長崎出張からの帰り、機内で人間国宝の講釈師、一龍斎貞水の「真景累が淵」の中から、「宗悦殺し」の場をラジオで聞きました。
落語を聞こうとおもってチャンネルを代えたところ、夏のせいか、怪談をやっていたというわけです。
年老いたあんまの宗悦が、爪に火をともすようにしてためた金30両を3年前、旗本に貸します。
いつまでたっても返してもらえないので、宗悦は催促に行ったわけです。
「今はないから待て」の一点張りの旗本に、それまで旦那さまといってうやうやしい態度をとっていた宗悦が豹変するところが面白かったですねぇ。
いつまで体が動くかわからない年寄りには、金は命より大事なんだ、と啖呵を切るところなど、現在の老人にも共感を呼ぶのではないでしょうか。
結局旗本は宗悦を無礼打ちにしてしまい、宗悦は血まみれで事切れてしまいます。
それから起こる様々な怪異現象が「真景累が淵」の真骨頂ということになるのでしょうが、機内では「宗悦殺し」の場をたっぷりと演じていました
わが国の話芸が発達していること、世界に例を見ないのではないでしょうか。
英国などではサイレントが盛んなようですし、喜劇やコントは世界で行われていても、落語だったら扇子にせいぜい手ぬぐいを小道具になんでも一人で演じてしまいます。
講談はもう少し舞台装置がありますが、それにしたってわずかなものです。
歌舞伎が豪勢な舞台装置を使うのとは好対照ですね。
そのわずかな舞台装置すら見えない、ラジオで音だけ聞いても楽しめるというのは極めて高度な話芸だと言わざるを得ませんねぇ。
女子柔道57キロ級の松本薫選手が、今大会、日本人で初めて金メダルを獲得しました。
オオカミの目とも獣の目とも呼ばれる鋭い眼光で相手をとらえ、素早い動きで相手を圧倒する、谷亮子なんかとはおよそタイプの違う、おっかない選手です。
頼もしいと言おうか、怖ろしいと言おうか、独特の精気みなぎる面構えです。
私など、こんなおっかないお姉さんが寄ってきたら、泣きながら裸足で逃げ出してしまうでしょう。
しかし格闘家としては、抜群の面構え。
内面の強さが、外にしみだしているようです。
金メダルをとった後は、この笑顔です。
試合中は鬼にも見えますが、素顔は20代前半の若い女性なんですよねぇ。
私も酒ばっかり喰らっていないで、こういう鬼のような精神力を持った人に、たるんだ精神を鍛え直してほしいものです。
でも無理かな。
ぬか漬けにしたきゅうりはいくら洗っても生のきゅうりにはもどらないように、腐ってしまった私の精神が生気を取り戻すことなんて、永遠にないのでしょうねぇ。
昨夜は英国のゾンビ物「ゾンビ・クロニクル」を鑑賞しました。
英国内では、ゾンビ・ウィルスに感染する者が続出。
もはや国家としての体をなしていません。
ある陸軍基地は基地中の有刺鉄線を二重三重にはりめぐらせ、なんとか安全を確保しています。
しかし、食糧も底をつき、町のスーパーにトラックで物資を奪いに行きますが、その都度犠牲者が出る始末。
やがて無線で海岸にある基地から、オランダは平穏であるらしいので、二日後、船でオランダに渡る、ウィルスに感染していない者は急ぎ海岸の基地に参集されたし、との情報が入ります。
半信半疑の兵隊たち。
しかし士官すべてを失って、伍長でありながら基地の責任者となった者が、生き残った数名とともにトラックで海岸の基地を目指すことを決意します。
しかしトラックもじきに動かなくなり、徒歩でゾンビの群れを倒しながらの進軍。
おまけに途中、銃で武装したギャングとの抗争を繰り広げるなどし、部隊は一人また一人と仲間を失っていきます。
やっとたどりついた海岸の基地。
しかしそこにもゾンビ・ウィルス感染者が大挙して押し寄せており、多くの軍人はゾンビ・ウィルスに感染するぐたいならと、自殺しています。
ラスト、船が来ない浜辺で呆然と立ちすくんでいると、一組の夫婦がたたずんでいます。
聞けばオランダ人とのこと。
オランダは壊滅したが、英国は島国だからゾンビ・ウィルスが上陸していないという噂を聞いて渡ってきた、というのです。
たちつくす伍長。
「猿の惑星」のラストを思い起こさせます。
あまりに絶望的なラスト、終末的な風景、ゾンビ物としてはきれいに撮られていましたね。
