ブログ うつと酒と小説な日々 その上しょっちゅうホラー映画  

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさん(とびお)の日記

昔の大河

2011年04月30日 | その他

 今日NHK-BSでずいぶん古い大河ドラマ総集編を再放送していました。
 「新平家物語」です。

 平清盛が仲代達也、建礼門院が佐久間良子、高倉天皇が片岡仁左衛門、義経が志垣太郎、その他藤田まこと、北大路欣也、中尾彬、若尾文子、緒方拳などなど、今では考えられない豪華キャストで、当たり前ですがみな若い。
 高倉天皇を演じた片岡仁左衛門など、気持ち悪いくらいの美男子ぶりです。
 そして、原作は吉川栄治、脚本は平岩弓枝で、セリフもナレーションも格調高く、十年ほど前から怒鳴り芝居が流行りだしたNHK大河とは思えないほど、静かな演出で、合戦をする武者たちも、平時には和歌などたしなみ、笛や鼓に酔うみさびさ。
 うなるほかありません。

 今年の「江」はあんまり評判がよろしくないようですが、30年もすれば、今は若い役者たちも大物の貫禄を身につけ、昔の大河は良かったと、うなるのでしょう。

 諸行無常をテーマにした「新平家物語」
 ドラマ自身が昔のものになり、鬼籍に入った往年の名優を見るにつけ、諸行無常を感じさせるとは、NHKの放送戦略も相当あざといと知れます。

 しかし私はそのあざとさにまんまと乗っかり、昔の大河に酔ったのです。

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辞任

2011年04月30日 | 社会・政治

 昨夜、小佐古敏荘(こさこ・としそう)内閣官房参与(東京大大学院教授)が、参与の職を辞したとのニュースが飛び込んできました。

 なんでも現政権は原子力事故の際に守るべき事故対応のマニュアルを無視して場当たり的なやり方を繰り返し、事故の処理に失敗し続けており、いくらご注意申し上げても取り合ってもらえず、何を言っても無駄なら参与に留まる意味がない、ということが理由だそうです。

 わけても幼稚園、保育園、小学校などの放射能基準値を年間20ミリシーベルトまで引き上げたことは、子供を危険にさらし、己のヒューマニズムにてらして到底容認できない、とまで言い放っていました。

 私には20ミリマイクロシーベルトという値がどの程度危険なのか見当もつきませんが、原子力が専門の学者がそこまで政権を批判するということは、よほどのことと思われます。

 参与就任からわずか一ヵ月半、この間どれだけ悔しく、歯がゆい思いをし、参与という立場がいかに虚しいものかを痛感させられたであろうことは想像に難くありません。

 人間の能力には個人差があり、脳の容量も人によって違います。
 そういう意味ではコンピュータに似ています。
 今はスーパーコンピューターのような指導者が必要な時。
 個人ユースの普通のパソコンのような容量と計算能力しか持たない人が権力を握って辺りかまわず怒鳴り散らしても、物事はややこしくなるだけです。
 震災は天災でした。
 しかしことここに至っては、もはや人災という他なくなっています。
 怒りん坊のおじさんは歴史に評価を委ねたいなどと大見得を切っていましたが、外交や経済政策ならいざ知らず、震災復興のごとき案件は、何十年も後になるまでそれが成功だったか失敗だったかわからない、という性質のものではありますまい。

 世に憂きことは多かれど、自国の最高指導者が非常時に頼りにならないということほど、国民にとって憂鬱なことはありますまい。

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ゆるい

2011年04月29日 | 社会・政治

 先程らい英国王室の結婚式をテレビで生中継していましたが、もう見る気が失せました。
 まるっきり格好悪いんですよねぇ。
 ゆるい褌みたいです。

 わが国が行う儀式の荘厳さにくらべると、月とすっぽんですねぇ。
 無駄に長く、無駄にリラックスしていて、新郎の弟など、最前列に立っていながら後ろ髪は寝癖のまま、さかんに後ろをふり返っては花嫁の衣装などに気をとられている風情。

 わが国の庶民が行う神前式のほうがよほど緊張感があります。

 儀式というのは極限まで緊張を強い、呆気ないほど短く終わるのがわが国の美意識ですから、畜肉ばかりを食らい、居もしない神様などを讃える歌など歌っても、わが国の長きばかりが強調され、外つ国の短きを思い知らされるばかりです。

