今日から出勤です。
すっかり体調が良くなったと思っていましたが、病み上がりの体には堪える忙しさでした。
あぁ、何もかもおっぽり出して、消えてしまいたいですねぇ。
午後は久しぶりの王道ホラーを鑑賞しました。
「ドント・スリープ」です。
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アルバトロス |
全米で健康な者が睡眠中に死亡する事故が多発。
悪夢死、などと呼ばれます。
まぁ、平たく言えば、金縛りの時に魔物に襲われる、という話。
古くはシェークスピアの「ロミオとジュリエット」にも言及される、寝ている人の上に乗っかる悪魔のこと。
上の絵のようなイメージでしょうか。
後にオールド・ハグ・シンドロームなどと呼ばれる現象を題材にしたもの。
金縛りというのは私も経験がありますが、脳がほぼ覚醒していて、しかし体が眠っているという状態で、ひどい恐怖に襲われ、いやぁな汗をかいたりします。
怖い現象ですが、別に魔物に襲われることはありません。
この映画は、金縛り状態になると現われる、どこか伽耶子を思わせる鬼婆の恐怖を描いたものです。
題材自体は珍しいものではありませんが、見せ方がうまいです。
ストーリーもかちっと決まっています。
目新しさばかり追って退屈なホラーが多いなか、この王道ぶりは見事です。
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インフルエンザによる出勤停止も今日まで。
もうすっかり元気です。
最近お気に入りの恒川光太郎の作品を読みました。
連作短編集、「草祭」です。
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草祭 (新潮文庫) |
恒川 光太郎 | |
新潮社 |
小さな田舎町、美奥を舞台にした作品群で、5編が収録されています。
一つ一つは独立した物語ですが、通して読むと、繋がりがあることが分かる仕掛けになっています。
美奥は様々な異界へと繋がる、いわばこの世の一つ奥に存在している町。
主人公たちは、異界に迷い込み、様々な体験をするのです。
「けものはら」は、けものはらに迷い込み、出られなくなった男子高校生の物語。
彼はそこで獣人に変じていくわけですが、母親との複雑な物語が語られます。
「屋根猩猩」は女子高生の独白という形をとって、ある地区の守り神に変じていくお話。
「くさのゆめがたり」では、はるか昔を舞台に、美奥誕生の秘話が語られます。
「天化の宿」は、山中の不思議な宿で、女子高生が苦解きという儀式のための、独特のゲームに高じるお話。
結末が意外です。
最後の「朝の朧町」は、もっとも幻想的で美しい物語です。
これも不思議な町に誘われた者が体験する、息苦しいまでに切ない物語です。
こうして一作ずつ、短く紹介していくと、実に陳腐な表現にしかならず、嫌になります。
しかし、実際に読めば、その物語世界の豊穣さに驚嘆することでしょう。
この作者の作品を、まだまだ読んでいきたいと思います。
今日もインフルエンザのため、お休み。
もっとも自覚的には元気になっているので、家に閉じこもっていなければならにと言うのは苦痛です。
現代の薬というのは偉大なものですね。
わずか2~3日で元気になってしまうのですから。
もっとも、明日まではウィルスを待ちきらす怖れがあるので外出するわけにはいきません。
これまで家にあるものでなんとか食いつないできましたが、さすがに飽きて、昼は出前で鴨せいろと取りました。
なんだか異常に旨く感じかられました。
その鴨せいろを食っていたら、ふと、涙が滲みました。
家に閉じ込められて、気弱に成っているのかもしれません。
金曜日の夜中、にわかに39度の高熱に襲われ、土曜日の朝一番で内科を受診したら、B型インフルエンザに感染していることが判明しました。
同居人からうつったものと思われます。
昨日は薬を飲んでガタガタ震えながらひたすら寝ていましたが、タミフルや解熱剤等の効果が出たのか、今日は熱も平熱に下がり、比較的楽です。
自覚的には明日出勤できそうですが、医師からは火曜日まで外出禁止といわれています。
私のため、というよりまわりにウィルスを撒き散らさないためですから、やむを得ません。
