山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

河津桜

2010-02-24 05:13:50 | 宵宵妄話

春になると人は花を見たくなります。花はたくさんありますが、何といっても花といえば桜ということになると思います。野草に関心のある私でさえも、桜の花は別格だと思っています。

今日は久しぶりの春を感ずる暖かな一日でした。先日ネットで桜の開花などの情報を調べていましたら、河津桜のことが書かれており、既に開花しているとのことでした。関東一円で早咲きの桜といえば、何といっても河津桜です。この頃はご本家の河津町だけではなく、他のエリアでも咲いているという声を聞くようになりました。

河津桜は、ご存知のように伊豆の河津町で発見された新品種で、寒緋桜と早咲きの大島桜との自然交配によって生まれたものとのことです。昭和30年(1955)年に発見され、同49年に原木のある町の名を採って河津桜と命名されたと、どなたかのホームページに書かれていました。1月下旬に蕾を持ち、2月の上旬から開花が始まるとのこと。この桜の特徴は、開花期間が長いことで、約1ヶ月も咲き続けるということですから、真に有難い花といわなければならないと思います。

     

満開の河津桜。河津川に沿って植えられた桜は3kmにも及んでいて、真っ青な空の下に紅色の長い花のトンネルをつくっていた。この写真は4年前の様子。

私共も何度か河津のご本家に桜を見に行きましたが、それはそれは見事なものでした。信じられない季節に魔法のように艶やかな花を咲かせて、春を待ち焦がれる私たちを迎えてくれるのです。同じ季節に咲かせた菜の花とのバランスがこれ又見事で、殺風景な冬景色に厭いた人びとの心を心底から慰め、元気づけてくれる感がしました。

   

菜の花はこの季節最高の引き立て役を演じてくれている。むせるような花の色を落ち着かせてくれる黄色である。これも4年前の写真。

その河津桜が、何と守谷市の隣の取手市にもあって見頃を迎えている、というような情報が新聞に書かれていたのを思い出し、ちょっと行ってみることにしました。取手市は人口11万人で人口6万人の守谷市のおよそ2倍の規模の町ですが、利根川に面し、小貝川が市の中を流れているという点では守谷に良く似た地形といえます。違うのは、江戸時代からの宿場町をして栄え、常磐線が通ったことで早くから都心に通う人たちのベッドタウンの一つとして発展してきたということがあります。今は常磐線電車のほかに相互乗り入れの地下鉄もあり、茨城県南のゆるぎない交通拠点の一つとなっています。守谷市は、その取手市からは関東鉄道に乗り換えて20分もかかるロケーションにあり、不便さを託っていましたが、平成17年のTX(つくばエクスプレス)の開通により、現在では浅草まで30分足らずで行けることとなり、取手よりも至便な交通環境を持つこととなりました。

閑話休題。取手の河津桜は、市役所の構内の土手にあると聞き、行ってみたのです。隣町の市役所へ出向くのは初めてのことです。私の家からは車で20分ほど、人口も多いだけあって庁舎の建物も守谷市よりはかなり大きいなと感じましたが、本体の建物はコンクリート剝き出しで汚れており、全体として調和のない実務本意の庁舎群だなと思いました。庁舎を飾り立てない分だけ、市民のために税金を無駄に使っていないことなのかもしれません。でも、もう少し調和と清潔感のある庁舎であってもいいのではないかと思ったのは、私も守谷の市民となって少し愛着を覚え出してきているのかも知れません。守谷の庁舎はよりコンパクトですが、遙かにきれいで清潔です。

ところで、幾ら探してもその名所になりつつあるという河津桜が見当たりません。こりゃあ訊いた方が早いだろうと、交通案内をしている方に尋ねたところ、「旦那さん、今年はね、まだ咲いてないんですよ。去年の今頃は咲いていたんですけどね。今年は寒がったからねえ。」という話でした。俺は旦那なのかな?などと思いながら、教えて頂いた庁舎の西側の土手の方に行ってみると、ありました。

若い桜の木が10本足らず植えられており、その全体が赤紫に膨らんでいて、中には何輪かが花をほころばせていました。数十本もある桜並木かなと予想していただけに、その少なさに少しガッカリしましたが、それは桜たちの所為でも植えた人たちの所為でもなく、私の我がままな欲望の身勝手というものでしょう。このような数少ない桜でも、近隣一番の春を伝える使者として、その存在を認められ出しているということは、やはり賞讃に値することではないかと思いました。小さな苗も何本か植えられていましたが、やがては大きく成長して先輩たちの仲間入りをしてくれるのだと思います。

これらの桜の木を見ていて思いだしたのは、北海道の桜の樹木たちの自然との厳しい闘いの有様でした。北の桜は、勿論品種も異なり千島桜というのが多いようですが、旅をしていてキャンプ場や公園などに寄ると、必ず何本かの桜の木を目にするのですが、内地の桜の木のように大きく成長しているものは少なく、同じ時期に植林されたと見られる、いわゆる同期の桜(?)は、生き残って逞しく成長しているものが少ないように思われました。風雪で枝のみならず幹までが痛めつけられ、それを乗り越えて年輪を重ねるのが難しいのだろうなと思わされるのです。残念ながら北海道の桜の花を見たのは、函館の少し北ぐらいまでで、それ以北は花の季節に訪ねたことがありません。今頃彼らたちは、雪の中でじっと春を待っているのだろうなと思いました。

それに比べると、この地の河津桜は恵まれているなと思いました。春を待ちかねた人間どもがやたらにやってくるのは迷惑かも知れませんが、見られてこそ花でもあるといえますから、ま、少し我慢をして早めに花を咲かせて欲しいものだと思いました。いやはや勝手な話でした。

   

取手市役所構内にある河津桜の開花状況。只今咲き初めというところか。今頃の状態でも良く見ればそれなりの美しさが秘められ、輝いている。

 

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