 ま、それはそれとして。
 外つ国の短所をあげつらっても仕方ありますまい。

 それにしても思うのは、人間という種の限界です。
 民主主義と言いながら、差別はいかんと言いながら、多数の国で王様だか皇帝だか天皇だかを大事にいただいている愚かさ。

 生まれながらに卑賤な者はいないとさかんに宣伝するくせに、生まれながらに高貴な者はいるという嘘は守り続ける欺瞞。

 およそそういうものを排除して生まれたはずの共産主義が、ことごとく個人崇拝に走るわけ。
 結局は誰にも論理的に説明できないそのわけは、猿より毛が三本多いだけの人間という種の本能の未熟。

 喧嘩っ早い左翼くずれの嘘つきが、てめえの喧嘩っ早いのを脇において、法律に戦争はしないと書けばそれは起きないなどと思い込む子供っぽさ。
 人間最初も最後もおのれの利益のためにリスクを冒してでも喧嘩をするのは子供を見ていればわかること。
 それが国家になったから起きないなんてはずがありません。
 
 省益あって国家なし?笑わせる。
 省益なんて大きなことを考えている役人なんているはずもない。
 課益あって省益なし、係益あって課益なし、己の係員益あって係益なし。
 事務次官だっておのれが歩んできた畑ばかりを重んじますよ。

 現代社会がまとっている様々の建前と、建前であるがゆえの嘘を見ていると、反吐が出ます。

 英国王室の結婚式ごときでこんなに気分が悪くなっては、やれませんねぇ。

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6

2011年04月29日 | ホラー・サスペンス・SF等の映画

 なかなか示唆に富んだソリッド・シチュエーション・スリラー「6」を観ました。
 とはサイコロ=ダイスのことです。

 目が覚めると、監禁されています。
 共通点は自殺を図った者6名。

 幼いころ、目の前でサイコロをふり、目の数だけ弾丸を込めたリヴォルバーで自殺した父を持つ殺人鬼。
 彼は物事は神の意思でもなく、人の意思でもなく、ダイスの意思で決まる、と思い込み、精神病院への入退院をくりかえします。
 父親が富豪だったため、彼はその金を使って究極のギャンブルを始めます。
 自殺未遂者を拉致監禁しては、その者が図った自殺方法に見合った方法で生きるか死ぬかを賭けるのです。
 例えば拳銃自殺を図った者なら、拉致した別の者にダイスを振らせ、目の数だけ弾を込めて撃たせる、ロシアンルーレットを、入水自殺を図った者なら水槽でおぼれさせ、ダイスの目が1なら1分後、6なら6分後に助ける、手首を切った者なら1で1リットル、6で6リットルの血液を抜く、などです。
 そしてこのゲームに生き残った者は、新たな人生を手に入れ、彼の信奉者として彼を崇める団体の一員になるのです。

 サイコロほど単純ではないにせよ、神でも運命でもよいですが、何者かに操られているギャンブルのようなものが私の生活だと思えるからです。
 努力ではどうしようもないこと、理不尽なことが世の中にはあまりに多くあります。
 幼児のうちに親に虐待を受けて殺されてしまう者、裕福な家庭に生まれ愛情深く育てられる者、誰かが適当に決めているようなもの。
 
 仏教では縁起因果応報を説きますが、それは後になってわかる屁理屈とも考えられます。

 よく、自然科学では、どのように、は解決できるが、なにゆえに、は解決できないといいます。
 人間はどのような物質でできており、どのうようにすると妊娠出産にいたるかは調べられますが、なにゆえに妊娠出産するかはわかりません。
 自然科学の魅力は、最初からなにゆえに、を追求しないため、論理的に説明できるところにあると感じます。
 また逆に、人文科学はストレートになにゆえに、を追求し、解けないパズルを解こうと無駄な努力を続ける愚かさにこそ、人間的な魅力があるでしょう。

 単なるエンターテイメント作品として観れば稚拙な作品ですが、複雑怪奇な人生を象徴しているようにも思え、感銘を受けました。

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昭和の日

2011年04月29日 | 社会・政治

 今日は昭和の日ですね。
 法律に拠れば、激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす、とされています。
 元号を冠した祝日というのはこの日だけ。
 いかに昭和という時代が今のわが国にとって大きな意味を持っていたかがわかります。