「28日後」、「28週後」のような圧倒的な迫力と終末観は感じられませんでしたが、ネタが出尽くした感のあるゾンビ物としては、頑張っているほうなのではないかと思います。
ゾンビ・クロニクル [DVD] | |
ロブ・ウェストン,ケヴィン・ゲイツ | |
アルバトロス |
猿の惑星 BOX SET [DVD] | |
チャールトン・ヘストン,キム・ハンター,ロディ・マクドウェル | |
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン |
28日後... 特別編 [DVD] | |
アレックス・ガーランド | |
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン |
28週後... (特別編) [DVD] | |
ロバート・カーライル,ローズ・バーン,ジェレミー・レナー,マッキントッシュ・マグルトン,イモジェン・プーツ | |
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン |
14時過ぎに、無事帰宅しました。
長崎も暑かったですが、千葉も暑いですねぇ。
この時期に日本に観光に訪れる外国人の気が知れません。
ガイドブックに夏はよしとけって書いていないのですかねぇ。
朝食のバイキングに、団体らしい中国人観光客が大挙して押し寄せていました。
何組かの日本人は、席をキープする意味でハンカチやカバンなど置いて食い物を取りにいったようなのですが、中国人にはそんなもの通用しません。
忘れ物だと思ったようです。
むしろくすね取られなくてよかったね、という風情です。
帰りの飛行機も運よくクラスJが空いていて、1,000円のお直り料金を払ってクラスJで帰ってきました。
健康を維持し、職務に精励するためにはやむを得ざる出費です。
もちろん、職場にクラスJへのお直り料金を請求しても認められることはありません。
端から自腹のつもりです。
明日から通常勤務。
あわただしいですねぇ。
今回の出張の友は、ウィスキーと「若山牧水随筆集」という文庫本でした。
ウィスキーは仕事前夜の高ぶった神経を鎮め、仕事後の私に安心感を与えてくれました。
飛行機など移動の途中には「若山牧水随筆集」を読みました。
これも例によって亡父の蔵書から頂戴してきたものです。
まだ半分も読んでいませんが、前半は紀行文中心です。
明治末から大正時代にかけて、若山牧水はじつに多くの場所を旅しています。
それも草鞋に着物といういでたちで、比叡山や那智、長野など山がちなところを好んで歩いています。
そしてこの人、朝も昼も晩も、かならず酒を飲むのです。
比叡山の宿坊に泊まったときですら、大酒を喰らっています。
たぶんアルコール依存症だったんでしょうね。
そしてどういうわけかこういう人の周りには大酒のみが集まってくるらしく、大店の旦那だったのが、店から土地から飲みつくしてしまい、妻子にも捨てられて、比叡山の末寺で住職のいない寺の寺男をやっている老人の寺に宿泊し、牧水のおごりで老人と酒宴をひらく有り様など、浅ましいかぎりです。
うまきもの こころにならべ それこれと くらべ廻せど 酒にしかめや
人の世に たのしみ多し然れども 酒なしにして なにのたのしみ
なんていう、意地汚いような歌を残しています。
酒の飲みすぎがたたって、43歳の若さで虚しくなってしまいました。
死の床にあって、もう重湯しか飲み込めないのに、酒をねだって、不思議と酒は入ったようです。
死期が近づいて、もう医師も飲酒を止めようとはしなかったそうです。
「若山牧水随筆集」の後半は「思い出の記」、「折りおりの記」、「石川啄木の記」などと題されており、紀行文とは違った味わいの随筆が楽しめそうです。
帰路はそれらを出張の友として楽しみましょうか。
若山牧水随筆集 (講談社文芸文庫) | |
若山 牧水 | |
講談社 |
若山牧水歌集 (岩波文庫) | |
伊藤 一彦 | |
岩波書店 |
準備も含め、今朝八時半から17時まで続いたイベントが大過なく終了しました。
まずはめでたい。
