晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

地球接近小惑星 2024 MK

2024年06月22日 | 隕石・小惑星
直径200m±80mの小惑星が6/29に地球近傍を通過する予報が出ているようです。

 地球近傍通過時の最接近距離は約29万kmと予報が出ています。これは月軌道の内側(0.8LD)に入り込む距離ですが地球に衝突する確率は0%です。




 この小惑星は6月16日に発見されたもので、その後の観測で公転周期が1216年のアポロ型小惑星で、絶対等級が21.7等級、直径が120m-270mだろうと推測されています。

 特筆すべきは、最大光度が8.7等級まで明るくなるのでハイエンドの機器でなくとも十分観測ができるという点です。この小惑星は南半球側から近づくため最接近前は日本から観測できませんが、最接近後は北半球側へ進んでくるので日本から観測できる可能性があります。

 まだ、詳しい軌道情報が不明なのでなんとも言えませんが、最接近直後の6月29日22時~24時ごろに南南東の空低いところ(いて座→わし座)で通過している様子を観測できるかも…です。

 もちろん、光度が最大で8.7等級なので肉眼では見えませんが双眼鏡では確認することができるかもしれません。写真撮影では十分写る明るさなので好天に恵まれれば小惑星が移動する様子を撮影することができるはずです。

 梅雨入り直後で天気はビミョーですが晴れることを期待して今後の情報を待つことにしましょう。


〈6月23日追記〉
TheSkyLiveで小惑星2024 MK の星図チャートをざっくりですが作ってみました。

・6月29日20時10分から6月30日03時40分までの動きを仙台から見たときのチャートです。
↓ クリックで拡大図が見られます。


↓ 小惑星2024 MKグラウンド・トラック ー 白い四角が最接近点、黄色いダイヤが最も明るい観測地点を表している。

 日本で観測できる時間の光度は11等級台のようです。23時を過ぎると下弦の月の影響を受けるのでベストな観測時間は天文薄明終了後の21時から23時頃までですかね~。

7月24日21時11分28秒頃に流れた火球

2023年07月25日 | 隕石・小惑星
ATOM cam2 カメラが爆発的火球を捉えてました。

方位は南南西、さそり座のアンタレスの上を西に向かって流れたようです。

7月24日21時11分28秒頃に流れた火球

 この火球は何等級なのだろう? 薄雲で光が拡散したのか最後はかなり明るくなっていますね。


〈追記〉
 動画から切り出した画像を繋いで作成したGIFアニメです。



〈7月31日 追記〉
 平塚市博物館 天文担当学芸員の藤井大地さんが同じ火球と思われる動画をTwitterで公開していた。それによるとやぎ座α流星群の可能性があるとのこと、さっそく天文年鑑で「2023年の流星 7月~9月」を確認すると…
 「梅雨の終りが見えつつある7月中旬には、夜半過ぎの南天で盛夏にピークをむかえる流星群たちの息吹を感じるようになる。その代表格は、…(一部略)みずがめ座δ南群と、出現数はともかく爆発的増光を繰り返す火球の出現頻度が高いやぎ座α群だが、両方とも極大をむかえる7月下旬には満月直前の月明かりの影響を受ける。やぎ座α群については月明かりを蹴散らす火球に期待したい…」とあった。
 やぎ座α群についてはこれまでその存在を認識していなかったが、天文年鑑の解説のとおりの流星群だと感じた。藤井さんは別日に撮影したやぎ座α群のカラー動画もツイートしている。

富谷隕石

2023年07月03日 | 隕石・小惑星
早いもので2023年も折り返し地点を回ったなあ~と思った7月1日の出来事で~す。

 夕食を終えてまったりとしながらテレビを見ているときに、ふと、宮城県に落下した唯一の隕石「富谷隕石」の落下場所ってどこなんだろう? と思ってネットで調べていたら…

 わぉ! 驚くべき記事を発見! なんと国立科学博物館で常設展示してある富谷隕石が富谷市にお里帰りして特別展示をするとのこと…しかも展示開始が7月1日の土曜日…つまり今日です!