 文化の日は明治天皇の誕生日ですが、建前上、明治天皇の誕生日とは関係ないことになっています。

 昭和20年の大日本帝国の崩壊までは戦争に明け暮れ、その後わが国始まって以来始めての外国による占領という屈辱を味わい、続いて高度成長からバブルと、わずか63年の間にわが国の様相は大きく変貌を遂げました。
 しかし当然のことですが、わが国の国民性は大日本帝国時代のそれとなんら変わるところはありません。
 今回の震災によって示された一般庶民の高いモラルがそれを証しています。

 昭和天皇崩御の時、私は大学1年生でした。
 歴史の節目にその場に居合わせたい、という欲望に駆られた私は、崩御当日皇居に向かったのでした。
 東京駅で電車を降りたとき、すでに皇居に向かう人であふれていましたっけ。

 大喪の礼の日はすべてのテレビ局が中継し、人々は歌舞音曲どころか飲酒さえ自粛し、国中が異様なムードに包まれ、一個の老人が亡くなっただけでこんなことになってしまうとは、と恐怖感すら感じました。

 そして新帝の即位に関わる儀式では、古式ゆかしい大嘗祭が深夜にろうそくの灯りだけで執り行われ、それは公開を禁じられ、皇室の神秘性をいやがうえにも見せつけられました。
 即位の礼は寒空の中華々しく行われ、当時の海部総理が天皇陛下万歳を唱える姿に、またもや恐怖を感じました。

 今上陛下は即位後、父帝の罪を払拭せんと考えたのか、贖罪と祈りに明け暮れています。
 父子そろって不幸な時代を生きたことを感じさせます。

 そういう意味では、皇太子殿下はもう少し気楽に公務ができるのかと思いきや、妃殿下が精神的な病に冒されるという不幸に見舞われ、あまつさえ内親王が小学校にまともに通えなくなるなど、身内のことで苦労されているご様子。

 人が生きるということは生易しいものではないことを、皇室はよく教えてくれます。

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ゴールデンウィーク

2011年04月28日 | 精神障害

 明日からゴールデンウィークですね。
 私の職場は暦どおり。
 若い人は5月2日や5月6日に休暇を入れ、海外旅行の話などに花を咲かせています。
 私は遠くへ行きたくないので、去年のゴールデンウィークに続き、東京西郊へ一泊二日で出かけようかと思っています。
 東京の東端、江戸川区で生まれ育ったせいで、東京西郊は馴染みがないのです。

 私の先輩で48歳の男性は、休日は目が覚めたら酒を飲み、飲むと眠くなるので眠り、目が覚めたらまた酒を飲み、ということを繰り返している、と言っていました。
 奥さんも子どもも有るのに、そんなことして家庭は大丈夫なんでしょうかねぇ。
 それともお父さんはもう家族のうちにはいっていないのかも。
 切ないですねぇ。

 私に娘がいたら嫌われるでしょうねぇ。
 でぶの中年オヤジだし、わがままで頑固ですからねぇ。
 でも多分あんまり子どもに干渉はしないだろうと思うので、その点だけは高得点かも。
 
 私の両親もあまり私に干渉しませんでしたね。
 子どもというより、小さな大人として扱われたように思います。
 その点は両親に感謝しています。
 
 最近自分の子供を虐待したり、ひどい場合殺害しちゃったりしますからねぇ。
 
 私は親にも先生にも一度も殴られたことがありません。
 
 殴るという非常事態が日常生活で起こるということが信じられません。
 だから私も、幼児期を除き、誰かを殴ったことは一度もありません。
 殴って解決する問題など、何一つありませんから。

 喧嘩というのも、ごく幼い頃を除けば、全く未知の経験です。
 職場で仕事をめぐって口論のようになることはありますが、それは互いがより良い仕事を主張し合っただけのこと。
 何の後腐れもありません。

 ちょっとやりすぎたかな、と思うのは、職場のトップに暴言を浴びせられ、精神的におかしくなった時、弁護士を立てて謝罪と損害賠償を求めたことですかね。
 結局、文書による謝罪と損害賠償100万円をもらいました。
 でも直接の謝罪は今にいたるもなくて、そのために今も許せないでいます。
 
