晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

月齢10(惑星カメラ撮影テスト)

2021年02月22日 | 
 日中は曇っていたが夕方から天気が回復して月齢10の月が見えたので
ミニBORG60n+惑星カメラを三脚+ポタ赤に載せてテスト撮影を行った。

 写真には写っていないが三脚を安定させるためにストーンバッグに
1.8kgのバランスウェイトを2個入れてある。

 今回のテスト内容はシステムが惑星カメラの撮影に耐えられる安定性
を有しているかが一点、

 もう一点は、青空、薄暮、夜空で月を撮影した時の色補正(カラーコレクション)を
惑星カメラのコントロールパネル(WRedとWBlue)でどの程度できるかの確認です。

 今回はノートパソコンをサンシェードで覆って実際の月と空の色になるべく近づけて
撮影を行いました。

 結果は下記のとおりですが、いずれの写真もAS!3によるスタック(25%)とRegiStax6
のウエーブレット処理のみでステライメージ等での画像処理は行っていません。

日没1時間7分前

2021/2/22 16:15 BORG60n ASI290MC Shutter=3.858ms Gain=23 (3%) WRed=56 (off) WBlue=74 (off)
*背景の青空は実際に近い色になっているが、月面全体の色味が青に偏っている。月面高地の色味
を白くすることができればベスト。


日没17分前

2021/2/22 17:05 BORG60n ASI290MC Shutter=5.358ms Gain=0 (0%) WRed=57 (off) WBlue=94 (off)
*日没直前の月面の色(夕日を受けてほんのり赤みがある月面高地)がほぼ忠実に再現されている
が、背景の青空がやや暗くなっている。実際の空はもう少し明るい青色。


日没3時間6分後

2021/2/22 20:28 BORG60n ASI290MC Shutter=4.868ms Gain=0 (0%) WRed=57 (off) WBlue=94 (off)
*日没17分前と同じパラメーターで撮影。撮影時に風が吹いていたのだがPCモニター上の月は
ブルブル震えており、予想はしていたが今回のシステムが使えるのは無風の時のみであることが
はっきりした。

 まー、今回のシステムは先日のISS太陽面通過を撮影した時のシステムには到底及びませんが
赤道儀が設置できないときのお気楽ちょこっと撮影用としては十分使えるシステムですね。

ISS太陽面通過撮影時の様子




2021年2月19日 月面X

2021年02月19日 | 月面X
2月19日は今年1回目の月面Xで~す。

夕方、なかなか晴れなかったので撮影は無理かな…と思ったのですが
20時過ぎにやっと月が雲間から顔を出してくれました。

撮影時の月齢は7.6(輝面比 0.47)です。明日が上弦の月、半月です。


2021/2/19 20:37 BORG60n ASI290MC Shutter=10.43ms 25% of 3947flames

本日のLunarXピーク時間は18時59分でした。←個人の予報時刻です。
すでにピーク時間を過ぎているので足が伸びたLunarXになってます。

2021/2/19 21:05 SE200N ASI290MC Shutter=5.358ms 25% of 1233flames



月面Xの日は月面LOVEも見えると聞いたので探してみました。

2021/2/19 21:16 SE200N ASI290MC Shutter=3.858ms 25% of 1626flames

逆さまのEがちょっと…という感じです。時間が過ぎたのかも…ですね。

撮影中の天気はイマイチでしたが、今年6回ある月面Xをすべて撮影する月面Xマラソンの
第1回目をなんとかクリアすることができました。

次回の月面Xは4月19日(月)です。予想ピーク時間は20時54分、高度40°ですので今日
とほぼ同じ条件で見ることができます。


さて、LunarX撮影終了後は月面欠け際ウオッチングです。本日の絶景ポイントは雨の海の東側
にあるコーカサス山脈です。欠け際の月面に映るコーカサス山脈の影がとてもきれいに見えまし
た。

2021/2/19 21:11 SE200N ASI290MC Shutter==3.858ms 25% of 5362flames トリミング

まだ夜明け前のピトン山の頂に朝陽があたって明るく輝いています。コーカサス山脈の陰を見ていたときに、突如欠け際から離れたところに針で突いたような光点が現れたので、これはピコ山の夜明けだな…と思ったのですが調べてみたらピコ山ではなくプラトーの西側にあるピトン山でした。

