goo blog サービス終了のお知らせ 

晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

アトラス彗星(C/2024 G3) 観望記録 1/16

2025年01月16日 | 彗星
午後から天気が良くなったので青空の中のアトラス彗星(C/2024 G3)を探してみました。

 本日の機材は20cmF5反射望遠鏡です。近日点通過から3日過ぎたアトラス彗星の太陽離角は10°、等級は近日点通過時より暗くなっていますがまだマイナス等級を維持しているようです。

 観望を開始した14時過ぎにはすでに金星が南の空高いところにあったのでアライメントは金星で行いました。十字線入り23mmアイピースで見た金星は半月状でとてもキレイに見えました。

 で、このアイピースのままアトラス彗星(C/2024 G3)を導入して覗いてみたのですが、太陽離角が10°でも空は白っぽくてアトラス彗星の確認はできませんでした。

 ここでもう一度金星を導入して惑星カメラのピン合わせをします。惑星カメラは前回と同じ174MM+IR-Pass Fillter 685nmです。f1500mmの望遠鏡に装着すると画角は0.4°×0.3°になるのでμ210よりは画角に余裕があります。

 惑星カメラでの撮影は15時11分から行いましたが露出やゲインを変えても彗星らしきものはまったく写りません。う~む、空がまだ明るすぎるようです。ここは隣家の屋根で見えなくなるまで撮影を続けることにしよう。

 と、心に決めて辛抱強く撮影を続けていると、突然ゆらゆらと揺れる彗星の核がモニターに写りました。時刻は16時15分です。この時の彗星の高度は10°でした。

 彗星は画面のやや右側にあったので中心に移動して撮影した画像がこちらです。オリジナルはモノクロですが白昼の雰囲気を出すため擬似カラーにしてあります。(^^ゞ

2025/1/16 16h22m(JST) SE200N+ASI174MM+IR-Pass685nm, 3.402ms×1000frames×50%, 10 degrees from the sun.

 16時27分に屋根が望遠鏡の写野に入ってきたので惑星カメラでの撮影は終了として、これ以降は2Fベランダから望遠レンズでアトラス彗星(C/2024 G3)を撮影したのですが、検出はできませんでした。

2025/1/16 17h12m14s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f420mm ISO640 F6.0 1/25sec

 明るさがマイナス等級なら写るはずですが、撮影方向が違っていたのか、たまたま雲の中だったのか
はたまた透明度が悪かったのか、どの写真を見てもそれらしきものは写っていませんでした。

2025/1/16 17h12m25s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f420mm ISO640 F6.0 1/25sec

 今日は山越えの雪雲が少なかったので撮影できると思ったのですがね~。

アトラス彗星(C/2024 G3) 近日点通過日・観望記録 1/13

2025年01月13日 | 彗星
アトラス彗星(C/2024 G3)が 近日点を通過する1月13日の観望記録です。

 実は1月12日もアトラス彗星ウオッチングをしたのですが雲で確認することはできませんでした。

2025/1/12 06h16m27s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f320mm ISO1600 F5.6 1/10sec

 で、本日の近日点通過日が早朝観望のラストチャンスとなります。太陽との離角はわずかに5°、彗星が地平線から昇ってくる時刻は日の出20分前の6時30分です。

 家を出発したのは昨日と同じ5時40分ですが、彗星の出が遅くなっているぶん時間に余裕があるのでコンビニでホットカフェラテだな…と思いながら車を走らせてると西空に真っ赤な火星が見えました。
 
 昨夜は夜半に曇ったので最接近の火星撮影は断念したのですが何時頃から晴れたのだろう?撮影できたかな?…と思った直後のことです。メタセコイヤの林の上でこちらを見ているまん丸お月さまが突如として視界に飛び込んできました!おー、これは…

 そう!これはまさにあの有名な映画のワンシーン… エリオットがBMXのバスケットにETを乗せて空を飛ぶシーンそのものです… わ~ぉ!(見た時は運転中だったのでコンビニで撮影した写真がコチラ→photo

 うん、いいものを見たな~、早起きは三文の徳だなぁ~と思いながら観望地に着くと、なんと東の空はほぼ全曇りでした…トホホ

2025/1/13 06h20m35s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f170mm ISO400 F5.0 1/8sec

