晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

ISS通過記録 5/30

2023年05月31日 | ISS(国際宇宙ステーション)
5月30日のISS通過記録です。

 昨夜のパスは条件的にはそこそこ良かったのですが空が雲だらけだったので拡大撮影はあきらめて双眼鏡と眼視で通過の様子を見るだけにしました。(記録撮影は左手に持ったiPhoneで行いましたがまじめに撮ってないので写りはそれなりで~す。)

 今回の通過図とイベントデーと地上軌跡です。




5月30日20時33分のISS(iPhoneで撮影)

 今回の記録はご覧のとおり、雲に入ったり月明かりではっきり見えなかったりと(そもそも真面目に撮っていないので…)さしたる面白みのない動画となりましたが、実はメモリアルな瞬間を捉えたものだったようです。

 と言うのも、撮影時のISSにはアクシオムスペース2ndプライベート・ミッションであるAx-2のクルー4人が乗り込んでいて、第69次長期ミッション中のISSクルー7人と合わせてISSの滞在人数が総勢11人の大所帯となっていました。

 そして、中国の宇宙ステーションCSSには神舟15号のクルー3人と神舟16号でCSSに到着したクルー3人の合わせて6人が搭乗しています。なので、この動画を撮影した時はISSに11人、CSSに6人の計17人の宇宙飛行士が地球周回軌道上にいたことになります。この宇宙滞在人数17人が新記録だそうです。

 神舟16号は日本時間の5月30日17時29分にCSSにドッキングして同19時22分にCSSに入室したのですが、Ax-2のクルー4人は日本時間の5月31日01時05分にISSをアンドックしたので、宇宙ステーション上に17人が滞在していた時間は約6時間となります。(撮影しているときはそんなこととは知らずにお気楽に撮っていたのですが実にタイムリーだったようです。)

 余談ですがAx-2のバルナウィ宇宙飛行士はISSに入室するときクルーの中で最後の4番目だったそうですが、通算600人目の地球周回飛行士とする公式宇宙飛行士のピンが授与されたそうです。地球周回軌道上から青い地球を眺めた人は600人もいるのですね。オドロキです。(神舟16号のクルーのひとりは中国初の民間人宇宙飛行士だそうで、こちらもオドロキです。)

 さて、本日の夕方、日没の50分後ですがISSの好条件通過があります。仙台では北天の空を最大仰角73°で通過していきます。北天通過は撮影条件があまり良くありませんがこの後しばらく好条件パスがないので拡大撮影を試みる予定です。

 Windy予報によるとその時刻の気流はそんなに悪くはないようですが、はたして実際の天気はどうでしょうか? ちなみに昨夜の通過の時は1等星が激しく瞬いていて最悪でした。予報は当たるのかそれとも裏目に出るのか、結果は次回のブログで~


きりん座流星群 観望記録(5/24)

2023年05月25日 | ☆星見隊
5/24はみごとな快星になったのできりん座流星群の観望に行ってきました~。

 きりん座群は突発的に出現するまぼろしの流星群ですが今年は日本時間の21時40分と22時07分に1903年と1909年に放出されたダストトレイルとの接近予報がでている注目流星群です。

 この予報が当たればまぼろしのきりん座群を日本で初めて見ることのできる千載一遇のチャンスとなるのですが、はたして出現するのでしょうか? 期待が高まります。ワクワク…

 今回の観望地は泉ケ岳スキー場の大駐車場です。泉ケ岳といっても仙台市中心部から車で30分の場所なのでソラノクラサはそれなりです。自宅よりはいいけど…といった程度ですね。

 試し撮りで撮った北の空はこんな感じでした。

2023/5/24 20h22m07s D810A NIKON VR24-70mm f/2.8 ISO2500 f24mm F3.2 10sec

 さて、本日の撮影計画ですが、きりん座流星群は6~7等の暗い流星が多いようなので感度をISO3200まで上げて露出30秒で連続撮影します。この露出では背景がかなり明るくなりますが暗い流星を捉えるためには見た目は度外視です。

 撮影は21時20分から始めました。この時間は飛行機と人工衛星がたくさん通過していきます。本日の薄明終了時刻は20時38分です。

2023/5/24 21h20m00s D810A NIKON VR24-70mm f/2.8 ISO3200 f24mm F3.2 30sec

 う~む、静かな夜です。星が流れる気配がまったくありません。こちらは1903年放出ダストトレイルとの接近遭遇予報時刻の21時40分の画像ですが流星は一つも写っていません。写野の外でも見渡した限りでは一つも見えませんでした。(photo

