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晴れ時々スターウォッチング

昔の出来事もたま~に紹介

春の星座で二重星ウオッチング!

2024年05月08日 | 二重星
天気が良くなった5月2日に春の星座で二重星ウオッチングをしました~。

 最初のターゲットはおとめ座の γ(ガンマ)星 ポリマです。おとめ座 γ星は見かけ等級がほぼ等しい(3.65等級と3.56等級)連星で離角が2".9と近いのでキレイな双子星に見えます。

 ポリマまでの距離は約38光年、 公転周期が168.93年の連星で1836年と2005年の離角が最小でわずかに0".2~0".3 ほどだったそうです。2020年以降は小望遠鏡でも分離できる離角(2".9)になっているようなので今が見頃といえますね。



 次のターゲットはしし座の γ(ガンマ)星 アル・ギエバです。明るい方(主星)の見かけ等級が2.28等級で伴星が3.51等級なのでやや光度差がある二重星です。色味は黄色系(伴星は緑がかった黄色?)で離角は4".7です。

 こちらも連星ですが、2つの恒星は少なくとも170天文単位(太陽と冥王星の間の距離の4倍)も離れていて、公転周期は500年以上であるため完全な軌道はまだ分かっていないそうです。




 3番目のターゲットはうしかい座のε(イプシロン)星 イザールです。プルケリマといった方がピンとくる二重星ですね。主星の明るさが2.37等級で伴星が5.12等級、オレンジ色系の主星と青色系の伴星の色の対比がとても美しいペアです。離角は2".9ほどですがしっかり分離して見えました。




 さて、本日の最後のターゲットは「星座の事典」のうしかい座のページで「美しい二重星。離角は年々減少していて、現在、口径15cmの望遠鏡で2つの星に見える。」と紹介されている「うしかい座の44番星」です。

 今宵の観望はステラナビゲーターを赤道儀に接続させてあるので、44Booを検索してToGoさせれば導入完了なのですが、望遠鏡の視野に入ってきた星はどう見ても二重星に見えません。

 倍率を96倍→134倍→268倍と上げてもひとつ星で、だるま状に見えることもありません。導入がズレたかなぁ~と思って再導入してみたのですが間違ってはいないようです。

 とりあえず25mmアイピースで撮影をしてみたところ分離はしていませんでしたがどこか違和感を感じたのでアイピースを18mmに交換して撮影してみると、わぉ、分離しました~。

 うしかい座44番星はハーシェルが発見した二重星のようですが、二重星であることが確認された1819年のときの離角が1".5 で2020年現在の離角はわずかに0".2 のようです。

 なるほど、20cm望遠鏡の分解能は0".6なので、倍率を高くして覗いても離角0".2の44番星が分離しないのは当然のことだったんですね~。うしかい座44番星の見かけ等級は4.83等級ですが分離すると主星が5等級で伴星が6等級の明るさになるそうです。



 さて、今宵のウオッチングはこれで終了です。眼視で見てから惑星カメラに切り替えて撮影するのはピント合わせやら何やらで意外と時間がかかってしまいます。この続きは次回の晴れたときに~と待っていると季節が進んで予定の天体が撮影できなくなること学びました~。
 
 撮影対象リストは季節を先取りして計画することが効率の良さにつながりますね。

春のアルビレオ(Iota Cancri, 24 Comae Berenices)

2024年05月03日 | 二重星
春のアルビレオと言われている二重星「かに座 ι(イオタ)1星」と「かみのけ座 24番星」をウオッチングしました~。

 ウオッチングした夜は春霞で透明度が良くなかったので、夜空も心もモヤモヤしてましたが、そんな気持ちを吹き飛ばすほどキレイな二重星でした~。

 最初に観望したのはかに座の右はさみの先で小さく輝く4等星イオタ星です。離角は約30”なので本家本元のアルビレオとほぼ同じです。色も黄と青が濃く見えて、明るさは4等級と6等級なのでアルビレオよりはやや暗いかな?という感じでした。

 かに座は春の星座ですが位置的には冬の星座ふたご座のとなりなので空が暗くなったときには西の空でハサミを天空に上げて地平線に向かって後ずさりをしています。かに座を観望する季節はそろそろ終りですね。