 今思えば最初の躁状態だったんでしょうねぇ。
 躁状態の人は攻撃的になり、人によっては訴訟を乱発したりすると言いますから。

 今は安定した状態が一年半くらい続いていて、仕事にも通えて、ストレスもなくて、ここ7年ばかりで一番良い状態です。
 そんな良い状態でのゴールデンウィーク、ゆっくり楽しみたいと思います。

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ドナルド・キーン博士、日本帰化

2011年04月28日 | 文学

  米国の日本文学者、ドナルド・キーン博士が日本に帰化し、永住する、と発表しました。

 88歳になって、なぜ?という気もしますが、本人はその気満々で、先般コロンビア大学で最終講義を済ませたとのことです。
 について論じたようです。
 博士は、日本の国文学者が狭い専門から出ていかないのに対し、記紀万葉から現代文学まで、幅広く論じることができる碩学です。

 日本文学の道を志すきっかけになったのは、古本屋で「源氏物語」の英訳本が、分厚いわりに安かったために購入し、これに感銘を受けてまずは日本語を学ぶところから始めたとか。
 戦中は米軍の通訳官として働き、戦後は日本留学をして国文学への造詣を深め、それでも米国人であることを辞めず、コロンビア大学で教鞭をとってきました。

 三島由紀夫、安部公房、石川淳らと親交が深く、大江健三郎とは不仲だったと聞きました。

 ドナルド・キーン博士がこのタイミングで日本帰化を決意したのは、はっきり言いませんが、震災の影響があるのではないでしょうか。
 世界中から放射能に汚染された国と見られている今、あえて高名な自分が日本人になり、情報発信すれば、諸外国の誤解を解き、被災した方々への慰めになるのではないか、と考えても不思議ではありません。

 しかし博士は深く日本精神を身に付けたお方。
 そんなことは恥ずかしくて言えないでしょう。

 とりあえず東京に住んで執筆活動に励むそうですが、谷崎潤一郎のように、京都に移り住むかもしれませんね。

 膨大な博士著作の中から、読みやすいものを以下のとおり選んでみました。
 老学者の知の歩みに触れてみてはいかがでしょう。

百代の過客―日記にみる日本人 (上) (朝日選書 (259))
金関 寿夫
朝日新聞社
百代の過客―日記にみる日本人 (下) (朝日選書 (260))
金関 寿夫
朝日新聞社
果てしなく美しい日本 (講談社学術文庫)
足立 康
講談社
日本人と日本文化 (中公文庫)
Donald Keene
中央公論社
日本人の美意識 (中公文庫)
Donald Keene,金関 寿夫
中央公論新社

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三度の飯よりミーティング

2011年04月27日 | 精神障害

 北海道浦河町にべてるの家という統合失調症患者のグループホームがあるそうです。
 ここでは昆布の加工生産などにより自立を図るとともに社会進出を果たすことを目的としています。
 ここのルールが面白いのです。
 三度の飯よりミーティングを合言葉に、何かというと当事者同士が話し合いをするそうです。
 さらに、幻覚を
幻覚ちゃんと呼んで擬人化し、自分の幻覚をミーティングで話したりして、客観視しようとします。
 また、当事者が自分特有の診断名を付けるというのです。
 統合失調症全力疾走型とか、子供返り幻聴症とか、実に様々です。
 これもまた、自分の症状を客観視し、症状へのとらわれから逃れようとする術のようです。
 
 面白いことに、べてるの家がNHKなどで取り上げられて有名になると、浦河町はこれを町おこしに利用しようと考えたらしく、幻覚&妄想大会なるイベントを開き、当事者に自分が感じている幻覚や妄想を語らせて盛り上がるという、一歩間違えれば悪趣味とも言うべきやり方でますます有名になっているとか。

 精神障害者に対しては、長く差別と隔離ということが政策として行われてきました。
 これは洋の東西を問わないものと思います。
 その後、障害者は保護されながら一般社会で生きるようにしよう、ということが主流になり、最近ではできるだけ自立しよう、ということになっています。
 
 私は精神障害者の自助グループに参加し、うつ病、躁うつ病、統合失調症、パニック障害、神経症、リストカットなど、多くの障害を持つ人と出会いました。
 閉鎖病棟に入院した経験を持つ人もいました。
 しかし、ドラマや映画で描かれるような、いわゆる「狂人」という感じの人は一人もいませんでしたね。
 そういう人はそもそも自助グループに出席できないのかもしれませんが。
 仕事を探している人、「職業は病人」と言って障害者年金で生きることを決めた人、変わったところでは、精神障害者によるNPO法人を立ち上げようと尽力している人もいました。