 それでも雲のスキマから見えることを期待して撮影を続けましたが…

2025/1/13 06h47m19s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO250 F6.3 1/250sec

 画像処理をガリガリにしてもなにも出てきませんでした。

2025/1/13 06h53m06s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO250 F5.0 1/640sec

 ま、この天気なのでしかたありません。今日は天気が良くなったら白昼のアトラス彗星を撮影する予定なので帰って準備をすることにしましょう。

 白昼のアトラス彗星撮影システムは、μ210+モノクロ惑星カメラ174MM+IR-Pass Fillter 685nmです。ピン合わせは昨夜の宵の口に完了済みです。

 天気は晴れてきましたが雲が多くしばらくは待ちの時間がただただ過ぎていきました。10時過ぎにようやく太陽の周辺が快晴の状態になったので撮影開始です。

 撮影方法は太陽でアライメントをとったあとに自動導入で望遠鏡をアトラス彗星(C/2024 G3)に向けます。μ210+174MMの画角は 0.3°×0.2°なので一発導入させるためには太陽アライメントを正確に行う必要があります。

 太陽で望遠鏡のアライメントをとるのはとても危険なので注意が必要です。私の場合は望遠鏡に太陽の光が入らないようにまずはしっかり蓋をします。

 で、ファインダーの対物レンズ側にソーラーフィルターをかぶせて太陽アライメントをスタートさせます。太陽は視直径が30′もあるのでファインダーの十字線が太陽の中央に来るように微調整をします。

 ファインダーで合わせているので正確ではありませんが離角が5°と近いので画角に入ることを期待して導入スタートです。望遠鏡が止まったら最初にファインダーのソーラーフィルターを外してファインダーの視野に太陽が入ってないことを確認します。

 ここで、望遠鏡の蓋を外しますが、望遠鏡の筒先には迷光が入らないように長めのフードを取り付けます。さあ~、アトラス彗星(C/2024 G3)は画角に入っているでしょうか?露出を変えて数ショット撮影したら室内にノートPCを移動して動画チェックです。

 う~む、やはり一発導入は無理か~と思ったのですが、ゆらゆら揺れる何かが写っています。ビンゴです! 自動導入が頑張ったようです。白昼のアトラス彗星ゲットです!

2025/1/13 11h03m(JST), μ210, ASI174MM, IR-Pass685nm, 5.771ms×1000frames×25%, 5 degrees from the sun.


太陽に0.095au(1425万km)まで近づいたアトラス彗星(C/2024 G3)

2025/1/13 11h19m(JST), μ210, ASI174MM, IR-Pass685nm, 14.06ms×1000frames×25%, 5 degrees from the sun.

 11時00分から開始した撮影は11時20′過ぎに雲が多くなって終了となりました。晴れる気配がなかったので午前の撮影はこれで終了となりましたが、望遠鏡でアトラス彗星(C/2024 G3)が見えるかを確かめることができなかったので午後に晴れたらチャレンジです。

 で、午後は14時過ぎに晴れたので8cm屈折望遠鏡をセットしてアトラス彗星(C/2024 G3)を導入したのですがまったく見えませんでした。惑星カメラASI174MMを装着して撮影も行ったのですが画像処理をかけても検出できず…

 太陽アライメントのほかに金星でもアライメントを取って導入をしたのですが、何度やっても見えず写らずでした。コントラストが低いのかそれほど明るくないということなのか分かりませんが最後まで検出はできませんでした。

 アトラス彗星が南中する頃を見計らって太陽を屋根で隠して双眼鏡で探した時も眼視ではまったく見えませんでした。SOHO画像では頭部がブルーミングを曳くほど明るく写っていたのですが白昼見える彗星とはならなかったようですね。

 太陽が山越えの雪雲に沈んだ直後も8cm望遠鏡で撮影を続けたのですがアトラス彗星を確認することはできませんでした。日中にμ210で撮影できたことはミラクルな出来事だったかも…ですね。


〈追記~18年前の1月13日夕方に目撃したマックノート彗星(C/2006 P1)〉

アトラス彗星(C/2024 G3) 観望記録 1/11

2025年01月11日 | 彗星
SCWの天気情報を見続けて5日目やっとアトラス彗星を観望できる天気がやって来ました~!