↓ こちらは3月27日に撮影したかに座のι(イオタ)1星です。望遠鏡で覗いた感じはこちらの方が近いかな~と思ったのですが…よく見るとたいした変わりはないですね~。失礼しました。(^^ゞ




 さて、もうひとつの春のアルビレオはかみのけ座の24番星です。かみのけ座には「メロッテ111(Mel.111)」という大きな散開星団がありますが、明るい星がないので目立たない星座です。その中にある5等級の二重星24番星の色の対比がアルビレオに似ているというので覗いてみると…

 おー、離角が20”なのでやや小降りですが、確かにアルビレオっぽい色味です。主星はオレンジよりの黄色という感じですが、伴星の青色が濃いのでこれはアルビレオですね~。たしかにキレイです… 天空には天上の宝石といえる美しい星がまだまだあるんですね~。





 さてさて、今宵ウオッチングした春のアルビレオは、春霞の空で見たからなのか、二つともやわらか~い色合いでとてもやさしい感じがしました。冬のアルビレオと言われているおおいぬ座の145番星は春のアルビレオとは違ってどこか力強さがありました。冬の寒空に耐えている感じですね。

季節の二重星めぐりは今後も続きま~す。(あくまでも予定ですが…)どうぞお楽しみに~

いっかくじゅう座 β星(ハーシェルの三重星)

2024年03月26日 | 二重星
1781年にウイリアム・ハーシェルが発見した三重星をウオッチングしました~。

 β Mon A と β Mon Bの離角が7秒で β Mon Bとβ Mon Cの離角は3秒ですが等級差が小さいのでしっかり分離して見えました。さすがハーシェルが「天空で最も美しい眺めの一つ」と書き残した星だけあって眼視で見る三重星は青白く輝いてとてもキレイでした。まさに「天空の宝石」ですね。





おおいぬ座でスターウオッチング!

2024年03月23日 | 二重星
先日ichさんにおおいぬ座の145番星と線香花火星団がキレイだと教えていただいたのでおおいぬ座でスターウオッチングをしてみました~。

 最初のターゲットは今が観望好機となっているシリウスの伴星「シリウスB」です。離角は11.3秒ほどありますがシリウスA(-1.46等)とシリウスB(8.44等)は光度差があるのでシーイングが良くないと見ることのできない対象です。

 撮影した日はシーイングが良くなかったので眼視では見えませんでしたが、撮影した画像にはシリウスBが写っていました。ラッキー!

シリウスB、位置角67°、離角11.3秒、星図(Chart)photo



 次は「冬のアルビレオ」と呼ばれているおおいぬ座の145番星です。離角(アルビレオは34.7秒)も色の対比もはくちょう座のアルビレオによく似ていて、まさに冬のアルビレオでした。こんなキレイな二重星がおおいぬ座にあったとは知りませんでした。

おおいぬ座145番星「冬のアルビレオ」(h3945)、離角26.5秒、星図(Chart)photo


 さて、次のターゲットはν1(ニュー・ワン)です。離角は17.4秒で光度が5.8等と7.7等と見やすくとてもかわいい二重星です。色の対比もとてもキレイでした。

おおいぬ座ν1、離角17.4秒、星図(Chart)photo


 さあ、次はμ(ミュー)星です。この星は色が黄色と青色で「アルビレオのような美しさがある」と言われている二重星です。離角が2.9秒なのでかなり難易度は高いのですが、光度が5.2等と8.5等なので眼視では分離して見えました。

おおいぬ座μ、離角2.9秒、星図(Chart)photo


 最後は線香花火状星団と呼ばれているおおいぬ座τ(タウ)星団です。星団の中で明るく輝いているτ星は離角8.3秒の二重星なので惑星カメラで撮影した画像では分離して写っていました。

 撮影に使用した望遠鏡はμ210(直焦点)だったのですが惑星カメラでは画角が狭くて星団の全体像を写すことはできませんでした。散開星団は焦点距離の短い反射望遠鏡がいいですね。

おおいぬ座τ(タウ)星団、星図(Chart)photo

 最近天気が良くないこととおおいぬ座が20時を過ぎると高度が低くなるので撮影会は3月16日と3月22日の2日にわたって行いました。3月も下旬なのでもう少しシーイングが良くなると思ったのですが、撮影時の気温は氷点下になっていて真冬の撮影となんら変わりはありませんでした。トホホ…

