大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2013年01月01日 | 祭り

<487> 大神神社の繞道祭

     人人人 人に触れ合ひ 初詣

 大和の元旦は穏やかなまずまずの日和だった。今年は巳年ということで、巳(蛇)に縁の桜井市三輪の大神神社に出かけた。初詣をした後、大和では一等最初の祭りとして知られる繞道祭(にょうどうさい)を見た。繞道は道を廻るという意味で、祭りは、新年を迎えるに当たり、真夜中に行なわれるもので、大神神社で点された御神火の松明が大神神社の氏子たちに担がれ、摂社、末社を廻るという所謂火祭りである。

 まず、御神体の三輪山(拝殿奥)で神官の切火によって点された火が三輪の印である三本の大松明に移され、氏子衆がその三本を小さな松明に囲まれながら担いで行き、摂社や末社十八社(最近は十九社と言われる)を順に廻り、御神火を各社に届けるという儀式である。この火は縁起のよい火とされ、京都・八坂神社の朮祭のおけら火と同じく、その火を火縄に移しもらって帰り、その火で正月の煮焚きをし、雑煮を作るという。

                    

 大松明は午前一時半ごろ大神神社を出発し、約二キロ北方の檜原神社で別の大松明に継ぎ、約二時間かけて各社を廻った。檜原神社は大神神社と同じ三輪山の西麓に位置するが、付近は蜜柑畑や桃畑が広がり、溜池などもあって、大和平野を一望出来る岡辺の地形にあり、山の辺の道が通る大和を代表する風光明媚なところであるが、深夜になれば、人影もなく森閑として、初詣の人出でにぎわう大神神社とは全く様子を異にし、掛け声とともにやって来る大松明を担いだ「御神火」の白装束の一行は十八夜の寒月の道に厳粛な気を漲らせて来る感じがあった。

 私は檜原神社で、継がれた大松明の御神火を見送った後、帰路についたが、大神神社は初詣の人が絶えることなく続くのであろうと思われた。毎年参拝に来るという人の話によると、今年は例年の倍くらいの混雑であるという。やはり、巳年だからであろう。おみくじも大繁盛で、年寄りよりも若い人に関心が持たれているように思われる。これは参拝者の心理の現れで、年齢的な心持ちの差であるように思われる。

                     

 一年の初めに運を験すことは、やはり、人生がこれからであるという人の気持ちに沿う。人生が終わりに近ければ、「大吉」であろうがなかろうが、それほど気分に影響して来ることがなく、おみくじを引く必要もないわけである。で、とにかく、おみくじには若者が飛びついている様子がうかがえる。グループでおみくじを引き、一頻りそれを話題にしているのを耳にしたりしても、「大吉」を引き当てた人の声のボリュームが大きい。それにしても、世の中の善男善女たちは、ささやかに楽しんでいるのが、おみくじ一つにも透けて見えるような気がする。

 写真は上段左から太鼓の音とともに始まった初詣。賽銭が雨のように飛んだ。大神神社を出発する繞道祭の松明の一行。松明の御神火を分けてもらう参拝者(ともに大神神社で)。下段左から檜原神社に入る松明の御神火。到着した御神火を神前に捧げる神官と氏子たち。氏子には女性の姿も見られ、見物の輪の中には年寄りの姿も見られた。

 


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