2023/5/24 21h40m24s D810A NIKON VR24-70mm f/2.8 ISO3200 f24mm F3.2 30sec

 いやな予感です。きりん座群はおろか散在流星もただの一つも流れていません。時間だけが静かに過ぎて、西の空で賑やかに輝いていた月や金星たちもだいぶ低くなりました。

 こちらはもう一つの接近遭遇時刻22時07分頃の画像です。流れ星らしきものはまったく写っていません。眼視でもまったく見えませんでした。

 ふ~む、まぼろしのきりん座群は、結局まぼろしで終わってしまうようですね…。

2023/5/24 22h07m32s D810A NIKON VR24-70mm f/2.8 ISO3200 f24mm F3.2 30sec

 気温が6度まで下がり耐寒的に限界なのでここでやむなく切り上げることにしました。せっかくなので適正露出で記録写真を撮って帰りましょう。それにしても寒すぎます…。

 はじめは連続写真と同じ構図で…

2023/5/24 22h08m57s D810A NIKON VR24-70mm f/2.8 ISO3200 f24mm F3.2 15sec


 次は北斗七星とこぐま座の間にあるきりん座を中心として…

2023/5/24 22h09m21s D810A NIKON VR24-70mm f/2.8 ISO3200 f24mm F3.2 15sec

 最後に、地上の木々を写して星景写真風に写して、以上で終了で~す。

2023/5/24 22h11m03s D810A NIKON VR24-70mm f/2.8 ISO3200 f24mm F3.2 15sec

 で、ここからは家に帰ってからの出来事です。まったりとしながらどっかに間違って写ってないかな~と撮影した画像を眺めていたところ… ワオ! 最後のラストフォトに明るい流星らしきものが写っています! なんじゃこりゃ~! まぼろしのきりん座流星群か~?(photo) 


 さっそく画像に星図を入れて確かめてみました。きりん座群の放射点はキリンの長~い首のほぼ中間にあります。流れ星をたどると首の中間付近の放射点と一致するように見えますが…どうでしょう?

 確信は持てませんがまぼろしのきりん座群を捉えた写真かも…です。残念ながら肉眼で見ることはできませんでしたが、ラストフォトに写り込んでいたことは超ミラクルです~。(photo

 きりん座群は流星群の中でも極めてゆっくり流れる「ふわっと流星群」なのでいつかこの目で見てみたい流星です。いつの日になるか分かりませんが、次回のきりん座流星群との遭遇を楽しみに待つことにしましょう。


5月12日のISS撮影記録 その2

2023年05月14日 | ISS(国際宇宙ステーション)


5月12日の2ndパスは最大仰角が89°という正真正銘の天頂通過イベントです。

 しかも光度はこれまでで最大の-3.9等級です。ISSのシン・ソーラーパドルであるiROSAが現在3基に増えたので理論上の最大光度はなんと -5.7等級です!(まぶしすぎる~)

 さて本日の通過はご覧のとおりほぼ垂直に上昇してきます。で、撮影計画ですが、うみへび座のアルファルド脇を通過したところからカメラをスタートさせて天頂までシームレスに撮影します。

 天頂通過後は鏡筒回転をして下降するISSを追いかけますが天頂通過後は約50秒で地球の影に入るので今回は天頂通過前が勝負となります。露出はShutter=0.902ms、Gain=275 (45%)で撮影します。

 天頂通過時の軌道高度は418kmです。天頂通過の瞬間を撮影したことはまだないのでぜひ成功させたいところですね~。初の天頂通過撮影(距離418km)を目指して頑張りましょう!

 仙台の真上を通過したISSは三陸沖で地球の影に入ります。

 さて、そろそろ時間です。望遠鏡は2時間前から外に出していたので温度順応もバッチリです。空は薄い高層雲があるように見えますが問題ないでしょう。気流はWindy予報で250hPa(10km)の風速が42m/sだったので全然良くないのですが、ジェット機が長い飛行機雲を残して飛んでいたのでそれほど悪くないかもです。そうそう望遠鏡の光軸は完ぺきに近い状態で仕上がってます。(自画自賛!?)

