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晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

ムーンボウ出現!~通算3回目の目撃記録~

2021年10月20日 | ムーンボウ(月光虹)
ついにムーンボウが現れました~
実に15年ぶりの再会です! 

今日は朝から予兆がありました。
北西の風が時折強く吹いて朝からお天気雨です。

これはズバリ!晩秋の風物詩~「時雨(しぐれ)」です。
時雨のときに見られる時雨虹が満月の日に見られたときは
その夜、高い確率でムーンボウが現れます。

そうです、ムーンボウは月明かりを光源とする夜の時雨虹なのです。
今日は県北部に出かける用事があったのですがあちこちで時雨虹を見ました。

時雨虹は夕立後の虹と違って短時間で出現と消失を繰り返します。

何度も消えては現れる時雨虹を見てムーンボウが今夜出ることを確信しました。
これは2006年の時と同じ気象条件です。さすがに胸の高鳴りを抑えることが出来ません。ワクワク…

 夕方、期待しながら自宅へ車を走らせているといつの間にか雨はザーザー降りになり、
すでに昇っているはずの月は雲のムコウガワで全く見えません。

 こりゃだめか~と思ってしばらく車を走らせていると、おっといつのまにか
東の空で満月が煌々と輝いています。天気がめまぐるしく変わっているようです。

 雨は小雨になっているので、ムーンボウが出ていてもおかしくはありません。
国道をそれて暗い山道に入ってみましたが、意に反してムーンボウは出ていません。

 そう簡単には見られないのがムーンボウです。帰りましょう!と決めたものの
こんなに条件のそろった日はそうそうあるものではありません。

 常に西の空を気にしながら車を進めること十数分、ついに見えました! 
すぐに車を暗いところに止めて取った写真がこれです。

 コンデジなので写りはイマイチですが肉眼でははっきり白色のアーチが見えました。

これまで二度ほど見ていますが何度見ても胸が高鳴ります。ムーンボウはすぐ消えました。

 お天気雨がまだ続いているので運が良ければ帰宅後も撮影が出来るかもしれないと思い急いで
自宅に向かい、撮影機材と帰宅していた妻を車に乗せていつもの撮影ポイントに出かけました。

 月の高度が上がり雲に隠れてしまったのでなかなか姿を現しませんでしたが待つこと30分…
ついに雲のスキマから満月が顔を出しました。

月の高度が高いため背の低いムーンボウですがアーチがきれいに見えました。

こちらの虹も色がありますが肉眼では色は見えませんでした。


↓ こちらの写真は現像時に色温度をやや下げて青味を強くしています。

↓ 消える直前のムーンボウ。



〈過去ブログ〉
今年の中秋の名月は10月3日      2009年9月27日
ムーンボウのこと          2009年9月28日
ムーンボウのこと ~出会い編~   2009年10月1日
ムーンボウのこと ~まちぶせ編~  2009年10月2日
ムーンボウのこと ~再会編~    2009年10月3日

ムーンボウ出現予想

2009年10月04日 | ムーンボウ(月光虹)
仙台は夕方にかけて快晴となり
日没後きれいな満月が見えました。
満月の夜に現れると言われているムーンボウ…
さて、今日は現れるのでしょうか?

ムーンボウが出る条件のひとつとして、「満月の高度が低い時間」
があります。2回見たムーンボウはいずれも高度が約30°でした。

今日の満月は薄明終了時の月高度が20°もあるので、ムーンボウ
出現の可能性が高いのは明日と言えますが、19時30分頃までに
時雨模様になる場所があればムーンボウが出現するはずです。

しか~し、残念ながら今日の天気は良すぎます。

宮城県内で時雨れ模様になる場所はありません。気圧配置が
西高東低の典型的な冬型になると山沿いはどこも時雨れるのですが…、
今日は無理のようです。明日の天気に期待しましょう。

こちらは気象庁の「レーダー降水ナウキャスト」です。

19時35分の画像を見ると泉ケ岳付近が時雨れています。
ひょっとするとムーンボウが出現していたかもしれません。

明日も冬型の気圧配置にはならないようなので、
ムーンボウの出現は難しいかもしれません。

ムーンボウが見たかったなあ…、という方は
Astronomy Picture of the Dayにムーンボウの動画が
ありましたのでこちらをご覧下さい。Moonbow

ムーンボウのこと ~再会編~

2009年10月03日 | ムーンボウ(月光虹)
驚きです。夜空に虹が出ています。まさに虹です。
白色ではありません。肉眼でしっかり色が見えます。

2006.10.08 20:24 NikonD50 25mm F4 15sec(トリミング)