 どひゃ~ 何という偶然! こ~れはスゴイ!と 驚いて妻に伝えたら、「ふ~ん、それは富谷隕石に呼ばれたんじゃないの~」と興味なさそうに返された言葉に、妙に納得しました~。(笑)

 …ということで本日7月2日に見に行きました~。展示場所は富谷市まちづくり産業プラザTOMI+(通称:とみぷら)の3階にある富谷市民俗ギャラリーです。

 なんでも今回の展示は民俗ギャラリーとみぷら移転5周年を記念して行う2度目の里帰り展示らしく、民俗ギャラリーがオープンした5年前にも展示を行ったそうです。(まったく知らなかった~)

 で、行ってきました~。展示は9月3日までのようです。
 

富谷隕石は常設展示室の奥にありました。右は富谷隕石記事が載ってる書籍コーナーです。
 

 左が富谷隕石1号(19.2g)、右が富谷隕石2号(8.3g)
 

 1号隕石は民家の縁側においてあった子供のパジャマの上に落ちてきた落下目撃隕石。
 
 発見者の浅野さんによると、隣家の早坂さん家から物干し竿が落ちるような音が聞こえた直後に黒い石がパジャマの上に落ちてきたとのこと。真夏なのに石は冷たくて生臭い匂いがしたのでビックリしたそうです。

 1号隕石は全体が黒い溶融皮膜で覆われており割れや欠けなども無い完ぺきな状態です。
 

 富谷隕石は、国立科学博物館(常設展示)と仙台市天文台(富谷隕石30周年記念展示)でも見ていますが、今回の展示では1号隕石の展示台が回転しているので全体をくまなく見ることができます。

富谷隕石1号 


 いや~、今回の展示を見て、富谷隕石が落下直後の状態を維持しているフレッシュな隕石だということを実感できました~。溶融皮膜の状態がとてもいいです。必見です。
 

 2号隕石は駆けつけた仙台市天文台職員が隣家の物置の屋根で発見。研究機関が分析のために切断したので内部が見える状態になっている。(切断したもう片方は行方不明になっているようです)
 

 富谷隕石の説明文
 


 富谷隕石に関する記事の紹介コーナー
 

 隕石が落下したパジャマの実物も展示されています。
 
 本日は日曜でしたが観覧中は妻と私の2人だけで貸し切り状態でした。宮城県に落下した唯一の隕石をこんなに間近でじっくり見られるのはまたとないチャンスですのでより多くの人に見てもらいたいですね~。富谷市民は入場料無料で、市外の方は入場料100円です。常設展の民俗資料も興味深い展示がたくさんあってとても楽しめました~。

 そうそう、帰りに富谷隕石の落下場所を見てきました。(といっても車で通過しただけですが…)なんと、自宅から数kmの距離のところでした。オドロキ… 当時は落下隕石がほかにもあるだろうと大捜索をしたそうですが見つからなかったそうです。
 富谷隕石は、火球の目撃や落下時の大音響などもなく、静かに落下してきたので同じように人知れず落ちてくる隕石はたくさんあるのかも~と思いました。黒くて見た目より重く感じる石を見つけたら要チェックですね。


はやぶさ2が採取したサンプルについての考察

2020年12月17日 | 隕石・小惑星
 12月15日、はやぶさ2のコンテナ内サンプルキャッチャーA室内部の
様子を撮影した写真がJAXAより公開されました。

この写真をWebで見た時、これはすごい!と声が出るほどの驚きを感じた。

超ビックリポイントその1
 たくさんの粒子が写っているがすべてが真っ黒であること。
超ビックリポイントその2
 細かい粒子もたくさん見えるがそれも真っ黒であること。

