yoshのブログ

日々の発見や所感を述べます。

負ける 考

2016-04-09 05:07:05 | 文化
思うに「負ける」ことにも意味があるようです。一般的には「勝つ」の反意語として使用されますが、他に「負ける」は、「価格の値引きをする」という意味にも使われます。余談ですが私の郷里では、「値引きをする」ことを「勉強する」とも言います。「勉強する」だけでは、やや意味がわかりにくい所もあります。つまり努力して値引きをしてお客様を喜ばせると言う意味からきた言葉なのでしょう。
ところで、新国立競技場を設計した隈研吾氏は、この競技場のコンセプトを「負ける競技場」と語りました。自己主張をせずに周囲の景観に溶けこみ、環境にやさしい木造建築を、という概念だそうです。このコンセプトは、1964年の東京オリンピックのために建造された国立競技場と対極の概念です。旧国立競技場は、丹下健三氏が設計した斬新なデザインの競技場であり、周囲を圧倒して目立つ「勝つ競技場」であったと隈氏は言います。1964年と2020年との間には56年の時の隔たりがありますが、物の考え方の違いに時の移ろいを感じます。
 「負けるが勝ち」とか「損して得とれ」という言葉もありますが、「勝つだけが善」とは言えない価値観があります。「負ける」ということの中に、相手に対する癒しや安らぎ、その人を鼓舞したり自信を与えるといった側面があるように思われます。「負ける」、つまり他人に対して譲歩して、他人を褒めてあげてやる気を引き出す。こうしたことは教育の要諦の一つではないかと思います。
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