 現在時刻は05時30分… アトラス彗星(C/2024 G3)が昇ってくる06時を目指して出かけましょう!観望地は近くの高台、標高130m地点です。東の低空の雲の具合が気になりますがそれは現地で確認です。

 では、観望の前にアトラス彗星(C/2024 G3) の基本情報をまとめておきましょう!

メモメモ…φ(.. )
 C/2024 G3は2024年4月5日にチリのリオ・ウルタドにある0.5m反射望遠鏡を使用した小惑星地球衝突最終警戒システム(ATLAS)の調査撮影によって発見された彗星である。

 発見当時はこの彗星はオールトの雲から降りてくる新しい彗星で絶対等級が非常に弱い H =9であることから0.093天文単位の近日点を通過する可能性はほとんどないだろうと考えられていた。

 近日点0.09auの彗星が近日点を無事通過するためのボートル限界値は H=7+6×0.093=7.558等級である。この等級より明るければ太陽のサンバーンに耐えて生き残るのだが絶対等級がH = 9のC/2024 G3はカテゴリー的には間違いなく蒸発して消えてしまういわゆる「運命づけられた彗星」になる。

 ところが複数の観測による軌道を精査したところ、C/2024 G3は以前に太陽に接近したことがあるダイナミックな古い彗星である可能性が高いことが分かった。最新の観測で絶対等級は7.6等級に修正されている。*1812年7月12日に Jean-Louis Ponsが、1833年9月2日にはWilliam R. Brooksが観測している。参考→資料1,資料2

 絶対等級が7.6等級となるとC/2024 G3のボートルの限界値(H=7+6×0.093=7.558等級)とほぼ同値になるので太陽のサンバーン耐える可能性はかなり高くなる。サンバーンに耐えることができるとしたら近日点通過時(2025.1.13)には青空のなかで見える彗星になる可能性はある。

 過度な期待は禁物だが-3.2等級~-5.3等級まで増光する予測もあるので太陽を遮蔽して撮影すれば十分写る光度ではある。近日点通過後は南下するので南半球でしか観測できないが1月13日の夕方は日没時刻の前後に西空の低高度で姿を現す可能性がある。天気が晴れることを期待したい。

 …と考えながら運転をしていると、ふむ、観望地に着きました。ほひょ~、かなり寒いですね~。気温は-6.0°、積雪は…15cmほどです。それはさておいて、さっそく東の空を確認すると…

おー、晴れてます!雲は低高度の0.5°~1°付近にあるだけです!この上なく極上の撮影条件です。時刻は…06時、まもなくC/2024 G3が昇ってきます。彗星が昇ってくる磁方位は120°付近なのでコンパスグラスで撮影磁方位をたしかめて撮影準備完了です。

 空はかなり明るくなっています。彗星は眼視でも双眼鏡でも視認できない可能性があるのでとにかく連続撮影開始です。目安としていた水星がこの時刻に見えるはずですが…なぜか見つかりません。

 ふ~む、双眼鏡でも撮影画像でも彗星を確認できないまま時刻は06時15分になりました。ひょっとして撮影方向を間違っているのか!?と急に不安になったのでここは冷静になって双眼鏡で水星を探してみましょう。水星が見つかればその9°東の高度差3°のところに彗星が確実にあるはずです。

 で、探すこと十数秒…お、水星がありました。水星の明るさは-0.4等級です。双眼鏡の視野は7°なので東に動かして、この辺に彗星が… おー、ありました! C/2024 G3 発見です!しっかりクッキリはっきり見えます!核の光度は水星と同じ… いや、大気減光を考慮すると水星より明るいと思われます。そして、なんと彗星の尾が双眼鏡ではっきり見えています。これはオドロキです。

 双眼鏡ではこの画像のように見えました~。

2025/1/11 06h20m12s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO640 F6.3 1/20sec

 この時間は薄明がものすごいスピードで進んでいくので空はシャッターを押すごとに明るくなっていきます。おっと、指がかじかんでうまくシャッターを押せません。薄手の手袋は操作性はいいのですが耐寒性が足りませんね~。

