<287> ウツギと名のつく仲間たち (ユキノシタ科を除く)
山陰の 田にも水張る 田植ゑどき
昨日、金剛山(一一二五メートル)に登った。春花の時期は終わっているが、何かに出会えるだろうと思って登った。金剛山は今年三回目であるが、春先の前回に比べ、緑が増して登山道の様子が変わって見えた。落葉樹が多い自然林の中を歩くときは殊にその変化が感じられた。
ということで歩いてみたら、山頂付近でコゴメウツギの盛りの花に出会った。で、今回は<271>の項で「ウツギと名のつくユキノシタ科の仲間たち」を採りあげたことを思い出した。ユキノシタ科だけ紹介するのも片手落ちなので、コゴメウツギの撮影を機に大和に分布するほかのウツギと名のつくものたちも紹介することにした。もちろん、私の出会った範囲でのことであるが。
まずは、昨日撮ったコゴメウツギ。これはバラ科コゴメウツギ属の落葉低木で、全国的に分布し、大和でもよく林縁などで見かける。花は六月ごろで、小米のように小さな白い花を咲かせる。遠目にはわかり難い花であるが、よく見るとかわいらしい花である。コゴメウツギに似たカナウツギは中部以東に分布し、大和では見ない。
次はスイカズラ科。この科のウツギはツクバネウツギ属とイワツクバネウツギ属、タニウツギ属が見え、みな落葉低木である。ツクバネウツギ属の仲間は近畿が中心に分布し、ツクバネウツギ、オオツクバネウツギ、コツクバネウツギ、キバナツクバネウツギが大和では見られる。筒状花の基部につく萼片がツクバネに似ることによりこの名があり、花は五、六月ごろ筒状の花を咲かせる。花はみな似るが、萼片と花冠の大きさ、色合いなどによって見分けることが出来る。キバナツクバネウツギは濃い黄色なのでわかりやすい。石灰岩地に生えるイワツクバネウツギは大和に自生するが、絶滅寸前種にあげられるほど個体数が少なく、私にはまだ出会えないでいる。
次にタニウツギ属の仲間を見ると、近畿が分布の中心である落葉低木のヤブウツギが大和では多く見られる。山道や林縁、谷川沿いなどに生え、深紅の筒状花を枝々に連ねるので花どきにはよく目につく。これも落葉低木のタニウツギは日本海側に多く、大和でも見られるが、私の出会ったものは植えられたものが野生化した植栽起源の可能性が極めて大きく、撮影していないのでここでは触れない。また、ほかにはニシキウツギやハコネウツギなども見られるが、園芸種と見られるのでここでは採りあげない。
タニウツギ属にはほかにも何種か見られるが、大和に自生分布するものがあるのだろうか。ほかにウツギと名のつく樹種はフジウツギ科のフジウツギとドクウツギ科のドクウツギがある。フジウツギもドクウツギもともに有毒植物で知られる。フジウツギは日本固有の落葉低木で、本州と四国に分布し、大和でも山道などで見かけるが、赤い実をつけるドクウツギにはまだ出会っていない。 写真は左からコゴメウツギ(金剛山)、ツクバネウツギ(葛城山)、オオツクバネウツギ(天川村北角の弥山登山道)、コツクバネウツギ(天川村洞川口)、キバナツクバネウツギ(金剛山)、ヤブウツギ(大台ケ原ドライブウエイ)、フジウツギ(黒滝村の林道脇)。
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