村上春樹の短編集に、「神の子供たちはみな踊る」という作品集があります。
米国で映画化もされました。
阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件にまつわる物語群です。
ストレートに両事件を扱ったわけではありませんが、これらを契機として作者が感じた圧倒的な暴力に対する予感が、神話的に語られます。
このたびの震災でも、私たちは自然が発する圧倒的な暴力の前に、人があまりにも無力であることを痛感させられました。
しかしおそらく、古来、私たちは災害にあうたびにたくましくなり、いわば災害を喰らって進歩してきたのでしょう。
今回、地震・津波・原発事故の三重苦という未曽有の災厄に襲われたわけですが、時間はかかっても、日本人は見事によみがえるでしょう。
今回学んだことの一つに、弱い内閣では危機に対応できない、ということでした。
それは誠に不幸な学習方法でしたが、起きてしまったことはどうにもなりません。
最近、枝る、という言葉がネット上で流行っているそうです。
枝野官房長官の働きぶりからきた言葉で、①寝る間も惜しんで働く、②無能な上司の下で必要以上に苦労する、の二つの意味があるそうです。
これもまた、危機に接してわかった政治家の器量でしょうか。
菅総理はその器ではなく、枝野氏は官房長官としてフル回転しています。
圧倒的な暴力と、無能な内閣のせいで、私たちは神話的な悲劇を目の当たりにしてしまい、今もその続きを見ています。
私たちを襲う暴力は、それが人災であれ天災であれ戦災であれ、まるでこの世の本質であるかのごとくです。
そのような事態を前に、私たちはもう踊っちゃうしかないんでしょうか。
地震・雷・火事・親父。
一番恐ろしいのが親父とは、今ではブラック・ジョークにもなりません。
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