ピトン山は標高2,300mの独立峰です。朝陽が徐々にピトン山の裾野に向かって広がって行く様子はこれまた絶景でした。ちなみにピトン山は蔵王山1,841mよりもはるかに高くて大きな三角錐の形をしています。月面で見たらどんなにキレイなことでしょう。…と妄想しながら欠け際を見ているとあっという間に時間が過ぎていきますが、体が冷えてきたので本日の月面ウオッチングはこれにて終了で~す。



ISS太陽面通過

2021年02月18日 | ISS(国際宇宙ステーション)
ISSの太陽面通過って遠征しないと見られないよね~。と思っていたら…
なんと、自宅から太陽面通過を見られる日がやって来た。

こ~れは千載一遇のチャンスです。これまでISSの太陽面通過を撮影したことは
一度もありませんが、自宅から見られるのでは話は別です。

…ということでISSソーラー トランジットに初チャレンジです。


本日のイベントデータ

ふ~む、距離は733kmもあります。これほど遠距離のISSはこれまで
撮影したことがありません。

…で、本日の作戦ですが、動画とスチールの二本立てです。

動画はBORG60nと惑星カメラで、写真はセレストロンMAK90にアストロ
ソーラーシート撮影用を装着して迎え撃ちましょう。→撮影機材

太陽面通過予定時刻は13時54分48秒です。惑星カメラは30秒前から撮影を
スタートして… 写真は13時54分40秒から連写をスタートです。

わぉ、あちゃ~、連写がストップしました。データ取り込み待ちモードです。
連写はすぐ再開しましたが、ISSは2コマしか写っていませんでした。トホホです。


ISSが写っている貴重な一コマ

ふ~む、733km彼方のISSはさすがに小さいですね。かろうじて形が分かるレベルです。



で、こちらは惑星カメラで撮影したSER動画をSER playerでGIFアニメに変換した映像です。


GIFアニメにしているため実際の通過速度よりやや遅い再生となっています。SER playerはAVI変換
もできますが、どーも再生がスムーズに流れないので要確認です。



こちらはSER動画データを比較暗合成した写真です。





今回、0.773msのシャッタースピードで撮影したのですが、ISSがこれほど密接して写るとは思って
いなかったのでビックリです。通過時間0.87秒間にコマ落ちせずに70コマのISSを記録する惑星カメ
ラのパフォーマンスの高さに脱帽です。

今回の撮影は全てが手探りの状態でピント合わせは二の次だったため、解像度的には見られたモノではありませんが、惑星カメラを使った拡大撮影に向けて多くのヒントを得ることができました。

いよいよISS拡大撮影 シーズン2の始まりです。惑星カメラでどこまでISSに近づけるか乞うご期待です。



〈2021.2.19 追記〉
ISSが日本上空を通過した時間のひまわり画像とISSのLIVE映像を並べてみました。




月齢5.6(六日月)

2021年02月17日 | 
う~む、惑星カメラでお月様の全体をワンショットで撮影するには
かなり焦点距離の短い望遠鏡でなければムリですよね~。

ステラナビでシミュレーションしてみると、f400mm以下ですか~。
そんな望遠鏡ってあるかな… と思っていたらありました!

普段、月の撮影に使っているBORG60nは焦点距離が短いので、
powermate2×を装着して撮影してましたが、そもそもの焦点距離は
たったの325mmです。

これです! 早速テストしてみましょう。

ふむ、画角はバッチリです。

60秒間撮影した画像の25%をスタックしてRegiStax6でウェーブレット処理
→ステライメージで画像処理した写真を見ると、口径6cmですがそこそこ
見られる画質になっているようです。




これで、月の撮影がさらに楽しくなりそうです。ワクワク…

日本人宇宙旅行者 第1号は女性ミュージシャン!?

