、天気に恵まれて3日間も撮影できたことはミラクルでした。

太陽系巨大ガス惑星のランデブー飛行は、思っていた以上にすばらしい天体ショーでした。

時を戻して、もう一度見たい天体現象の第3位にランクインかな…
ちなみに第1位は2001年のしし座流星雨で、第2位は1996年の百武彗星です。

Daylight Lunar X

2020年12月22日 | 月面X
本日、12月22日は今年最後のルナXデーです。

2020年ルナXカレンダー
月面余経度358.0°の日時   日没 月高度(ピーク時)   b値
× 1月 3日(金)05時32分 16:29  -53°       
○ 2月 1日(土)20時01分 16:59   41°       -0.87
× 3月 2日(月)10時11分 17:32   1°       
△ 3月31日(火)23時28分 18:00   9°       -1.53
△ 4月30日(木)11時52分 18:28   19°       -1.22
△ 5月29日(金)23時23分 18:53   9°       -0.60  
× 6月28日(日)10時25分 19:05  -11°       
○ 7月27日(月)21時20分 18:52   17°       +0.91
× 8月26日(水) 8時37分 18:16  -47°       
○ 9月24日(木)20時31分 17:31   16°       +1.52       
×10月24日(土) 9時25分 16:48  -45°
×11月22日(日)23時06分 16:48   1°
△12月22日(火)13時32分 16:21   16°       -0.30
(注:上記日時はあくまでも晴れスター的独自予報です。)
 b値:月面上で太陽が真上から照らす地点の月面緯度

本日のルナXのピークは13時32分です。14時過ぎに東の空から昇った上弦の月が
雲間から見えてきたので撮影してみることにしましょう。

ルナXはとても小さいので双眼鏡で見てもほとんど見えませんが、20cm望遠鏡で見てみると…
ほほう、Daylight Moonの割にはXがはっきり見えています。気流がいいようですね~。

ということで、惑星カメラによる拡大撮影に挑戦してみました。


なんと、思いのほかきれいに写って超ビックリです。

ふむふむ、すでにピークを過ぎてXの足がビヨ~ンと伸びてますね。

もう少し拡大してみましょう。

かなり細かいところまで写っています。昼間にこれほど写るのは珍しいのでは…

注:下の方にヒトデみたいなミニXも見えてますが、これは偶然の産物です。

16時を過ぎるともはやXとは言えませんね~。ただのクレーターのフチです。


それにしても12月なのにこの気流の良さは異常です。

このまま好気流が続けば、木星と土星の接近も惑星カメラで撮影できるかもしれません。ワクワク…

…という願いが通じて夕方も青空が広がりなんと惑星カメラで撮影することができました。
惑星カメラによる木星と土星の大接近撮影の結果はいかに~。続きは次回のブログで~。

12月21日木星と土星の大接近

2020年12月21日 | 木星
いよいよ木星と土星の大接近の日となりました。

本日は遠征なしの自宅DEお気楽観望会です。
しか~し、天気が良くありません。どん曇りです。

雪もちらついていますが、ここ数日、日没後に雲が切れる傾向があるので
望遠鏡をセッティングしてワンチャンスに賭けましょう。

ラッキーです。いい具合に雲が切れてきました。
時刻は16時50分まもなく木星が見え始めます。

見えました!木星発見です。まだ土星は見えません。まもなく土星も見えるはずです。

いよいよ世紀の天文ショーの始まりです。ワクワク…


見えましたー! 肉眼で見えます! 土星が信じられないほどすぐ近くにあります! 