 ふう、06時30分に水星も彗星も双眼鏡で確認できなくなりました。観望&撮影終了です。あとは自宅で撮影画像を確認することにしましょう。道路は圧雪状態です。ここ2年間はこれほどの積雪はなかったので3年ぶりの降雪ですね。安全運転で帰ることにしましょう。

 さて、自宅に戻って画像を確認するとカメラが彗星を最初に捉えたのは6時13分だったようです。

2025/1/11 06h13m49s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f250mm ISO640 F5.3 1/10sec

 光度-0.4等の水星との位置関係はこんな感じでした。

2025/1/11 06h14m03s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f150mm ISO640 F5.0 1/10sec

 画像処理で尾が浮かび上がりました。撮影時の彗星高度は1.8°、太陽高度は-6.6°です。

2025/1/11 06h20m12s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f600mm ISO640 F6.3 1/20sec

 太陽高度は-6.2°…まもなく市民薄明が始まる時間です。

2025/1/11 06h22m29s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f480mm ISO640 F6.0 1/50sec トリミング

 市民薄明になった6時25分ごろから双眼鏡で彗星を確認することができなくなりました。画像ではこのカラスとのツーショットフォトがアトラス彗星を捉えたラストショットでした。笑

2025/1/11 06h25m41s D810A SIGMA150-600mm f5-6.3 f350mm ISO640 F5.6 1/50sec

 このあとの画像にはアトラス彗星だけでなく水星も写っていなかったのでアトラス彗星と水星はほぼ同じ明るさだったと言えるかも…ですね。

 日中も天気が良かったので8cm屈折望遠鏡をアトラス彗星に向けてみましたがなんにも見えませんでした。水星も確認できなかったので白昼見える明るさには到底足りない…というところですね。

金星はパッチリ見えたのでアトラス彗星が-5等級まで明るくなれば見える可能性大ですね。

2025/1/11 11h00m07s EVOSTAR80ED D810A ISO200 1/640sec




アトラス彗星(C/2024 S1)のその後(最終報告)

2024年10月29日 | 彗星
C/2024 S1 (ATLAS) は残念ながら太陽熱に耐えることができなかったようです。


 ↓ 07:24(UT)の画像では彗星の頭部(核)が写っていましたが…


 ↓ 08:24(UT)の画像では頭部(核)が見えなくなって…


 ↓ 09:00の画像が C/2024 S1 (ATLAS) の尾の残骸を確認できた最後の画像となりました。

 かくして 2024年ハロウィーン・グレートコメットという称号が準備されていたアトラス彗星(C/2024 S1)は幻となってしまいました~。まー、ほうき星は水物(氷物?)なのでしかたないですね~。

 さて、クロイツ群ほど太陽に接近はしませんが来年1月13日に近日点距離0.09auまで近づくアトラス彗星(C/2024 G3)がマイナス1等級になるのでは、…と注目されています。

 こちらもアトラス彗星(C/2024 S1)と同様に太陽熱に耐えることができず消滅するだろう…と予測されていますが、生き残ればマイナス13等級になるというトンデモ予測もあるので注目株ではあります。

 軌道を見ると条件良く見られるのは南半球で、北半球では近日点通過後に観測できる可能性はあるがほぼ無理だろうレベルなのでまたしてもSOHOでのウオッチングになりそうですね。

アトラス彗星(C/2024 S1)のその後(速報)

2024年10月28日 | 彗星
C/2024 S1 (ATLAS) がSOHOのLASCO C2画面に入ってきました。


 LASCO C2の最新画像ではかなり小さくなっていますが、まだ健在のようです。


  C/2024 S1 (ATLAS)と同じサングレーザー彗星で「2011年クリスマスのグレートコメット」となった「ラブジョイ彗星(C/2011 W3)クロイツ群」は絶対等級が C/2024 S1 (ATLAS)と同じ15等級でしたが100万度のコロナに耐え抜いてみごとな大彗星となったので、ここからが勝負ですね!

↓ ラブジョイ彗星(C/2011 W3)が太陽コロナを通過する様子(近日点距離:14万km)

  アトラス彗星(C/2024 S1)がコロナに耐え抜いて生き残るのか、それとも蒸発して雲散霧消となってしまうのか、今後の状況を見守ることにしましょう。

 がんばれ~、アトラス彗星!

