山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

キャンプ場への期待

2008-02-17 04:31:31 | くるま旅くらしの話

今日(2/16)の町田編集長(キャンピングカー・スーパーガイド・オンライン)のブログに「キャンプ場の課題」というテーマで、先日開催の「キャンピング&RVショー」の際に開かれた、JRVA所属ビルダー有志とキャンプ場運営者有志との「キャンピングカーとキャンプ場のより良き関係を模索するための意見交換会」開催の記事が掲載されていた。またそれに合せて、オートキャンプ評論家の竹本さんのお考えが紹介されていた。

偶々MHP(Motor Home Port 旅車の簡易宿泊専用駐車場 )のことについて、提案書を書こうと思い立ち、それをまとめていたところだったので、大いに参考になり力を得たのだった。キャンピングカー(といっても私の場合はモーターホームだと思っているのだが)の一ユーザーとして、このような機運が高まりつつあることを嬉しく思う。

MHPの設置に関しては、大別して①道の駅への設置と②キャンプ場内の設置があると考えている。勿論この他にも独自の新しい発想での設置があっても一向差支えない。しかし、くるま旅のための環境整備は、未だその緒についたばかりであるから、新しい発想が育つには至ってはいないと感ずるので、とりあえずは既設の駐車施設の拡張的な発想からスタートするのが妥当ではないかと思っている。

先ずは、道の駅構内への設置について、それを管轄する国交省や市町村などへ働きかけようと案文をまとめていたら、道路特定財源の使途の是非に絡んで、道の駅のあり方を批判の対象とする取り上げ方をした報道があった。その報道のあり方を安易に非難する気は全くないが、報道の正義感というのは扱いにくい一面性を持っているので、今、この時期に、道の駅構内にくるま旅専用の有料簡易宿泊駐車場をつくって欲しいなどという働きかけを行ったら、この上に更なる税金の無駄遣いをさせるのか!と社会正義の斧が振るわれるに違いない。とりあえずこれは控えなければダメだなと思った。

そこで頼みとなるのが、一般の有料キャンプ場の中にMHPを作って頂きたいという働きかけである。一般のキャンプ場なら、税金の無駄遣いなどという謗(そし)りは受けないはずだから、堂々()とお願いしても大丈夫と思っている。しかし、この業界の経営常識からは、既存の概念と相反する要素を含んでいるので、MHPを簡単に受容れては頂けないだろうとは思っている。

町田さんの記事の中で、竹本さんのご意見に全面的に賛成である。MHPの実現は、一にかかってキャンプ場サイドの現状認識と決断によるものと思っている。つまりはキャンプ場経営サイドの意識改革にかかっているのではないかということである。

決断の前に必要なのは、ニーズの判断であると考えるが、キャンプ場サイドではこの見極めがなされていないように思う。先日「オートキャンプ白書2007の概要」という記事を読んで、びっくりした。冒頭に「黒字が期待できる、稼働率が20%を超えるキャンプ場が、05年の9%から11%と増えており、一方赤字が避けられないとされる10%未満のキャンプ場が、40%から35%へと減少しており、全体的に改善されている様子がうかがえる」とあった。これを読むと、黒字のキャンプ場は全体の1割程度、赤字が4割近くを占め、全体の半分はぎりぎりで何とか凌(しの)いでいるということであり、大変な業界なのだということを改めて再認識したのだった。何故赤字なのか、何故黒字なのか、という真因については判らないけど、この業界で生きてゆくのは相当な勇気と知恵が要るなと思った。去年北海道の美瑛町で会った、キャンプ場経営の志を抱く若者夫婦の姿が目に浮かんだのだった。

ビジネスというのは、お客様のニーズに応えることによって存続できるものである。新規のみならず、既存の顧客であっても、顧客のニーズは絶えず変化しており、それをしっかり把握し、それに応えないとビジネスは成り立たなくなる。この意味で、顧客の創造とは新規顧客を獲得するだけではなく、既存顧客のニーズを読んで、新規顧客以上の存在とすることも含んでいるのである。私のマーケティングの理屈では、顧客というものをこのように理解し、説明してきたのだが、さて、キャンプ場経営業界では、この理屈は当てはまらないのであろうか?

キャンプ場を実際に利用、活用するのはユーザーである。私は、キャンプ場が、キャンプというアウトドア生活を楽しむ場であるという従来のコンセプトにこだわっている限り、MHPなどが実現できるはずはないと思っている。従来からのキャンプ場という条件を活かして、新しいユーザーを開発するという発想がないと先には進めないのだと思う。ブログの中に、既存のテントキャンパーとキャンピングカーとの軋轢(あつれき)の事例が紹介されていたが、同じ敷地内に隣同士で駐車させるという行為の中には、新しいユーザーを開発するという発想はない。

くるま旅のニーズとキャンプ場のニーズがズレているとは思わない。竹本さんが指摘されるキャンピングカーユーザーの3つの特徴はその通りだと思うし、それらの特徴をテントキャンパーとのズレとして捉えるのではなく、新しい顧客を開発するのだと考えれば、その調整など大した作業ではないのではないか。業界のたった1割強しか黒字が確保できないという厳しい経営状況の中で生き残ってゆくためには、何としても顧客を創り出してゆかなければならないのだと思う。既存のコンセプトにしがみついていたのでは、来訪する顧客は限られ、やがては消え去ってゆくのではないか。

シニア世代のくるま旅のニーズが拡大しているのは明らかだ。キャンプ場業界は、現在願ってもない棚ボタ式の顧客開発ニーズが目前にぶら下がっているのである。それをどうやって食べるかだと思う。今まで食べていたうどんや蕎麦と同じように、唐辛子を振り撒いて食べたのでは、ボタ餅の本当の味も価値も見出せないと思う。

町田さんがおっしゃるように全てのキャンプ場がMHPを作るには無理がある。無理な条件の所は考える必要はない。その条件を活かす工夫こそが大切なのだと思う。くるま旅のユーザーがどのようなMHPを望んでいるのかは、ユーザーに訊かなければ判らない。キャンプ場サイドは、もっともっと、キャンピングカーをモーターホームとして使って旅を目指す人たちのニーズを掴んで欲しいと思う。そしてそのニーズをベースに、キャンプ場での新しいくるま旅の過ごし方を、そのユーザーに提供するくらいの意気込みで取り組まれんことを期待したい。

私の体験や同じくるま旅をしている知人との交流からは、くるま旅の者には、キャンプ場を一夜の利便性を求めて使うというような発想は少ないように思う。人里離れたロケーションであっても、否、それゆえにそこへ泊まって2、3日ゆっくりしたいと考えるシニア世代の方が遥かに多いのではないか。一夜の賑わいのための野営とは違った、新しい旅のための環境づくりに、キャンプ場が一肌脱ぐ時が来ているのだと思う。

コメント (2)
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