東京多摩借地借家人組合

アパート・賃貸マンション、店舗、事務所等の賃貸のトラブルのご相談を受付けます。

借地上の建物が火災による消失で滅失した場合の掲示と借地権の対抗力

2007年08月28日 | 借地借家の法律知識
(問)隣家の火災の類焼で借地上の建物が全焼してしまった。再築計画はあるが、現在は更地状態になっている。こんな状態の中、地主が土地を売却すると買受人に借地権を主張出来ないと聴いたが、それは本当なのか。借地権を守る手段があったら教えてもらいたい。

(答)建物が火災で消失しても、地震で倒潰しても、建替えのために自らが取壊しても原因は何であれ、建物が無くなることを「滅失」という。
 借地借家法第10条1項に「借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。」と規定されている。
 従って借地権者が借地上の建物を登記しておけば、土地の所有者が代わっても新所有者に対し自分の借地権を主張出来る。また借地の明渡しを求められることもない。しかし建物が滅失した場合は、原則として第三者に対抗出来ない。
 しかし借地借家法は例外規定として10条2項を新設し、借地権を保護している。10条2項に「前項の場合において、建物の滅失があっても、借地権者が、その建物を特定するために必要な事項、その滅失があった日及び建物を新たに築造する旨を土地の上の見やすい場所に掲示するときは、借地権は、なお同項の効力を有する。ただし、建物の滅失があった日から2年を経過した後にあっては、その前に建物を新たに築造し、かつ、その建物につき登記した場合に限る。」と規定している。 
 従って借地上の建物が火災で滅失した場合、登記事項を記載した掲示物を設置し、借地上の見やすい場所に掲示しておけば借地権は守られる。その場合、借地権は登記済み建物が存在していた時と同様に第三者に2年間は対抗出来ることになる。滅失した日から2年以内に建物を再築し、新たに登記を済ませておけば、第三者に対して2年経過後も借地権の対抗力を維持することが出来る。
 なお滅失建物が未登記だった場合は10条2項の適用は認められない。また、設置掲示物が何者かに持ち去られた場合、その後に土地を取得した第三者には対抗出来ないので注意が必要である(東京地裁平成12年4月14日判決)。



借地借家の賃貸トラブルのご相談は

東京多摩借地借家人組合

一人で悩まず  042(526)1094

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 地代増額と更新料請求の調停... | トップ | <ネットカフェ難民>全国で... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

借地借家の法律知識」カテゴリの最新記事