なんということだ。ここに堀口大學がいたらなんと表現するのだろう。
あのアリストテレスが見たらどのように分析するのだろう。

それにしても不思議です。このムーンボウは過去に見た2つの月光虹
にくらべて距離が近い感じがします。幅も太く感じます。謎です。

しかも、街灯がすぐ近くにあるにもかかわらず、とても明るく見えます。
「ムーンボウは街明かりのないところでなければ見えない」という仮説は
もろくも崩れ去りました。おそるべしムーンボウ…、神出鬼没です。

おっと、これだけ明るければ記念撮影ができるはずです。

2006.10.08 20:26 NikonD50 25mm F4 15sec

見事に撮れました。ムーンボウとの2ショットです。

20時30分過ぎにムーンボウは右側から徐々に消えていきました。

2006.10.08 20:31 NikonD50 42mm F4.8 15sec

わずかに10分足らずの出来事でした。この時の月齢は15.6、
満月の翌日の月、高度は31°です。(ステラナビゲータにて確認)

ムーンボウのこと ~まちぶせ編~

2009年10月02日 | ムーンボウ(月光虹)
仙台で中秋の名月の翌々日に現れるムーンボウの正体は
ずばり「時雨虹(しぐれにじ)」です。

「時雨」は晩秋から初冬にかけて降るお天気雨のことですが
ここ仙台では紅葉の季節によく見られるポピュラーな気象現象です。

虹と言えば夏の風物詩ですが、仙台では稲刈りの頃に虹を
見ることがよくあります。それが「時雨虹」です。

これは2006年10月8日の昼間に撮影した時雨虹です。この日は
朝から夕方まで「時雨虹」が出ては消えるを繰り返していました。

まさか、この日の夜に2度目のムーンボウとの出会いがあるとは
全く予想できませんでした。この日は日曜日だったのでゆっくり
すごしていたのですが、妻が出張だったため夕食を作らなければ
なりません。夕方、買い物に行こうと外に出ると、パラパラと雨が
降っています。「おっ、まだ時雨ているぞ~、傘はいるかな…」

その時です。見上げた空の先に丸い月が見えます。「わわ!」
頭の中でいろんな映像が瞬時にフラッシュバックしました。
「昨日の満月」「昼の時雨虹」「5年前のムーンボウ」「中秋の名月の翌々日」

「出る!出る!ムーンボウが出る!」
「おーい、出かけるぞ~!ムーンボウが出るぞ!急いで支度しろ~」

観測地は住宅地のはずれの田んぼの中です。早速、車を降りて西の空を見ます。
…出ていません。「ねぇ~、どこ?」「う~ん、あの辺に出るはずだが…」
後ろを振り返ると月が雲に隠れています。ふむふむ、そーか。
「今、月が雲に隠れている。あの月が雲から出るとムーンボウが見えるはずだ。」

待つこと十数分、やっと月が雲から出てきました。
「おお~、見えてきた!」白いアーチがうっすら見えてきました。
「わぁ~、みえた、みえた」「色ないねぇ~」「白いね~」

色の確認は今日の重要な観測ポイントです。実は5年前にムーンボウを
見たとき新聞にも載ったことから、たくさんの方からお話を聞くことが
できました。その中で加美町在住のご年配の方から「私も女学生の頃、
写真と全く同じものを見た」という話を頂いた。

「写真と同じ?」写真のムーンボウは7色に写っていますが、肉眼では
白色です。その点を確認したところ、「はっきり覚えているが昼の虹と
同じに見えた」とのこと、この時は正直「思い出の美化現象」だと思って
いました。しかしそれは正しかったのです。そのことをわずか30分後に
確認することになるとは思ってもいませんでした。

ムーンボウは19:50~20:10までのわずかな時間だけ見えていました。

こちらはムーンボウ目撃記念写真です。

そしてこちらがこの日のベストフォト

「ムーンボウとかんむり座とヘルクレス座」

2006.10.08 20:07 NikonD50 F3.5 18mm 15sec

空は晴れ上がり、ムーンボウも見えなくなりました。
おっと、まだ夕飯を食べていませんでした。スーパーに
いってお総菜&お弁当を買ってすますことにしましょう。

車を走らせ、自宅近所のスーパー駐車場に入ろうとした時、
後部座席から「あ~、ここでも見えてるよムーンボウ」
「あれ?色あるよ」という冷静な姉の声が聞こえます。

「え?いろ…、おっおお!」
なんということでしょう。夜空に昼のような虹が出ています。
「これは、いったい…」

この続きは「ムーンボウのこと ~再会編~」で

ムーンボウのこと ~出会い編~

2009年10月01日 | ムーンボウ(月光虹)
ムーンボウを初めて見たのは2001年の10月3日…
その日、泉岳を会場として行われた天文台主催の天文研修会に
参加したのだが、始まる前から時雨模様で雨が降ったりやんだり…、

上を見ると北西の季節風にのって、雲が次々と流れてきます。
見えているのは東の空低いところで照っている十六夜の月だけ、
雨が強くなってきたので、早々と研修会はお開きとなり即解散!