内科医は、予防接種を受けても、1割くらいは感染する、と言われました。
同居人も私も予防接種を受けているので、その1割に入ってしまったということでしょうか。
予防接種を受けながらインフルエンザに感染するのは4度目。
感染しやすい性質のようです。
まぁ、仕方ありません。
朝は調子が良かったのですが、お昼頃から悪寒がして、くしゃみが止まりません。
常備している風邪薬を飲んで一時間ほどしたら少し楽になりましたが、節々の痛みとだるい感じが続いています。
よっぽど早退しようかと思いましたが、来週早々会議があり、その資料作成を終えないと週末ゆっくり休めないので、我慢して何とかやっつけました。
火事場のクソ力、でしょうか。
同居人、月曜日は風邪と診断されましたが、あまりにも熱が下がらないので、火曜日にもう一回医者に行ったら、B型インフルエンザとのことで、今週は丸ゝ休んでいます。
インフルエンザに感染していたら嫌ですねぇ。
定時で帰って早寝して、明朝も調子が悪いようなら内科に行くしかありません。
どうか一晩で良くなりますように。
今朝の首都圏はひどく冷え込み、都心では48年ぶりに零下4度を記録したそうです。
48年前というと、私は生後数か月。
覚えているはずがありません。
低温注意報は33年ぶりだそうです。
33年前と言えば私が中学三年生。
高校受験の時期と重なりますが、それほど寒かったという覚えはありません。
また、首都圏各地で水道から水が出ない、という苦情が水道局に寄せられたんだとか。
凍っちゃったものは水道局に文句を言っても仕方ありますまい。
徒(いたずら)に 凍る硯(すずり)の 水悲し
寺田寅彦の句です。
寺田寅彦が活躍した時代には、書斎には必ず硯と筆が置かれていたことでしょう。
その硯の水が凍ってしまった、ということでしょうか。
怖ろしく寒い書斎ですね。
ちょっと滑稽味を感じる句です。
近年では、筆ペンなどという、便利ですが野暮で無粋な物が跋扈し、硯を使うこともありません。
さすがに私が住むマンション、鉄骨とコンクリートでできているので、保温性が高く、部屋の水が氷るなんていうことはありません。
ベランダに水を張っておけば凍るかもしれませんが。
子供の頃、庭の池に金魚を飼っていて、冬になるとよく表面が凍ったものです。
しかし金魚というのは健気なもので、氷の下の水中をたくましく泳いでいました。
我が国には豊かな四季があり、それぞれの季節を楽しまなきゃ損ですが、さすがにこう寒いと春が恋しくなります。
特にここ数年、寒さが堪えるようになりました。
5年前、父が亡くなって急激に痩せたせいでしょうか。
今、私は半袖の下着の上にぽっかるんというベスト型の下着を着て、その上に長袖の下着を2枚着け、しかる後Yシャツを着ています。
下はパンツを履き、さらに起毛した股引を履き、その上にさらに普通の股引を履いてズボンを履いています。
多分、顔を除き、体だけ一回り太ったように見えるんじゃないかと思います。
また、職場では、指無し手袋をずうっと着けています。
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太っていた頃だったら鼻血が出そうないでたちです。
脂肪というのは天然の防寒具だったのだなと、今になって思います。
もっとも、太っていたのはうつ病治療薬の副作用のせいで、ほんの数年間のことです。
太る前は、今ほど寒がりでは無かったように覚えています。
体質は変わるものですね。
20代の頃は、冬の、ピリピリするような凛とした空気が好きだったのですが。
昨夜は珍しく戦争映画を観ました。
「ダンケルク」です。
第二次大戦初頭、ドイツの破竹の進撃に、ドーバー海峡に接するダンケルクという浜辺に追い詰められた英仏軍が、ほうほうの体で逃げ帰るお話。
なんと英国は、輸送船や駆逐艦の他、ヨットやボートなどの小型船をかき集め、ドーバー海峡を渡り、主に英国兵の救出を行います。
ひたすら逃げる映画なので、もう一つ迫力がなく、なんだか英国軍の宣伝のような感じがして、映画の世界に入り込めませんでした。
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昨日から本日未明にかけて、首都圏はひどい雪に見舞われました。
朝、起きたら晴れていましたが、とてもノーマルタイヤで出勤できる状態ではありません。