2021年02月13日 | 宇宙開発
Space Shuttle Almanacさんがツイートしていた
今後のISSに関するローンチ・スケジュールを見ていたところ…


2021年12月に打ち上げられるソユーズMS20の搭乗員として
Tourlist 2 Japanese female Pop star と記載されているのを発見した。

今年12月に打ち上げられるソユーズMS20は2/6のブログ「2021年は宇宙旅行元年!」で
紹介したように Space Adoventurs社によるISSツアーの9回目である。

リフトオフ予定日  便名     使用宇宙船     乗客数  ツアー会社     日程
A2021年10月  Inspiration4   スペースX(レジリエンス)  4名  なし(チャーター便)2~4日間
B2021年12月 ISSツアー(9th)    ソユーズ     2名  Space Adoventurs  10日間
C2022年1月    Ax-1    スペースX(レジリエンス)  4名  AXIOM space    8日間       
D2021年~22年 Crew Dragon mission スペースX(未定)4名  Space Adoventurs  3~5日間
E2023年6月   ISSツアー(10th)    ソユーズ     2名  Space Adoventurs  14日間
F20XX年X月  DSE-Alpha   ソユーズ+ブースター  2名  Space Adoventurs  10日間

2019年2月19日にSpace Adoventurs社とロシアのロスコスモス社は、2021年後半に2人の宇宙旅行者をISSのロシアセグメントへ短期間旅行させる実施契約を締結している。

スペースアドベンチャーズの共同創設者兼会長のエリック・アンダーソンは雑誌の取材に対して「2021年12月のツアーに2人のプライベート宇宙飛行士が申し込んでいるが名前を発表することは時期尚早である。」と述べているため明らかにはされていない。

上記のローンチ・スケジュールは宇宙飛行士名およびISS滞在期間など現時点での予定が正確に記載されており、昨年メディアがISSで映画を撮影する予定と発表して話題となったトム・クルーズが2022年11月にクルードラゴンでISSへ向かうことも具体的に書かれている。

以上のことから、12月に出発する宇宙旅行者の一人は日本人女性ミュージシャンということは確かだと思われる。ただし、本人がキャンセルしなければの話である。過去に史上4人目の宇宙旅行者として日本人が決まっていたが健康上の理由でキャンセルしたため、バックアップクルーのアニーシャ・アンサリが乗ることになった経緯がある。

さて、最も気になるところ…そのミュージシャンとは誰なのでしょう? 旅行者は Pop star とあるのでミュージシャンというよりは歌手またはアイドルとも考えられますが…

宇宙に大きな興味を持っている人で宇宙旅行をしたいと考えている方…というと、あの方かと思いますが、どうでしょう? 出発までにはそれなりの訓練もあるのでアメリカ在住の方…と考えるのが自然だと思いますが…

発表はいろいろな意味で夏以降になると思われますが、発表が楽しみですね。

青空の中のISS

2021年02月12日 | ISS(国際宇宙ステーション)
2月とは思えない穏やかな青空が早朝から広がっています。

仙台の上空は見事に快晴です。

遠くの蔵王山もくっきり見える上に、季節に似合わず気流も良さそうです。(希望的観測ですが)
チャンス到来です! 以前から計画を練っていた昼間のISS拡大撮影にチャレンジしてみましょう。

ISSのMAX光度は計算上-5.6等級(近地点で100%反射の時)になります。実質光度はそこまで
いきませんが望遠鏡を使えば昼間の金星は楽に見えるのですから条件さえ整えば撮影は十分可能
なはずです。

本日のイベントデータ
最大仰角は79°で光度は-3.5等級です。条件的には十分です。


問題はどうやって青空の中のISSを追尾するかです。
ご覧のとおり、目印となる星は当然ですが空にはありません。

そこで今回の作戦は、最大仰角になる直前の真西のISSの位置に望遠鏡を向けて、ファイ
ンダーを覗きながら通過するISSを瞬時に捉えて手動で追尾する方法で撮影します。
(えーと、これは… 簡潔に言うと単なる待ち伏せ作戦ですね。シンプルis Best!)(^^ゞ

真西を通過する時間は8時54分42秒、仰角72°です。その後最大仰角の79°に向けてISSは
見かけ上、上昇していきます。今回のコースは最大仰角を過ぎると逆光になるので、
最大仰角までが勝負です。

ふう、まもなく、時間です。ノートパソコンでHeaven- Aboveのライブスカイビューを見て
上空を通過する衛星をリアルタイムでモニターしていますが、昼光で画面が見えません。

おっと、まもなくスマホが8時54分40秒を知らせま…… キター!!!!!

