晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

大火球による夜光雲の発生

2016年06月05日 | 夜光雲
アメリカで-16等級クラスの大火球が発生した直後に夜光雲が目撃されたようです。
Spaceweather.com(20016/6/3)に記事が載っていたのでメモしておくことにしましょう。

大火球が発生したのはアメリカ中部時間の午前4時頃、明るさは満月の10倍ほど、衝撃波が地上でも感じられたようです。NASAによるとその正体は火星軌道の外側から来た直径3mほどの小惑星だそうです。

この写真を撮影した Chris Schurさんは火球そのものを見ることはできなかったが直後に発生した夜光雲の撮影に成功しました。

Chris Schurさん撮影

Taken by Chris Schur on June 2, 2016 @ Payson, Az

拡大写真

Taken by Chris Schur on June 2, 2016 @ Payson, Az


下の写真はMike Lerchさんが撮影した写真です。Mikeさんは仕事に出かけようとドアを開けた時に空に広がる夜光雲を発見したようですが、見た直後はロケットの打ち上げによる雲だと思ったそうです。たしかにSTS-31の打ち上げ時(*)に発生した夜光雲によく似ていますね。→PHOTO

Mike Lerchさん撮影

Taken by Mike Lerch on June 2, 2016 @ Front yard of home..Phoenix Az USA

拡大写真

Taken by Mike Lerch on June 2, 2016 @ Front yard of home..Phoenix Az USA

夜光雲は緯度50度以上の地域でないと見られない現象ですが、大火球発生直後は緯度に関係なく発生するようですね。日の出の1時間前と日没直後に大火球が発生したときは要チェックですね。きっと日本でも見られるはずです。

12月29日に発生した極中間圏雲についての考察

2012年01月05日 | 夜光雲
12月29日の早朝に見られた夜光雲(極中間圏雲:PMC)についての考察です。

今回観測された夜光雲と思われる雲は仙台だけでなく宮城県北部から関東地方
にかけての広範囲で目撃・撮影されています。

こちらは河北新報に掲載された小石川さんのお写真です。

雲の発色が分かるように明るさをアンダーに調整しています。

通常、夜光雲は太陽高度が-6°~-16°の時に発光(反射)して見えます。

12月29日の仙台で太陽高度が-6°~-16になる時刻を調べると、午前5時30分頃
から6時20分頃までとなります。この間に夜光雲は光って見えることになります。

小石川さんが撮影した時刻6時は太陽高度が-10°なので、この雲は
夜光雲(極中間圏雲:PSC)でほぼ間違いないと思います。

ただし、自然発生的な夜光雲ではなく、大火球発生によるものである
可能性が高いと考えられます。

以下、その理由を述べます。

理由その1
「形状が巻雲状ではなく帯状になっている」

この写真はほぼ同時刻に仙台で撮影された写真です。

この写真を見ると、小石川さんの写真では写っていないさらに右側の
様子が見えます。雲は長い帯状の1本で形成されていた事が分かります。

これは大火球発生後に見られる夜光雲によく似ています。夜光雲が帯状になることは
ありますが、このように単独でループ状になった報告例はありません。→参考

こちらは2009.11.18にユタ州で大火球発生後に撮影された写真です。

大火球が発生した6時間後の日の出直前に撮影された夜光雲です。

こちらは同じ雲をコロラド州から撮影したものです。(現地時間06:30)

この時の大火球の様子はこちら→movie

<追記2012.1.15>
「上記の写真の出典が不明」と「空のkiroku 雑記帳2」にありました。
上記の写真はSpaceweather.com 2009.11.19の記事にあります。大火球発生による
夜光雲の写真が多数掲載されています。リンクを貼りますのでご覧ください。→WEB


今回の夜光雲はループ状以外の場所で発生していないので、大火球による夜光雲の
可能性が高いと思われます。

理由その2
「ロケット発射による夜光雲の発生であることは考えにくい」

STSやロケットが薄明中に発射されると飛行機雲状の夜光雲が発生することは周知の事実
です。ロケット打ち上げ直後にループ状の夜光雲が発生した報告例はたくさんあります。→参考
しかし、仙台から南東方向にロケット打上げ射場はないのでこの可能性はゼロです。
(もし、仙台沖で原潜からポラリス等のロケットが打ち上げられれば可能性はあるが…)

以上の理由から、今回の夜光雲は大火球によるものと考えるのが妥当かと思われます。

しかし、この仮説には一つ、大きな問題があります。

そうです。大火球の報告が今のところ一件もないという事実です。

大火球の目撃についてJN掲示板で確認したところ、28日-29日にはありませんでしたが、
27日夜に隕石落下を伴うと思われる-10等級の火球報告がありました。(27日20時53分52秒)