やれやれ、もってきたカメラを出すこともなく終了。
もっとも、天気が悪かったのでカメラは一応もってきただけ。
中身はASA100のリバーサルフィルム。しかも残コマ数は
5コマほど、でもレンズは標準50mmの他に広角28mmをもってました。

山道を降りること数十分、自宅まではひたすら東へ向かって走ります。
正面には十六夜の月がずっと見えています。交差点にさしかかったとき、
ふと右方向を見ると新しい道路ができています。

「ほひょ、こちらの方が走りやすいぞ」と右折したのだが、
予想に反して道路はひたすら南へ直進、見たことない所に
出てしまいました。「あちゃ~、遠回りだ…」車を降りて
たんぼの向こうを見ると、車の往来が見えます。
「よしよし、あれを東へ進めばOKだな」目の前には農道が1本…
車1台分の幅ですが何とか通れます。「レッツ・ゴー!」です。

結局、さらに南へ向かって走ることになってしまい…、やれやれと思って
何気なく窓から右方向を見ると、山をバックに何かが見えます。
「はて、細い雲?」白いものが伸びています。やや丸みがあって…
え!?ひょっとして…、左の窓からは月が見えています。もう一度
右の窓から外をよく見ると…、おお!白色のアーチが見えます。

「ムムム、ムーンボウだ!」「わわわ、撮影しなくては!」

急ブレーキで車を止め、後部座席から三脚とカメラを出して
まずは三脚の足のばしです。「消えるなよ!消えるなよ…」
カメラを持つ手がわなわなと震えます。「よし!まだ見えてる!」
「あちゃ~、画角が足りないぞ」50mmでは虹の半分しか写りません。

とりあえず撮影です。絞り開放F1.4、露出30秒で1枚撮影!

ふう~、即レンズ交換です。

28mmでも完璧にとらえることはできませんでした。

露出を変えて5コマ取り終えた頃、ムーンボウはかなり薄くなっていました。
写真では色が見えますが、肉眼では白色のアーチ状にしか見えませんでした。
そろそろ消えるかなと思っていたのですが、いっこうに消える気配がないので、
自宅に戻って家族を連れてこよう、と思い急いで車をとばすこと10数分…
自宅がある住宅地のはずれに車を止めてムーンボウを見ると…
よし、まだかすかに見えます。ここなら自宅から5分で来られます。

「お~い、みんな~、ムーンボウだ!車に乗れ~」
「ムーんぼうって何?」「どこいくの?」
「説明はあとだ~、いそげ~」

しかし、車を降りるとしーんと静まりかえった星空が広がっているだけ…。
なんと雲ひとつない快星となっていました。「見たかったな、ムーんぼう」
「ところで、ムーんぼうって何?」「それはね、かくかくしかじか…」
「へ~、そうなんだ~、ムーンボウみたかったな~」

「きっと、そのうち見ることができるよ!」とは言えませんでした。
確率的には0%に限りなく近いので…、

ところが、5年後、なんと子供たちと一緒にムーンボウを
見ることができたのです。事実は小説よりも奇なり~!

続きは「ムーンボウのこと ~まちぶせ編~」で

ムーンボウのこと

2009年09月28日 | ムーンボウ(月光虹)
  月かげの虹
           堀口大學
天女の帯でした
昼の虹よりやや淡く
ほんのり ものうそうに
青い月明にてらし出された
黒い山のひだをたよりに
たよりない 五色の蛇の
ぬけがらでした

詩集「月かげの虹」あとがき(1971)
(堀口大學全集1 小澤書店 1982)

詩人の堀口大學(1892~1981)は二十歳のとき
ハワイで見たムーンボウの体験があったために
第一詩集「夕の虹」に続く第二詩集を「月かげの虹」と
名付けたそうです。
*「虹 その文化と科学 西条敏美著」より



私が初めてムーンボウのことを知ったのは約10年前…
科学雑誌に小さく載っていた外国で撮影された月光虹の写真、
それは夜の草原をバックにかすかに見える白い虹、色のない
白い虹は、まさに五色の蛇のぬけがらのようでした。