天文年鑑を見たら3月22日は「しし座R星(4.4-11.3等、周期312日)が極大」と書いてあったので最後にしし座R星を観望して、惑星カメラで撮影を試みました。

月齢12のお月さまがすぐそばにいましたが、それに負けない明るさで真っ赤に輝いていました。


ふたご座の双子星(Castor A)

2024年03月13日 | 二重星
ふたご座の双子星と言えばカストルとポルックスですが、兄のカストルは実は2.0等と2.9等の星が並んでいるホントの双子星(実視連星)です。… というコトは知っていましたがこれまで見たことがなかったのでスターウオッチングしてみました。

 カストルの主星(Castor A)は見かけ等級1.93、A型主系列星の高温(10,286K)星で、伴星(Castor B)は見かけ等級2.97、こちらも主星と同じA型主系列星の高温(8,842K)星です。望遠鏡で見るとどちらも青白色に見えます…とガイドブックには書いてあります。

 気になる角距離ですが、カストルAとカストルBの離角は1970年~1980年頃が2秒弱で一番小さくて、現在は5~6秒になっているので以前よりは見やすくなっているようです。

 カストルAとカストルBは460年の公転周期で共通重心を中心に回転していますが今は離角が離れていく時期で2040年頃の離角が一番大きくなるようです。

 で、さっそく望遠鏡(μ210)をカストルに向けてみました。最初は25mmアイピースの倍率96倍です。ほほう、光度差が少ないのでどちらもクッキリ見えます。今日のシーイングでは96倍ではくっついているお団子のように見えてますが色が青白でとってもキレイです。

 では、次は18mmのアイピースで倍率は134倍です。おおー、これはしっかり分離して見えてます。いや~とてもキレイです。カストルがこんなに美しい双子星だったとは知りませんでした。

こちらが惑星カメラで撮影したふたご座の双子星「Castor A」 と「Castor B」です。

 眼視では色の違いが分かりませんでしたが、撮影してみると伴星の方がやや青紫色で、Castor Bの温度の低さが分かりますね。

 カストルは92秒離れたところにもう一つの伴星カストルCがあって、カストルA.B.Cがそれぞれ分光連星になっているので6重連星だという話は有名ですが、望遠鏡で見る二重星としてのカストルは冬に見ておきたい天上の逸品のひとつですね。

オリオン座β星 リゲルB

2024年02月23日 | 二重星
2月14日に撮影したオリオン座β星の主星リゲルAと伴星リゲルBです。


 リゲルの主星(Rigel A)は太陽から860光年離れたところにある青色超巨星で平均視等級が0.12等級(半規則型変光星のため光度が0.05から0.18の範囲で変化する)の星で直径は太陽の70倍もあります。その主星から離角9.5秒ほどのところで輝いている小さな星がリゲルの伴星(Rigel B)です。

 きれいな二重星に見えますが、リゲルBはリゲルCを伴っている連星で、さらにリゲルBはリゲルBaとリゲルBbの2つの星が9.86日周期で共通重心の周りを公転している分光連星だそうです。なんとオリオン座のリゲルが4重星系だったとは驚きですね。

 …というここまでの話は実は前振りでここからが本題です。




 リゲルを撮影した日は木星で解像度比較テストをしていた時だったのですが、リゲルでピント合わせをしたときの見え方(写り方)が顕微鏡対物レンズPlna5× とパワーメイト2倍で明らかに違いがありました。どのように違うかと言うと…

 その様子は動画のほうが分かりやすいのでこちらをご覧ください。

Plan5× で撮影したリゲルAとリゲルB

2024/2/14 18h28m Shutter=80.50ms Gain=379 (63%) Duration=30s 25% of 374frames 

Powermate2× で撮影したリゲルAとリゲルB

2024/2/14 19h27m Shutter=26.50ms Gain=479 (79%)  Duration=30s 25% of 1137frames 

 シャッタースピードの違いによるところもあると思いますがパワーメイトの方が光の拡散が大きいように見えます。眼視で見たときもこの違いははっきり見えました。この比較で言えることはパワーメイトは悪気流には弱いという特徴があるということでしょうかね~。