これは、すごい… 早速、望遠鏡のカバーを外して見て見ましょう。


今日の望遠鏡は、μ210です。昨日までは撮影が主だったので、大きな望遠鏡で覗くのは
実は本日がファーストライトです。(^^ゞ 

わぉ!…なんということでしょう…

木星と土星が同じ視野に、しかもこんなに大きく見えています… 感動です。

なぜか、体が震えるほどの感銘を覚えました。木星も土星も何度も見たことありますが、
ひとつの同じ視野に一緒に見えることがこんなに感動するものとは思いませんでした。

ただただ、感動です…

雪雲が矢継ぎ早に流れてくるので望遠鏡の中の二大惑星はクリアに見える瞬間はほぼ
ありませんでしたが、神秘の天体ショーから目を離すことができませんでした。

いつまでも見たい気持ちをかき消すように奥羽山脈を越えてくる雪雲が頻繁に
流れてくるようになりました。木星と土星の高度も8°を切りました。

望遠鏡もほぼ水平を向いており、そろそろ限界です。


観望中は、強めの小雪がずっとパラパラと降っていたので、世紀の天文ショーを見られたのは
本当にラッキーなことでした。雪雲にすきまを作ってくれた天気の神様に感謝です。

明日は離角が7′20″なので少し離れますが、木星と土星がキレイに横に並びます。
木星と土星大接近のエピローグショーが見られるといいですね。

12月20日木星と土星の接近

2020年12月20日 | 木星
木星と土星の大接近は明日ですが、本日プチ遠征して最接近前日の様子を見てきました。


本日の日没は16時20分です。
日没後は木星だけが見えていましたが、17時過ぎに木星の上に輝く土星が見え始めました。


光度差がありますが肉眼ではっきり分離して見えました。


明日の角距離は今日の半分くらいですが、今日の様子から明日も分離して見えると思います。



こちらは9cmのマクストフで撮影した写真です。

2020.12.20 17:12:40 CELESTRON C90 MAK(f1,250mm) D810A ISO6400 1/80sec


長めの露出で木星と土星の衛星が浮かび上がりました。

2020.12.20 17:42:20 CELESTRON C90 MAK(f1,250mm) D810A ISO1600 10sec(トリミング)


土星の衛星はたくさんありますが、確認できたのは3個だけです。




露出時間をさらに長くすると木星と土星の背景にはたくさんの恒星が写っています。

カリストの近くに見える恒星(HIP99314)の距離は240光年… 宇宙の広さを感じます。

月と木星と土星の接近

2020年12月18日 | 
12月としては記録的な大雪になった宮城県地方…

月と木星と土星の接近は見られないなぁ、と半ばあきらめていたら
待てば海路の日和ありで、なんと雲が切れて月が見えてきました。

木星と土星も、ここにいるよと言わんばかりに姿を見せてくれました。

かなり近づいた木星と土星の角距離は30分17秒で月の直径より少しだけ小さい位です。
12月21日の接近距離は約6分なので今日の角距離の1/5ほどの近さになります。


木星のそばには2つのガリレオ衛星が写っていました。ガニメデの直径は5,262 km、カリストの
直径は4,820 kmもあります。いずれも月の直径(3,474km)より大きいのですから驚きですね。


木星と土星を眼に見立てると、月の部分が口になって顔に見えないこともないです…

そういえば、昔ありましたよね。空にお茶目な顔が浮かんだことが…


あれは、今から12年前の2008年12月1日、月と金星と木星の接近の写真を撮っていたら、



突然、微笑みかける顔に見えて、それからは顔にしか見えなくなり…



空を見上げると視線を感じて、とてもハッピーな気持ちになりました。


そういえば、もうすぐクリスマスですね。

今年は、いつもより静かなクリスマスを迎えることになりそうです。

はやぶさ2が採取したサンプルについての考察

2020年12月17日 | 隕石・小惑星
 12月15日、はやぶさ2のコンテナ内サンプルキャッチャーA室内部の
様子を撮影した写真がJAXAより公開されました。

この写真をWebで見た時、これはすごい!と声が出るほどの驚きを感じた。

超ビックリポイントその1
 たくさんの粒子が写っているがすべてが真っ黒であること。
超ビックリポイントその2
 細かい粒子もたくさん見えるがそれも真っ黒であること。

