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借地契約を合意解約し新法適用の契約へ切替えられるのか

2007年04月25日 | 賃貸借契約
(問)借地借家法施行(平成4年8月1日)前に締結した借地契約が更新を迎える。地主に借地契約を期間満了により合意で一旦終了させ、改めて借地借家法(新法)に基づく契約にして欲しいと言われた。

(答)期間満了により一旦、契約を合意解約し、改めてその時点から新法による存続期間30年の借地契約を新規に締結することにより、新法が適用される契約内容にすることは可能である。借地人が新法施行前の借地権を捨てて新法に基づく契約に切替えることに合理的な理由があり、借地人の真意に基づいて行われたという客観的な事実があれば切替えは可能である。

 普通借地権は新法では堅固・非堅固建物という区別をせずに一律に借地権の存続期間を原則30年としているものの、最初の更新は20年で2回目以降は10年である。借地人は将来的には期間を短縮され、更新拒絶の主張、更新料請求の機会が増える。増改築の制限も強化され借地人にとって何の利点もない。このように新法は旧法に比較すると全体として貸主側に有利に、借主側に不利なものになっている。そのため貸主が既存の借地契約を新法の適用のある契約にしたいと考えるのは当然であろう。

 新法成立時の参議院附帯決議に「既存の借地関係には更新等の規定は適用されない旨及び特約で新法を適用させることは無効である旨を、マスコミその他あらゆる方法を通じて周知徹底させること。」とあるように、新法施行前に締結された既存の借地契約は新法施行後においても旧法が適用される(借地借家法附則4条但書及び6条)。そもそも、地主が新法に基づく借地契約に切替えることを借地人に要求する目的は、最終的には借地人の不利益になる契約内容に改悪するところに真の狙いがある。従って、地主がこのような不当な要求を押し付けようとしても借地人はこれに応じる必要はない。仮に借地人の無知に乗じ、或は地主の圧力に屈して借地人が意に反して嫌々従前の借地契約を形式上合意解約し、改めて新規に新法に基づく契約を締結した場合でも、合意解約に特段の合理的理由が存在せず、また借地人の真意に基づかないものであれば、旧法11条の強行規定により借地人に不利な特約として無効とされる。



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