 べてるの家は、精神障害をよく知らない人から見たら信じられないほど高い能力を持った当事者たちに、病気と付き合いながら社会貢献するとともに、経済的に自立する道を模索しているもので、自立よりさらに進んで病んだ社会を病んだ当事者が回復させよう、というあまりに大きな目標を掲げています。

 意義のある事業だと思います。

 しかし私は、べてるの家でも適応できなかった当事者のことを思わずにはいられません。
 一年前私がお世話になった障害者職業センターのリワーク・プログラムでも、適応できずにすぐに止めてしまう人がいました。
 不良少年の更生でもそうですが、更生施設でもどうにもならない人が必ずいるものです。
 
 私はむしろ、そういった小さな集まりでしかない、しかし組織でもある集団からもはみだしてしまうような人々に、どのような支援が可能か、ということに関心があります。
 もっともどんな施設でも、精神科医でも、当事者が出向くか、家族が無理やり引っ張っていくかしない限り、救いの手を差し伸べられないというのは厳然たる事実です。

 権利の上にあぐらをかく者は保護しない、という法理が、社会的弱者である各種障害者にも適用されるのは、悲しいことです。

べてるの家の「非」援助論―そのままでいいと思えるための25章 (シリーズ・ケアをひらく)
浦河べてるの家
医学書院
治りませんように――べてるの家のいま
斉藤 道雄
みすず書房
「べてるの家」から吹く風
向谷地 生良
いのちのことば社

 

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昼ドラの顔、逝く

2011年04月27日 | その他

 田中実が自殺した、との一報に触れました。
 彼は主婦向けの午後の早い時間のドラマにによく出演していて、病気休暇で休んでいるとき、ぼんやりと眺めていました。
 悩みなど何もない、といった顔で明るく前向きな、爽やかな好青年をよく演じていました。
 うつ状態の私はそんな彼を見て、非常に白けた気分になったことを思い出します。

 そのご本人が、人知れず悩みを深め、自ら縊れ死ぬとは、痛ましいことこの上ありません。
 44歳で、三つ年上の奥様がいて、高校生と中学生の子供がいたと聞きました。
 ドラマの仕事は半年先までスケジュールは一杯。
 外面的なことだけを見れば、人も羨む境遇だとしか思えませんが、その彼がなぜ?

 いつだったか、精神科医が、武士の切腹や自爆テロを行うテロリストなどを除いて、自殺する人はその前後激しいうつ状態にあり、服薬と休養によって良くなる可能性が高い、と言っていました。
 でもまさか自分が精神病に罹患しているなんて思いもせず、絶望的な気持ちをどうにもできず、自殺にいたってしまうのですね。
 人ごととは思えません。
 うつ状態が激しいと、死ぬ元気さえないのですが、少し動けるようになると、死ぬということがとても魅惑的に思えてくるのですよねぇ。
 まさに悪魔か死神が耳元でささやいているのですよ。
 「死んだら楽だよ。あれもこれも、みいんな、解放されるよ」
 と。

 田中実という役者が44歳という年齢で死を選んだ本当の理由は、結局のところ誰にもわからないでしょう。
 もしかしたら本人にもよくわかっていなかったのかも。
 人間、不可解な行動をとることがありますからねぇ。

 私は30歳の時に職場の後輩で27歳の男性を、38歳の時に精神障害者の自助グループの友人で39歳の男性をそれぞれ自殺で喪いました。
 自殺のニュースを聞くたびに、この二人のことを思い出します。
 私ですらそうなのですから、家族や親族に自殺者がいる場合、心の傷は深いでしょうねぇ。
 
 今生きている私と、自殺が成功してしまった後輩や友人との違いは何なのでしょう。
 また、何度も自殺未遂を繰り返しながら、結局死にきれずに天寿を全うする人との違いは?