この写真を見てひとつの期待(仮説?)が浮かび上がりました。今日はそのお話です。

サンプル写真から勝手に考える期待を込めた仮説
 小惑星Ryugu(1999 JU3)は炭素質コンドライトCI型である。

 小惑星には大きく分けてS型とC型があります。S型は主に岩とか石が主体となっている小惑星でStorny(石質)の頭文字を取ってS型小惑星と言います。それに対して炭素質を多く含む小惑星は炭素を意味するCarbonaceousの頭文字を取ってC型小惑星といいます。C型はS型よりも表面が黒く、光の反射率が極端に低い特徴があります。(S型とC型のほかに金属質のM型もあります。)

 火星と木星の間にある小惑星帯で数が多いのは圧倒的にC型ですが、C型は小惑星帯の外側にあるため地球に隕石として落ちてくることは稀で、落下隕石のほとんどがS型です。しかもC型は炭素質を多く含むため非常にもろく風雨にさらされると短期間で崩壊してしまうため、C型隕石が地上で見つかることはあまりありません。

 今回はやぶさ2がサンプルを採取したリュウグウはC型小惑星なので粒子が黒いの当然ですが、写真を見ると細かい粒子を含めてすべてが真っ黒すぎるほど真っ黒です。C型小惑星は地上に落下した隕石の岩石タイプ分析から6つのグループ(CI、CM、CV、CO、CR、CK)に分けられています。

 小惑星由来の隕石にはコンドリュールという粒状物質が含まれていますが、6グループの中でCI型だけがコンドリュールを含んでいません。今回公表されたはやぶさ2のサンプルがあまりにも真っ黒で、コンドリュール等を含んでいないように見えたことがCI型ではないか思った理由です。

マーチンソン隕石の写真をご覧ください。

 マーチソン隕石はアミノ酸が発見されて有名になった隕石ですがタイプはCM型炭素質コンドライトです。CM型は上記写真のようにコンドリュールとケイ酸塩鉱物が明るい色の含有物として見えます。はやぶさ2のサンプルはマーチソン隕石より色が黒く、含有物が少ないように見えます。

 もし、はやぶさ2のサンプルがCI型だとしたらスゴイことです。C型小惑星隕石の中で最も多く発見されているのはCM型(発見数161個)ですが、CI型はたったの6個(いずれも落下目撃隕石)しか発見されていません。C型小惑星は含水鉱物を多く含むことで知られていますが、水の含有率はCI型がダントツで20%もあります。これは密閉容器に入れて加熱すると、簡単に水分が出てきて容器の内側に水滴が付くレベルです。(ちなみにCM型の含水率は約10%です)

 もし、リュウグウのサンプルがCI型でなかったとしてもC型小惑星には違いないので多くの水と有機物が発見されることは間違いないと思います。まだ開封されていないキャプチャーB室C室にはリュウグウの地下から採取されたフレッシュなサンプルが入っている可能性があるので期待大です。

 今後の分析で、地球史上大きな謎となっている生命の元であるアミノ酸が地球上で生成されたのか、地球形成後の地殻にリュウグウのような炭素質小惑星が衝突して生命の「種」が蒔かれたのかというミッシングリンクに迫ることができるかもしれません。JAXAの今後の発表を楽しみに待つことにしましょう。

12月10日のISS

2020年12月12日 | ISS(国際宇宙ステーション)
12月8日にドラゴン補給船運用21号機(SpX-21)がドッキングしたので、現在
国際宇宙ステーションには2機のドラゴン宇宙船が駐機しています。

ツードラゴン・ドックはISS運用上お初になるので記念写真を撮影したいところですが
SpX-21はハーモニーの上部にドックしているのでISSが背面飛行をしない限り地上から
の撮影は不可です。(^^ゞ

SpX-21の撮影は無理ですが、Two-Dragon ISSの撮影にチャレンジしてみました。 


12月10日は写真写りの良い南側コースでしたが、撮影には厳しい天気でした。

通過10分前になっても見えている星はこと座のベガだけ… 空全体が本曇りに近い薄曇りでした。
撮影中は全コースでISSが見えていましたが、すべてが薄雲を通しての撮影となりました。