 ISSが見えてきました。まもなくアルファルドの脇を通過します。撮影スタートです。天頂が近づくにつれて見かけ上の速度がどんどん速くなりましたが、なんとか天頂まで追尾できました。鏡筒回転後に遠ざかるISSを追いかけましたがすぐに地球の影に入って撮影終了~となるはずが減光はしたもののけっこう長く見えていました。(カメラの最終記録は20時34分29秒、高度41°)

 撮影した動画を確認したところ22時33分22秒(天頂通過3秒前)まで追尾できました~。

 で、こちらが天頂通過までの動画です。ISSまでの距離が716kmから419kmまで近づくので視直径が徐々に大きくなります。全画面で見ると迫力あるかも…。再生速度はほぼ等倍速です。

5月12日20時32分02秒~20時33分22秒のISS

GIFアニメ(仰角75°、距離426kmのISS)



GIFアニメ(仰角84°、距離420kmのISS)


ここからは解像度が高かったファイルからセレクトしてコンポジットした画像です。

 2枚コンポジット画像



 7枚コンポジット画像


 42枚コンポジット画像

 う~む、42枚までコンポジットするとやや像がぼやける感じがありますね~。それでも気流の割にはよく写った方かも…。今後の夏の気流に期待しましょう。

5月12日のISS撮影記録

2023年05月13日 | ISS(国際宇宙ステーション)
草木も眠る丑三つ時、ふと目が覚めたので時計を見ると午前3時少し前です…

 5月12日は早朝(03時50分)と宵の口(20時30分)に好条件通過があるスペシャルISSデーですが、昨夜の星空がこの時期としては見たことないほど瞬いていたので早朝の撮影は無しだなぁ~と決めていたのに脳が撮影をやれと体に命令しているようです。

(余談ですが、人は脳に支配されていて自由意志はない…という説があります。この説は「まだ科学では解けない13の謎 マイケル・ブルックス著 揄井浩一訳」の「第11章 自由意思」に詳しく載ってますので興味のある方は図書館等でどうぞご覧くださ~い。)

 ということで、腰も完治したので今朝は久しぶりに撮影してみるか…と外に出ると、さぶ! 寒暖計を見るとなんと2℃です。おいおい、5月とは思えぬ気温だね~と思いながらも脳に命令されたカラダは淡々と準備を進めて、十数分後には準備が完了しました。

 本日の撮影システムは、30cmドブ+Powermate2×+ASI290MC+UV/IR cut Filter で、露出はShutter=0.866ms Gain=285 (47%)です。

 ピン合わせはこと座のベガで行いましたが、う~む、ここで問題発生です。気温が低すぎて30分そこそこでは温度順応がまったく進まないのは想定内ですが、なんと光軸が激しくズレてます。ピントリングをいくら回しても焦点像を結びません。これは腰を痛めたときに無理な体勢で望遠鏡を運んだ際に反射鏡面がズレたものと思われます。思い当たる節はあります。ハイ…

 まー、この気流なので高解像度は望めるわけもなく、お気楽に撮影することにしましょう。と割り切って撮影しましたが結果は想定を遙かに下回るダメダメ画像でさすがに落ち込みました。

GIFアニメ


5月12日03時50分のISS 仰角69° 距離451km



通過図

イベントデータ


 ふむ、過ぎたことはしょうがないとして、本日は日没後に最大仰角89°というまさに天頂を通過する好条件パスがあります。いまのままの光軸では撮影は100%不可なので何とか調整してISSの通過に間に合わせることにしましょう。

 予報では薄雲が広がるようですが光軸テスト撮影という意味もあるのでしっかり準備することにしましょう。この続きは次回のブログで~。

スターリンク衛星 観望記録(5/4)

2023年05月09日 | 宇宙開発
5月4日に通過したスターリンク衛星(G5-6)の観望、撮影記録です。

 観望したのは5月4日の19時15分頃、この時刻はスターリンク衛星のリフトオフから約2時間45分後(地球2周後)なので、目撃できればそれほどバラけていない銀河鉄道が見られるはずです。

 しか~し、いかんせん条件が悪すぎます。19時15分は航海薄明中(日没45分後、太陽高度-9°)なので、それだけで十分明るいのですが南東の空には満月に近い十三夜が輝いています。

 しかも、今回の通過は最大仰角がわずかに34°で最大光度が3.2等級です。この明るさでは眼視観望はまず無理なので待ち伏せ作戦にしたいところですが、通過コースは暗い星が連なるうみへび座です。