この写真を見てひとつの期待(仮説?)が浮かび上がりました。今日はそのお話です。

サンプル写真から勝手に考える期待を込めた仮説
 小惑星Ryugu(1999 JU3)は炭素質コンドライトCI型である。

 小惑星には大きく分けてS型とC型があります。S型は主に岩とか石が主体となっている小惑星でStorny(石質)の頭文字を取ってS型小惑星と言います。それに対して炭素質を多く含む小惑星は炭素を意味するCarbonaceousの頭文字を取ってC型小惑星といいます。C型はS型よりも表面が黒く、光の反射率が極端に低い特徴があります。(S型とC型のほかに金属質のM型もあります。)

 火星と木星の間にある小惑星帯で数が多いのは圧倒的にC型ですが、C型は小惑星帯の外側にあるため地球に隕石として落ちてくることは稀で、落下隕石のほとんどがS型です。しかもC型は炭素質を多く含むため非常にもろく風雨にさらされると短期間で崩壊してしまうため、C型隕石が地上で見つかることはあまりありません。

 今回はやぶさ2がサンプルを採取したリュウグウはC型小惑星なので粒子が黒いの当然ですが、写真を見ると細かい粒子を含めてすべてが真っ黒すぎるほど真っ黒です。C型小惑星は地上に落下した隕石の岩石タイプ分析から6つのグループ(CI、CM、CV、CO、CR、CK)に分けられています。

 小惑星由来の隕石にはコンドリュールという粒状物質が含まれていますが、6グループの中でCI型だけがコンドリュールを含んでいません。今回公表されたはやぶさ2のサンプルがあまりにも真っ黒で、コンドリュール等を含んでいないように見えたことがCI型ではないか思った理由です。

マーチンソン隕石の写真をご覧ください。

 マーチソン隕石はアミノ酸が発見されて有名になった隕石ですがタイプはCM型炭素質コンドライトです。CM型は上記写真のようにコンドリュールとケイ酸塩鉱物が明るい色の含有物として見えます。はやぶさ2のサンプルはマーチソン隕石より色が黒く、含有物が少ないように見えます。

 もし、はやぶさ2のサンプルがCI型だとしたらスゴイことです。C型小惑星隕石の中で最も多く発見されているのはCM型(発見数161個)ですが、CI型はたったの6個(いずれも落下目撃隕石)しか発見されていません。C型小惑星は含水鉱物を多く含むことで知られていますが、水の含有率はCI型がダントツで20%もあります。これは密閉容器に入れて加熱すると、簡単に水分が出てきて容器の内側に水滴が付くレベルです。(ちなみにCM型の含水率は約10%です)

 もし、リュウグウのサンプルがCI型でなかったとしてもC型小惑星には違いないので多くの水と有機物が発見されることは間違いないと思います。まだ開封されていないキャプチャーB室C室にはリュウグウの地下から採取されたフレッシュなサンプルが入っている可能性があるので期待大です。

 今後の分析で、地球史上大きな謎となっている生命の元であるアミノ酸が地球上で生成されたのか、地球形成後の地殻にリュウグウのような炭素質小惑星が衝突して生命の「種」が蒔かれたのかというミッシングリンクに迫ることができるかもしれません。JAXAの今後の発表を楽しみに待つことにしましょう。

小惑星2018 VP1

2020年08月25日 | 隕石・小惑星
11月2日に地球に衝突する可能性がある小惑星2018 VP1がネットニュースで話題に上がっているのでこの小惑星についてメモしておくことにしましょう。

2018 VP1は2018年11月に発見され、観測と軌道計算から推定直径は2mと小さいがインパクトリスクが0.41%あることから、大気圏に突入する可能性のある天体として登録された小惑星です。

0.41%ってどういうこと? と思いがちですが、台風の進路図を思い描くとわかりやすいかと思います。ザックリ言えばこの小惑星の進路予想範囲のハジが地球に掛かっているということです。公開されている2018 VP1の軌道図を見ると最接近時に月軌道の中に入りこむが衝突はしないコースとなっています。衝突せずに安全に通過する確率は98.6%です。


しかし、これはあくまでも2年前のデータに基づくものであり、その後どの程度軌道が変わっているかは未知です。しかも2018VP1は地球軌道の内側から接近するため直前の観測ができません。