で、撮影画像はご覧のとおりで、Crew Dragon(Crew-1)の存在は分かるけど…という結果でした。


高度55° 方位角253°(西南西) 直距離492km

2020.12.10 17:08:23 D300mm Powermate2× F10 D810A ISO1600 1/1600


高度58° 方位角253°(西南西) 直距離474km

2020.12.10 17:08:36 D300mm Powermate2× F10 D810A ISO1600 1/1600


高度59° 方位角214°(南西) 直距離473km

2020.12.10 17:08:48 D300mm Powermate2× F10 D810A ISO1600 1/1600


高度58° 方位角209°(南南西) 直距離476km


2020.12.10 17:08:51 D300mm Powermate2× F10 D810A ISO1600 1/1600


高度58° 方位角208°(南南西) 直距離477km

2020.12.10 17:08:52 D300mm Powermate2× F10 D810A ISO1600 1/1600


高度55° 方位角192°(南南西) 直距離494km


2020.12.10 17:09:03 D300mm Powermate2× F10 D810A ISO1600 1/1600


今回の撮影は、RAWデータをNikon CaptureNX-Dで現像、ステライメージ8で画像処理を行っています。
撮影時高度、方位、直距離はステラナビゲーター11を参考にしました。

X-37B 観望記録

2020年12月10日 | X-37B
12月9日の夕方、仙台上空をX-37Bが通過した。以下その観望記録である。

本日のイベントデータ


これを見るとカシオペヤ座付近で最大仰角67°、光度0.5等級まで明るくなる予報になっている。
以前は明るさ不明となっていたが最近になって具体的な光度が表記されるようになった。

0.5等級と言えばベガとアルタイルの中間程度の明るさ、現在の土星と同じ明るさである。
本当にそんなに明るくなるのだろうか? 本日は今後の拡大撮影に向けて明るさをチェック
することが重要な目的である。

イベントデータで分かるように、X-37Bは高度が低いときはとにかく暗くて、最大高度にならないと
眼視で確認することができない飛翔体である。

さ~て、まもなく時間です。カシオペヤ座に狙いを定めて注視していると…

え!? 突如、視界の片隅にISS級の移動する光点を感じて西の空を見ると、ベガの近くで
ベガよりはるかに明るい人工衛星がぐんぐん高度を上げています。なんじゃ、こりゃ…

…もちろんISSではありません。明るさは天頂に見えている火星とほぼ同じ、-1等級はあります。
え? カシオペヤ座に向かっていくこのコースはひょっとして …そうです。X-37Bです。

驚きです。夕方のパスは最大高度を過ぎてから明るくなるのが普通ですが、全く逆です。

X-37Bは高度を上げながら徐々に暗くなり、カシオペヤ座付近はほぼ予報どおりの明るさで通過した。

2020.12.9 17:28:47~17:29:52 NIKON D90 VR24-70mm(f24mm) ISO1600 1.6sec F2.8

カシオペヤ座付近の通過経路


カシオペヤ座を通過するX-37B

2020.12.9 17:29:19 NIKON D90 VR24-70mm(f24mm) ISO1600 1.6sec F2.8(トリミング)

〈X-37Bが西空でマイナス等級まで明るくなった事象に関する考察〉
 通常、夕方のパスでは逆光になるため西空ではISSでもそんなには明るくならないが、X-37Bが長時間西空でマイナス等級を維持していたことは興味深い現象である。全長が9mしかない飛翔体があれほど明るくなることは通常では考えにくのだが、今回のX-37Bのミッションの一つにマイクロ波方式宇宙太陽光発電システム実験があるので、大きめの太陽光パネルを展開していたと考えれば説明はつく。

 今回の観測でHeavens Avobeの予報光度は概ね合っていることが分かった。これから気流の悪い時期が続くが機会を見て拡大撮影にチャレンジしてみることにしよう。