正立ファインダーの左端から小さな白い虫のようなモノがものすごいスピードで
飛び込んできました! ISSです! 日出から2時間以上が過ぎている昼間の青空でも
はっきり見えています! 見えるとは思っていましたが、青空の中のISSは感動です。

不意を突かれた感じで飛び込んで来たので、さすがに動揺してしまいました。ISSの手動
追尾は何度もやってきましたが、背景が青空だと何か勝手が違います。

うわ~、ファインダーからロストしてしまいました。急いで探すも…どこにも見えません。
夜なら、肉眼で確認して簡単に再導入できるのですが、それができません。むずかしい…。

導入からロストまでの撮影時間は12秒。ファインダーのセンターサークルに入れることが
なかなかできなかったので、こりゃ撃沈か…と思いましたが、

ラッキーなことに40ショット中の14ショットにISSが写り込んでいました。

では、ご覧ください。

本日のファーストショット
なんと一コマ目にいい形で理想的な角度の太陽光を浴びた姿が写っていました。

2021.2.16 08:54:40 D300mm Powermate2× F10 D810A ISO1250 1/1000


今回もステライメージ8で画像処理しています。トライ&エラーの連続ですが、これは
やや過剰処理となっています。

2021.2.16 08:54:41.82 D300mm Powermate2× F10 D810A ISO1250 1/1000


こちらもやや過剰処理ですがクルードラゴン「レジリエンス」がはっきり見えます。

2021.2.16 08:54:41.95 D300mm Powermate2× F10 D810A ISO1250 1/1000

こちらは上記と同じ写真ですが処理をやや抑えて自然な感じにしてあります。

2021.2.16 08:54:41.95 D300mm Powermate2× F10 D810A ISO1250 1/1000


今回のベストショットです。

2021.2.16 08:54:49.81 D300mm Powermate2× F10 D810A ISO1250 1/1000

今朝は金星が太陽のすぐそばにあるため直前のピン合わせができず、前回ISS撮影をした時の
ピン位置で撮影しました。直前または前夜にピンを追い込めば、もう少しシャープな写真が
撮れるのではと考えています。

今回の撮影で、ISSは昼間でも撮影できることが分かったので機会を見て再度チャレンジして
みることにしましょう。

ブルーオリジン テストフライト(NS-14)

2021年02月10日 | 宇宙開発
ブルーオリジンは米アマゾン・ドット・コムのCEOであるジェフ・ベゾス氏が所有する宇宙航空
企業です。2016年に世界で初めて再利用ロケットの垂直着陸を成功させています。→過去ブログ


2018年4月29日に行った8回目のテストフライトで目標の高度100kmに達してからは、2019年に
3回、2020年に1回のテストフライトを連続で成功させている。

そして、14回目となるテストフライト(NS-14)が今年1月15日に実施された。今回の様子を
見るとこれまで課題になっていた点がかなり改善されており、商業運用は目前と思われる。

今回のテストフライトの映像はこちら→Mission NS-14 Webcast
リフトオフ映像は51:40から始まる、1:03:58から始まるダイジェスト版も見応えがある。



ニューシェパードに搭乗するプライベートアストロノーツは自分の足でタワー横の階段を
昇り、自分が乗るロケットを間近に見ながらクルーカプセルへと向かっていく。

クルーカプセルの窓はこれまでのどの宇宙船よりも大きく、カプセルの面積の1/3を占める。
乗員が360°見渡せるように毎秒2~3°の角度でカプセルが回転するようになっている。


リフトオフ後は最大で3Gの加速度を受けながら最大速度マッハ3で上昇する。


映像後半、ダイジェスト版1:05:50から始まる射点真上からドローンを使って撮影した映像
は、映画「アポロ13号の」のワンシーンを思わせるようなアングルで迫力満点である。






ロケットは2分20秒後、高度570km付近でメインエンジンがオフになり、2分40秒後に
ブースターとクルーカプセルが切り離される。その後速度は徐々に遅くなり4分00秒後に
遠地点の104kmに到達し自由落下を始める、無重力体験ができる時間は約4分間である。

ブースターはロケットを噴射しながら減速を続け…


リフトオフから7分20秒後にタッチダウンする。



前回のテストではパラシュートで降下するときにカプセルが不規則に回転していたが
今回は改善されているようで、ゆっくり回転しながら降下を続けていた。


タッチダウン時の衝撃も前回までのテストではかなり大きいように感じていたが、絶妙な
逆噴射で衝撃はほぼ無いように見えた。


こちらは船内カメラで撮影したリフトオフからタッチダウンまでの様子

↑画像をクリックすると動画が始まります。(2017.12.12のテストフライトより)