 私は7年に及ぶ双極性障害との付き合いで、自分だけを大事にしようと考えるようになりました。
 身を粉にして働いたって、徹夜したって、土日にサービス出勤したって、何も良いことはありません。
 与えられた職務だけを誠実にこなして残業は一切せず、貰えるものを貰えばそれで十分。
 職場に貢献しようとか、出世しようとか、そんなことは私にとって発病前の懐かしい思い出でしかありません。
 そんな風にご隠居気分で働くには、定年まであと19年、あまりに長いですねぇ。
 

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オーディション

2011年04月27日 | ホラー・サスペンス・SF等の映画

 米国のエンターテインメント・ウィークリー誌が最近20年間に製作されたホラー映画のランキングを発表しましたが、日本映画、「オーディション」が見事1位に輝きました。
 ちなみに日本のホラーでは他に「リング」が10位に入っています。
 昨夜「オーディション」をDVDで鑑賞しました。
 原作は村上龍の同名の小説です。

 映像制作会社を経営する青山は7年前に妻を亡くし、高校生の息子と二人暮らし。
 そんな彼を心配した親友の映画プロデユーサーが映画製作のオーディションと称して青山の好みの女を探そうとします。
 応募書類を見て、青山は麻美というミステリアスで薄幸な女性に目を奪われます。
 実際にオーディションで会ってからは、もはや麻美のことしか考えられなくなります。
 そして何度もデートを重ね、青山はプロポーズすることを決意するに至ります。

 ここまでは中年男と妖気を放つ若い女との純愛物語。

 しかし、麻美の素性を探るうち、奇妙なことばかりが起こっていることに気付きます。 
 アルバイトをしているはずの銀座のクラブは1年以上前にママが殺害されて閉じていたり、麻美が少女時代通っていたクラシックバレエ教室の先生は両足がなかったり。
 このあたりから、純愛物語は暗転し、怖ろしいサイコ・サスペンスの様相を呈し始め、ほどなく血しぶき舞うスプラッターにまで高められます。

 この映画の特徴は、麻美を演じたトップモデルの椎名英姫の不気味なまでの美しさと存在自体から漂う妖気をうまく引き出したことでしょう。
 何も言わずに立っているだけで妖しいオーラを放つのです。

 それと、抑えた演出。
 セリフ回しはささやくように、BGMも控えめ、麻美が中年男に針を刺しならがら「きり、きり、きり、きり、痛いでしょう」という名ゼリフですら、ささやくような小さな声で、それはまるで恋人同士の愛の言葉のようです。

 ロッテルダム映画祭では途中退場する客が続出し、ショックのため病院に運ばれる客まで出、客の一人から三池監督が「悪魔」と罵られるほど過激な残酷シーンがありながら、見事批評家賞を受賞しました。

 私は「リング」のほうがホラー映画としての完成度は上だと思いますが、麻美を演じた椎名英姫の演技ではなく素なんじゃないかと思わせるほどのハマりぶりが、この映画が米国のホラーファンから熱狂的支持を受けている理由だと思います。
 妖しげな美人ほど怖ろしく見える存在はないのはなぜでしょうね。
 
 このような異色作が米国で高く評価され、わが国ではあまり知られていないのは日本のホラーファンとして残念です。

オーディション [DVD]
石橋凌,椎名英姫,松田美由紀,大杉漣,石橋蓮司
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村上 龍
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ホリエモンと「青の時代」

2011年04月26日 | 社会・政治

 ホリエモン、最高裁で懲役2年6ヶ月の実刑が確定しましたね。
 正直に言うとホリエモンがやったことがなぜそれほど重い罪なのか、金目の話に疎い私にはよくわかりません。
 しかし懲役2年6ヶ月の実刑をくらうということは、相当な罪なのでしょうねぇ。

 ホリエモン、数日のうちには刑務所に入るんですねぇ。
 テレビドラマやノンフィクションで見る刑務所は、きつい所です。
 きつくなくては刑務所の意味がありませんから、きついのは当然ですが、東京大学を出てライブドアを企業し、飛ぶ鳥落とす勢いで会社を大きくし、六本木ヒルズに住んで贅沢三昧をしてきた彼には、耐えがたい屈辱でしょう。

 三島由紀夫「青の時代」は、昭和20年代半ばに起きた東京大学大学院生が闇金融のようなことをやってお縄になることが確実と知って自殺する物語でした。
 光クラブ事件として有名な事件を元にした小説で、ライブドア事件が騒がれていたとき、よく引き合いに出されていましたね。
 「青の時代」は純粋な文学作品で、光クラブ事件の首謀者である青年の内面の葛藤を描こうとしたものですが、どうしても実際の事件が思い起こされ、あまり正当な評価は受けていないように思います。

