yoshのブログ

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世界四大文章語

2013-03-12 06:38:49 | 文学
世界には四大文章語があるそうです。すなわち、ラテン語、漢文、古典アラビア語そして我が日本の文語です。ラテン語は欧米言語の元になっている古典語ですが、現代では広く使われているとは言えないようです。しかし、現代の日本に於いてさえ、朝の連続テレビドラマ「純と愛」で、ヒロインの純が就職した「オオサキ・プラザホテル」の玄関ロビーには、ホスピタリティーの真髄を表現するラテン語がありました。
 PAX INTRANTIBUS 歩み入る者に安らぎを
 SALUS EXEUNTIBUS   去りゆく者に幸せを

また、キリスト教主義の大学、東京女子大学の正面の本館には、次のラテン語が掲げられています。
「QUAECUN QUE SUNT VERA 」 (訳)およそ真(まこと)なるもの
ラテン語の上記の文は何と格調高いことでしょう。

漢文においては、かつての繁体字が簡体字に変わった今日、繁体字を読める中国人が少なくなったために膨大な中国の古典を読む人が減り、文章語としての漢文は危機にあるそうです。
日本の文語も似た傾向にあります。今や新聞もテレビも口語が主流であり、若者の使っている日本語には、聞くに耐えないものが横行しています。国語は日本のアイデンティティ一そのものです。国語が乱れると日本文化と日本語は危機に陥ります。
ある世田谷区立の小学校では「日本語」という授業があり、古典と漢文を学んでいるそうです。例えば、2年生の授業では漢詩の暗唱をしています。約40分の時間内に児童は孟浩然の漢詩、「春暁」を覚えてしまうそうです。

   春眠暁ヲ覚エズ
   処処啼鳥ヲ聞ク
   夜来風雨ノ声
   花落ツルコト知ル多少

児童は登下校の際にも暗唱を続けるので、楽しみながら完璧に覚えるということです。そして日本語の授業が好きと言っています。
美しい日本語(文語)を残す最も良い方法は、漢文の素読と古典の暗唱ではないでしょうか。何でも丸ごと暗記してしまうのがいいのです。素読や暗唱は、その時、意味が分からなくても、記憶さえしていれば後々少しずつ意味がわかって来るものだからです。

論語    子曰ク、學ビテ時ニ之ヲ習フ亦タ説(よろこ)バシカラズヤ
朋有リ遠方ヨリ来ル、亦タ楽シカラズヤ

李白    夫レ天地ハ萬物ノ逆旅、光陰ハ百代ノ過客ナリ。而シテ浮生ハ夢ノゴトシ

平家物語  祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響あり。娑羅双樹の花の色 盛者必衰のことはりをあらはす。おごれる人も久しからず 只春の夜の夢のごとし。

源氏物語  いづれの御時にか。女御・更衣あまたさぶらひ給ひけるなかに、いと、やむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めき給ふありけり。

徒然草   つれづれなるままに、日暮らし、硯にむかひて、心にうつりゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。

江戸時代の藩校や寺子屋の頃に於いて素読や暗唱を続けながら、我々の祖先は美しい日本語を守ってきました。古典アラビア語のことはよく知りませんが、おそらくコーランと共に連綿と伝わっているのではないかと思います。

愛甲次郎 「美しい日本語を未来に引き継ぐ」 「學士會会報No.899 」2013―Ⅱ
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