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家賃19年滞納、保証人に3百万円請求 大分・宇佐市

2010年10月12日 | 最新情報
 大分県宇佐市が、市営住宅の家賃を19年滞納した50代女性と連帯保証人で同県中津市に住む弟に約300万円の支払いと女性の退去を求めて提訴し、弟と争っている。弟は「過去、市からも姉からも何の話もなかった。20年近く放置した責任は行政にもある」と、市は「連帯保証人への請求は法的に問題ない」とそれぞれ主張している。

 訴状によると、女性は1990年、旧安心院町(現宇佐市)の町営住宅に入居した。1年後から家賃が滞り、滞納額は今年2月末で148万8千円に達した。

 市は今年4月、大分地裁中津支部に提訴。昨年9月、翌月末までの退去を求めたが、女性は応じなかった。請求は2月末までの滞納金148万円と延滞料153万円。延滞金利は国や自治体で一般的な年14.6%。女性は出廷も意思表明もせず、女性に対しては市が7月に全面勝訴した。

 弟は「市や旧町から過去に連絡や催促はなく、姉とも年1、2回会う程度で滞納の話はなかった」と言う。過去3回の弁論で、3カ月以上の滞納者に退去請求できると定めた旧町や市の条例を指摘して「行政が初期に対処しなかったのは怠慢。数カ月分の支払いには応じる」と主張した。

 取材に対して市は「現在は連帯保証人に滞納状況を通知しているが、過去はしていなかった」と認める半面、「連帯保証人には責任がある。財政は厳しく、滞納はできるだけ解消したい」と譲らない。

 連帯保証人を提訴するかは自治体によって様々だ。熊本市は「名義人に支払わせるのが第一原則」として訴えていない。大分県も「今後は訴える方向だが、連帯保証人の責任の明確化など訴訟を提起するための条件整備ができていない」と担当者は話す。

 福岡県は連帯保証人も訴えているが、入居者が2カ月以上滞納すると定期的に連帯保証人に催告書を送っており「連帯保証人が滞納を知らないという事態はない」という。

宇佐市営住宅約1600戸の09年度末の家賃滞納は累計1億3800万円。大分県内18市町村では大分市の2億6千万円に次ぐ。

 宇佐市は08年度以降、滞納者への最終催告書を市長名から弁護士名に変更し、建物明け渡し訴訟を起こし始めた。08、09年度で計15件提訴し、同年度の訴訟の請求額は200万~64万円。家賃の収納率は07年度末の61.0%から2年連続で上昇し、09年度末は61.68%になった。滞納額も2年で約780万円減った。

 市の担当者は「最終催告書を出してから200万円の滞納額を一括で支払ったケースもあった。これまでの怠慢のそしりは免れないが、滞納を将来に引きずるわけにはいかない」としている。(阿部彰芳)

(1朝日 10月12日)
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