東京の自動TV撮影

(c)SonotaCo Network Japan Forum

この火球は隕石落下を伴う可能性のあるものでしたが、発生した場所が
能登半島沖だったため、残念ながら隕石発見には至っていません。

さて、この火球が今回の夜光雲の発生源なのでしょうか?
緯度的には、火球で夜光雲が発生したと仮定して、真東に移動させると
仙台の南東に位置するように思えます。

問題は、夜光雲が目撃された時間が火球発生から34時間も経過していること…、
この点については報告例がないので、なんとも言えません。

ただ言えるのは、上空が夜光雲の発生しやすい気象条件になっていたことは
間違いないと思います。

発生原因は特定できませんが、北欧の夏に現れる夜光雲が日本の冬に
発生したことは紛れのない事実です。

夜光雲~検証~

2011年01月07日 | 夜光雲
それではこの雲が夜光雲か検証してみましょう。

12.27 06:29:16 D90 ISO800 f28mm 1/200 F7.1

検証方法は下記の通りです。

この雲は夜光雲ではなく巻層雲と仮定します。この雲の高度を巻層雲の
最高高度である15kmとして、最初に目撃した時間の6時25分に太陽が
高度15kmにある巻層雲を照らしているかどうかをしらべます。

太陽が照らしていれば巻層雲の可能性大、太陽光が当たっていなければ
成層圏以上にある雲ということになります。

では始めにこの雲の位置を計算してみましょう。

この雲の仰角角度は3~4°です。(右のTVアンテナが4°、左が3°)

雲高度(15km)仰角(4°)として、この雲が仙台から
何km離れた場所に発生したのか三角関数を使って調べてみましょう。

雲が天頂に見える場所までの地表面距離をX、雲の高度をh、地球半径をRとします。
仮に雲が地平線上に見えたとすると、X=R*arccos[R/(R+h)]となります。(θはrd)

計算するとXは約436kmとなります。経度にして3.6°東の地点となります。
しかし実際は仰角3~4°に見えたのでもっと近い場所になります。

ざっと計算して、約214km 経度にして1.9°東となります。この地点をA地点とします。

では次に東へ214kmのA地点の太陽高度を調べてみましょう。
6時25分の仙台における太陽高度は-5.65°ですので、A地点では-3.75°となります。

6時25分にA地点上空15kmの所から地平線を見て太陽が見えれば雲は照らされている
ことになります。

では計算してみましょう。A地点上空15kmから見た地平線までの距離は421kmとなります。
A地点の太陽高度は-3.75°なのでA地点から417km東の地点が日の出となるはずです。

ということは…、6時25分にA地点上空15kmから地平線を見ると太陽が地平線から顔を出した瞬間(計算上は9秒後?)になります。う~ん、なんということでしょう。まさかの判定不能です。

誤差を考えると照らされていてもおかしくないし、その逆も考えられます。
もう10分早い時間に目撃していれば確実だったのですが、残念です。

この雲が夜光雲だという確証は得られませんでしたが、とにもかくにも、
今まで見たことのないとても美しい雲でした。…

BORG60で撮影したこの雲の写真を画像処理したところ…、今まで見えなかった
微細構造が浮かんできました。その写真は、次回のブログで…。

夜光雲

2011年01月06日 | 夜光雲
2010年12月27日早朝、夜光雲と思われる雲を目撃した。

以下、その目撃報告である。

2010年12月27日06時20分頃…、
晴れてたら月の撮影をしようと思い、2階のベランダから外を見ると…、
おお! あれは…! 夜光雲!?

なんと東の空でエレクトリック・ブルーの雲が輝いています。

12.27 06:29:20 D90 XR Di 18-200mm ISO800 f38mm 1/200 F7.1

これは驚きです。日の出までまだ20分もあります。

12.27 06:29:31 D90 XR Di 18-200mm ISO800 f80mm 1/640 F6.3

夜光雲と思われる雲が見えていたのは、ほぼ地平線上の高度3~4°です。

12.27 06:29:10 D90 XR Di 18-200mm ISO800 f18mm 1/125 F5.6
撮影時の太陽高度は-6°、手前に見える雲にはまだ太陽光が当たっていません。

下の写真は5分後に撮影したもの。

12.27.06:35:19 D90 XR Di 18-200mm ISO800 f48mm 1/250 F8.0

空の青みが強くなりエレクトリック・ブルーの雲が薄くなってきました。シルエットに
見える雲はご覧のように刻々と形が変わりますが、エレクトリック・ブルーの雲は全く
形が変わりません。場所も同じです。これは本当に夜光雲かもしれません。