ブルーオリジンは当初、2019年から商業飛行を開始する予定であった。コロナ禍もあり、
開発に遅れが出ていることは否めないが、今回のテストはクルーカプセルのアップグレードに
重点を置いていたので、開発は最終段階と思われ、この秋には商業飛行を始める予定なのでは
と考えられる

ジェフ・ベゾス氏がアマゾンの最高経営責任者(CEO)を2021年7~9月期(第3四半期)に退任
し宇宙開発に注力を注ぐと述べていることが、そのことを裏付けていると思われる。

イーロンマスクもジェフ・ベゾスも宇宙開発の資金を集めることを目的として副業を行っている。
それがテスラでありアマゾンである。スペースXがいち早く商業飛行計画を発表したことを逆手に
とって商業宇宙飛行一番乗りをブルーオリジンが行うことは十分考えられる。

2021年は宇宙旅行元年!

2021年02月06日 | 宇宙開発
いよいよ民間人が宇宙旅行に行ける時代になりました!

野口宇宙飛行士が搭乗したスペースXCrew-1の成功を受けて
クルードラゴン宇宙船を使った商業宇宙旅行が本格的に始まります。

スペースXの他にもブルーオリジンのニューシェパードやソユーズ宇宙船など
今年中に商業宇宙旅行を始める計画(ソユーズは再開)が目白押しです。

宇宙旅行といっても具体的にはどのようなツアーなのか、
気になるお値段はいくらなのか、気になりますよね~。

そこで現在計画されている宇宙旅行スケジュールを辿りながら
その疑問を解き明かしていきましょう。

その前に宇宙旅行の基本事項ポイントを押さえておきましょう。

現在計画されている宇宙旅行には3つの種類があります。

その1〈軌道宇宙飛行〉Orbital space tourism
これは宇宙船に乗って地球周回軌道を回るツアーです。
ISSに滞在するツアーでは通常6~8日間の宇宙旅行となります。
ISSに寄らず地球周回のみの場合は2~4日間程度の旅となります。

このツアーの目玉は何と言っても長い時間美しい地球を眺められることです。
宇宙船は90分で地球を1周します。無重力空間を楽しみながら見る地球は
一生の思い出になること間違いなしです。

その2〈準軌道宇宙飛行〉Sub-Orbital space tourism
こちらはロケットで高度100kmまで上昇し、そこから自由落下しながら
丸みを帯びた青い地球と黒い空、無重力体験を楽しむツアーです。
ブルーオリジンのニューシェパードを利用した場合、搭乗時間は
わずかに10分ほどですが、安全性が高く安価であることが魅力です。

その3〈月周回宇宙飛行〉Lunnar mission
これはロケットに乗って月まで行って戻ってくるツアーです。
旅行期間は約10日間です。その内訳は地球軌道上で2日間、月までの
行程が5日間、45分間で月軌道を1周して、自由帰還軌道で2日間
かけて地球に戻り、地球軌道を離脱して太平洋上に着水します。

高度100kmの低軌道から月面を見ることのできる時間は
わずかに45分間ですが、これまで月の裏側を見た人は、
アポロ宇宙船で月に行った24人だけです。月の表とは
真逆の荒涼とした裏月面ウオッチングは、あなたの人生観を
変えるのに十分すぎるエキゾチックな体験となります。

それでは現在発表されている宇宙旅行スケジュールを見てみましょう。

 リフトオフ予定日  便名     使用宇宙船     乗客数  ツアー会社     日程
A2021年10月  Inspiration4   スペースX(レジリエンス)  4名  なし(チャーター便)2~4日間
B2021年12月  ISSツアー(9th)    ソユーズ     2名  Space Adoventurs  10日間
C2022年1月    Ax-1    スペースX(レジリエンス)  4名  AXIOM space    8日間       
D2021年~22年 Crew Dragon mission スペースX(未定)4名  Space Adoventurs  3~5日間
E2023年6月   ISSツアー(10th)    ソユーズ     2名  Space Adoventurs  14日間
F20XX年X月  DSE-Alpha   ソユーズ+ブースター  2名  Space Adoventurs  10日間

