ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

ドナルド・キーン博士、日本帰化

2011年04月28日 | 文学

  米国の日本文学者、ドナルド・キーン博士が日本に帰化し、永住する、と発表しました。

 88歳になって、なぜ?という気もしますが、本人はその気満々で、先般コロンビア大学で最終講義を済ませたとのことです。
 について論じたようです。
 博士は、日本の国文学者が狭い専門から出ていかないのに対し、記紀万葉から現代文学まで、幅広く論じることができる碩学です。

 日本文学の道を志すきっかけになったのは、古本屋で「源氏物語」の英訳本が、分厚いわりに安かったために購入し、これに感銘を受けてまずは日本語を学ぶところから始めたとか。
 戦中は米軍の通訳官として働き、戦後は日本留学をして国文学への造詣を深め、それでも米国人であることを辞めず、コロンビア大学で教鞭をとってきました。

 三島由紀夫、安部公房、石川淳らと親交が深く、大江健三郎とは不仲だったと聞きました。

 ドナルド・キーン博士がこのタイミングで日本帰化を決意したのは、はっきり言いませんが、震災の影響があるのではないでしょうか。
 世界中から放射能に汚染された国と見られている今、あえて高名な自分が日本人になり、情報発信すれば、諸外国の誤解を解き、被災した方々への慰めになるのではないか、と考えても不思議ではありません。

 しかし博士は深く日本精神を身に付けたお方。
 そんなことは恥ずかしくて言えないでしょう。

 とりあえず東京に住んで執筆活動に励むそうですが、谷崎潤一郎のように、京都に移り住むかもしれませんね。

 膨大な博士著作の中から、読みやすいものを以下のとおり選んでみました。
 老学者の知の歩みに触れてみてはいかがでしょう。

百代の過客―日記にみる日本人 (上) (朝日選書 (259))
金関 寿夫
朝日新聞社
百代の過客―日記にみる日本人 (下) (朝日選書 (260))
金関 寿夫
朝日新聞社
果てしなく美しい日本 (講談社学術文庫)
足立 康
講談社
日本人と日本文化 (中公文庫)
Donald Keene
中央公論社
日本人の美意識 (中公文庫)
Donald Keene,金関 寿夫
中央公論新社

人気ブログランキングへ

↓の評価ボタンを押してランキングをチェック!
素晴らしいすごいとても良い良い

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 三度の飯よりミーティング | トップ | ゴールデンウィーク »
最新の画像もっと見る

文学」カテゴリの最新記事