ブログ うつと酒と小説な日々

躁うつ病に悩み、酒を飲みながらも、小説を読み、書く、おじさんの日記

ホリエモンと「青の時代」

2011年04月26日 | 社会・政治

 ホリエモン、最高裁で懲役2年6ヶ月の実刑が確定しましたね。
 正直に言うとホリエモンがやったことがなぜそれほど重い罪なのか、金目の話に疎い私にはよくわかりません。
 しかし懲役2年6ヶ月の実刑をくらうということは、相当な罪なのでしょうねぇ。

 ホリエモン、数日のうちには刑務所に入るんですねぇ。
 テレビドラマやノンフィクションで見る刑務所は、きつい所です。
 きつくなくては刑務所の意味がありませんから、きついのは当然ですが、東京大学を出てライブドアを企業し、飛ぶ鳥落とす勢いで会社を大きくし、六本木ヒルズに住んで贅沢三昧をしてきた彼には、耐えがたい屈辱でしょう。

 三島由紀夫「青の時代」は、昭和20年代半ばに起きた東京大学大学院生が闇金融のようなことをやってお縄になることが確実と知って自殺する物語でした。
 光クラブ事件として有名な事件を元にした小説で、ライブドア事件が騒がれていたとき、よく引き合いに出されていましたね。
 「青の時代」は純粋な文学作品で、光クラブ事件の首謀者である青年の内面の葛藤を描こうとしたものですが、どうしても実際の事件が思い起こされ、あまり正当な評価は受けていないように思います。

 ホリエモンは自殺することなく、刑に服する見通し。
 そうだとすると彼の後半生がどういうものになるのか、興味深いところです。
 出所して華麗な復活劇を遂げるのか、平凡なサラリーマンになるのか、ホームレスにまで身を落とすのか。
 しぶとい人のようですから、必ずもうひと花咲かせようとするでしょうね。
 その時前科が凶と出るのか、あるいは知名度が吉と出るのか。
 今はただ、無事に刑期を終えて出所することを願うばかりです。

青の時代 (新潮文庫)
三島 由紀夫
新潮社

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会議乱立

2011年04月26日 | 社会・政治

 震災復興のため、また、原発事故対応のため、数々の会議や組織が次から次に立ち上げられたことは、みなさんご存知のとおりです。
 
 ざっと数えてみると、緊急災害対策本部、被害者生活支援特別対策本部、被害者生活支援各府省連絡会議、被災地の復旧検討会議、災害廃棄物処理の法的問題検討会議、原子力災害対策本部、原子力被災者生活支援チーム、福島原発事故対策統合本部、原子力発電による経済被害対応本部、電力需給緊急対策本部、復興構想会議、復興実施本部(仮称)等々が浮かびます。
 
  実際はもっとあります。

 これだけの有識者による会議、各省庁の担当が会議のセッティングをして、シナリオを書いて、いくつかのパターンの結果を用意して、何カ月もかけて話し合い、提言をまとめたら政府はそれを実行する気があるんでしょうかねぇ。
 これだけたくさんの会議がそれぞれてんでんばらばらに答申をしたら、菅総理、頭ぼっかーんと爆発しちゃうんじゃないでしょうかねぇ。

 役人も空しいでしょうねぇ。
 政治家が強いリーダーシップを発揮して指示を飛ばしてくれればすぐにでも動き出せるのに。
 役に立つんだか立たないんだかよくわからない会議のお世話に明け暮れていては、無駄に時間を費やしているようなもの。

 菅総理は誰かに提言させることで責任逃れをしているのか分かりませんが、大方針をどーんと示し、官房長官や各大臣に全権を与え、最後はおれが責任をとる、となぜ言えないのでしょうか。

 三宅島の全島民避難のときは、中曽根総理と後藤田官房長官、それに3人の総理補佐官で全て決めて、速やかに実行したそうです。
 決定するのに頭数が多いと議論百出して結論が出ない小田原評定になってしまいます。

 みんなで話し合って決めましょうというのは、平時なら結構ですが、非常事態にあっては、しかるべき立場の人が独裁的にリーダーシップを発揮し、復興がなった後、責任を取るなりすればよいのです。

 それができないなら、総理の椅子を降りるしかありますまい。
 今回の事態は、市民活動家出身で野党呆けの素人大臣の集まりでしかない現政権には荷が重いというものです。

 鳩山前総理から菅総理に代わった時は、宇宙人から人類になった、これでまともな政権ができる、と期待していたのですが、期待していただけに、失望も深いのです。

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一千一秒物語

2011年04月26日 | 文学

  昨夜は、魔道を歩んだ偉大な先人、稲垣足穂の「一千一秒物語」を読み返しました。

 キイ・ワードは、月・流星・シガレット・ヒコーキ

 わが国の近代文学の中で、その硬質さ、ドライさ、奇妙さは際立っています。
 何かに悩む主人公は出てこず、恋愛沙汰も起きず、人も死にません。
 坂道でポケットから自分を落としてしまう話など、ファンタスティックな掌編の連続です。
 読者はタルホ・ラビリントスに迷い込まざるをえません。

 私は久しぶりにその迷宮に迷い込み、楽しみました。
 
 彼は生まれるのが早すぎたんじゃないでしょうか。
 大正から昭和初期に世に出た彼は、人間を口から肛門にいたる筒とみなして、独自のエロス論を組み立てました。
 それが「A感覚とV感覚」です。
 そのエロス論もまた、彼にかかると硬くてドライな、輝く石のような光を放つのです。

 こういう人はもう出てこないような気がします。
 近代から現代まで、日本文学は長いこと貧乏自慢と若さ自慢、それに羞恥心を忘れたかのような露骨な性描写に明け暮れています。
 日本文学本来の伝統を取り戻し、洒脱で軽妙な、しかし奥が深い小説がもっと増えてくれると嬉しいと思っています。

一千一秒物語 (新潮文庫)
稲垣 足穂
新潮社

 

A感覚とV感覚 (河出文庫―稲垣足穂コレクション)
稲垣 足穂
河出書房新社

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