夜光雲は高度80kmの中間圏で発生する雲です。そこは対流圏のはるか上空なので
夜光雲はほとんど動きません。これが巻層雲であれば位置も形も変わるはずです。

この夜光雲と思われる雲は、なんと、日の出30分後も見えていました。

12.27.07:18:55 D90 XR Di 18-200mm ISO200 f75mm 1/2000 F16.0
もちろん見えるといっても、そこに雲があることを意識して太陽光を遮って、はじめて
かすかに見えるというレベルです。この写真は実際に見えた様子とほぼ同じです。

驚くべきことは雲の形と位置が6時30分と全く変わっていない点です。
(2本のアンテナに注目して写真を比べると分かります。)

夜光雲は温暖化が進んだことで低緯度でも目撃されるようになったと言われています。
さらに太陽活動が平穏になると紫外線量が減って中間圏の温度が下がるため夜光雲が
発生しやすくなると考えられています。太陽黒点がほとんどでなかった2009年は
ほぼ毎日のようにドイツで夜光雲が見られたという報告があります。

私が日没後に夜光雲と思われる雲を目撃したのも2009年でした。

2009年12月1日撮影、目撃報告ブログはこちら 2009年の夜光雲の写真は→こちら

はたして今回目撃した雲が本当に夜光雲なのか、それともただの巻層雲なのか
検証してみることにしましょう。続きは次回のブログで…。

STS-131のリフト・オフで発生した夜光雲

2010年04月06日 | 夜光雲
STSが薄明時刻にリフト・オフする時、空に夜光雲が
発生することは、以前から知られていたことですが →STS-119

今回は特にきれいな夜光雲が発生したようです。

Adam Bojanowski さん撮影→more image

この夜光雲は右側に見えるブースターの煙が発光したものです。

Jonathan Sabin さん撮影→more image


Jacob Kuiperさん撮影

実に神秘的です。

Doug Shytleさん撮影→more image

天に昇る龍のようにも見えます。

Dan Goreさん撮影→image

今回のリフトオフでは奇妙な夜光雲も発生したようです。

George Fleenor さん撮影→more image

こちらの発生メカニズムは謎です。かなりの高々度で発生
しているようですが、夜光雲の一種なのでしょうか?

打ち上げのライブをNASAテレビで見ているとき、ふだんは現れない
オレンジ色のプラズマのようなものが頻繁に発生していたので、
それと関係があるかもしれませんね。

後方にリング状のものが見えます。NASAテレビの再放送を
見つけたときは要チェックですね。

野口宇宙飛行士がISSから撮影した夜光雲

2010年02月01日 | 夜光雲
野口宇宙飛行士が撮影した夜光雲がTwitterに
掲載されていました。

2010年1月28日撮影

Noctilucent cloud over Antarctic, near Showa Base.

南極の昭和基地付近の上空で撮影したようです。
写真の上の方に筋状に伸びている細い雲が夜光雲です。

2010年1月30日撮影

Noctilucent clouds. Antarctic. Priceless

こちらも南極上空で撮影したもの、
こちらの写真は夜光雲の微細な構造が鮮明に
写っています。とてもきれいな写真ですね。

関連Blog→夜光雲ユタ州の大火球で発生した雲

野口宇宙飛行士のTwitterはこちら→Twitter

夜光雲

2009年12月05日 | 夜光雲
それは夜光雲としか思えない不思議な雲だった。

以下、その目撃報告である。

2009年12月1日16時40分、外に出て空を見上げる。
日没から20分が経過しているので1番星が見える頃だ。→blog
見上げると、めずらしく雲ひとつない完璧な快晴であった。

南の空では明るい木星が一段と輝き、西の空高いところには…、
あった、ベガが輝いている。アルタイルとデネブはまだ見えない。

…と、その時、完璧な快晴だと思っていた空に雲がうっすらと見えてきた。
南西の空低いところに、さきほどまでなかった白い雲が見えている。

ん、この光景は何かがおかしい、違和感を感じる…。と直感的に思ったが
間違い探しの絵を見るようで、その答えが見つからない。その時、翼端灯を点灯
させたジェット機が上空を飛んでいった。薄明の空をバックに黒いシルエットが見える。

そうだ、日没後の雲はあかね色から黒へと変化する。この時間に見える
白い雲はおかしい…、夜光雲?、まさか!?、現在の時刻は16時54分、
日没から35分が過ぎている。夜光雲が見え始める時間だ。しかし、ありえない。
日本での目撃報告はない。しかも北半球で夜光雲が見えるのは夏だ。