イベント仕事の良いところは、時間がくれば終わっちゃうことでしょうねぇ。
多少のトラブルやミスはありましたが、それは対応できる範囲内のことでした。
ところが、これが会計検査院から指摘事項を受けたとなると、永遠に終わらないんじゃないかと思うほど、あの書類を出せこの調書を作れ、やれ再発防止策だ、やれ管理職の処分だと、半年も一年も続きます。
お金を扱う部署の厳しさは、現場仕事のそれとは異質なものです。
今日のは典型的な現場仕事。
終わってしまえば気持ちは晴れやかです。
でも昨日買ったウィスキーがずいぶん余っているので、ロックでちびちびやっています。
私はウィスキーを水で割ったりソーダで割ったりする人の気がしれません。
ストレートかロックで飲まないと、ウィスキー本来のふくよかな味が味わえないではありませんか。
ホテルから職場へタクシーで向かう道すがら、山にへばりつくように家々が立っている光景を見ました。
坂だらけの長崎らしい風景です。
見渡す限り山が見えない、広大な関東平野に位置する首都圏で生まれ育ち、今も暮らす私には、異国情緒にも似た、メランコリックな景色に見えました。
でも実際に住んだら大変でしょうね。
毎日の買い物でも、ちょっとした外出でも激しい坂を登ったり下りたりしなければなりません。
若い者は足腰が鍛えられて結構でしょうが、足が弱くなった年配の方には骨でしょう。
今回はお仕事優先のため、明日の朝10時の便で羽田空港に帰ります。
慌ただしいですが、仕事とあれば致し方ありますまい。
明日の14時過ぎには帰宅できる予定です。
出張の疲れを癒し、また今週の仕事に挑んでいきたいものです。
昨夜は女子サッカーを横になってテレビ観戦している間にいつの間にか寝てしまい、気が付くとちょうど試合終了。
引き分けでしたね。
負けなかったことを良しとしましょう。
朝飯前、ホテル近くの中華街をぶらぶらしました。
中華街とは言ってもほんの通り一本だけで、横浜や神戸の巨大な中華街とはイメージが違います。
そこがなんとなくうら寂しくて、かえって風情がありました。
子どもの頃訪れたはずなのですが、こんなに小さな通りだったかと、記憶違いに愕然としました。
ホテルの朝食はバイキング。
恐れていたとおり、トヨタ自動車大学校の研修生と思しき若者であふれかえっており、驚異的な食欲を見せていました。
バイキングというのはいわゆる食い放題ですから、いくら食っても構わないのでしょうが、てんこ盛りの飯を三杯も四杯もおかわりし、しかもそれを牛乳やオレンジジュースで流し込むその姿は、頼もしいような、気色悪いような、奇妙な感じでした。
飯を茶碗に半分と味噌汁と塩鮭だけで腹がいっぱいになってしまうおじさんには、うらやましい胃袋です。
今日はこれからお仕事。
ホテルから現地には市電でいけばよいのでしょうが、路線図を見るとだいぶ遠回りになるようですし、ホテルで尋ねたらタクシーで10分とかからないということなので、迷ってはいけませんから、タクシーで行こうかと思います。
市電が走る道というのはなんとなく怖ろしいですね。
道の真ん中を市電が通っており、車が右折する場合当然線路上を走ることになり、車、バイク、市電、バスなどが縦横に走り回り、なんだか無秩序に感じます。
信号の無い交差点が結構あって、歩行者は車や市電の様子を見ながらけっこう大きな通りを悠然と渡っており、慣れない私は通りを渡るのに勇気がいりました。
しかしそれもまた、長崎らしい風情なのでしょうね。
街全体が、情緒ある巨大ジオラマのようです。
涼しい時期に遊びで訪れたいものです。
その時には、長崎の親戚宅にも訪れましょう。
今回は仕事優先、自分の体調優先で、不義理なことに長崎を訪れることすら知らせていませんから。
明日の長崎県立歴史文化博物館でのイベントに備え、はるばる飛行機に乗ってやってきました。
今、17時30分。
ビジネスホテルにチェックインし、ホテルのパソコンから打っています。
ずいぶん日が高いようです。
やっぱり千葉よりだいぶ西ですから、朝日は遅く、夕日は長いんでしょうね。
神経が高ぶっているようで、早くもウィスキーをちびちびやっています。
