陸奥(みちのく)の 希望(のぞみ)を灯し 大山桜(さくら)咲く
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我が家の前庭のど真ん中に6年前の東北の旅で買ってきた大山桜が育っている。東北の山には、大山桜と呼ばれる桜が多い。山桜に似ていて葉が先に芽を出すのだが、花びらの色が山桜よりは濃くて、その分艶(あで)やかさが加わる。山道を通っていると、突然その大木に出会ったりする。思わず車を止めて道に降り立ちしばらくその優美さに見とれる。そんなみちのくの山桜が我が家にも欲しくなって、その年には東北中を走り回って、秋田県の阿仁町(現在は北秋田市)の苗木屋さんでようやく見つけて買ってきたものだ。その時の苗木は、丈が1mにも満たない細くか弱いものだったが、今はもう4mを超え、幹も両手の指で囲むほどとなり、庭のメインツリーの一本としてデンと構えている。
桜の木の生長は早いのだが、その花の咲くのを待つ気持ちよりはずっと遅くて、5年経った去年の春ようやく初めての花をたった3輪咲かせてくれたのだった。今年は昨日初めての花を開かせてくれたが、この他にもまだまだ多くの花を咲かせてくれそうで嬉しい。
おりしも今年の春先には東日本大震災が発生し、陸奥(みちのく)の多くの方たちが被災して避難所暮らしを強いられている。大山桜は、まさに陸奥の桜だと思う。被災地の各所にもこの桜の木はたくさん点在しているに違いない。我が家の桜は少しばかり暖地に植えられて開花を早めたのだと思うけど、陸奥の桜はこれからである。この一足先に咲いた花を、復興のための希望の灯りとして被災地の方たちにお届けできたらと願うばかりである。