といことは、昼間、大火球が流れたのだろうか?、とにかく写真を撮らねば、
その時カメラを持っていなかったので、カメラを持っているKさんに撮って
もらった。その時の写真がこれです。

はて?これは何でしょう…、夜光雲の可能性を検証してみましょう。

夜光雲についてはNASAのレポートにあったので一部要約してみました。

Science@NASA(February 18, 2003)
「Strange Clouds(不思議な雲)」  
地球大気のへりに沿って静かに移動する青銅色のうすい雲。それが夜光雲だ。
夜光雲が発生する場所は高度80kmの中間圏。そこは温度が-125°まで下がる。
地球上で最も温度が低い場所だ。湿度はサハラ砂漠の1億分の1しかない。
本来なら氷の結晶を発生させるための核となる埃がないので雲はできない。
ある科学者は宇宙からやってくるチリが雲を発生させているのだと言う。
また、ある科学者は地球温暖化が進んでいることの警鐘だとも言う。

その真相はまだ謎である。

〈夜光雲の見つけ方〉
必要なことは待つこと、そしてじっと見ることです。
それ以外の方法はありません。時期は夏の夕方です。
太陽が沈んだ30分後から西の空を眺めてください。
見えている時間は太陽高度が-6度から-16度までの間、
時間にして日没30分後から1時間後までです。もし、その間に
エレクトリック・ブルーに光る巻きひげ状の雲が西の空に見えたら
それが「夜光雲」です。北緯40度以北がよく見える地域です。


〈管理人補足説明〉
対流圏にある雲は高度が15km以下なので、日没30分後には
太陽の光が当たらなくなり色は暗くなる。しかし夜光雲は高度が
80kmもあるので、日没30分後でも太陽光を反射して光って見える。
それが対流圏の雲と夜光雲を見分ける重要なポイントである。(下図参照)




下の写真は北アイルランドで撮影された夜光雲の写真です。


この写真を見ると低層の雲は黒く見えるが、その奥に見える夜光雲が
青白く光っていることが分かります。

さて、今回撮影された写真をもう一度よく見てみましょう。色は薄いが
夜光雲と同じような輝きをしていることが分かります。快晴だったため
低層の雲はありませんが、もしあれば北アイルランドの写真と同じような
景色になったかもしれません。

今回の撮影時刻16時54分の太陽高度を調べてみると、-8°である。
十分夜光雲が見える時間ではあるが、夜光雲以外の可能性を探ってみましょう。

①街明かりの反射
夜に空を見上げると白い雲が見えることがある。それは街明かりを反射して
いるからだ。今回も街明かりが単に雲を照らしていたのでは、と仮定する。
しかし、この雲は空が暗くなると同時に見えなくなったので街明かりの反射では
ないことが分かる。

②真珠母雲の可能性
真珠母雲は高度50km付近にできる雲で、彩雲のように虹色に輝くきれいな現象が
見られる。これは日本でも見られることがあるのだが、今回の雲の色はまさに
エレクトリック・ブルーであった。しかし真珠母雲ではないと断言はできない。
可能性はある。

③大火球による夜光雲状の雲
大火球後にできる夜光雲は最近よく報告される現象である。→blog

スーダンは北緯20°、コロラド州の緯度は北緯37°である。北緯40°以下でも
発生していること、さらに発生時期がコロラド州は11月18日、スーダン隕石は
10月7日と季節を限定したものではないことから、今回仙台で目撃された夜光雲状の
ものは火球によるものと考えるのが可能性としては一番高いかもしれません。

ひょっとしたら気づかないだけで、日本でも夜光雲はかなりの頻度で…
発生しているのかもしれませんね。

ユタ州の大火球で発生した雲

2009年11月22日 | 夜光雲
ユタ州の大火球で発生したミステリアスな雲に
ついて続報がSpaceweather.comに出ていました。

以下Spaceweather.comの記事…

【Spaceweather.com Nov. 20, 2009】
[ASTEROID CLOUD]
11月18日の夜明けにコロラド州とユタ州で目撃された鋼青色の
ミステリアスな雲はそれほど不可解な出来事ではないようです。
その正体は小惑星の破片です。2つの写真をご覧ください。



2008年10月7日小惑星2008TC3がスーダン上空で大気圏に突入し爆発しました。
左の写真はそのときに発生した雲です。そして右が今回の雲の写真です。

2009年11月18日にコロラド州とユタ州の上空で大気圏に突入した小惑星は
2008TC3とほぼ同じ大きさと考えられています。この夜空を昼のように明るく
照らした大火球は少なくとも8つの州で目撃されました。