飛行機の予約は一般席でしたが、クラスJが空いているとのことで、差額1,000円を払って1クラス上の席で、飛行機内は快適でした。
私のような人ごみや狭い場所が極端に苦手な精神障害者にとって、2時間を快適に過ごせるかどうかは大問題で、1,000円なら安いものです。
そうは言っても自宅を出たのが10時30分ですから、さすがに疲れました。
楽しい遊びの旅行ならいざ知らず、つまらない出張で夜の街に繰り出す気も起きず、ウィスキーと柿ピーとほたての乾燥貝柱、それにおにぎりを二つコンビニで仕入れてきました。
昔みたいな官官接待という風習も無くなりましたし。
今夜はもう一歩たりともホテルの外に出ようとは思いません。
じつは長崎は母親の出身地。
子どもの頃毎年のように訪れたうえ、十数年前に管理職のかばん持ちで長崎県教育庁を訪れ、昼間は観光地を案内され、夜は熱い官官接待を受け、最後は夜景を見せると言って深夜三時に稲佐山のてっぺんにタクシーで連れて行かれるという、地獄のような、もとい、夢のような記憶があるせいか、長崎に来たからと言って特段観光しようとは思いません。
明日に備えて早めに寝ようかと思いますが、私が泊まっているホテルにトヨタ自動車大学校御一行様というのが大挙して訪れており、若い者が集団でいれば狂気じみた騒ぎを起こすに決まっており、げんにすでに廊下が騒がしいようです。
なんだか悪い予感がしますねぇ。
早朝5時に起きて先ほどまでロンドン・オリンピック開会式の生中継を見ていました。
一言で言うなら、退屈。
これといった盛り上がりもなく、そうかといって伝統を重んじた荘重さもなく、もちろんサプライズもありませんでした。
ウィリアム王子の結婚式の時も思ったのですが、英国人は儀式や式典というのが下手なんじゃないかと思います。
とくに前回北京オリンピック開会式の飽きさせない豪華な演出が印象に残っていたので、よけいそう感じました。
スタジアムの真ん中に聖火台があるというのも奇妙です。
あれでは聖火が邪魔で競技ができません。
多分用務員のおじさんか誰かが開会式後にしかるべき場所に移すんでしょうが、それを見せないというのも下手な演出です。
選手入場で気づいたことがあります。
わが国選手団だけが、日の丸の小旗とともに、ユニオンジャックの小旗を手にしていました。
注意深く観ていましたが、自国の国旗以外に開催国の国旗を手にしていたのはわが国選手団だけです。
開催国に媚びているのか、あるいは友好の証か、面白い現象だと思いました。
これから約2週間、楽しみですねぇ。
明日は朝から晩まで九州の某県立博物館でイベントのため、今日14時過ぎの飛行機で現地に飛ばなければなりません。
帰宅は明後日、月曜日になります。
面倒くさいですねぇ。
ロンドン五輪女子サッカーの北朝鮮対コロンビア戦で、試合前、信じられない事態が出来しました。
なんと北朝鮮の選手紹介の際、韓国国旗が大写しにされたというのです。
英国側はキャメロン首相をはじめとして、平謝りの体ですが、北朝鮮は単なるミスではなく、故意であると疑っているようです。
英米が強く主張する自由と民主主義という正義とは程遠い国家である北朝鮮を侮辱しようとする意図があるのでは、というのです。
そんなはずないだろうとは思いますが、韓国と北朝鮮は休戦中というだけで、戦争状態に終止符がうたれたわけではありません。
いわば敵国の国旗が自国の紹介で翻ったわけですから、こんな失礼なことはありません。
北朝鮮のチームは試合をボイコットしようとして、試合開始が一時間以上遅れたそうです。
わが国の国旗は極めてシンプルで、一目で太陽を現わしているとわかり、日本というわが国の国号に合致しており、英国国旗や米国国旗と並んで、世界で最も知られている国旗の一つです。
まさかわが国の紹介に日の丸ではない、見たこともないような旗が翻るようなことはありますまいが、もしそうなったら、わが国民は激怒するでしょう。
欧州の英国から見たら、北東アジアの小さな半島の国など見分けがつかないのかもしれませんが、うっかりミスでは許されない大失態です。
ロンドン五輪関係者には猛省を促します。
ロンドン五輪男子サッカーの初戦、スペイン相手に勝ってしまいました。
驚きです。
平幕が横綱に勝ったようなもの。