 ホリエモンは自殺することなく、刑に服する見通し。
 そうだとすると彼の後半生がどういうものになるのか、興味深いところです。
 出所して華麗な復活劇を遂げるのか、平凡なサラリーマンになるのか、ホームレスにまで身を落とすのか。
 しぶとい人のようですから、必ずもうひと花咲かせようとするでしょうね。
 その時前科が凶と出るのか、あるいは知名度が吉と出るのか。
 今はただ、無事に刑期を終えて出所することを願うばかりです。

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会議乱立

2011年04月26日 | 社会・政治

 震災復興のため、また、原発事故対応のため、数々の会議や組織が次から次に立ち上げられたことは、みなさんご存知のとおりです。
 
 ざっと数えてみると、緊急災害対策本部、被害者生活支援特別対策本部、被害者生活支援各府省連絡会議、被災地の復旧検討会議、災害廃棄物処理の法的問題検討会議、原子力災害対策本部、原子力被災者生活支援チーム、福島原発事故対策統合本部、原子力発電による経済被害対応本部、電力需給緊急対策本部、復興構想会議、復興実施本部(仮称)等々が浮かびます。
 
  実際はもっとあります。

 これだけの有識者による会議、各省庁の担当が会議のセッティングをして、シナリオを書いて、いくつかのパターンの結果を用意して、何カ月もかけて話し合い、提言をまとめたら政府はそれを実行する気があるんでしょうかねぇ。
 これだけたくさんの会議がそれぞれてんでんばらばらに答申をしたら、菅総理、頭ぼっかーんと爆発しちゃうんじゃないでしょうかねぇ。

 役人も空しいでしょうねぇ。
 政治家が強いリーダーシップを発揮して指示を飛ばしてくれればすぐにでも動き出せるのに。
 役に立つんだか立たないんだかよくわからない会議のお世話に明け暮れていては、無駄に時間を費やしているようなもの。

 菅総理は誰かに提言させることで責任逃れをしているのか分かりませんが、大方針をどーんと示し、官房長官や各大臣に全権を与え、最後はおれが責任をとる、となぜ言えないのでしょうか。

 三宅島の全島民避難のときは、中曽根総理と後藤田官房長官、それに3人の総理補佐官で全て決めて、速やかに実行したそうです。
 決定するのに頭数が多いと議論百出して結論が出ない小田原評定になってしまいます。

 みんなで話し合って決めましょうというのは、平時なら結構ですが、非常事態にあっては、しかるべき立場の人が独裁的にリーダーシップを発揮し、復興がなった後、責任を取るなりすればよいのです。

 それができないなら、総理の椅子を降りるしかありますまい。
 今回の事態は、市民活動家出身で野党呆けの素人大臣の集まりでしかない現政権には荷が重いというものです。

 鳩山前総理から菅総理に代わった時は、宇宙人から人類になった、これでまともな政権ができる、と期待していたのですが、期待していただけに、失望も深いのです。

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一千一秒物語

2011年04月26日 | 文学

  昨夜は、魔道を歩んだ偉大な先人、稲垣足穂の「一千一秒物語」を読み返しました。

 キイ・ワードは、月・流星・シガレット・ヒコーキ

 わが国の近代文学の中で、その硬質さ、ドライさ、奇妙さは際立っています。
 何かに悩む主人公は出てこず、恋愛沙汰も起きず、人も死にません。
 坂道でポケットから自分を落としてしまう話など、ファンタスティックな掌編の連続です。
 読者はタルホ・ラビリントスに迷い込まざるをえません。

 私は久しぶりにその迷宮に迷い込み、楽しみました。
 
 彼は生まれるのが早すぎたんじゃないでしょうか。
 大正から昭和初期に世に出た彼は、人間を口から肛門にいたる筒とみなして、独自のエロス論を組み立てました。
 それが「A感覚とV感覚」です。
 そのエロス論もまた、彼にかかると硬くてドライな、輝く石のような光を放つのです。

 こういう人はもう出てこないような気がします。
 近代から現代まで、日本文学は長いこと貧乏自慢と若さ自慢、それに羞恥心を忘れたかのような露骨な性描写に明け暮れています。
 日本文学本来の伝統を取り戻し、洒脱で軽妙な、しかし奥が深い小説がもっと増えてくれると嬉しいと思っています。