アトラス彗星(C/2024 S1)

2024年10月27日 | 彗星
明日10月28日に太陽から約 0.008 au(約120万 km)しか離れていない近日点を通過するサングレーザー彗星のC/2024 S1 (ATLAS) がSOHOのLASCO C3画面で見えるようになってきました~。

え!? どこにあるの?…と探してしまうほど、めっちゃ、小さいです!


↓ こちらは2010年3月に太陽にダイブして消滅したクロイツ群の彗星です。C/2024 S1 (ATLAS)も太陽に近づくにつれて徐々に光度を増していくと思われますので推移を見守ることにしましょう。


〈関連ブログ〉
運命づけられた彗星:SUNGRAZING COMET 2016.8.5
C/2019 Y4 アトラス彗星 2020.4.7
C/2019 Y4 アトラス彗星はどうなるの? 2020.4.8
アトラス彗星(C/2019 Y4)が昼間見える彗星になる可能性はあるの? 2020.4.9
結局、アトラス彗星(C/2019 Y4)は見えるの?見えないの? 2020.4.10
FRAGMENTS OF COMET ATLAS 2020.4.15
アイソン彗星(C2012/S1)11/21~12/1 2013.12.05

紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)9th 観望記録 10/21

2024年10月24日 | 彗星
10月21日は曇りの予報だったのですが、日没後に星が見えたので自宅で観望しました~。

 さすがに肉眼では見えませんでしたが、双眼鏡で尾がしっかり見えて、超ビックリです!

2024/10/21 17h49m23s  D810A AS-F NIKKOR 24mm-70mm F2.8 ED f70mm F3.5 ISO6400 3sec 

 光害がバリバリある自宅で双眼鏡越しとは言えこれほど尾がスッと伸びたほうき星は見たことがありません、う~ん、おそるべし、紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)… これはモンスター級ですね。


2024/10/21 18h28m18s  D810A AS-F NIKKOR 24mm-70mm F2.8 ED f70mm F3.5 ISO4000 3sec×4 

 で、自宅で捕獲できた貴重な?画像なのでガリガリの画像処理を見境なく行いました~。(^^ゞ

2024/10/21 18h28m18s  D810A AS-F NIKKOR 24mm-70mm F2.8 ED f70mm F3.5 ISO4000 3sec×4 トリミング

 なんとアンチテールまで見えてまたまた超ビックリです。尾の長さをステラナビで調べたところ写っていたのは満月15個分の7°30′ほどでした。わぉ!

 彗星本体の明るさは暗くなりましたが、薄明終了時の高度が30°もあるのでこれからは自宅の望遠鏡で撮影できそうです。天気の具合を見ながら撮影にチャレンジしてみることにしましょう。

紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)8th 観望記録 10/20

2024年10月22日 | 彗星
紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)8回目の観望記録です。

 10月20日は紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)が夕方の空で見えるようになってから、月明かりのない薄明終了後の夜空で初めて見ることができる日です。とはいっても薄明終了が18時18分で、月出が18時28分なので、薄明終了後の夜空は計算上は10分しかありません。

 そこで今回は夜空が一番暗くなった時間はいつなのかを把握するためSQM(スカイクオリティメーター)でソラノクラサを計測しながら紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)を撮影します。

 観測地はなるべく空が暗いところがいいので10月2日に行った紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)3rd観望場所にしました。ここは数値上では蔵王よりも空が暗い場所です。

 気になる天気ですが予報は快晴で、晴れガールの妻も同行しているので天気の心配はまったくありません。日没前は西空にわずかに雲がありましたが日没後は見事な快星になりました~。

 日没時刻は16時50分です。1等星が見え始める時刻は17時40分頃ですが、なんと17時32分にはデジカメ上で彗星を確認することができました。さすが空が暗い場所は違います。

  17時50分を過ぎる頃には肉眼でスッと伸びる尾がはっきり見えました。ここで車の中で待機している宙ガールさんに声を掛けてほうき星観望会の始まりです。

17時54分に撮影した紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)