ダイヤが乱れているなか、いつもより50分も早く家を出て、どうにか勤務時間に間に合いました。
帰りも電車。
車通勤に慣れた身には堪えます。
夫婦そろって風邪をひいてしまいました。
私は微熱とくしゃみ程度でしたが、同居人は朝、39度の高熱。
病院に行って検査をうけたところ、二人とも、インフルエンザではありませんでした。
ひたすら眠って、私はだいぶ回復しました。
明日は出勤できそうです。
三冊目の恒川幸太郎作品を読みました。
「雷の季節の終わりに」です。
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雷の季節の終わりに (角川ホラー文庫) |
恒川 光太郎 | |
KADOKAWA |
前2作と同様、異界での切ない物語が展開します。
隠(オン)と呼ばれる、この世と微妙にずれた世界で育った少年が、冒険を繰り広げるファンタジー。
隠には、春夏秋冬のほかに、雷季とよばれる季節があります。
その季節には、どんな不思議なことが起こっても不思議ではありません。
風わいわい、とよばれる物の怪に憑かれた少年。
しかし風わいわいは悪さをするわけではありません。
むしろ少年を守ってくれる存在。
鬼衆、と呼ばれる集団や、風葬をする墓町など、不思議で魅力的な舞台装置が揃って、物語を豊穣なものにしています。
ふとしたことから、少年は長い旅をしてこの世にたどり着きます。
その間の冒険が綴られます。
同じ作家の本を三冊続けて読むのは私には珍しいことです。
じつは4冊目も購入してあります。
すっかりこの作者の世界に魅入られてしまったようです。
幸福なことに。
今日はどんよりと雲って、寒い一日でした。
それでも、たまのお休み、日頃の運動不足を解消しなければなりません。
外を歩き回るのはあんまり寒いので、広大な敷地を持つ、イオンモール幕張新都心に出かけました。
何度か真夏や真冬に出かけていますが、嫌になるくらい広い施設です。
歩き疲れました。
多くの親子連れや、外国人観光客が訪れていました。
テロの標的にするには格好な施設じゃわい、などと思いつつ、わが国が平和であることをも、実感させられました。
今年の3月、亡き父の七回忌を迎えます。
もうあれから丸5年が経とうとしています。
死の床にあって、父は浅草寺病院の病室から、雪が降る五重塔を観ながら、「京都のようだなぁ」と声を挙げたそうです。
末期の目は、ことさらに自然を美しく感じさせるのでしょうか?
芥川龍之介の「或旧友へ送る手記」という、遺書に近い書簡には、
自然の美しいのは僕の末期の目に映るからである、
という一節があります。
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或旧友へ送る手記 |
芥川 竜之介 | |
メーカー情報なし |
また、芥川龍之介の弟子ともいうべき堀辰雄の「風立ちぬ」の一節に、
自然なんぞが本当に美しいと思へるのは、死んで行かうとする者の眼にだけにだ、
と言うものがあります。
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風立ちぬ・美しい村 (新潮文庫) |
堀 辰雄 | |
新潮社 |
芥川龍之介は遺書に自然の美を謳いながら、自殺してしまいます。
一方、堀辰雄は、病弱の体に鞭打って、死を避けるのではなく、それを超克しながら、一段と深い生を模索しました。
同じように末期の目に映る自然の美を称揚しながら、対照的な態度で人生に、あるいは死に向かった師弟の姿勢は印象的です。
また、夏目漱石は、亡くなる2年前に友人に宛てた手紙の中で、
天と地と草と木とが美しく見えてきます。(中略)私はそれをたよりに生きています。
と、書き残しています。
さらに、川端康成は、随想「末期の眼」で、芥川龍之介の死に触れ、
あらゆる芸術の極意は、この『末期の眼』であろう。
と喝破しています。
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川端康成随筆集 (岩波文庫) |
川西 政明 | |
岩波書店 |
芸術の極意が末期の眼であるとしたならば、凡人は末期に至らなければ真に芸術を解することが出来ない、ということでしょうか?