まさしく大金星です。
日本国民として、喜ばしいかぎりです。
一方スペインでは、試合後半、アナウンサーが「こんなひどいスペインは観たことが無い、グラスゴーの屈辱だ」、と絶叫したそうです。
さらなる男子サッカーの活躍を期待します。
一時さかんに言われた肉食系男子、草食系男子からさらに進化して、近頃絶食系男子という言葉が流行っているようですね。
肉食系とは恋愛に対し旺盛で、がんがん行くタイプ、草食系とは恋愛に対する興味関心はあるが、自分からはあまり行動に出ず、女性からのアプローチを待つタイプ、という印象を持っています。
絶食系とは、そもそも恋愛に何の関心もないか、あるいは関心はあっても自分には無理だと諦めている人を指すようです。
ある意味悟りを開いたような男ですね。
でもまわりを見回すと、たしかに絶食系としか言いようが無い中年の男がけっこう存在します。
それも関心があるけど完全に諦めてしまっている、というタイプが。
かつてわが国では結婚は親が決めた相手とするもので、恋愛沙汰など破廉恥な行為だとされていました。
その後お見合いによって、少なくとも会ったことも無いような人と結婚することはなくなりましたが、やっぱり恋愛は一部の恥知らずな男女のするものだとされていました。
ところが1980年代以降、男女雇用機会均等法が施行されたりして結婚に対する意識が変化し、結婚はすべからく男女の自由な恋愛の末にくるものだとされるようになりました。
このことは、くっつけたがりの世話焼きおばさんを駆逐し、世話焼きおばさんがいれば相手が見つかったかもしれない、男女のことに疎い多くの独身者を生みだすことになりました。
私が就職した1992年には、職場で40歳を過ぎて独身という人は男女ともごく稀でした。
今ではうじゃうじゃいます。
そして逆に若い人は20代で結婚する人が多く、30代、40代に独身生活を謳歌する人が多いように思います。
男女のことは極めて個人的なことなので、個々人が自由にすればよいことですが、人口問題を考えると、今後のわが国社会に暗い影を落とします。
結婚しなくても子を持つカップルはいますが、圧倒的多数は夫婦となってから子をもうけるか、あるいは妊娠したら年貢の納め時とばかり結婚するか、というパターンが多いようです。
極めて個人的な事柄が、将来の少子高齢化の原因になり、しかもそれは年を追って悪化しつつあるように見受けられます。
だからこそ、余計なお世話だとは思いますが、市役所などの公的機関が税金を投入してお見合いパーティーを開いたりするのでしょう。
しかし惚れるというのは事故のようなもの。
そんな気がさらさらなくても惚れてしまえばやむを得ないものの、惚れてもいないものを無理矢理適齢期だからとくっつこうとするのは困難でしょう。
世話焼きおばさんの復権と、お見合い結婚の良さを再認識すべきではないでしょうか。
絶食系男子となでしこ姫―国際結婚の現在・過去・未来 | |
山田 昌弘,開内 文乃 | |
東洋経済新報社 |
ロンドンオリンピック、なでしこJAPANがカナダに快勝して幸先の良いスタートを切りましたね。
激しい攻防の中からの得点です。
それにしても、開会式が開催される2日も前に競技が始まると言うのは、儀式を重んじる我が国民からみると、不思議な感じがしますね。
英国人はそんなことは瑣末なことだとして気にしないんでしょうか。
開会式の時、勝ち点3を得た状態で臨むのと、勝ち点なしで参加するのでは、感じ方が違うでしょうねぇ。
なでしこ達は気分よく開会式を楽しめるでしょうけれど、カナダチームはプレッシャーを感じながらの開会式参加になるでしょう。
そういう意味では、開会式特有の、まっさらな状態ゆえの緊張感に欠ける面があると言わざるを得ません。
これから8月12日まで、なんとなくそわそわする日々が続きますねぇ。
そういえばロンドン五輪のマスコット、強烈なインパクトです。
本国では一つ目のバケモノと酷評されているとか。
バケモノとは言わないまでも、お世辞にも可愛いとはいえませんねぇ。
でもきっと、この強烈なインパクトが癖になると思います。
童子の仏像が鹿の角を生やした遷都くんが、当初酷評されていたのに、いつの間にか人気が出たように。
