yoshのブログ

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友人との交流 良寛

2022-09-03 06:17:31 | 文学
良寛は、孤独で孤高な生涯を送ったと思われがちですが、越後の国の内外から良寛の文学や仁徳を慕って、知名の士が、ぼつぼつ五合庵を訪れました。
 江戸中期の漢学者、亀田鵬斎や鈴木文台もそうした人達でした。良寛は彼等を友人として迎え彼等との交流を大切にしました。良寛が鵬斎のことを詠んだ漢詩があります。

  鵬斎倜儻士
何由此地来
  昨日閙市裡
  携手笑眙々

 「読み方」

  鵬斎ハ倜儻(てきとう)ノ士ナリ
何ニ由リテカ此ノ地ニ来タル
  昨日閙市(どうし)ノ裡(うち)
  手ヲ携ヘテ手笑ヒテ眙々(かいかい)

  「訳」
鵬斎は才気すぐれて、何物にも拘束されない自由の士である。
どんな理由があってこの越後の地に来たのか。昨日も騒がしい街中で逢って、
互いに手を取り合って高笑いしたことであった。

越後西蒲原郡粟生津村の旧家の医師であった鈴木隆造と、その弟の鈴木文台(陳造・漢学者)も、しばしば良寛を訪れています。良寛は文台に次の漢詩を贈っています。

  贈鈴木陳造

     草庵風雪裡
     一投相思詩
     不知何以報
     含翰愧所思
     
      「読み方」

草庵風雪ノ裡
     一タビ投ズ相思ノ詩
     知ラズ何ヲ以ツテカ報イン
     翰ヲ含ンデ所思ニ愧ズ

 「訳」
風雪の激しい日に草庵に立て籠っていたら、思いがけず相思の詩をもらった。しかし何をもってそれに報いたら良いか分からない。筆を噛んでみたが思うことを述べられないでいる。

渡邊三省 「人間 良寛」風濤社
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