2024/10/20 17h54m44s D810A Zoom-NIKKOR*ED 50-300mm F4.5 f300mm ISO3200 25sec ↑ 焦点距離300mm  photo

 まずチェアに座ってもらって双眼鏡で紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)を見つけてもらいます。上の方に伸びている尾も確認したところで双眼鏡から目を離して眼視で彗星を見てもらいます。

2024/10/20 17h56m28s D810A Zoom-NIKKOR*ED 50-300mm F4.5 f100mm ISO3200 60sec ↑ 焦点距離100mm  photo

 あ~、あれね、うん、見える。尾が伸びているのも分かる… これがほうき星なのね、初めて見た… とご満悦そうでした。尾が伸びている方を見上げると… ほほう、天の川が色濃く見えます。その中に明るい3つの1等星が見えます。そうです。夏の大三角です。

 夏の大三角がわからなくなるほど色濃い天の川も凄かったのですが、その下にまっすぐ尾を伸ばしたほうき星があるなんて、これまで見たことがあっただろうか… と悦に浸ってる時間はありません! 月が昇ってきます!撮影を急ぎましょう。

 こちらは尾の長さを実測するために感度を上げて撮影した紫金山・アトラス彗星です。なんと尾はあの死者をも蘇らせるへびつかい座の医神アスクレピオスの体を突っ切って右肩まで伸びています。

2024/10/20 18h05m31s D810A Zoom-NIKKOR*ED 50-300mm F4.5 f50mm ISO10000 20sec  ↑ 焦点距離50mmです! photo

 眼視で見えた尾の長さは約13°でしたが、この写真を使ってステラナビで計測すると尾の長さははっきり確認できるところで19°、ひいき目で見ると20°は伸びているかな…という感じです。(photo)

2024/10/20 18h05m31s D810A Zoom-NIKKOR*ED 50-300mm F4.5 f50mm ISO10000 20sec  モノクロ反転 ↑ 焦点距離50mm

空が最も暗い時間に撮影した紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)*SQM測定値20.91

2024/10/20 18h12m52s D810A Zoom-NIKKOR*ED 50-300mm F4.5 f300mm ISO12800 15sec  ↑ 焦点距離300mm   photo 

紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)と天の川 

2024/10/20 18h26m26s  D810A AS-F NIKKOR 24mm-70mm F2.8 ED f24mm F2.8 ISO6400 15sec ↑ 焦点距離24mm photo

 月出の3分前ですが空はすでに月明かりの影響を受け始めました。*SQM測定値20.72

2024/10/20 18h27m07s  D810A AS-F NIKKOR 24mm-70mm F2.8 ED f70mm F2.8 ISO6400 15sec ↑ 焦点距離70mm

 月出3分後には空が急速に明るくなって、彗星の姿が見る見るやせ細っていきました。天の川もすでに眼視では見えません。明るい空ではまるで別のほうき星を見ているかのように小さく感じます。

2024/10/20 18h31m46s  D810A AS-F NIKKOR 24mm-70mm F2.8 ED f30mm F2.8 ISO6400 15sec ↑ 焦点距離30mm

 東に見える山の端から強烈な月光を放って月が昇ってきました。まるで背後からスポットライトを浴びたかのように自分の影が伸びているその先で、月光に負けじと尾を伸ばしている紫金山・アトラス彗星が空に浮かんでいます… それは神々しささえ感じるすばらしい眺めでした~。

2024/10/20 18h49m12s  D810A AS-F NIKKOR 24mm-70mm F2.8 ED f38mm F2.8 ISO6400 10sec ↑ 焦点距離38mm

本日のラストフォト

2024/10/20 19h25m54s  D810A AS-F NIKKOR 24mm-70mm F2.8 ED f70mm F2.8 ISO3200 8sec ↑ 焦点距離70mm
*撮影時の月高度はすでに8°に達していて地上が月明かりで昼間のように写ってます。私の眼力ではこの時の彗星は見えませんでした。*SQM測定値19.85 月齢17.7 輝面比0.87