そしてまた、父は末期にいたって、その境地に達したということでしょうか?
それならば、父にとって、死は最後の僥倖であったのかもしれません。
しかし、まだ先の長い私には、絶望的な言説であるようにも感じられます。
自然の美しさを感じるのも、芸術への洞察も、未だ先の先ということですから。
せめては、兼好法師が自然を愛でる態度を描いた、
よき人は、ひとへに好けるさまにも見えず、興味ずるさまもなほざりなり。
(教養のある人は、むやみに風流を好んでいるようにも見えず、楽しむ様子もあっさりとしている、というほどの意)
という言葉を胸に刻んで、自然美や芸術作品に接していきたいと、願うばかりです。
私が末期の眼を得る幸福な瞬間を迎えるその時まで。
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徒然草 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス) |
角川書店 | |
角川書店 |
昨夜は恒川光太郎の短編集を読みました。
3編の小説が所収され、210頁ほど。
1時間半ほどで、一気に読みました。
掲載されているのは、「秋の牢獄」・「神家没落」・「幻は夜に成長する」です。
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秋の牢獄 (角川ホラー文庫) |
恒川 光太郎 | |
角川書店(角川グループパブリッシング) |
前に読んだ「夜市」と「風の古道」の最強タッグが所収された「夜市」の鮮烈さに比べると、やや見劣りしますが、それでも味わい深い佳品揃いでした。
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夜市 (角川ホラー文庫) |
恒川 光太郎 | |
角川グループパブリッシング |
「秋の牢獄」をはじめとする3編は、いずれも囚われる、ということを題材にしています。
「秋の牢獄」は、いわゆるタイムループ物で、SFに分類されるかと思います。
11月7日(水)を何度も繰り返す女子大生の物語。
面白いのは、リプレイヤーと呼ばれる、11月7日(水)を繰り返す人々がいて、彼らは不思議な縁で知り合い、しばし、交友を深めます。
しかし、やがてはそれぞれが一人になって、北風伯爵と名付けた白い物体に囚われ、消えていくのです。
消える先が翌日の11月8日(木)で、タイムループから解放されるのか、存在が消滅してしまうのか、誰にも分かりません。
一人、また一人と、同じタイムループを繰り返してきた知り合いが北風伯爵に囚われて消えていきます。
女子大生が北風伯爵に囚われ、「悪い1日じゃなかった」と、何度も繰り返し、泣いたり笑ったりした11月7日を振り返る一言は、印象に残ります。
この作品は、時間に囚われながらも、いずれは北風伯爵に囚われ、未知の世界に運ばれていく、という予感との、二重の囚われが描かれ、切ない読後感を覚えます。
「神家没落」は、図らずも古民家の守り人になってしまった青年の物語。
古民家には、必ず1名の守り人が必要で、その守り人は、次の守り人が現れるまで、古民家を出られないのです。
それはもう、物理的に。
しかも古民家は一年かけて日本中を移動しています。
どこに現れるかはきちんと定まっていて、土地の人々との一年に一度の逢瀬を楽しむことが出来ます。
こちらはややサスペンス調。
家に囚われる青年を描いて、悲劇的な境遇であるにも関わらず、家に愛着を感じるようになる様が、どこか哀れを誘います。
「幻は夜に成長する」は、人に幻を見せる能力を持った少女の物語です。
彼女が、やはりそういう能力を持った祖母に育てられ、能力を開花させていく様が描かれ、後にその能力ゆえに無理やり新興宗教の教祖に祭り上げられ、その宗教に囚われる姿が描かれます。
宗教団体は、麻薬や洗脳で彼女を教祖にし、しかも監禁状態に置きます。
こちらはラストにいたり、能力を最大化させ、幻を見せることで人を殺すことすら出来るようになり、その力を使って解放される、という締めくくりです。
