昨夜は水割りをちびちびやりながら、小説を楽しみました。
奥田英朗の「ララピポ」です。
対人恐怖症のフリーライター、NOと言えないカラオケボックス店員、AV・風俗専門のスカウトマン、デブ専裏DVD女優のテープリライターなど、社会からはみ出した人々の日常を同時並行的に描き、最終章に至って全員の人生が交差する群像劇です。
このようなスタイルの物語はわりあいたくさん見られます。
職場で学校で、あるいは趣味で、多くの人々と出会い、人生が一瞬といえども交差するわけですが、その瞬間に至るまで、私たちは同時代を並行して、互いを知らぬまま生きてきたわけです。
袖触れ合うも他生の縁、と申します。
たとえ電車で隣り合っただけでも、何らかの縁があるということですから、友人になったり同僚になったり、さらには恋人になったり結婚したりするというのは、よほどの縁なのだろうと思います。
「ララピポ」は、軽く読める楽しい作品でありながら、そういった人の縁について考えさせられる力を持った小説でした。
ララピポって何のことかと思っていたら、作中、外国人が東京の印象を、a lot of peopleと述べ、ネイティブが発音すると日本人にはララピポと聞こえる、という意味でした。
このタイトルにも、作者の深い意図を感じます。
たくさんの人々、という意味の英語を、さらに分かりにくくしているわけです。
この世には誠に多くの人々がおり、様々な人生をおくっています。
その断面を切り取ってみせた、という著者の自負が感じられる、謎かけのようなタイトルだと感心したしだいです。
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ララピポ (幻冬舎文庫) |
奥田 英朗 | |
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