地球近傍通過後の観測で再発見できれば結果的に衝突せず通過したことが分かる事例です。


これまで発見後に地球に衝突した小惑星は3例あります。

■2008 TC3、衝突前に発見された最初の小惑星、過去ブログ→小惑星2008TC3、「小惑星2008TC3」その後…ついに発見!スーダン隕石!!
■2014 AA、衝突前に発見された2番目の小惑星、過去ブログ→小惑星2014AA
■2018 LA、衝突前に発見された3番目の小惑星、衝突8時間前に発見、推定直径2m、2018年6月8日16:44UTアフリカボツワナに隕石落下、

上記の例はいずれも衝突の直前に発見されており、地球近傍通過後に軌道が確定してから衝突した小惑星は一つもありません。

では、現在衝突の可能性があるとリストアップされている小惑星はどのくらいあるのでしょう? CNEOS のリストを確認してみました。

リストには今後100年間でインパクトリスクのある小惑星が22個登録されています。

直近から10年間のリストを見てみましょう。

最接近日    小惑星番号   推定直径   衝突確率  備考(次回の衝突リスク発生日)
2020.11.02   2018 VP1    2m    0.41%   *2025.11.2 0.00003%
2022.05.06   2009 JF1     13m   0.026%
2023.03.11   2005 ED224   54m  0.0002%
2024.10.04   2007 FT3    340m  0.00007% *2025.10.03 0.00000032%
2027.05.01   2008 JL3     29m  0.015%
2030.02.26   2005 QK76    31m  0.0036%

こうやって見ると2018 VP1の0.41%はけっこう高い確率に見えますね。リストの中で衝突のリスク(確率)が一番高いのは、2095.09.05に接近する2010 RF12(7m)で、リスクは4.6%です。 

リストには2029年4月13日に地球に衝突すると話題になった小惑星2004 MN4 アポフィス(推定直径370m)も載っています。衝突する可能性のある日は2060年4月12日(インパクトリスク 0.00001%)ですが、2029年4月13日に32.500kmまで接近し、3.3等級の明るさで夜空を横切る姿が肉眼で見えるようになると注目されています。

小惑星2020 QG

2020年08月19日 | 隕石・小惑星
2020年8月16日04時09分UTC(日本時間13時09分)に小さな小惑星(2020QG)が地球近傍をかすめて通過していきました。その距離は2,950km、これは最接近距離のワールドレコードです。



小惑星(2020 QG)が発見されたのは地球近傍を通過した6時間後。米国カリフォルニア州パロマーマウンテン--ZTFによって発見されました。この小惑星は地球軌道の外側から接近していたが、最接近直前に地球軌道の内側に入り込んだため事前の発見ができなかったものと思われます。










小惑星の推定直径は2.9~6.4m、アポロ群に属し、地球への最接近距離が0.0076LD(2,950km)だったことから、2011CQ1(5,480km)を抜いて地球に接近した小惑星の歴代1位となりました。