さて、SQM(スカイクオリティメーター)によるソラノクラサですが、測定結果は下記のとおりでした
  注:SQM測定はすべて天頂方向です。

 時刻 彗星高度 SQM測定値 月高度
 17:20  33°    -   -航海薄明開始-   
 17:30  31°   17.23
 17:40  29°    -     
 17:50  27°   19.61  -天文薄明開始-
 18:00  25°   20.52
 18:10  24°   20.91  SQM最高値
 18:18  23°    -   -天文薄明終了-
 18:25  21°   20.72
 18:28  20°   20.71  -月出-
 18:35  19°   20.54   1° 
 18:40  18°   20.47   2°
 18:55  16°   20.28   3°
 19:00  15°   20.20   4°
 19:05  14°   20.20   5°
 19:10  12°   19.94   6°   
 19:20  10°   19.98   7°
 19:25  9°     19.95   8°
 19:30  8°     19.85   8°

〈考察〉
 予想どおり月明かりの影響は月出時刻より前に現れていた。空が最も暗かったのは天文薄明が終わる10分前から薄明終了時刻までだったと思われる。

 撮影場所はLight pollution map上ではSQM値21.79となっている地点だが今回のベスト測定値が20.91だったのは天文薄明終了と同時に月齢18の月明かりの影響が出たからだと思われる。

 月明かりがなくて生活光の影響も受けない場所であればさらに長い尾が撮影できていたかもしれない。とはいえ眼視で約13°、画像で19°の尾を伸ばした紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)は誰もが認める令和の大彗星だったと記憶されることだろう。

 となると令和の大彗星論議の対象となるのが2020年(令和2年)7月に出現したネオワイズ彗星(C/2020 F3) だ。撮影画像はともかく眼視で見た(ネオワイズ彗星は実測SQM値21.36magの地点で観望)感じでは、尾の派手さ(広がり)では明らかにネオワイズ彗星(C/2020 F3) が勝っていたと言える。

 しかし、尾の長さと見た目のほうき星らしさ(容姿?)と天の川と一緒に見えたというロケーションを加味すると紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)に軍配が上がる感じがする。(個人的な感想で~す)


〈観望中の空(ソラノクラサの変化)の様子〉



 今後、紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)は暗くなって尾の長さも短くなるが、高度が上がって月も細くなるので観望条件は良くなっていく。予報を見ると不安定な天気が続くようだが、晴れ間を見つけてもうしばらくウオッチングを続けることにしよう。

紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)7th 観望記録 10/17

2024年10月18日 | 彗星
満月の空で紫金山・アトラス彗星が見えるかを確かめるべく7回目となる観望に出かけたのですが…
雲多し!で雲のスキマからかろうじて見えるだけでした~。

 今回の観望地は吉田川の堤防です。日没30分後の西空はこんな感じでした。

2024/10/17 17h31m19s  D810A AS-F NIKKOR 24mm-70mm F2.8 ED f29mm F2.8 ISO1600 1/8sec

 今日は近くに目印となる明るい星があったのでC/2023 A3はすぐに見つかったのですが、晴れているように見えたところにも高層雲があってクリアな空ではありませんでした。

2024/10/17 17h44m51s  D810A AS-F NIKKOR 24mm-70mm F2.8 ED f70mm F2.8 ISO3200 1/3sec(トリミング)

 いい感じに晴れてきたと思ったら飛行機雲がやって来ました。わぉ、バッドタイミング!

2024/10/17 17h48m48s  D810A AS-F NIKKOR 24mm-70mm F2.8 ED f70mm F2.8 ISO3200 1/1.3sec(トリミング)

 飛行機雲と彗星の尾がクロスするのは珍しいことではありますが、今はいらないなぁ~

2024/10/17 17h49m27s  D810A AS-F NIKKOR 24mm-70mm F2.8 ED f70mm F2.8 ISO3200 1/1.3sec(トリミング)

 本日の天文薄明開始は17時50分、薄明終了の時間は18時24分です。満月高度は17時50分で12°、18時30分では20°になります。空はすでに満月の影響をかなり受けています。

 う~む、薄明+満月光でも尾がしっかり写っていますね~。これはスゴイことです。

2024/10/17 17h49m49s  D810A AS-F NIKKOR 24mm-70mm F2.8 ED f70mm F2.8 ISO3200 1/1sec(トリミング)

