ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

湖の女たち

2024年04月29日 | 文学

 昨夜は吉田修一の「湖の女たち」という小説を読みました。
 吉田修一といえば、芥川賞受賞作「パーク・ライフ」が非常に印象に残っていますが、なぜかその後この作者の小説を読むことはありませんでした。

 この小説、文庫本で400頁足らずですが、とにかく登場人物が多い。
 あまりにも多いので、相関図のような物を作ってしまいました。
 そうでないと混乱するからです。

 この小説では湖と言えば琵琶湖と戦前の満州国に作られた人造湖、平房湖を指しています。
 琵琶湖のほとりに建つ老人ホームでの事件とも事故ともつかない老人の死から物語は始まります。

 真相を追う刑事と施設で働く介護師との異常な性的関係、平房湖で起きた少年と少女の死、それらが複雑に絡み合って、ついには老人の死は731部隊の蛮行にまで繋がっていることが示唆されます。
 しかし、全ては示唆であって、真実とも虚構とも語られません。

 複雑な物語で、しかも読後感は最悪。
 嫌な気分にさせらてしまい、しかも逆説的ですが、それが心地よいあたり、いわゆるイヤミスに近いのかもしれません。

 

 

 


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ツツジ

2024年04月28日 | 散歩・旅行

 今日は朝一番でスバルのディーラーに行きました。
 インプレッサの半年点検のためです。
 早いもので購入してから3年半が経ちます。
 先代インプレッサには7年乗りましたから、通算するともう10年もインプレッサに乗り続けています。

 ただし、走行距離が大きく異なります。
 前の車は約10万キロ乗り、スバルの営業からはアクティブなドライバーと言われました。
 しかるに今の車は3年半で27,000キロ。
 アクティブとは言い難い距離です。
 最大の原因はコロナ。
 車で遠出することが無くなり、ほとんど通勤にしか使わなくなりましたので。
 さらに追い打ちをかけたのが左目の悪化。
 そのせいで運転するのが怖くなってしまいました。
 現役のうちは車通勤なので仕方ありませんが、定年を迎えたら早々に免許を自主返納したいと考えています。

 スバルでの点検が終わって帰宅し、イカ墨スパゲティとほうれん草のソテー、それに珈琲とデザートにティラミスをいただきました。
 若い頃は絶対に甘い物を口にしなかったのですが、年を取って趣向が変わったのか、少しですが甘い物を口にするようになりました。
 人間、本質は変わらないのでしょうけれど、表層的な部分は変わっていくようです。

 その後、腹ごなしに近所を散歩しました。
 小さな公園にツツジが咲いていました。





 見事なものです。
 そういえば、若い頃は花や植物に興味がありませんでしたが、花を愛でるようになりました。

 花を愛でたら庭石に興味を持つようになり、最後は石の下、でしょうか。
 しょせん儚い命なのに、食うために時間を浪費しなければならないとは、人間というもの、どこまでも因業に出来ているようです。


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あなたのため

2024年04月20日 | 文学

 今日は小説を読みました。
 「毒母ですが、なにか」です。

 女子高生が毒母になり、娘を思い通りに育て上げようとする長い物語が紡がれます。

 毒母が70を超えて要介護3になっても、娘は子供の頃の記憶から逃れることが出来ず、絶縁状態を続けます。
 娘は幸せな結婚をし、毒母から逃れるわけですが、自らは妊娠しても堕胎し、母になることを拒絶します。
 自分が実母のような母親になって子供を支配しようとするのではないかと心配だからです。

 文章は少々雑ですが、内容の面白さから、一気に読みました。

 母と娘というのは難しいようです。

 実は同居人も、実母との関係性に苦しんだ一人です。
 言葉の暴力をシャワーのように浴びせ続け、わずか10歳にして自殺未遂を起こします。
 しかしそれは実母の怒りを倍加させるだけでした。
 その後も同居人の存在そのもを否定するかのごとき発言を繰り返します。
 それは社会人になっても続きます。
 社会人になったのだからとっとと家を出れば良いのにと思いますが、毒親は結婚以外で家を出ることを許しません。

 私と一緒になることで堂々と家を出ることが出来たわけです。
 同居人は後に、私を評して、実家からの呪縛を解いてくれた王子様だったと述懐するにいたります。

 しかし私との結婚は、純粋な両性の合意のみに基づいて結ばれた、純粋な愛だったと私は信じています。
 実家を出るための打算的なものだとは思っていません。

 毒親が必ず繰り出すフレーズはあなたのためを思って、です。
 これこそ呪いの言葉です。
 これによってどれほど多くの子供が傷ついているかしれません。

 子供の頃の話だけではありません。
 毒親が生きている限り、毒親との戦いは40年でも50年でも続くのです。

 今の同居人、介護をしているのに、母親から感謝の一言もなく、もっぱら罵倒されているそうです。
 せっかく実家を出ることが出来たのに。

 呪いはまだ続くようです。

 私は両親から愛されて育ちましたから、そのような親子関係は想像すらできませんが、きっと世の中にはたくさんいるんでしょうね。
 自分の子供を信じてください、と言いたいですね。


 


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ある男

2024年04月14日 | 文学

 昨日は同居人が休日出勤であったため、一人の土曜日となりました。
 世間の中年男は奥さんがたまに留守をすると、一人を満喫できるので喜ぶと聞いたことがあります。
 私はそんなことはありません。
 深く同居人に依存していますので、もし同居人に先立たれでもしたら、孤独に耐えられないのではないかと考えただけで怖ろしくなります。

 で、気晴らしに小説を読みました。
 平野啓一郎の「ある男」です。
 映画化もされているようです。

 

 林業に携わる夫が事故死して、残された妻子は嘆き悲しみます。
 しかし、奇妙なことが起こります。
 ほとんど絶縁状態だった夫の実兄が焼香にくるのですが、遺影を見て、これは弟ではないと断言します。
 では、夫は何者だったのか、知り合いの弁護士が探偵ごっこを始めます。
 そして明かされていく真実。
 それはとても怖ろしいものでした。

 ネタバレになるのでこれ以上は紹介しませんが、純文学作品でありながら、謎解きの要素を含んだスリリングな物語に仕上がっています。
 同居人のいない土曜日を慰めてくれた秀作だと思います。
 


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花見

2024年04月07日 | 散歩・旅行

 今日は昨日とは打って変わって好天に恵まれました。
 そこで、酒と主に乾き物のつまみにおにぎり弁当を仕込んで千葉県立青葉の森公園に出かけました。




 

 

 多くの老若男女、善男全女がシートを広げて花見に高じていました。
 ここはなにしろ県立公園なので、的屋もおらず、広々してしかも静か。
 花見は騒々しいのも良いですが、年を取ると静かな花見が良くなるようです。



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花冷え

2024年04月06日 | 散歩・旅行

 今日は小雨がぱらつき気温が上がらない、しかし桜は満開の花冷えでした。
 こんな日に飲食を伴う花見は行うのは無理なので、千葉県立青葉の森公園で花を観ながら散策しました。
 明日、天気が良かったら酒肴を仕込んで花見を行いたいと思っています。











 桜だけではありません。
 花の公園なのです。






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