3編はそれぞれ独立した物語ですが、続けて読むと、連作短編のような、不思議な読後感を覚えます。
奇妙な物語を平易な文章で紡ぎだし、そこに何とも言えない哀愁が漂い、どこかノスタルジックな味を醸し出す、稀有な作家だと思います。
まだ2冊しか読んでいませんが、好みだけで言えば、私にとって現役最高の小説家であるように思います。
出版されている作品は全て読んでみたいと思います。
そんなことを思わせた現役の作家は、22歳の時に「電話男」を読んでファンにった小林恭二以来です。
残念なのは、小林恭二という人、最近ほとんど小説を出版していないことです。
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電話男 (ハルキ文庫) |
小林 恭二 | |
角川春樹事務所 |
昨夜は、魔女を描いた「ウィッチ」を鑑賞しました。
1630年代の米国、ニューイングランド。
信仰のため、英国から米国に移住した一家。
しかし、米国、ニューイングランドでも、信仰への信念の違いから、夫婦と5人の子供たちの一家が町から追放されてしまいます。
森の近くの荒れ地にたどり着いた家族は、痩せた地を耕し、家畜を飼ってどうにか暮らし始めます。
しかし、ある時、まだ赤ん坊の末っ子が何者かにさらわれてしまいます。
家族は魔女の仕業ではと思いつつ、狼のせいだと思い込もうとします。
続いて長男が熱病を発し、取りつかれたように亡くなってしまいます。
両親は、初潮を迎えた長女が魔女なのではないかと疑います。
そして家族は疑心暗鬼に陥り、互いに罵倒し合うようになります。
挙句、父親は悪魔の化身である家畜の黒ヤギに襲われて死亡。
それを見た母親は長女の仕業だと信じて長女に襲い掛かりますが、返り討ちにあって亡くなります。
生き残った長女は悪魔の化身である黒ヤギを通して悪魔と契約を結び、全裸で森に入り、魔女たちの集会に参加。
恍惚とした表情で炎を囲み、魔女としてデビューするのです。
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薄暗い映像、荒涼とした風景が雰囲気抜群です。
さらに衣装や建物などが、時代劇っぽさを醸し出しています。
娘が魔女になったのではないか、という疑心暗鬼から、家族同士で罵倒しあう姿は凄惨ですが、魔女の存在はほのめかされる程度で、信仰をめぐる葛藤と、家族の崩壊を描いたダーク・ファンタジーの色合いが濃いと思わせますが、ラスト、長女が実際に魔女になるシーンで、森に住む魔女たちの姿が明確に描かれるに至り、これほど魔女というものを正面切って描いた作品も珍しいと感じさせます。
ラスト、森の中で、全裸の魔女たちが炎を囲み、空中へと舞い上がるシーンは、美しいとさえ言えます。
後味は決して良いものとは言えません。
むしろ救いが無いと言えるでしょう。
しかし、不思議と心に残ります。
現在、米国には全米魔女協会なるものが存在し、公認の魔女、と言う人がいるそうです。
昔であれば魔女の疑惑を受けただけで火あぶりにされたような存在ですが、大らかな時代になったものです。
1600年代といえば、米国のセイラムで行われた魔女裁判が有名です。
村人のうち、200人が告発され、うち、19名が処刑、1名が拷問中に死亡、5名が獄死した、という悲惨な事件で、映画や小説の題材に取り上げられています。
最近では「ロード・オブ・セイラム」という、セイラム事件の末裔が現代で魔女となる、極彩色の映画が印象に残っています。
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シェリ・ムーン・ゾンビ,ブルース・デイヴィソン,ジェフリー・ダニエル・フィリップス,ケン・フォリー,ジュディ・ギーソン | |
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昨夜観た「ウィッチ」はそれら娯楽作品とは異なり、魔女という存在の根源に迫る、文芸作品的な要素が強く、魔女を描いた作品としては名作と言えるものだと感じました。