雇用促進住宅の明渡し、居住不安高まる

二月二十八日、財団法人雇用・能力開発機構は、雇用促進住宅に住む一，五三二団地一四一，七二二戸を十五年かけて追い出し、更地にして民間デベロッパーへ売却する方針を明らかにしました。
　大阪府八尾市内にある別宮団地もその対象団地でベトナム人など在日外国人を含む約二百八十世帯が住んでおり、今年の三月に「耐震強度不足で老朽家屋のため平成二十年三月末までに退去するよう」「機構」から居住者へ通知書が送られてきました。また、在日外国人は、二年間の定期借家契約が圧倒的に多く、既に退去した居住者もいます。
　別宮団地自治会は、四月に「立ち退きに関してのアンケート」を行なった結果、「九五％の世帯が引き続いて住み続けたいなど」と回答しています。
　五月十八日、別宮団地自治会は、「明渡し問題懇談会」を団地集会所で開き、会場は超満員で場外にはみ出すほどの参加で居住者の深刻さと居住不安に満ちていました。
　この「懇談会」には、大阪法律事務所の寺沢達夫、原野早知子両弁護士と船越康亘大借連会長が参加し、船越会長から二月二十八日に示された「機構」の新方針について具体的に説明し、「借家法が適用されていることから簡単には明渡しはできない」との「機構」側の説明を報告しました。
　そして、「機構」側の別宮団地に対して、来年三月までに明け渡しを通知していることについては、二人の弁護士から法律で保護されていることを詳しく説明しました。
　居住者は、明渡し訴訟が提訴されても、全員一致して「機構」に対応することを確認しました。
　ベトナム人の一人は、「就職できると居住する場所を確保しなければならないので職業安定所の紹介で定期借家契約が何なのか十分理解できていないまま入居した。明け渡しをいわれても住み換え先も無い。仕事も失いかねない」と深刻に訴える姿が人目を引きました。


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