〈補足説明〉
A:Shift4ペイメントの共同創設者兼CEOであるジャレッド・アイザックマンがスペースXからロケットとクルードラゴンをチャーターして飛び立つ世界初の民間人だけによる宇宙旅行ミッションです。ジャレッド以外の乗組員は現在選考中で3月に発表される予定です。ISSには寄航せず自動操縦で地球を周回し帰還します。使われる宇宙船は現在ISSに係留してあるレジリエンスであることをスペースX社が発表しています。

B:スペース・アドベンチャーズ社が2001年から行っているISSツアー企画で、これまでに7人の民間人をISSへ送り出しています。このツアーは2011年のスペースシャトル引退に伴いソユーズの一般利用ができなくなったためしばらく保留になっていましたが、クルードラゴンによる人員輸送が可能となったことから2019年6月にNASAが宇宙観光用にISS開放を許可したことでツアーが再開されました。費用はツアー開始時(2001年)は2000万ドルでしたが最終的には3500万ドル(35億円)まで高騰しています。今回の費用は公表されていません。

C:アメリカのベンチャー企業であるアクシオム・スペース社が企画している宇宙旅行です。すでに4名の乗組員が発表されており、アクシオム・スペース社の副社長で元NASAの宇宙飛行士であるマイケル・ロペスが司令官として搭乗します。不動産会社のマネージングパートナーであるラリーコナーがミッションパイロットとして、他にMAVRIK社のCEO兼会長のマーク・パシーと元イスラエル空軍のパイロットであるエイタン・スティベが搭乗します。費用は5500万ドル(約60億円)。ISSに8日間滞在します。使用する宇宙船はこちらもクルードラゴンのレジリエンスです。

D:こちらはスペース・アドベンチャーズがクルードラゴンを使用して行う宇宙旅行で観光用に4つの座席が提供されています。費用は1座席5500万ドル(約60億円)です。このツアーは宇宙飛行士が乗らず完全自動操縦で運用されます。そして特筆すべき点はISSには寄らずにISSの3倍以上の高度に達する高楕円軌道に挿入されることです。この軌道の遠地点ではジェミニ11号が1966年に達成した高軌道記録(1373km)を超えることになります。ISSの高度は約400km、スペースシャトルの最大運用高度は610kmだったのでそれをはるかに超える高度となります。このツアーの目玉は、惑星地球をより実感できる視点から丸い地球を眺められることにつきます。日程は3日間(最大で5日間)となっています。

〈参考資料〉ジェミニ11号が高度1373kmから見た地球



E:スペース・アドベンチャーズ社による10回目のISSツアーです。こちらはISS滞在期間が14日間に延長されており、オプションとして90分間の船外宇宙遊泳が用意されています。オプションツアーに参加する場合は1500万ドル(15億円)の追加費用が発生します。船外宇宙遊泳は地球と直接対峙することができるので宇宙船の窓から見る地球を遥かに超えたまさに神の視点で美しい地球を見ることができます。

F:こちらはスペース・アドベンチャーズ社による月周回飛行ツアー企画です。すでに予約販売が始まっており、1席は2007年に1億ドル(100億円)で予約が入り、もう1席も2011年に1億5000万ドル(150億円)で売却され、すでにSold outとなっています。ソユーズは1962年に設計された古い宇宙船ですがそもそも月周回を意図して作られた宇宙船なので月周回は特に問題ないということです。地球軌道上でドッキングするブースターはゼニット・ロケットブースターを予定していますがソフトウエア等の準備のため実質的な計画は未定となっています。

さて、今回は、おもに軌道宇宙飛行(Orbital space tourism)について紹介しましたが、2021年のトップを切って民間宇宙旅行を成功させるのはブルーオリジンのニューシェパードではないかと、個人的には思っています。