緑ラインは地球に対する小惑星の見かけの動き、緑色のマークは約30分間隔での小惑星の位置、灰色ラインが月軌道を表しています。↓



青い矢印は地球の動きの方向を指し、黄色の矢印は太陽の位置を指しています。

今回の小惑星は推定直径が4メートル前後のため地球に脅威を与える大きさではありませんが、衝突していれば習志野隕石程度の大火球になったと考えられます。




接近小惑星ランキング(距離編)
■ 1位 2,950km(0.0076LD) 2020.8.16(2020QJ)4m
■ 2位 5,480km(0.014LD) 2011.2.4 (2011CQ1)* 2m
■ 3位 6,200km(0.016LD) 2019.10.31(2019UN13) * 1m
■ 4位 12,000km(0.031LD) 2011.6.26(2011MD)* 10m
■ 5位 13,403km(0.034LD) 2020.5.4(2020JJ)4m
■ 6位 14,000km(0.036LD) 2009.11.6(2009VA)* 6m
■ 7位 16,913km(0.044LD) 2016.3.5(2013TX68) 30m
■ 8位 26,908km(0.069LD) 2013.12.23(2013YB) 2m
■ 9位 27,700km(0.072LD) 2013.2.16(2012DA14)** 58m
□10位 38,000km(0.1LD ) 2008.11.3(2008VM) 4m
□10位 40,000km(0.1LD ) 2014.9.7(2014RC) 19m
□11位 55,000km(0.2LD ) 2019.7.25(2019 OK) 79m 
□12位 72,000km(0.2LD ) 2009.3.2(2009DD45)* 35m
□12位 72,000km(0.2LD ) 2014.3.6(2014EC)* 10m
□13位 76,000km(0.2LD ) 2009.3.18(2009FH) 21m
□13位 76,000km(0.2LD ) 2009.10.22(2008UM1) 2m
□14位 79,000km(0.2LD ) 2010.9.8(2010RF12)* 9m
□15位130,000km(0.3LD ) 2010.1.30(2010AL30)*18m
□16位130,000km(0.3LD ) 2013.2.5(2013CY32)* 10m 
□17位153,000km(0.4LD ) 2014.3.6(2014EF)* 7m 
□18位190,000km(0.5LD ) 2009.2.2(2009CC2) 12m 
□19位248,000km(0.6LD ) 2010.9.8(2010RX30)* 16m
□20位266,000km(0.7LD ) 2009.6.1(2009KR21) 21m
□20位306,605km(0.7LD ) 2020.6.5(2020LD) 119m
□21位342,000km(0.9LD ) 2009.3.6(2009EW) 23m
□21位342,000km(0.9LD ) 2009.10.17(2009TM8) 17m
□21位342,000km(0.9LD ) 2014.3.5(2014DX110)* 31m

↑推定直径の前にある*印をクリックすると過去ブログにジャンプします。

■<GEO(静止衛星軌道) = 35,786 km、□<1 LD(月軌道) = 384,401 km

小惑星2020LD

2020年06月10日 | 隕石・小惑星
直径119mのアポロ型小惑星が2020年6月5日08時25分(日本時間6月5日午後5時25分)に月軌道内に入り込む接近( 0.7LD=306,605km )をしていたことが分かった。

小惑星2020LDを最初に観測したのは最接近を2日過ぎた6月7日。ハワイ島にあるATLAS(小惑星地球衝突最終警報システム)のマウナロア観測所 (ATLAS-MLO) が発見した。

発見時の推定直径は89-200m、月軌道内に接近する小惑星としては今年45個めであるが月軌道内に接近する100m級の小惑星としては2011年11月8日に接近した小惑星2005 YU55以来となる。

小惑星2005 YU55は2005年12月28日に発見されたアポロ群小惑星。2011年11月8日23時28分(UTC)に地球から32万5000kmのところを通過。2005 YU55の推定直径は400mとかなりでかいが、少なくとも今後200年間は地球、月、金星のいずれにも衝突しないことが分かっている安全な小惑星である

今回地球近傍を通過した小惑星2020LDは下図で分かるように地球内側軌道(昼の空)から接近してきたため直前の発見はできなかった。



北極側から見た最接近時の図


北半球側から近づいている。


今回の接近で特筆すべきは小惑星の大きさである。今回は衝突はしなかったもののこれが地球に衝突していたら未曽有の大災害になっていた規模と考えられる。

2013年2月15日にチェリヤビンスクに被害をもたらした落下小惑星の大きさは推定直径が17m(重さ1万トン)だったのに対し今回は推定直径が119mである。

体積比は単純計算して340倍であることから2020LDの重さは低く見積もっても300万トンとなる。

アリゾナ州にある有名なキャニオンディアブロの隕石孔クレーター(直径1200m)は10万トンの鉄隕石が落下してできたと考えられているので今回衝突していれば地球に新たなクレーターを作るレベルだったといえる。