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A感覚とV感覚 (河出文庫―稲垣足穂コレクション)
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殺人犯

2011年04月25日 | ホラー・サスペンス・SF等の映画

 香港のサスペンス「殺人犯」を鑑賞しました。

 良くも悪くも香港映画らしさが満開でした。
 派手で、演出過剰で、血がドバーッと出て、主人公の感情表現が笑っちゃうほど大げさです。
 まずはこの香港映画らしさに違和感を持たずに観られるか、という点で大きく評価は分かれるでしょう。

 香港のエリート刑事は美しい奥様と可愛い男の子と豪邸に住む二枚目です。
 連続殺人を捜査中、彼は犯人と思しき人物に襲われて気絶。
 前後の記憶を失ってしまいます。
 先輩の刑事は背中にいくつも電気ドリルで穴を開けられた上にマンションの7階から突き落とされて瀕死の重傷。
 植物状態になってしまいます。
 警察はやがて、エリート刑事に疑いの目を向けます。
 苦しむエリート刑事。
 しかし苦しむほど、状況証拠は彼が犯人であることを示すのです。
 そして長まわしの謎解明の場面。
 そうなの?と驚きますが、あざとささえ感じさせる過剰な演出です。

 正直私はあまりの大芝居と過剰過ぎる演出に、呆気にとられたというのが感想です。
 まあ、力作なんでしょうけどねぇ。 

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世に争いの種は尽きまじ

2011年04月25日 | 社会・政治

 石川や 浜の真砂は尽きぬとも 世に盗人の 種は尽きまじ   石川五右衛門 

 盗人の種は尽きないと五右衛門は詠みましたが、世に争いの種が尽きることもないようです。

 世界遺産のヒンズー教寺院遺跡「プレアビヒア」周辺の国境未画定地域をめぐって対立するタイとカンボジアが、ここ数日国境付近で小競り合いを続け、両軍に死傷者が出ているそうです。
 カンボジアは悪名高いポル・ポト政権時代を経て、今は王政が復古し、仏教を奉じる立憲君主制国家。
 カンボジア憲法には、内政不干渉、紛争の平和的解決、永世中立が明記されています。
 タイは王を神聖不可侵とする憲法を持ち、日本の明治憲法との類似がみられますが、仏教を国教とし、国王を仏教の庇護者としています。

 同じ上座部(小乗)仏教を奉じる王国で、方や紛争の平和的解決を憲法に明記しながら、結局領土の話になると、銃火を交える仕儀に相なってしまうわけですねぇ。
 カンボジア王国に言わせれば、タイが侵略してきたから自衛のために戦ったので、憲法違反ではない、ということになるんでしょう。

 領土をめぐって当事国がナーバスになったりヒステリックになったりするのは、わが国の北方領土返還運動を見ても、韓国の竹島に対する感情的な対応を見ても、十分理解できます。

 1980年代にはフォークランド諸島をめぐって英国軍とアルゼンチン軍がガチンコ対決になりました。
 第二次大戦後、精強で現代的な軍隊を持った国家同士がまともに戦った最初で(今のところ)最後の戦争だったでしょう。

 真に真に、争いの種は尽きません。

 カンボジアのように、平和的な憲法を持っていたって、やる時はやっちゃうんですよねぇ。
 目の前に危険が迫った場合、法律談義をしている暇はなく、反撃せざるを得ないのは当然。
 国民の生命、財産が脅かされてなお、法律の条文に拘っているようでは、政治家として失格だし、そのような政治家を持った国民は真に不幸というものです。

 彼我に鑑みて、わが国とカンボジア王国に何ほどの差がありましょう。
 同じ立憲君主国家、同じ仏教国、同じような平和的憲法を持って、ここ20年は平和に暮らしてきました。
 そうであるならば、わが国が領土紛争に巻き込まれたとき、わが国がとるべき態度は結局のところ一つしかありません。
 つまり、やられたらやり返せ。
 おそらくわが国民はその時、頭に血が昇ってやれやれどんどん、という雰囲気になるでしょう。

 今震災を巡ってセンチメンタルな報道や過剰な自粛が横行し、震災復興とさえ言えばぐうの音も出なくなってしまうような雰囲気がわが国を包んでいるように。

 やれやれ。

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