その数時間後、夜明けとともにこのミステリアスな雲が現れました。
ご覧のようにその雲は2008TC3落下時に見られた雲とよく似ています。

どちらの雲も、高緯度地域で夏の期間に現れる夜光雲によく似ています。
このような雲はロケット打ち上げの際にも見られることがあります。

研究者は長い間「流星塵は高高度において氷晶を発生させるための
核形成の働きをするのではないか、その結果として夜光雲の形成を
促すことができるのではないか」と考えていました。

爆発する小惑星からの埃っぽい破片は、全くこの目的にかなうかもしれません。


〈管理人補足説明〉
今回の雲は夜光雲発生のメカニズム解明に一役買うかもしれません。

[2008年7月22日にISSから撮影された夜光雲]

夜光雲は高緯度地域で夏の夕方、日没直後(太陽高度-6°~-16°)
に見られる、中間圏(高度80km付近)で発生する雲です。

中間圏は乾燥した大気だが僅かに水蒸気があるため、-100℃以下に
なる夏の間、氷の結晶ができることがある。それが夜光雲の正体である。

ここで問題となるのは、氷の結晶を発生させる時に核となる物質は何か?
ということである。なぜなら中間圏は成層圏のさらに上空にあるため、
地上の空気と交わることがない。つまり雲の核となる埃がない状態である。

そこで科学者は、宇宙からやってくる流星物質が夜光雲の核となっている
のではないか、と仮説を立て研究してきました。今回の現象はこの仮説を
確証に導くものとなるかもしれません。

本来、スーダンやコロラド州のような中緯度地域では夜光雲が見えることは
ないのだが、温暖化が進むと相対的に中間圏の温度が下がることが分かって
いるので、その影響があるのかもしれません。

ということは、日本でも隕石落下を伴うような大火球が発生した直後は、
ひものような夜光雲が見られる可能性があります。

見え方は、太陽高度が-16°になった頃から、上の部分が輝き始めます。
コロラド州での目撃報告にも「最初に上部のサークル部分が見えて、徐々に
下の雲が見えてきた。」とあります。

ほひょ~、日本では見ることができないと思っていた夜光雲が、ひょっとしたら
見られるかもしれません!こりゃ、寝てられませんねぇ~。

夜光雲のニュースはこちら→アストロアーツニュース

夜光雲の写真はこちら→Noctilucent clouds photo gallery(Summer 2008)

ユタ州の大火球

2009年11月19日 | 夜光雲
ユタ州で大火球が目撃されたようです。

以下Spaceweather.comの記事…

「GREAT FIREBALL」
【Spaceweather.com 2009/11/18】
昨夜、アメリカ西部一帯で目撃された大火球はしし座流星群に属するもの
ではありません。超低周波音の分析結果が、しし座流星群のものではなく
小惑星の落下であることを示しています。大気中で爆発した小惑星の
エネルギーはTNT火薬0.5-1.0キロトンと見積もられています。

その6時間後、ユタ州とコロラド州でこの火球による永続痕と思われる雲の写真が
撮られています。


Jeff Kendrickさん撮影


Don Brown さん撮影

しかし、6時間後という時間を考えると永続痕はすでに消えているはずなので、
もし撮影されたとしたら、実に不可解な出来事です。この雲と火球の関連性
についてはまだ未確定です。今後の分析をお待ちください。

〈管理人補足説明〉
またしても小惑星が大気圏に突入したようです。今回の小惑星の大きさは
オーブン程度(注:アメリカンサイズ)と報道されています。爆発の規模は
TNT火薬0.5~1.0キロトンという予測から、直径は1m~2m程度ではないか
と思われます。この大きさは、2008TC3(直径3m)より若干小さいためスカイ
サーベイでは探知されなかったようです。

さて、火球発生6時間後に撮影された永続痕と思われる雲の写真ですが、
これは火球によって発生したものにまちがいないと思いますが、永続痕ではなく
夜光雲に近いものかもしれません。そのメカニズムはよく分かりませんが、高度
80Km程度で発生した水蒸気に太陽光が低い角度で当たると発光して見えるの
ではないかと思われます。

・2008TC3落下時に発生した雲→blog
・サンフランシスコ大火球で発生した雲→blog
・オランダ大火球で発生した雲→Web
・STS-119リフトオフ時に見られた雲(2009.3.15.19:43 米国東部夏時間)→Photo

今回の大火球は特に明るかったようで、たくさんの監視カメラが
夜景を真昼のように明るく照らす様子を撮影しています。

動画はこちら→Web
Ksl.comのニュースはこちら→Web

今回の火球はかなりの確率で隕石を落としているはずです。
続報を待ちましょう。