物理学者スティーヴン・ホーキングは、2018年刊行の最後の著書で「大型小惑星の衝突が地球にとって最大の脅威である」と考えを述べている。

また、B612財団(小惑星の衝突から地球を守るために設立された財団)は「我々が壊滅的な小惑星衝突に遭うのは100パーセント確実だが、それがいつなのかは100パーセントわからない。」と報告している。

まったくその通りである。今回の接近は地球にとって非常に脅威であった。衝突しなかったことはとてもラッキーなことである。

チェリヤビンスク隕石の時もそうだが脅威は青空の向こう側からやってくる。まさに青天の霹靂…である。

小惑星2020 JJ

2020年05月06日 | 隕石・小惑星
小惑星接近情報です。
5/5付けのspaceweather「Near Earth Asteroids」に、またしても地球接近距離OLD(ゼロ・ルナディスタンス)の小惑星が載っていました。


*LD(ルナディスタンス)=月軌道までの距離( 384,401 km)
 この軌道内に入る小惑星は地球にとって脅威の対象となる。

小惑星2020 JJ 地球接近時の様子


The watchers.newsに詳しい情報が載ってました。

「Asteroid 2020 JJ flew past Earth at just 0.03 LD on May 4
-- the closest of the year and 6th closest on record」 on May 4, 2020 at 20:20 UTC


新たに発見された小惑星2020 JJは、2020年5月4日12:05 UTCに、0.03 LD / 0.0000896 AU(13,403 km / 8 328マイル)の非常に近い距離で地球を通過しました。

今年発見された月軌道内に入る小惑星としては40個目となります。

2020 JJは、2019年10月31日(2019 UN13)以降、最も近いフライバイであり、記録上6番目に近い小惑星フライバイです。この小惑星は、Mt. Lemmon Survey(アリゾナ州)で発見されましたが、確認できたのは地球に接近する直前です。アポログループに属しており、推定直径は2.7〜6 mです。


〈補足〉
2019年10月31日にフライバイした小惑星2019UN13に引き続き2回目のゼロ・ルナディスタンスです。
→過去ブログ「小惑星2019UN13」

2019UN13の大きさは1mほどでしたが、今回は推定直径が2.7〜6mほどなので2008年にスーダンに落下した小惑星2008TC3とほぼ同じ大きさです。今回もし衝突していれば2008TC3と同じ程度の隕石落下があったと思われます。
関連ブログ→「小惑星2008TC3」「小惑星2008TC3 その後…」「ついに発見!スーダン隕石!!」
watchers.newsには月別小惑星接近数も掲載されてありました。


今年は月軌道内に入り込む小惑星が多いなぁ~と思っていましたが、このグラフを見ると今年はかなり多いことが分かります。2020年は要注意かもしれません。



接近小惑星ランキング(距離編)
■ 1位 5,480km(0.014LD) 2011.2.4 (2011CQ1)* 2m
■ 2位 6,200km(0.016LD) 2019.10.31(2019UN13) * 1m
■ 3位 12,000km(0.031LD) 2011.6.26(2011MD)* 10m
■ 4位 13,403km(0.034LD) 2020.5.4(2020JJ)4m
■ 5位 14,000km(0.036LD) 2009.11.6(2009VA)* 6m
■ 6位 16,913km(0.044LD) 2016.3.5(2013TX68) 30m
■ 7位 26,908km(0.069LD) 2013.12.23(2013YB) 2m
■ 8位 27,700km(0.072LD) 2013.2.16(2012DA14)** 58m
□ 9位 38,000km(0.1LD ) 2008.11.3(2008VM) 4m
□ 9位 40,000km(0.1LD ) 2014.9.7(2014RC) 19m
□10位 55,000km(0.2LD ) 2019.7.25(2019 OK) 79m 
□11位 72,000km(0.2LD ) 2009.3.2(2009DD45)* 35m
□11位 72,000km(0.2LD ) 2014.3.6(2014EC)* 10m
□12位 76,000km(0.2LD ) 2009.3.18(2009FH) 21m
□12位 76,000km(0.2LD ) 2009.10.22(2008UM1) 2m
□13位 79,000km(0.2LD ) 2010.9.8(2010RF12)* 9m
□14位130,000km(0.3LD ) 2010.1.30(2010AL30)*18m
□15位130,000km(0.3LD ) 2013.2.5(2013CY32)* 10m 
□16位153,000km(0.4LD ) 2014.3.6(2014EF)* 7m 
□17位190,000km(0.5LD ) 2009.2.2(2009CC2) 12m 
□18位248,000km(0.6LD ) 2010.9.8(2010RX30)* 16m
□19位266,000km(0.7LD ) 2009.6.1(2009KR21) 21m
□20位342,000km(0.9LD ) 2009.3.6(2009EW) 23m
□20位342,000km(0.9LD ) 2009.10.17(2009TM8) 17m
□20位342,000km(0.9LD ) 2014.3.5(2014DX110)* 319