月光はたしかに太陽光ではあるが、満月といえども虹がでることが
あるのだろうか? 月夜の晩に虹が見える? 聞いたことがないなぁ~
などと考えたことを覚えています。

ところがムーンボウは実はかなり古くから知られている光学現象だったのです。
以下、前出の「虹 その文化と科学 西条敏美著」より抜粋

「古い記録としては、アリストテレス(前384~322)が「気象論」
第三巻、第二章の中で、「月による虹」として書き記している。

 虹は昼間生じるが、夜にも月による虹がある。もっとも、昔の
人々はそのようなものがあるとは考えていなかった。だがそれは、
夜の虹が希にしか起こらないためである。すなわち、起こっても
希であるので彼らは気づかなかったのである。
 そのわけは、暗闇のなかでは色が見えないこと、またその他多
くの条件が一致しておこらなければならないが、全部が一致する
のは一月のうちでもただ一日、すなわち満月の日でしかないこと
によるのである。そしてそれは、月が昇るときとしずむときに起こる
のである。それゆえ、われわれは50年以上の長い年月のあいだ、
ただ二回それに出会っただけである。
*「気象論」アリストテレス全集5 岩波書店 (泉 治典訳)

 アリストテレスは、二千年も前の時代にあって、これだけの
記述を残していることに驚く。ムーンボウは満月の日にしか見
えないということはないが、その日を挟む数日間に限られる。…」
ふむふむ、さすがアリストテレスですね~。分析が鋭いです。
「虹 その文化と科学 西条敏美著」は文化と科学の両面から
虹にアプローチしているので虹に興味のある人にはおすすめの本です。



時に我々は経験や知識と照らし合わせて物事を見ていることが多い。
夜の景色にとけ込むように広がる白色のアーチが目の前にあっても
ムーンボウのことを知らない人は、それがムーンボウだと気づくことは
ないだろう。私も初めてムーンボウを見たとき、すぐには気づかなかった。
目の前にある現象は何だろう?はて…、とそのとき科学雑誌で見た小さな
写真がフラッシュバックして現象のすべてを理解することができた。写真を
思い出さなければ、たぶんそのまま通り過ぎていたことでしょう。

*上記2枚の写真は2006年に撮影したムーンボウです。実は2006年10月8日は
1日に2回(2カ所で)ムーンボウを見たのです。それをカウントすると5年で3回見た
ことになるので…!? (わお!アリストテレスを超えちゃった~!?)

今年の中秋の名月は10月3日

2009年09月27日 | ムーンボウ(月光虹)
今年のお月見は10月3日ですね。

今年のようにお月見が10月にずれ込むことは意外と少なく、
1980年~2020年の40年間を調べてみると、わずかに9回しかありません。

1982年:10/1
1987年:10/7
1990年:10/3
1998年:10/5
2001年:10/1
2006年:10/6
2009年:10/3
2017年:10/4
2020年:10/1
*参考:はまぎんこども宇宙科学館HPお月見の日付リスト

では、なぜお月見が10月になる日が少ないのでしょう?

中秋の名月は旧暦の8月15日ですので、新暦では9月の中旬頃となります。
しかし、旧暦では3年ごとに閏月を入れて1年間を13ヶ月としますので、
その年は、7月→閏7月→8月のようになるため8月15日がいつもより1ヶ月
遅れることになります。

そう考えると旧暦閏年のお月見は必ず10月になりそーな感じがしますが、
実際は前倒しになる旧暦を補正することが閏年なので、お月見は9月末日頃に
なるのが普通です。ですから10月にお月見がずれるのはまれだと言えます。

さて、10月にお月見がある年…、満月の夜に空を見ると、珍しい現象を
見ることができるかもしれません。そう「ムーンボウ」です。

満月の夜にだけ現れる幻想的な虹…、
初めてそれを見たのは中秋の名月の翌々日の夜でした。

2001年10月3日の夜に撮影したムーンボウ

アリストテレスが「50年間で2回しか見たことがない」と言っていた
ムーンボウをなんと、5年後の2006年にもう一度見ることができました。

2006年10月8日の夜に撮影したムーンボウ

いずれも10月に中秋の名月があった年ですが、これは偶然では
ありません。ご当地限定ですが仙台では10月にお月見がある年、
ムーンボウ出現の可能性がかなり高いのです。

今年のお月見は10月3日です。その翌日の満月の夜と翌々日の
十六夜の月の夜、昇ってきた月を背に西の空を見るとムーンボウ
が見えるかもしれません。

さあ、今年のお月見は西の空もぜひ注目してみましょう。
次回、10月にお月見があるのは2017年です。今年を逃すと
しばらく見られないかもしれません。

ムーンボウ情報と出現予想は随時このブログで紹介していきます。