昨夜は重たい人間ドラマを鑑賞しました。
「ザ・レッジ 12時の死刑台」です。
ある男がビルの屋上の縁に立ち、今にも飛び降りようとしています。
そこへ、刑事が自殺を思いとどまらせようと説得にかけつけます。
男が刑事にここまでにいたる経緯を語りだし、それがドラマになります。
男はホテルの副支配人。
あるアパートでゲイの友人と同居しています。
同じ階の部屋に夫婦が引っ越してきて、夕食をともにします。
その夫婦の妻と、副支配人が純愛と言って良い激しい不倫関係に陥るのです。
男には妻子がありましたが、幼い娘の死をきっかけに離婚。
人妻は元麻薬中毒の娼婦。
その夫は飲む・打つ・買うの三道楽に陥り、妻子に捨てられた過去を持っています。
夫はキリスト教への深い信仰で真面目な生活を取り戻し、妻は夫と出会い、その助けでドラッグからも売春からも抜け出すことができました。
おまけに刑事にも妻の不倫疑惑という問題があります。
問題だらけの登場人物が、新たに不倫という問題を起こし、しかも無神論者の副支配人とキリスト教原理主義者の夫とは思想上の暗闘をも繰り広げます。
妻の浮気に気付いた夫は、正午までに飛び降り自殺しなければ妻を殺す、と副支配人を脅します。
不倫の熱に浮かされた副支配人はその言葉に従って指定された場所に立ち、正午を待ちます。
夫はそこが良く見えるホテルの一室で妻に銃を突きつけて待っています。
かくて副支配人は正午と同時に、刑事の説得も虚しく飛び降り自殺。
夫は逮捕され、妻は良き夫と愛する不倫相手を同時に失い、孤独のどん底に突き落とされます。
結局登場人物のすべてが不幸になるという救われないストーリーです。
この映画、じつは宗教の問題がかなり大きな要素を占めています。
無神論者、キリスト教原理主義者、さらに副支配人と同居するゲイの男はニュー・エイジ運動やカバラ哲学にはまっています。
そして妻は夫に従いキリスト教原理主義を信じているように見えますが、じつは何も信じていないという意味で、無神論者よりも虚無的です。
これらの思想上の暗闘がストーリーに影を落とし、物語に深みを与えているように思います。
ただかなり重い内容なので覚悟して観ないといやぁな気持ちになることは間違いありません。
ザ・レッジ-12時の死刑台- [DVD] | |
リブ・タイラー | |
ビデオメーカー |
亡父の蔵書から、「昭和の遺書 55人の魂の記録」という本を読みました。
軍人、兵隊、小説家、ジャーナリスト、学生、テロリスト等じつに様々な昭和に生き、亡くなった人々の遺書を紹介したもので、興味深く読みました。
著名な人からそうでない人、自殺、病死いろいろですが、死に際の言葉というのはその人らしさが出るものですね。
その中で、昭和50年12月に病死した最後の海軍大将、井上成美の短い遺書が印象に残りました。
一.どこにも借金はなし。
二.娘は高女だけは卒業させ、できれば海軍士官に嫁がせしめたし。
これだけです。
これは亡くなる40年以上前の昭和8年に書かれたもので、当時海軍内部に過激な思想を持った若い将校が台頭し、もしものときのために書いたようです。
実際に亡くなる直前に書いた遺書は、
小生の葬儀は密葬のこと。
これに寺の住所などが書かれているだけです。
自分の思いや、人生観などは一切ありません。
これがサイレント・ネイビーというものでしょうか。
海軍士官は沈黙を守ることを美徳とする風があったようです。
それに比べると、元海軍士官だった中曽根元総理はずいぶんと饒舌ですね。
私はこうして毎日ブログに駄文を物し続けるほど、おのれの考えや思いを述べたいほうですから、サイレント・ネイビーのようなストイックな生き方には憧れを感じます。
でも多分、それでは世の中うまくいかないのでしょうねぇ。
わが国は沈黙を重んじる国柄ですが、世界のスタンダードはきちんと自己を主張することですから。
しかし震災の復旧にあたったりPKOで過酷な地に派遣される自衛官は、概して沈黙を重んじているような感じを受けます。
その精神性の高さは賞賛されてしかるべきでしょうね。
昭和の遺書―55人の魂の記録 (文春新書) | |
梯 久美子 | |
文藝春秋 |