■<GEO(静止衛星軌道) = 35,786 km、□<1 LD(月軌道) = 384,401 km

小惑星2019UN13

2019年11月03日 | 隕石・小惑星
ほひょ、地球接近距離がゼロの小惑星? 
11/2付けのspaceweather「Near Earth Asteroids」に「10/31に小惑星2019UN13が距離ゼロLDまで接近」とあります。しか~し、小惑星が地球にインパクトしたというニュースは、まったく聞いていませんが、どういうことでしょう?


spaceweather.comの「Near Earth Asteroids」は小惑星名をクリックするとJPL Small-Body Database Browserにジャンプして軌道が表示されるので見てみました。

2019UN13は典型的なアポロ群小惑星、遠日点は火星軌道のすぐ内側のようです。


10月31日12:00(JST)、月軌道の内側に侵入…


10月31日22:00(JST)、距離76.000kmまで接近。


10月31日24:00(JST)、距離31.000kmまで接近。


最終的にはアフリカ上空6.200kmまで接近して通過したようです。

これまで入っている情報をまとめると、2019UN13は10/31に発見され、当初は地球にインパクトするとの予報もあったが、前述のようにぎりぎりのところを通過していった。この小惑星の平均直径は1~2m、重さは最大でも2.8tなので衝突しても地球に脅威を与えることはまったくない大きさである。地球最接近後は地球の引力により、遠日点が1.33 AU(火星の軌道内)から2.06 AU(内側の小惑星帯の端近く)に持ち上げられたようです。この小惑星は2023年10月26日に火星から0.0001 AU(10,000km)の距離を通過し、2111年11月1日に1/10000~1/30000の確立で地球に衝突するという予報も出ています。

接近小惑星ランキング(距離編)
■ 1位 5,480km(0.014LD) 2011.2.4 (2011CQ1)*
■ 2位 6,200km(0.016LD) 2019.10.31(2019UN13)
■ 3位 12,000km(0.05LD) 2011.6.26(2011MD)* 10m
■ 4位 14,000km(0.05LD) 2009.11.6(2009VA)* 6m
■ 5位 16,913km(0.044LD) 2016.3.5(2013TX68) 30m
■ 6位 26,908km(0.07LD) 2013.12.23(2013YB) 2m
■ 7位 27,700km(0.09LD) 2013.2.16(2012DA14)** 58m
□ 8位 38,000km(0.1LD ) 2008.11.3(2008VM) 4m
□ 9位 40,000km(0.1LD ) 2014.9.7(2014RC) 19m
□10位 55,000km(0.2LD ) 2019.7.25(2019 OK) 79m 
□11位 72,000km(0.2LD ) 2009.3.2(2009DD45)* 35m
□11位 72,000km(0.2LD ) 2014.3.6(2014EC)* 10m
□12位 76,000km(0.2LD ) 2009.3.18(2009FH) 21m
□12位 76,000km(0.2LD ) 2009.10.22(2008UM1) 2m
□13位 79,000km(0.2LD ) 2010.9.8(2010RF12)* 9m
□14位130,000km(0.3LD ) 2010.1.30(2010AL30)*18m
□14位130,000km(0.3LD ) 2013.2.5(2013CY32)* 10m 
□15位153,000km(0.4LD ) 2014.3.6(2014EF)* 7m 
□16位190,000km(0.5LD ) 2009.2.2(2009CC2) 12m 
□17位248,000km(0.6LD ) 2010.9.8(2010RX30)* 16m
□18位266,000km(0.7LD ) 2009.6.1(2009KR21) 21m
□19位342,000km(0.9LD ) 2009.3.6(2009EW) 23m
□19位342,000km(0.9LD ) 2009.10.17(2009TM8) 17m
□19位342,000km(0.9LD ) 2014.3.5(2014DX110)* 319