 この天気なので尾は見えませんでしたが双眼鏡で彗星の頭部を確認することができました。

2024/10/17 17h58m56s  D810A AS-F NIKKOR 24mm-70mm F2.8 ED f70mm F2.8 ISO3200 1/1.6sec(トリミング)

 薄明終了時の彗星高度が15°なので期待したのですが18時以降は雲で見えなくなりました。

2024/10/17 17h59m25s  D810A AS-F NIKKOR 24mm-70mm F2.8 ED f70mm F2.8 ISO3200 1/1.3sec(トリミング)

本日のラストフォト「薄明終了後の満月に照らされた紫金山・アトラス彗星」

2024/10/17 18h28m25s  D810A AS-F NIKKOR 24mm-70mm F2.8 ED f70mm F2.8 ISO3200 1/1sec(トリミング)

 SCWでは18:30~19:00に晴天域が来る予報でしたが、見えたのは一瞬でその後は晴れる気配がまったく無かったので「満月の日観望会」は終了となりました。

〈観望中の雲の様子〉


紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)6th 観望記録 10/16

2024年10月17日 | 彗星
ふむ、SCWを見ると晴天域が日本海側から近づいています。仙台上空が晴れることはなさそうですが西空の雲にスキマができれば紫金山・アトラス彗星が見えるかも…です。

 ダメ元で行ってみるか~といそいそと準備をしていると、傍らで「今日はどこへ行くの?…私も行こうかな~」のつぶやきが…

 おっと、こ~れはチャンスです!妻は最強の晴れガールなので一緒に行くと晴れるかもしれません。で、本日の観望場所は近場の田んぼであることを伝えてご一緒してもらいました。

 観望地に着いたのは6時頃でしたが、空はご覧のとおりどん曇りでした。これは無理かな~。

2024/10/16 17h58m30s  D810A AS-F NIKKOR 24mm-70mm F2.8 ED f48mm F2.8 ISO2500 1sec(トリミンク)

 6時15分頃に金星とアークトゥールスが見えましたが紫金山・アトラス彗星は雲のムコウガワです。

2024/10/16 18h14m17s  D810A AS-F NIKKOR 24mm-70mm F2.8 ED f27mm F2.8 ISO2500 1sec(トリミンク)

 アークトゥールス付近には雲のスキマがあるのですが、彗星の辺りはまったく晴れません。

2024/10/16 18h14m52s  D810A AS-F NIKKOR 24mm-70mm F2.8 ED f34mm F2.8 ISO2500 1sec(トリミンク)

 今日はダメか~となかばあきらめかけたその瞬間、 ついにカメラが彗星の頭部を捉えました!

2024/10/16 18h41m32s  D810A AS-F NIKKOR 24mm-70mm F2.8 ED f60mm F2.8 ISO2500 1.6sec(トリミンク)

 その5分後には上方に伸びる尾も写ったのですが、天気が回復することはありませんでした。

2024/10/16 18h44m59s  D810A AS-F NIKKOR 24mm-70mm F2.8 ED f60mm F2.8 ISO2500 2sec(トリミンク)

 18時55分過ぎには木の向こう側に沈んだので、車で200mほど移動して撮影を再開したところ、

2024/10/16 18h55m03s  D810A AS-F NIKKOR 24mm-70mm F2.8 ED f70mm F2.8 ISO2500 2sec(トリミンク)

 移動の間に雲が切れたらしく、長い尾が姿を現わしていました。ラッキー!

2024/10/16 19h02m59s  D810A AS-F NIKKOR 24mm-70mm F2.8 ED f70mm F2.8 ISO2500 1.6sec(トリミンク)

本日のベストフォト

2024/10/16 19h04m07s  D810A AS-F NIKKOR 24mm-70mm F2.8 ED f70mm F2.8 ISO2500 4sec(トリミンク)

 今回は晴れガールさんのおかげで(この雲量を考えるとまさに奇跡的に)写すことができましたが、眼視はもちろん双眼鏡でも彗星の位置を確認することはできませんでした。

 明日は満月ですが彗星頭部の光度は3等級はあるので十分写るはずです。尾の見え方はかなり短くなると思いますが満月の日に尾が伸びた彗星を撮影する機会はめったに無いので晴れてほしいですね。