男同士の異色ラブロマンス、「46億年の恋」を鑑賞しました。
偶然同じ日に同じ刑務所に入ることになった二人の殺人犯。
安藤正信が凶暴な青年を、松田龍平がとらえどころのない妖しい色気をたたえた青年を演じて、不気味な存在感を示しています。
ラブロマンスとはいっても直接的な描写は全くなく、抑えた演出で静かに物語は進みます。
舞台装置がまた奇抜です。
黄色い囚人服、ナチ親衛隊のようなスタイリッシュな看守の制服、なぜか荒野でしかない外には打ち上げを待つロケットと、隣にはマヤ文明に見られるようなピラミッド。
そこで、美青年ばかりの囚人たちと、青白い顔をした刑務所長、黒ずくめの看守が、非日常的な日常を送ります。
ストーリーはといえば、刑務所内で安藤正信演じる凶暴な囚人が殺され、松田龍平演じる囚人が自首したことが、謎として与えられますが、それはこの映画の重要なポイントではありません。
二人の美青年の間に流れる妖しい空気、エロティックともプラトニックともいえるその空気こそが、この映画の醍醐味でしょう。
事件は解決し、物語はきちんと起承転結を持っています。
しかしそこに、この映画の破綻が隠されています。
美的な作品は美的でスタリッシュであればいいので、予定調和的な物語性を持つ必要はありません。
もっと感じるままに撮影すれば、よりよい作品に仕上がったと思います。
一般にこの手の作品は腐女子とかやおいとかBLとか言われる女性たちに偏愛されていますが、でぶの中年おやじである私も結構好きなのです。
麗しいものに性別など関係ありませんから。
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