■<GEO(静止衛星軌道) = 35,786 km、□<1 LD(月軌道) = 384,401 km

小惑星2019 OK

2019年07月28日 | 隕石・小惑星
小惑星接近情報です。
7月27日付け SpaceWeather.com  Near Earth Asteroids によると2019年7月25日に
直径79mサイズの小惑星2019 OK が地球との最小軌道交差距離で55,000km付近をフライバイしたようです。


接近小惑星ランキング(距離編)
■ 1位 5,480km(0.03LD) 2011.2.4 (2011CQ1)* 2m
■ 2位 12,000km(0.05LD) 2011.6.26(2011MD)* 10m
■ 3位 14,000km(0.05LD) 2009.11.6(2009VA)* 6m
■ 4位 16,913km(0.044LD) 2016.3.5(2013TX68) 30m
■ 5位 26,908km(0.07LD) 2013.12.23(2013YB) 2m
■ 6位 27,700km(0.09LD) 2013.2.16(2012DA14)** 58m
□ 7位 38,000km(0.1LD ) 2008.11.3(2008VM) 4m
□ 8位 40,000km(0.1LD ) 2014.9.7(2014RC) 19m
□ 9位 55,000km(0.2LD ) 2019.7.25(2019 OK) 79m 
□10位 72,000km(0.2LD ) 2009.3.2(2009DD45)* 35m
□10位 72,000km(0.2LD ) 2014.3.6(2014EC)* 10m
□11位 76,000km(0.2LD ) 2009.3.18(2009FH) 21m
□11位 76,000km(0.2LD ) 2009.10.22(2008UM1) 2m
□12位 79,000km(0.2LD ) 2010.9.8(2010RF12)* 9m
□13位130,000km(0.3LD ) 2010.1.30(2010AL30)*18m
□13位130,000km(0.3LD ) 2013.2.5(2013CY32)* 10m 
□14位153,000km(0.4LD ) 2014.3.6(2014EF)* 7m 
□15位190,000km(0.5LD ) 2009.2.2(2009CC2) 12m 
□16位248,000km(0.6LD ) 2010.9.8(2010RX30)* 16m
□17位266,000km(0.7LD ) 2009.6.1(2009KR21) 21m
□18位342,000km(0.9LD ) 2009.3.6(2009EW) 23m
□18位342,000km(0.9LD ) 2009.10.17(2009TM8) 17m
□18位342,000km(0.9LD ) 2014.3.5(2014DX110)* 31m

■<GEO = 35,786 km、□<1 LD = 384,401 km

接近距離0.2LD(55,000km)は、接近小惑星ランキングでは超接近とはいえませんが79mという直径は接近した大きさ別小惑星としてはナンバー1になります。

小惑星2019OKは典型的なアポロ型小惑星です。今回の接近は地球軌道の外側から近づいてきたため、最接近前に発見することができましたが、これが地球軌道内側からの接近となると事前に観測をすることはできないため地球に落下するときは、まさに青天の霹靂となり地球にとって大ダメージを受ける結果となります。



今回の接近は月軌道のかなり内側(0.2LD)に入っています。静止衛星軌道(GEO = 35,786 km)の内側までは入っていませんが小惑星の直径を考えるとかなり危険な接近だったといえます。



関連はないと思いますが、7月24日にカナダで隕石落下を伴う大火球が目撃されたそうです。