 しかたないので、南西の空低いところで尻尾を振っているおおいぬ座を待ち伏せポイントとしたのですが、その付近での光度は5等級です。双眼鏡を使ったとしてもはたして見えるのかどうか…

 …おっと、時間です。双眼鏡でおおいぬの尻尾付近を捜索したのですが…う~む、移動光点はまったく見えません。時刻は19時15分を過ぎました。スターリンクはすでにおおいぬ座を過ぎてうみへび座の方に移動しているはずです。

 その付近を双眼鏡で探すもまったく発見できず…ダメかと思って双眼鏡から目を離すと… ほひょ? なんじゃありゃ!? 肉眼で移動光点が見えます。え!? スターリンク? 眼視で見えるの…!?

 これは驚きです! 南西方向にある庭木の上を移動光点が、いや、光点ではなく光る棒です。短い光る棒が、ほぼ真横に移動しています!

 すぐ双眼鏡で確認すると… おー、スターリンク衛星です。眼視では光る棒に見えましたが、双眼鏡では小さな光点が連なっている様子がはっきり見えます。双眼鏡から目を離してもう一度眼視で確認すると、おー、はっきり見えます。

 ちょうど真南を通過中で、ほほう、銀河鉄道というよりは一両編成で田んぼの中を走る栗原電鉄のようですね。(ローカルな話でスミマセン…)

 まもなく月明かりの中に入りますが、まだ見えているので撮影にチャレンジしてみましょう。今回の撮影は通過記録としてはいつものATOMCam2ですが、動画撮影用としてはD810Aに150mm-600mmズームレンズを付けて準備していました。

 D810Aのファインダー越しには捉えることができましたが、はたして写っているでしょうか。では撮影した動画を見てみましょう。

こちらはATOMCam2で撮影した通過の全行程です。3倍速にしてあります。
 スターリンク衛星(G5-6)通過の様子(5月4日19時15分~撮影)


で、これが望遠レンズで捉えたスターリンク衛星ですがYouTubeではかすかにしか見えないようです。オリジナル動画では確認できるのですが…ざんねん~。


こちらは動画から静止画キャプチャーした画像です。これなら分かるかな?

 さて、今回のスターリンク衛星ですが、月明かりの中で3.2等級の衛星通過が肉眼で見えたということはとても興味深い現象です。この現象はどう理解すれば良いのでしょうか。 

 ATOMCam2の画像ではいくつかの恒星が写っていますが、それぞれの明るさは、プロキオンが0.4等、アルファルドが1.99等、レグルスは1.36等、アルクトゥールスが-0.05等、デネボラが2.14等なので3等級の星はひとつも写っていません。

 本来、人工衛星のように移動する光点は同じ明るさの恒星とくらべてカメラに写りにくいもの…とこれまでの経験則から思っていましたが、今回はその逆転現象が起こっています。

 なぜ、高感度のATOMCam2が3等級の星を捉えることのできない空で3.2等級のスターリンク衛星が眼視で見えて動画にも写ったのでしょう? 謎が深まります。

 その理由をいろいろと考えて見たのですが、この現象はスターリンク衛星ならではの「天の川効果による増光現象」ではないかと思います。

〈本来なら天の川は肉眼では見えない!?〉
 夏の夜空、街明かりのない場所で空を見上げるとうっすらと天の川が見えます。天の川を構成する星々はどれも6等級以下の暗い星なので本来なら肉眼では見えないはずです。では、なぜ夜空を横切る天の川を肉眼で見ることができるのでしょう?

〈見えないはずの星が見える天の川効果〉
 その理由としては、6等星以下の微光星が密集することで、肉眼で光を感じることのできる星と同等の明るさになるから…だと思われます。例えるなら、1個ではそれほど明るくないLEDを数十個密集させればかなり遠くからでも認識できるようになることと同じだと思われます。

 なので、今回のスターリンク衛星はリフトオフ直後でほぼ連続して見えたため天の川効果で実等級より明るく見えた…というのが晴れスタ的考察です。(あくまでも晴れスタ的考察なので的確かどうかは分かりませんが…)


 今回のスターリンク衛星は銀河鉄道には見えないローカル一両編成でしたが、そのおかげで思わぬ発見がありました~。次回、スターリンク衛星を観望できるのはいつになるか分かりませんが、次の通過を楽しみに待つことにしましょう。


〈スターリンク衛星 通過およびイベントデータ〉