長くなったので、続きは次回のブログで~。

2021年1月の寒波は何年ぶり?〈検証〉

2021年02月05日 | お天気
124年ぶりの2月3日立春を過ぎて暦の上では春を迎えました。

さて、今年の寒さは記録的な寒波だと言われていますが、
実際はどうだったのでしょう?1月のデータから検証してみましょう。

まずは仙台の今年1月の気温と昨年の気温を比べてみました。
2021年1月 日平均気温 日最高 日最低 最高気温 最低気温
       1.2℃   4.8℃ -2.3℃  12.9℃ -7.6℃
2020年1月 日平均気温 日最高 日最低 最高気温 最低気温
       4.0℃   7.5℃   0.8℃  11.2℃ -1.8℃
(補足説明:日平均気温→該当月の平均気温、
      日最高→最高気温の平均、日最低→最低気温の平均、
      最高気温→該当月の最高気温、最低気温→該当月の最低気温)

 …ふむ、2021年1月の平均気温は昨年と比べて2.8℃も低いようです。
 過去データを見るとこの寒さは2013年1月以来の8年ぶりとなります。
・2013年1月 日平均気温 日最高 日最低 最高気温 最低気温
       0.7℃   4.2℃ -2.7℃  8.2℃ -5.8℃

宮城県北部の築館のデータも見てみましょう。
2021年1月 日平均気温 日最高 日最低 最高気温 最低気温
      ー1.8℃   3.0℃ -7.4℃  10.5℃ -16.5℃
2020年1月 日平均気温 日最高 日最低 最高気温 最低気温
       1.7℃   6.1℃ -2.4℃   9.5℃ -6.3℃

これを見ると 築館では平均気温が3.5℃も低くなっています。
こちらも2013年と同レベルの寒さであることが分かります。
・2013年1月 日平均気温 日最高 日最低 最高気温 最低気温
      ー1.8℃   2.6℃ -6.7℃   6.5℃ -13.7℃

ということで、今年の寒さは2013年とほぼ同じ寒さで8年ぶりとなりま~す。

 …え、8年ぶり? そんなもん? 2013年ってそんなに寒かった?
 今年の方がもっともっと寒かったんじゃない? 川や沼も凍ったし…

 …と、思いのあなた、 正解です!

 今年の寒さは8年ぶりなんて、そんなかわいいレベルではありませ~ん!

 1月中旬以降に暖かい日があったので平均値にするとこの程度ですが、上中下旬の
平均気温(旬ごとの値)を見ると1月上旬がかなりの寒さだったことが分かります。

1月の旬ごとの平均気温ランキング(築館)
(統計期間 1976/2~2021/1)
第1位 -5.5℃ 2001年1月 中旬
第2位 -5.1℃ 2021年1月 上旬←1月上旬の気温としては歴代1位
第3位 -4.6℃ 1990年1月 下旬
第4位 -4.5℃ 1985年1月 上旬
第5位 -4.4℃ 1986年1月 下旬
第6位 -4.3℃ 1985年1月 中旬
第7位 -4.2℃ 1984年1月 下旬
第8位 -4.0℃ 1984年1月 中旬
第8位 -4.0℃ 1977年1月 上旬

これを見ると2021年1月上旬は他に類を見ない寒さだったことが分かります。
と言っても築館のデータは1976年からなので石巻のデータでも調べてみました。

1月上旬限定の平均気温ランキング(石巻)
(統計期間 1887/9~2021/1)
第1位 -3.5℃ 1945年1月上旬
第2位 -3.1℃ 1951年1月上旬
第3位 -3.0℃ 1900年1月上旬
第3位 -3.0℃ 1930年1月上旬
第3位 -3.0℃ 1977年1月上旬
第4位 -2.9℃ 2021年1月上旬←1月上旬の気温としては歴代4位
第5位 -2.4℃ 1938年1月上旬
第5位 -2.4℃ 1939年1月上旬
第6位 -2.3℃ 1922年1月上旬
第7位 -2.2℃ 1934年1月上旬
第7位 -2.2℃ 1985年1月上旬

ほひょ~、どおりで寒かったわけです。堂々の4位ランクインです。
上記ランキングは1月上旬限定ランキングですが、総合的にみると…

今年の寒さは1977年以来の44年ぶりの寒さと言って間違いないようです。


さて、気になる今後の寒波ですが… 1か月長期予報資料を見ると…

初期値2021.2.3.12UTC

基本ラインは平年を上回る高温予報になっていますが2月18日頃と2月28日頃に寒波が
やってくる可能性も見て取れます。

寒さはもうたくさんなので早く暖かくなってほしいですね。