 ま、これだけで結論はだせないのでほかの二重星でも確かめてみることにしましょう。


土星、月、二重星をRegiStax!(その3)

2009年06月04日 | 二重星
さて月の後は、二重星です。
離角2.5″のプルケリマに望遠鏡を向けてみましょう。

ふ~む、モニター画面上のプルケリマは分離していませんね~。
いや、左上にかすかに青い部分が見えます。たぶんこれでしょう。
以前撮影したときはモニター画面上でもはっきり分離していたのですが
今日はかなり、シンチレーションが悪いようです。

こちらはToUcamで撮影した動画を静止画キャプチャーしたものです。

2009.6.1 22:38 SE200N NST kasai HC Or12mm ToUcam ProⅡ

これをRegiStaxして画像調整をしたものがこの写真です。

うしかい座プルケリマ 主星2.5等 伴星5.4等 離角2.5″

モニター上ではほとんど主星に埋もれている伴星がくっきりと
浮かび上がりました。伴星の色再現はよいのですが、主星の色が
ど-しても飛んでしまいます。今後の課題としましょう。

さて、23時を過ぎて東の空には夏の大三角が昇っています。
最後にアルビレオを撮影してみました。

はくちょう座アルビレオ 主星3.1等 伴星5.3等 離角34.6″

ToUcamで恒星を写すメリットは色がはっきり出ることかもしれません。
次回はToUcamで1等星の色がどこまで再現できるか試してみることにしましょう。

Webカメラで恒星を撮影する方法…

2009年05月27日 | 二重星
スカイ&テレスコープ誌におもしろい記事が載っていました。
タイトルは「How to shoot stars with a webcam」…

よーするに、「恒星をWebカメラで撮影してRegiStaxしましょう~」
ということです。なるほど…、これは実におもしろい。
本誌では恒星と二重星の写真がた~くさん載っています。

で、さっそく撮ってみました。
撮影日は、やっとこさ晴れた5月20日です。

ふひゃ~、これはおどろきです。さすが、恒星!
シンチレーションと光軸のずれを余すことなく
見事に表現しています。トホホ…、

モニター画面の中の恒星は、ハイテンションのダンサーのごとく、
縦横無尽に暴れまわっています。実は、これ線香花火です…。
と言いたくなるほどの映像です。

「星が瞬いて見えるのは、それが点像だからであーる。
 それに対して惑星は、小さいながらも円盤像であるからして
 瞬かないのだー。」ということを痛切に知らされました…。

え~、ここでお知らせです。今回のミッションを
「春の二重星をRegiStaxできれいに撮影しよう!」から
「RegiStaxで二重星はどこまで分離できるか調べよう」に
変更させていただきます。

これからお見せする写真はかなり光軸が乱れております。ご了承下さい。

さて、トップバッターは角距離19.8″のコル・カロリです。

りょうけん座α星「Col Caroli」
主星(薄黄)2.9等 伴星(すみれ色)5.5等 角距離19.8″

次は一気にレベルを上げます。角距離4,4秒のアルギエバです。

しし座γ星「Algieba」
主星(黄)2.2等 伴星(橙)3.4等 角距離4.4″

こちらはラス・アルゲティ、角距離4.6″です。

ヘルクレス座(α星)「Ras Algethi」
主星(橙)3.5等 伴星(緑)5.4等 角距離4.6″ 

次は最もきれいな二重星「プルケリマ」です。

うしかい座ε星「Plucherrima」
主星(黄)2.5等 伴星(青)4.9等 角距離2.6″

う~ん、どうでしょう?一応分離できて…いますね。
やはり、等級差があるとむずかしいようです。

ほぼ同じ角距離2.8″のこと座ε1は、はっきり分離しています。

こと座「ダブルダブルスター、ε1」
主星6.0等級 伴星5.1等 角距離2.8″

あー、ひょっとしたらこれはε2かもしれません。
ε2なら主星5.1等級 伴星5.4等 角距離2.3″です。

さ~て、今日はここまで…
次回は光軸をガッツリ合わせて、おとめ座のγ星に挑戦してみましょう。